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猟人荘の怪事件|徹底解説・あらすじ・ネタバレ・登場人物など【ポワロ30】

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 猟人荘の怪事件』ポワロとヘイスティングス大尉が猟場へ赴き、そこで、お金持ちの男性が殺害されるエピソードです。この記事では、あらすじと登場人物、ネタバレ、トリック解説、感想・考察などをまとめています。

The Mystery of Hunter’s Lodge
項目 内容
シーズン 3
エピソード 11
放送日(英国) 1991年3月10日(日)
放送日(日本) 1992年7月30日(木)
出演者 キャスト一覧
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あらすじ

 美味しいライチョウを食べるため、ヘイスティングス大尉の狩りに付き添うポワロだったが、狩りの最中、ながらく待たされ風邪をこじらせる。その夜、狩りに参加していたお金持ち・ハリントン氏が殺害される。犯人は、臨時雇いの家政婦が招き入れた不審人物であると考えられる。翌朝、その家政婦までもが行方をくらます。捜査の結果、事件が発生する少し前に、最寄駅で不審人物が駅員の自転車を盗んだことが明らかになる。そして、その人物は、被害者の屋敷に現れた人物と同一人物であるようだった。

事件概要

行方不明になった家政婦・ミドルトン夫人は、不審者を屋敷に招き入れ、銃声が鳴り響いたあと、屋敷の外に出ました。そして、近くにいた被害者の異母弟・ジャックに通報を依頼しています。屋敷の電話を使わずに、わざわざ外に飛び出すというとても奇妙な行動です。怪しい家政婦ですが、彼女は姿を消します。のちに、ミドルトンという名前の家政婦が発見されますが、屋敷にいたミドルトン夫人とは、全くの別人でした。本物のミドルトン夫人は、家政婦として雇われるはずでしたが、直前になって雇い主に金だけ渡され引き返すよういわれたようです。

大尉の友人であり被害者の甥でもあるロジャー・ヘイバリングは容疑者の一人でした。しかし、彼にはロンドン行きの列車に乗っていたというアリバイがありました。ロジャーが乗車したのは18:15発の列車で、犯行時刻は18:50頃でした。このアリバイに対してポワロは、18:15の列車に乗った後、隣駅で降りて引き返せば犯行時刻に間に合うことを指摘します。このことを突き付けられたロジャーはギャンブルで抱えた借金を密かに返済するため、ある人物のところへ寄り道していたと話します。後ろめたいことがあったので本当のことを話していなかったということで、ヘイスティングス大尉の友人・ロジャーは容疑者から外れます。

もっとも怪しいのは駅で自転車を盗んだ不審人物です。この人物と屋敷に現れた人物は同一人物のようであり、犯行時、屋敷にいたロジャーの妻・ゾイと、自転車盗難を目撃した駅員の証言が一致しています。なお、盗まれた自転車は、猟犬が土に埋められているのを探し出します。

登場人物

登場人物名 説明
エルキュール・ポアロ 私立探偵
アーサー・ヘイスティングス ポアロの友人
ロジャー・ヘイヴァリング 第五代ウィンザー男爵の次男
被害者の甥で、ヘイスティングスの友人
ゾーイ・ヘイヴァリング ロジャーの妻
原作では元女優
ハリントン・ペイス ロジャーの叔父
ダービーシャーの狩人荘の主人で、被害者
ミセス・ミドルトン 狩人荘の家政婦
ジェームス・ジャップ スコットランドヤードの主任警部
事件の捜査を担当。
アーチー・ヘイヴァリング (ドラマ版追加)ペイスの甥
小学校の先生
ジャック・ストッダード (ドラマ版追加)ハリントン・ペイスの腹違いの弟
猟場の番人
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ネタバレ

 犯人はゾイです。ゾイはミドルトン夫人に変装しており、ゾイとミドルトン夫人は同一人物でした。被害者を撃ったのはゾイで、ミドルトン夫人が消えたのは、ゾイが変装するのをやめたからです。自転車を盗んだ不審者もゾイです。

 ゾイがメモでメイドに指示を出していたのは、ミドルトン夫人に変装している時は指示を出すことができないためです。屋敷で通報しなかった理由は、銃撃で具合が悪くなったゾイを看病するためということでしたが、実際は、変装をとく時間を稼ぐ口実でした。また、ミドルトン夫人がライチョウを取りに行かなかったのは、不審者に変装していたためです。

