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戦勝舞踏会事件|徹底解説・あらすじ・ネタバレ・登場人物など【ポワロ29】

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 戦勝舞踏会事件』は仮面舞踏会の最中に死体が発見されるエピソードです。この記事では、あらすじと登場人物、ネタバレ、トリック解説、感想・考察などをまとめています。

The Affair at the Victory Ball
項目 内容
シーズン 3
エピソード 10
放送日(英国) 1991年3月3日(日)
放送日(日本) 1992年7月29日(水)
出演者 キャスト一覧
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あらすじ

 とある舞踏会に参加したポワロとヘイスティングス大尉は会場でクロンショー子爵が殺されるという事件に遭遇する。第一発見者は子爵の友人だったマラビー夫人で、死体は午前零時に食堂で発見された。死体発見直前、マラビーはヘイスティングス大尉と共に仮面をつけた子爵の姿を目撃していた。その後、亡くなった子爵の恋人だったココという女優の死体が自宅で発見される。死因はコカインの過剰摂取だった。ポワロはココにコカインを提供した人物が犯人であると推理し、その姿を追う。

事件概要

子爵は舞踏会で、恋人のココ、おじのユースタス・ベルテン、マラビー夫人、そして、デビッドソン夫妻の5名と行動を共にしていました。死体が発見される直前、被害者は大尉やマラビー夫人にその姿を目撃されています。このとき、被害者は何かをメモ帳に書き込んでいる様子です。この目撃証言に誤りがなければ、この時まで、被害者は生きていたということになります。ただし、仮面舞踏会のため、被害者は仮面を身に付けていました。

死体発見後、ポワロは現場を調べ、いくつかの証拠を掴みます。その一つが、コカインの入った箱です。被害者の子爵は麻薬撲滅協会の会長だったため、コカインというのは、その立場と矛盾するような物証といえます。のちに、このコカインは恋人のココから没収したものだったことが判明します。ココと子爵は会場で口論になっていましたが、この原因がコカインだったということも明らかになります。その他、ローストフトという地名が書かれたメモが見つかり、これは、子爵を受け継いだ蒐集家のユースタスを示す証拠であることがわかります。また、被害者の手には仮装衣装のポンポン(衣装の飾り)が握られており、このポンポンを身に付けていたのはデビッドソン夫妻だけでした。ポワロが調べたところ、デビッドソン夫人が着ていた衣装のポンポンは、どこかに消えてしまっているようです。ただし、それはハサミで切り取られたような痕跡が残っていました。

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登場人物

登場人物名 説明
エルキュール・ポアロ 私立探偵
アーサー・ヘイスティングス ポアロの友人であり、陸軍大尉
ジェームス・ジャップ スコットランドヤードの主任警部
ミス・レモン ポワロの秘書
クロンショー卿
(アルレッキーノ)
クロンショー家の五代目当主である子爵
舞踏会ではアルレッキーノの仮装をしていた
ココ・コートニー
(コロンビーナ)
クロンショー卿の婚約者で女優
舞踏会ではコロンビーナの仮装をしていた
ユースタス・ベルテイン
(パンチネロ)
クロンショー卿の伯父で、マイセン焼きのコレクター
舞踏会ではパンチネロの仮装をしていた
ミセス・マラビー
(プルチネッラ)
アメリカの未亡人
舞踏会ではプルチネッラの仮装をしていた
クリス・デビッドソン
(ピエロ)
若い俳優でココの俳優仲間
舞踏会ではピエロの仮装をしていた
デイビッドソン夫人
(ピエレット)
クリスの妻
舞踏会ではピエレットの仮装をしていた
ジェームズ・アカリー BBCのプロデューサー
ヘイスティングスの友人
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ネタバレ

犯人はデビッドソンです。彼はココにコカインを提供していました。このことを隠すため、デビッドソンは子爵を殺害しました。そして、ココの死因はコカイン中毒に間違いありません。ココが持っていたコカインは子爵が没収したはずでしたが、デビッドソンがココを自宅に送りとどけた時、新たなコカインを渡していました。

