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安いマンションの事件|徹底解説・あらすじ・ネタバレ・登場人物など【ポワロ17】

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 安いマンションの事件』は立派なマンションの一室が破格の家賃で貸し出されているというミステリーです。この記事では、あらすじとネタバレ、トリック解説、感想・考察などをまとめています。

The Adventure of the Cheap Flat
項目 内容
シーズン 2
エピソード 7
放送日(英国) 1990年2月18日(日)
放送日(日本) 1991年2月5日(火)
出演者 キャスト一覧
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あらすじ

 お手頃過ぎる価格でマンションの一室を借りることができたロビンソン夫妻は、パーティーの最中、事の成り行きをポワロに話します。調査のためスコットランドヤードへと向かったポワロは、ジャップ警部からアメリカ人のスパイの話を聞きます。そのスパイは新型潜水艦の青写真をイタリア大使館へ持ち込もうとしていた。ポワロはマンション関係者の聞き込みにより、以前、問題の部屋をロビンソンなる人物が借りていたことを突き止めます。そして、クラブの歌い手であるアメリカ人エルス・ハートがスパイであると疑います。

事件概要

部屋を借りることができたのは、ジェームス・ロビンソンとその妻のステラ・ロビンソンです。その部屋はずっと借主を求める広告を出しており、ロビンソン夫妻が訪ねる直前にも、部屋を借りようとする人物がいました。しかしこの女性は名乗った途端に、断られたようです。どうやら、その部屋は6カ月ほど前に、ロビンソンという人物が借りているようです。不思議なことに、夫妻とは同じ苗字です。

同じ頃、ジャップ警部はFBIの捜査官と共にアメリカ人スパイの行方を追っていました。スパイの名前はカーラ・ロメロといい、アメリカ海軍省の男性職員を誘惑して潜水艦の設計図を盗み出しています。彼女はイギリスに潜伏中で、設計図を敵国であるイタリアの大使館に持ち込み、売ろうとしていました。このスパイ事件と安いマンションは、何も関連性がないように見えます。

登場人物

  • エルキュール・ポアロ
    私立探偵
  • アーサー・ヘイスティングス
    ポワロの友人
  • フェリシティ・レモン
    ポワロの秘書。几帳面で有能ですが、ドラマ版では原作以上に多才で、本作では変装して潜入捜査を行うなど、重要な役割を担います
  • ジェームス・ジャップ
    スコットランドヤードの主任警部
  • ジェラルド・パーカー
    ヘイスティングスの旧友
  • ジョン・ロビンソン
    モンタギュー・マンションの借り主
  • ステラ・ロビンソン
    ジョンの妻
  • エルシー・ファーガソン
    ステラの友人
  • エルザ・ハート
    コンサート・シンガー、事件の鍵を握る女性。ドラマ版では「カーラ・ロメロ」という別名義も登場
  • ルイジ・ヴァルダルノ
    アメリカ政府の役人(ドラマではアメリカ海軍の男)
  • バート
    ドラマオリジナルのキャラクター。アメリカから派遣されたFBI捜査官で、傲慢で自信過剰な性格。ポワロやジャップ警部を見下す
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ネタバレ

 歌い手のエルス・ハートがカーラ・ロメロで、ロビンソン夫妻に部屋を貸したのもカーラです。カーラは青写真盗難の際、アメリカのマフィアと手を組んでいました。しかしカーラはマフィアを裏切り、青写真をもって英国に逃亡します。このことがきっかけで、彼女はマフィアに命を狙われていました。ロビンソン夫妻に部屋を貸した理由はマフィアの殺し屋にロビンソン夫妻がカーラであると思い込ませるためです。そのため、カーラは、借主として、ロビンソンという名前の人物を探していました。

トリック

 犯人(スパイ)は自分の身代わりを立てようとしていました。それっぽい人物を選ぶため、安い値段でマンションの一室を貸し出し、人を集めていました。この何か裏がありそうな行動が、かえって探偵に違和感を与えてしまったかもしれません。

 そもそも新型潜水艦の青写真が盗まれたのはスパイの色気にアメリカ海軍省の男がメロメロになったためです。女のために重要機密を持ち出した男は青写真を渡した後、始末されます。