トリック

 1人の人物が3人の人物を演じていました。ひとり三役です。三役演じたことにより、事件発生時、犯行現場には四人の人物がいるようにみえていました。被害者、ゾイ、家政婦、そして、不審人物です。家政婦も不審人物もゾイだったため、結局は被害者とゾイ、すなわち犯人しかいなかったことになります。

 ロジャーは最初、借金返済の相談を隠していました。理由は、借金を妻に知られたくなかったからです。一度、疑わせておいて、その後無実となり、容疑者から完全に外れるというトリックに似ていますが、ロジャーの場合は、本当に知られたくなくて隠していたようです。借金の相談というのも、本当だったと思われます。

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原作とドラマの違い

「猟人荘の怪事件(原題: The Mystery of Hunter’s Lodge)」は短編集『ポアロ登場』に収録されています。ポアロがインフルエンザで療養中のため、ヘイスティングスが代わりに捜査を行うという珍しい設定が特徴の一作です。原作からの主な変更点は以下の通りです。

  • 登場人物の追加
    原作には登場しないアーチー・ヘイヴァリング(ペイスの甥)やジャック・ストッダード(ペイスの腹違いの弟で猟場の番人)などが追加され、ペイスに恨みを持つ人物が多く登場します
  • 偽装工作の複雑化
    原作ではゾーイの証言のみだった「髭の男」が、ドラマでは実際に第三者に目撃されるよう仕組まれています。その際、ゾーイが駅員の自転車を盗むエピソードが追加されました
  • ポワロの行動
    原作ではポワロはほぼベッドから動かないのに対し、ドラマでは風邪を引いているにもかかわらず、比較的活発に動き回ります。また、冒頭のライチョウ狩りのシーンや、駅員とのユーモラスなやり取りも追加されています
  • 本物の家政婦の登場
    ドラマでは、本物のミドルトン夫人が登場し、ゾーイによって口止めされていたことが明らかになります
  • 結末の変更
    原作では証拠不十分で夫妻は放免されるのに対し、ドラマではストッダードの飼い犬の活躍により、自転車や変装道具が発見され、ロジャーとゾーイが逮捕されます

感想と考察

被害者は猟の最中に撃たれていました。嫌われ過ぎです。とはいえ、被害者は嫌われていたことに気付いていなかったのかもしれません。もしも、あんな感じで撃たれたら落ち込みそうなものですが、被害者はそんな素振りを一切みせていませんでした。嫌われていると知りながらも、あのように振舞っていたのなら、かなりメンタルの強い人のようです。嫌われ者はメンタルが強いのかもしれません。

 現場に何人もいたようにみせたのは、不審人物の証言をもっともらしくするためだったと考えられます。家政婦しか見ていなければ疑いの余地もありますが、家政婦と夫人が目撃していたのなら信憑性が高まります。二人の証言が一致すれば、不審者が来て被害者を殺害したというのが、真実のようにみえてきます。

 例えば、探偵が、現場に残された匂いを犬に嗅がせて、そこから犯人を突き止めたとします。かなり極端な例になりますが、証拠は犬による臭気選別だけだとします。ミステリーは、だいたい、犯人を突き止めたら終わりですが、それが裁判で証拠として認められるのかも気になるところです。調べたところ、実際に臭気選別が問題になった裁判があり、以下の点が考慮され、証拠能力が認められたようです。

  • 専門的な知識と経験を有する指導手によること
  • 使用した警察犬の臭気選別能力が優れており、選別時において体調等も良好で、その能力がよく保持されていること
  • 臭気の採取および保管の過程、臭気選別の方法に不適切な点のないこと

 警察犬であれば、証拠能力は認められそうです。警察犬を使った捜査も、素人ではなく警察官でないと駄目なようです。うちのエリザベスちゃんは血統付きで、それはそれは有名なブリーダー…と主張しても、きっと、証拠能力は認められないでしょう。

事故死

流れ弾に当たって死にました、というふうに偽装する計画殺人もありえたかもしれません。猟の最中に、誤って撃ってしまったら殺人になるのでしょうか。日本では「鹿と間違えて撃った」みたいな事件が、実際に発生しているようです。この場合、業務上過失致死罪を問われることになるようです。殺人よりも罪は軽いかもしれませんが、故意ではないということ隠蔽したとしても、結局、重い罪に問われそうです。完全に罪を逃れるならば、向こうがこちらを鹿と間違えて撃ちそうだったので先に撃ったと主張し、正当防衛を成立させるというシナリオが考えられそうです。

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