「第三の女」のあらすじとネタバレ、トリック考察、感想です。人殺したかもしれないと不安げな若い女性がポワロを訪ねてきますが、何も語らずにその場を立ち去ってしまいます。
項目 | 内容 |
---|---|
シーズン | 11 |
エピソード | 3 |
長さ | 1時間33分 |
放送日(英国) | 2008年9月28日(日) |
放送日(日本) | 2010年9月15日(水) |
出演者 | キャスト一覧 |
原作者 | アガサ・クリスティー |
あらすじ
ポワロの事務所にノーマ・レスタリックという若い女性が現れ、人を殺したかもしれない、と話す。しかし、詳しいことは語らずに、その場を去ってしまう。ノーマは推理作家のオリヴァ夫人からポワロを知り、相談にやって来たらしく、ポワロは、詳細を知るため、オリヴァを訪ねる。どうやら、ノーマはサード・ガールと呼ばれているらしく、ファースト・ガールのクローディアとセカンド・ガールのフランシスとルームシェアをしていた。ポワロとオリヴァがそんな話をしていると、マンションに警官達が姿を現す。マンションの一室で死体がみつかったらしい。死んだのはラビニア・シーグラムという高年の女性で、シーグラムはノーマの乳母だった…。
相関図
主な登場人物はポワロとオリヴァ夫人を除いて9人です。なお、アンドリューとロデリック卿も親戚となります。また、アンドリューは使用人だったシーグラムとも面識があります。
事件概要
ノーマは、乳母だったシーグラムを殺したかもしれないと思っています。ただし、間違いなく殺したとは言い切れず、どちらかといえば殺したかもしれない、という確信のない証言になっています。ノーマには、自分の部屋の引き出しにナイフがあったことや、シーグラムのそばでナイフを持って立っていたなどの記憶があるようですが、殺したかどうかは、やはり、はっきりとしません。
登場人物としては、ノーマのルームメイト以外に、ノーマの恋人と父親、そして、大伯父が登場します。恋人の名前はデビッド・ベイカーで、大伯父の屋敷で「ノーマの父親なんて見たこともない!」と発言した青年です。彼はパーティの時に、第二の女であるフランシス・キャリーと密着しながらダンスをしていたりします。
ノーマの父親はアンドリュー・レスタリックという名前です。この父親はノーマが5歳だったときにノーマ達を捨ててどこかへ姿を消していますが、1年ほど前に戻ってきています。一方、ノーマの母親は、父親が行方を暗ましたあとに自殺しています。
ノーマの大伯父はロデリック・ホースフィールドで、10年ほど前から視力を失っているという人物です。このお爺さんには、若いソニア・ベンソンという秘書が付き添っています。
もうひとり重要人物となるのが、A・J・バタスビーという人物で、これはポワロが写真の裏で見かけた名前です。このA・J・バタスビーというのは、ノーマの家庭教師をしていた女性で、とある事情により家庭教師を辞めたあと、2年ほど経ってから、学園を創立しています。なお、事件とはほとんど関係ありませんが、ロデリック・ホースフィールドとヒ素のソニア・ベンソンは結婚します。
警察はシーグラムが自殺したと考えているようですが、他殺を疑うポワロは、オリヴァと共に独自に捜査を進めます。そして、オリヴァが死んだシーグラムの部屋で手紙を見つけ出しますが、オリヴァが襲われてしまい、手紙も奪われてしまいます。
その後、様々なことが明らかになりますが、特に重要そうなのは、ノーマが自殺した母親の財産を相続しているため、かなりのお金持ちだという事実です。実は、ロデリック卿と秘書が住んでいるあの屋敷もノーマのものです。大金持ちのノーマがもしも亡くなった場合、結婚していれば財産は配偶者に、結婚していない場合は、父親に相続されます。そして、屋敷だけは、管理人である大伯父が相続します。
命を狙われそうなノーマですが、彼女は殺されません。しかし、もしもシーグラムを殺していれば、絞首刑は間違いないため、事実上、死んだに等しい状況といえます。
その他、物語の途中で明らかになる事実は、以下の通りです。いずれもシーグラム殺害に関係しています。
- シーグラムは窒息死だった
- ノーマの父親の肖像画がない
- デビッドが、ポワロよりも一足先にロデリック卿と会い、ノーマの父親の写真を手に入れている
- アンドリューの会社は休眠状態
- 死んだシーグラムは6ヶ月ほど前から頻繁にお酒を飲んでいた飲むようになった
- シーグラムはアンドリューに手紙を出していたし、アンドリューがシーグラムを訪ねることもあった
- ノーマはアイスが苦手(アイスをねだって帰りが遅くなったその日に母親が自殺した)
- クローディアが警察にノーマの“人を殺したかもしれない”という話を告げ口した
ネタバレ
犯人はフランシス・キャリーとアンドリュー・レスタリックです。セカンド・ガールのフランシスはノーマの異母妹、アンドリュー・レスタリックは本物のノーマの父ではなく、偽者でした。
アンドリュー・レスタリックになりすましていたのは、ロバート・オーウェンという男で、アンドリューの親友でした。なお、本物は既に死亡してます。
