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名探偵ポワロ

ヘラクレスの難業|ポワロ69【あらすじ・ネタバレ解説・相関図】

3.5
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ヘラクレスの難業」のあらすじと登場人物の相関図、真相、トリック考察、感想などをまとめています。マラスコーという凶悪犯が登場するエピソードです。

The Labours of Hercules
項目 内容
シーズン 13
エピソード 4
長さ 1時間29分
放送日(英国) 2013年11月6日(水)
放送日(日本) 2014年9月29日(月)
出演者 キャスト一覧(imdb)
キャスト一覧(allcinema)
原作者 アガサ・クリスティー
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あらすじ

ポワロは凶悪犯マラスコーの逮捕に失敗し、狙われていたネックレスと絵画が盗まれた上、捜査に協力していた女性を死なせてしまう。大失態のポワロは、その後、カウンセリングを受けることになる。医者の帰り道、ポワロは運転手の失恋話に耳を傾ける。運転手のテッドはメイドのニータと恋に落ちたのだが、雇い主であるサムシェンカにニータをスイスへと連れていかれてしまった。そんな話を聞いたポワロはニータを取り戻すべく、スイスのロシュネージュへと向かう。
サムシェンカが滞在するオリンポスホテルへと向かうため、ポワロが待合室でケーブルカーを待っていると、変装したレメントイ警視が近寄ってくる。警視によれば、オリンポスホテルにはマラスコーの盗品が隠されており、既に、ドゥルエ警部が潜入しているとのことだった。

相関図

冒頭に登場したマラスコーの事件はオリンポスホテルでの一件の背景となっています。マラスコーに殺されてしまったルシンダや、失恋中のテッド、ハロルド・ウェアリングに何かを依頼したモーガンは、その後、ほとんど登場しません。

ヘラクレスの難業の登場人物相関図

主な登場人物はオリンポスホテルの宿泊客と従業員で、目立った相関はありません。凶悪犯マラスコーは正体はわかりませんが、ホテルに潜伏しているようです。テッドが恋に落ちたニータは姿がみえず、妻であるエルシーに暴力をふるっている様子の夫も、後ろ姿くらいしか登場しません。

事件概要

雪崩によってケーブルカーのトンネルがふさがれてしまい、オリンポスホテルは孤立してしまいます。凶悪犯のマラスコーがいるかもしれないホテルに閉じ込められるという状況ですので、クローズド・サークルといえます。しかし、謎解きメインのミステリーというよりは、サスペンスのような雰囲気になっています。

マラスコーがホテルで何かをしたかというとそうではなく、盗品が隠されているだけです。そもそもマラスコーがいるかどうかもわからないわけですが、怪しげな人物がたくさんいます。まず、DV被害にあっていそうなエルシーとその母親です。夫はほとんど姿を現しません。エルシーを気にかけているのが、ハロルド・ウェアリングという男性で、この男性は、サー・アンソニー・モーガンという外務大臣に何かを命じられていました。

エルシーとモーガンが話している最中に、空気を読まず、ボッティチェリをやろうと言い出したのがシュワルツで、この人物も謎めいています。のちに、保険調査員だとポワロに伝えますが、それ以上のことは何もわかりません。

ポワロの目的であるニータはホテルにはいないようです。主だったサムシェンカはニータについて適当なことを言っており、信頼できません。また、サムシェンカの主治医であるルッツも、うさんくさいです。うさんくささでは、ホテルの支配人であるフランチェスコも負けておらず、金を積めば何でもやりそうな人です。従業員のグスタフは頼りなさそうな人物ですが、実は、潜入しているドゥルエ警部らしいです。

ロサコフ伯爵夫人は「二重の手がかり」にも登場した人物です。ポワロの友人ですが、訳ありの人です。そんな伯爵夫人の娘であるアリス・カニンガムは、伯爵夫人の娘とはいえ、まともな人物にみえます。なお、父親はポワロではなく別の男性です。どんな男性であるかは語られません。