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ドラマ版と原作の違い

ドラマ版には、原作にはない要素がいろいろと加わっています。
FBI捜査官バートの登場は、ポワロの知性とジャップ警部の実直さを際立たせる役割を果たし、彼らの人間関係に新たな側面をもたらしています。ミス・レモンの変装や潜入捜査は、彼女のキャラクターに意外な魅力を加えるだけではなく、物語のテンポも良くしています。ポワロが映画館でギャング映画に辟易するシーンや、ヘイスティングスが木目模様について長々と語るシーンなど、随所に散りばめられたコミカルな描写は息抜きを提供しているといえるでしょう。

原作との主な相違点は以下の通りです。

  • 事件のきっかけが、映画を観た帰りにジャップ警部がFBIの来訪を話す場面に変更されています
  • パーカーのパーティーにポワロも参加しています
  • バート捜査官が原作よりも早い段階から登場し、傲慢なキャラクターとして描かれています
  • ポワロとヘイスティングスが序盤にバート捜査官と会う場面が追加されています
  • ポワロがロビンソン夫妻の部屋の鍵に細工をするのは、原作では留守中に行います(ドラマではヘイスティングスが夫妻の注意を引きつけている間にポワロが実行。工具を落とすハプニングも追加)
  • エルザ・ハートの隠れ家が「黒猫」というナイトクラブに変更され、ミス・レモンが雑誌記者を装って潜入し、活躍する場面が追加されています
  • コーザ・ノストラの男(殺し屋)を一度取り逃がす展開が追加され、その男がヘイスティングスのリボルバーを持って「黒猫」に現れるというドラマティックな演出があります
  • 原作では機密書類の売り込み先が日本と目されていましたが、ドラマではイタリアに変更されています
  • ポワロの「教会のネズミのように音を立てないで」という台詞は、英語の慣用句の混同として描かれています

感想と考察

安いには安いなりの理由があるということを、しみじみと、再認識できるエピソードでした。東京都内の風呂・トイレ別アパートがこのお値段!?何か裏があるな、みたいに、現代でも謎を呼びそうな内容にも思えます。安物やチープなサービスを購入して死ぬなんてことは、おそらくないですが、注意したいですね。物語としては、殺人を未然に阻止するという内容も含まれていたように思います。トラップに引っ掛かった海軍省の男はお亡くなりになられましたが、彼以外の死者はでませんでしたので、阻止に成功したといえる気がします。

 命を狙われている人物が自分の身代わりを用意するというのは、なかなかないシチュエーションだと思います。ミステリーでは、誰かが命を狙われているのは当然で、その部分は描かれないことが多いように思います。このようなエピソードが全くないわけではなく、ポワロでも第14話「コーンワルの毒殺事件」にも命が狙われていると訴える女性が登場しています。しかし、この女性は身代わりを立てるようなことはしませんでした。

影武者

 あやうく殺されるところだったロビンソン夫妻は、昔でいう影武者みたいな存在だったと思います。このエピソードの影武者は、自分が影武者であることを知らず、勝手に影武者にされていたようです。一般的に、影武者には、本物の顔がよく知られていない、もしくは、本物と影武者がそっくりであるなどの条件があると思います。

FBI捜査官

典型的なアメリカ人というのは、あんな感じの認識なのでしょうか。FBI捜査官というと、それはもう数多くの作品で描かれていると思いますが、コメディ作品でないのに、あそこまで駄目な感じのキャラクターになっているのは珍しいかもしれません。私が思い浮かべるFBI捜査官はクラリス(羊たちの沈黙)や名探偵コナンに出てくる人達ですが、どの人物も、かっこいい雰囲気です。

flat

原題は「The adventure of the cheap flat」です。このflatはアパートという意味だそうです。集合住宅という意味のアパートをイギリス英語ではflat、アメリカ英語ではapartmentといい、和製英語のマンションは、英語で大きな家(邸宅)という意味であるなどというのは、有名な話だと思います。統一してほしいです。イギリスとアメリカのことはよくわかりませんが、和製英語のマンションは何とかならないでしょうか。ならないか。

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