そして、フランシス・キャリーの母親は、元家庭教師のA・J・バタスビーでした。つまり、フランシスは、本物の父親であるアンドリューとA・J・バタスビーの不倫によって生まれた子供ということになります。
偽アンドリューのロバートは、アンドリューが死んだ後、アンドリューの会社を乗っ取ろうと考え、アンドリューに成りすましました。偽物であることに気付くであろうシーグラムを酒で買収し、味方に引き込みます。ところが、手に入れた会社はほとんど休眠状態で、全く価値のないものでした。
そんな状況で、フランシス・キャリーが登場します。フランシスの母親であるA・J・バタスビーは、帰ってきたアンドリュー、つまり、偽アンドリューと会い、偽者であることに気付いていました。このことをA・J・バタスビーは娘のフランシスだけに話していました。
アンドリューが偽者であることを知っていたフランシスは、正妻の子供であるノーマに復讐するため、偽アンドリュー(ロバート・オーウェン)に共犯を持ち掛け、ノーマにシーグラム殺害の罪を着せて抹殺する計画を立てます。
手口
偽アンドリュー(ロバート)が、まず、ノーマとフランシスがルームメイトになるように手配します。そして、フランシスが、ノーマに悟られないようにしつつ、ノーマが苦手なアイスをパーティでみせたり、恋人のデビッドといちゃつく姿をみせたりして、ノーマを精神的に弱らせます。
ノーマに殺人を印象付けるために、同じ2本のナイフのうち、1本はノーマの引き出しに入れ、もう1本は、窒息死した乳母の死体の近くに置きました。ノーマは自分の部屋でナイフを握り、死体の近くでもナイフを持っていたので、自分が殺人者であると思いこんでしまいます。
手紙
オリヴァ夫人を襲って手紙を奪ったのはアンドリューです。手紙には、アンドリューが偽者であることが書かれていました。シーグラムも偽アンドリューに加担していましたが、ノーマの殺害には賛同できず、告発のために手紙を残していました。
オリヴァが手紙を見つけたとき部屋にいたのはフランシスで、彼女が偽アンドリューに連絡し、オリヴァを襲わせました。偽アンドリューが、オリヴァの居場所を知ることができたのは、カフェでのポワロとウェイトレスの電話を盗み聞きしていたからです。
トリック考察
被相続人を殺害するのではなく、殺人犯に仕立て上げて抹殺するというトリックが登場していました。被相続人を直接殺すわけではないため、動機が分かりづらくなりそうです。
犯人に仕立て上げる方法は、精神的に弱らせた状態で凶器らしきものを身近な場所および犯行現場に置いておくというトリックでした。
原作
原作は第57作目の長編小説「第三の女」ですが、ドラマ化にあたって大幅に変更されています。原作では死亡する人物が死ななかったり、帰ってきたアンドリューは再婚していてノーマには継母がいたり、犯人達には違った陰謀があったり…、と様々な違いがあります。やや細かな部分では、原作にはミス・レモンが登場しますが、ドラマには登場しません。その他、精神科医などの人物が省略されており、登場する刑事も、ドラマはネルソン警部でしたが、原作小説はニール警部となっています。
みんなの感想
原作小説のレビューをご紹介します。
本作は、死体無き殺人という題材を扱っており、前半は死体なき殺人の捜査となる。殺人を仄めかした女性の言葉は真実か?という発端が面白い。
殺人疑惑はあるものの、なかなかはっきりとした殺人が起こらない。物語のテンポが遅く感じたし、間延びした印象もあったので、読み進めるのに少し力が必要だった。犯人とトリックも、何と言っていいか、ややアクロバティックに思う。
この時代ルームシェアがあったのは斬新であった。
表紙はこれ孔雀なのかな?
ストーリーと関係ないけれど、ビートルズが好きな私は、会話の中にその名前が出てきたことに反応してしまいました。
感想
サード・ガールってなんだか嫌な感じの響きですね。第三夫人みたいな印象です。それにしても、マンションであんなパーティーをやったら、苦情だらけになりそうですが、それが若さというものかもしれません(アメリカばりの広い一戸建てじゃないと無理そう)。
まとめ
名探偵ポワロ「第三の女」について、あらすじ、真相、トリック考察および解説、感想・雑談をご紹介しました。最後に、登場人物とロケ地についてご紹介します。
登場人物
事件関係者は以下の通りです。
名前 | 説明 | 解説 |
---|---|---|
ノーマ・レスタリック Norma Restarick |
サード・ガール | 人を殺したかもしれないと話すが実際にはやっていない 犯人達に殺人の罪をきせられようとしていた |
フランシス・キャリー Frances Cary |
セカンド・ガール 犯人 |
ノーマの腹違いの妹 正妻の娘であるノーマに殺人の罪をきせ抹殺しようとしていた |
アンドリュー・レスタリック Andrew Restarick |
ノーマの父 犯人 |
フランシスの共犯者で実は偽アンドリュー 会社を奪ったが金にならなかったためノーマ抹殺を企てる |
ロケ地
ドラマに登場した喫茶店(オリヴァがノーマを尾行しているときに立ち寄ったお店)はエドガー・ウォーレス・パブと呼ばれているようです。エドガー・ウォーレスはキングコングの脚本家などで有名な作家です。
コメント