ロサコフ伯爵夫人は簡単にいうとドロボーです。ポワロは伯爵夫人の罪に目をつむり、逃がしたという過去があります。

怪しげな人物が集まるホテルには謎めいた人物が滞在し、さらに、いくつかの事件も発生します。それら整理すると次のようになります。

  • ホテルがマラスコーの隠れ家になっており、捜査官が潜入している
  • サムシェンカのメイドだったニータの行方がわからない
  • モーガン大臣の命によりハロルドはホテルに滞在している
  • DV被害を受けているらしい女性が夫を殺してしまいハロルドに助けを求める
  • ライスのブローチが紛失する
  • アリスが何者かに襲われる

DV夫の殺害についてはポワロの謎解きよりも前に真相が明かされますが、それ以外は、最後まで謎のままとなります。

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ネタバレ

マラスコーの正体はアリス・カニンガムです。ルシンダを殺害して、宝石や絵画を奪ったのもアリスということになります。アリスが襲われたというのは嘘で、自作自演でした。犬が吠えなかったというのが、そのことを示しています。アリスはルシンダの指を噛む癖をポワロの前でやってみせ、ポワロを精神的に追い込んでいました。また、手帳に書いたのはルッツの名前で、アリスは共犯者であるルッツを切り捨てようとしていました。

ルッツ医師はアリスの共犯者で、実は、ホテル従業員のグスタフもアリスの手下です。グスタフはドゥルエ警部ではありません。ポワロにドゥルエ警部と間違われたため、そのまま、警部になりすましていただけです。本物の警部は保険調査員と名乗っていたシュワルツです。シュワルツはグスタフに襲われたポワロを助け出しています。

グスタフは自分がマラスコーであるかのように叫んで死亡しますが、マラスコーにそう仕向けられただけです。そして、グスタフがもともとホテルの従業員だったのかというとそうではなく、ある従業員を殺して、従業員になりすましています。殺されてしまった従業員はシュワルツが見つけ出しています。従業員が別人になったら支配人が気付くはずですが、支配人は買収されていたため、何も言いませんでした。

殺人

エルシーの夫が死んだようにみえましたが、実は、夫はホテルにはいません。ライスが夫のふりをしていただけです。ポワロは、夫らしき人物が着ていたガウンが左前になっていたため、ライスの変装に気付いています。

エルシーとライスのねらいは、ハロルドを巻き込んで金をだまし取ることにありました。ちなみに、エルシーとライスは親子ではなく、姉妹です。この姉妹も犯罪者で、コペンハーゲンで男性から金をだまし取っていました。

ハロルド・ウェアリングは被害者のようにみえますが、殺人騒動の後、エルシーとライスがホテルから逃亡したようにみせます。しかし、ポワロに部屋にかくまっていることを見破られてしまいます。なお、ハロルドが隠し子騒動から逃れるために、ホテルに滞在していたというのは事実ではありません。隠し子が発覚したのは冒頭に登場した大臣の方です。つまり、ハロルドは大臣の身代わりになっただけでした。

メイド

テッドが恋をしたニータは、ホテルにいないようでしたが、実はサムシェンカこそがニータでした。身分の違う恋に悩み、テッドとは別れたようです。枕の下に隠したのは変装につかったウィッグです。病気というよりも、ルッツによって薬漬けにされ、体調が悪くなっていました。

ルッツはサムシェンカを監視していました。サムシェンカはアリス(マラスコー)に盗んだネックレスを預けられていました。

殺人と失踪

ハティ(偽者)はマーリーンを殺害後、ハイカーに変装して、逃亡しています。ポワロと自動車に同乗したハイカーの女性やスタッブス卿に怒鳴られていたハイカーは、実はハティでした。

パビリオンでポワロが発見したバックルはハティのもので、パビリオンは着替えの場所になっていました。死体発見場所が当初はパビリオンだったのに、ボート小屋に変更になったのは、変装のためだったということになります。また、コミックに書き込まれた落書きが「見よハイカーのザックを」に変更されたのは、ハイカーというのが、トリックそのものだったためです。

エティエンヌ・ド・スーザのポケットに指輪を仕込んだのは、ジョージ・スタッブス卿です。ハティが人殺しと騒いでいたのも、ド・スーザに罪をなすりつけるための嘘でした。

盗難

盗難は、やっぱり、ロサコフ伯爵夫人の仕業です。ライスには相応しくないブローチだったということを言っていますが、やっていることはただの泥棒です。伯爵夫人はポワロに昔の自分のようにアリスを見逃すよう頼みますが、ポワロはこれを断っています。