ココを送ったデビッドソンは舞踏会に戻る時間はなかったので自宅に帰ったとポワロに話しています。しかし、本当は、会場に戻り子爵になりすましていました。つまり、大尉らが目撃した被害者はデビッドソンの変装した姿でした。このときには、既に子爵は殺されており、カーテンの後ろのスペースに死体が隠されていました。

被害者が握っていたポンポンはデビッドソンのものです。妻であるデビッドソン夫人のポンポンがなくなっていたのは、デビッドソンが妻に罪を着せようとしていたためです。夫はハサミで妻のポンポンを切り取っていました。

ローストフトというメモは被害者の死体が発見される直前に書かれたものであると推測されますが、このメモは、犯人がユースタスに罪をなすりつけるために残した罠でした。莫大な遺産を引き継いだために、容疑者の一人となっていたユースタスですが、事件には一切関係していませんでした。

トリック

 仮面を身に付けた人物が入れ替わっているというトリックでした。このエピソードの場合、犯人が被害者のふりをすることで、被害者が生きているようにみせていました。実際には、それよりも前に被害者は殺されており、死体はカーテンの後ろに隠されていました。犯人は被害者に変装した状態であえて目撃され、その上で、第一発見者となる人物を死体のある場所まで呼び寄せ、死体を発見させました。

 犯人は死体発見前後、舞踏会の会場にはいなかったと証言しています。死体が見つかる直前に被害者の生きている姿が目撃されているため、犯人が本当に会場にいなかったのであれば、完璧なアリバイが成立します。しかし、実際、証言は嘘で、犯人は会場にいました。

ドラマと原作の違い

原作はアガサ・クリスティーの短編小説『戦勝舞踏会事件』で、短編集『教会で死んだ男』に収録されています。デヴィッド・スーシェ主演のドラマ版では、原作に忠実ながらもいくつかの変更点があります。

  • ポワロとヘイスティングスが舞踏会に実際に参加しており、事件発生時にその場に居合わせます
  • ポワロは事件解決後、ラジオ番組に出演し、公開で謎解きを行います。この際、彼のフランス語訛りの英語が聴取者から苦情の電話を浴びるというユーモラスな場面が描かれます
  • ヘイスティングスは「怪傑紅はこべ」の仮装をしており、ポワロにダンスの名人として持ち上げられ、マラビー夫人と踊る場面があります
  • クリス・デイビッドソンが左利きであるという要素はドラマオリジナルの設定です

感想と考察

前話「盗まれたロイヤル・ルビー」も登場人物が多かったですが、このエピソードも登場人物が多いです。登場人物が多いだけではなく、それぞれが仮面をつけていて、より一層誰が誰だかわからなくなっていた気がします。

 死体が見つかる前や、見つかった後に、犯人の姿が目撃されてしまうとアリバイは成立しません。現場は、舞踏会の会場でかなりの人がその場にいました。死体が見つかる前は、被害者に仮装した状態で出入りすれば、誰にも気づかれることはないように思います。被害者は既に死んでいるため、同じ人物が二人いるという状況にもなりません。しかしながら、死体発見後は不自然です。被害者らしき人物がいる状況も、犯人自身がいる状況も、許容されません。おそらく、犯人は死体発見の混乱に乗じてうまく脱出したのだと思います。

余談

マスクウーマンでもいいのですが、マスクをしている人(架空の人物を含む)で有名なのは、やはり犬神家のスケキヨさんだと思っています。スケキヨのマスクは若干ほしい。仮装アイテムとして売っていることもあるようです。

 顔がわからないというシチュエーションは、ミステリーにお馴染みだと思います。金田一耕助の「犬神家の一族」、金田一少年の事件簿「飛騨からくり屋敷殺人事件」、火村英生の推理では「異形の客」などなど、私ごときが知っているだけでも、結構な作品があります。金田一系に多いかもしれません。そういえば、東野圭吾氏原作で映画化された「マスカレード・ナイト」も仮面が登場していました。

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