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トリック考察

 被害者になって容疑者から外れるというトリックが登場しています。ミステリーではお馴染みのトリックですが、バールストン先攻法(バールストン・ギャンビット)という名前がついています。意味は“真犯人である人物を、既に死んでしまったかのように見せかけ、読者が犯人を容疑者から外すよう仕向ける手法”です。負傷して被害者になる場合も含まれると考えられます。ちなみにですが、ギャンビットはチェス用語の一つで、駒をわざと取らせる戦術です。

 犯人自ら被害者であるかのように振舞っていましたが、犬が吠えなかったため、不審な点を残してしまいます。いつもは盛大に吠える犬が吠えなかった、というのは他のミステリー作品にも登場しています。

原作

原作は1947年に刊行された短編小説集「ヘラクレスの冒険」です。この作品は短編集となっており、ドラマ化にあたって、エピソードがまとめられています。短編から省略されている内容や改変も多々あります。原作小説に関しては、「Xの悲劇」などの著作で有名なエラリー・クイーン氏が紹介文を書いています。

アガサ・クリスティの、エルキュール・ポワロ短編シリーズ最新作が(※当時は最新作でした)、その独創性と特異性で読者を魅了してやまない秘密のひとつはそこになる。数学の法則に逆らって、テーマに、個々のエピソードのトータルを上回る統一性が見られるのだ。
(中略)
それぞれのエピソードは古代ヘラクレスの武勇談をベースとしながら、ストーリーは現代の探偵小説の形にすっかり置き換えられている。
(中略)
もし、もう一度初めから神話を勉強しなおしたいと思ったら、このアガサ・クリスティの卓越した発想による『ヘラクレスの冒険』をぜひお勧めする。
エラリー・クイーン , 編集者のノートから – ミステリの美学収録 , 訳者;松井百合子

みんなの感想

 原作小説のレビューをご紹介します。

ギリシャ神話のヘラクレスの12の難業になぞらえたポアロの短編集。神話を知っていればもっと楽しめるだろうけど、知らなくても十分楽しめる。

そもそも短編なのでさくさく読めますが、ポアロものの短編の中でもかなり読みやすいと思いました。

12話あるが、かなり短いので負担なく読める。内容も短いとはいえ、しっかり面白かった。

話ごとに事件の性質に変化があるから飽きません。ロサコフ伯爵夫人の登場もうれしかった。

ドラマ版は短編の合体と聞いていたが、元になった物語を読んでみると、単純なつなぎ合わせではなく、よく練られたストーリーだったと感じた。ドラマはドラマで面白いと思うが、原作も面白い。

感想

あの伯爵夫人が登場し、その娘が真犯人でした。蛙の子は蛙というやつですが、ヘイスティングスやジャップ警部のような立場かと思っていたので、正直、アリスがマラスコーだとは思わなかったです。今回のエピソードは、今までの名探偵ポワロとは違った印象で、展開や結末の意外性などは、「ミステリと言う勿れ」に似ている気がします。

まとめ

 名探偵ポワロ「ヘラクレスの難業」について、あらすじ、真相、トリック考察および解説、感想・雑談をご紹介しました。最後に、登場人物、ロケ地についてご紹介します。

登場人物

事件関係者は以下の通りです。

名前 説明 解説
アリス・カニンガム
Alice Cunningham
犯人 ロサコフ伯爵の娘。父親はポワロではない
その正体はマラスコー
ロサコフ伯爵夫人
Countess Rossakoff
犯人 ブローチを盗み出した犯人
ポワロにアリスを見逃すよう頼むが断られる
カタリーナ・サムシェンカ
Katrina
宿泊客 テッドが探していたニータはサムシェンカの変装
事件後、噴水の公園でテッドと再会する

ロケ地

オリンポスホテルの外観はHalton House(ハルトン・ハウス)というカントリーハウスです。雪山などの風景は合成となっています。テッドとポワロが会話をした噴水のある公園はSyon House(サイオン・ハウス)という場所です。

拡大地図を表示することで、外観を確認できます。

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