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魔術の殺人|あらすじ・ネタバレ解説【ミス・マープル15】

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魔術の殺人』のあらすじと真相、原作小説との違い、考察、感想などをまとめています。ドラマ版ミス・マープルシリーズの第15話(S4E3)です。火災を機に、マープルが旧友の屋敷を訪ね、その屋敷でお芝居の練習中にある騒動が起きます。

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あらすじ

 ミス・マープルの旧友であるキャリー・ルイーズ・セロコールドの自宅で火災が起きる。キャリーの妹であるルース・ヴァン・ライドックは姉を案じ、マープルに調査を依頼。快く引き受けたマープルは詳しい事情を伝えずに、キャリーやその夫達が暮らすストーニーゲートを訪ねる。

 ストーニーゲートには更生施設が併設されており、そこでは多くの罪を犯した男性が暮らしていた。ある夜、施設で披露する芝居の練習中に、秘書のエドガー・ローソンが拳銃を持って暴れるという騒動が起きる。騒動による死者は出なかったが、キャリー・ルイーズの義理の息子であるクリスチャン・グルブランドセンの死体が屋敷で発見される。

登場人物とキャスト

主な登場人物とキャストをまとめます。

名前 キャスト 説明
ミス・マープル
Miss Marple
ジュリア・マッケンジー
Julia McKenzie
老婦人の名探偵
ルースとキャリー・ルイーズの友人
ルース・ヴァン・ライドック
Ruth Van Rydock
ジョーン・コリンズ
Joan Collins
マープルの友人
マープルに調査を依頼する
キャリー・ルイーズ・セロコールド
Carrie Louise Serrocold
ペネロープ・ウィルトン
Penelope Wilton
マープルの友人でルースの姉
3度結婚している
ルイス・セロコールド
Lewis Serrocold
ブライアン・コックス
Brian Cox
キャリー・ルイーズの現在の夫
慈善活動に熱心
ジーナ・ハッド
Gina Hudd
エマ・グリフィス・マリン
Emma Griffiths Malin
キャリー・ルイーズの養子
知的障害を持つレナードという弟がいた
ウォルター・ハッド
Walter Hudd
エリオット・コーワン
Elliot Cowan
ジーナの夫
ウォリーとも呼ばれる
ミルドレッド
Mildred
サラ・スマート
Sarah Smart
キャリー・ルイーズの実の娘
クリスチャン・グルブランドセン
Christian Gulbrandsen
ナイジェル・テリー
Nigel Terry
被害者
キャリー・ルイーズの最初の夫の連れ子
ジョニー・リスタリック
Johnny Restarick
イアン・オギルビー
Ian Ogilvy
キャリー・ルイーズの二番目の夫
スティーブン・リスタリック
Stephen Restarick
リアム・ギャリガン
Liam Garrigan
ジョニーの息子
ジーナに好意を抱いている
エドガー・ローソン
Edgar Lawson
トム・ペイン
Tom Payne
ルイスの秘書。精神病を患っている
男性を“父親”と呼ぶ虚言癖がある
ジョリー・ベルエバー
Jolly Bellever
マキシン・ピーク
Maxine Peake
メイド
ウィスタブル・アーネスト
Whitstable Ernest
ジョーダン・ロング
Jordan Long
受刑者
マーヴェリック
Dr Maverick
アレクセイ・セイル
Alexei Sayle
精神科医
カリー
Inspector Curry
アレックス・ジェニングス
Alex Jennings
警部
レイク
Sergeant Lake
ショーン・ヒューズ
Sean Hughes
刑事
カリー警部の部下

事件概要

キャリー・ルイーズ・セロコールドやルイス・セロコールドが暮らす屋敷でぼや騒ぎが起き、六週間後に殺人事件も発生します。殺されたのは、キャリー・ルイーズの義理の息子であるクリスチャン・グルブランドセンでした(クリスチャンはキャリー・ルイーズの最初の夫の連れ子で、歳はほとんど離れていません)。

クリスチャンが殺された時、マープルを含む関係者は全員、芝居の練習のため、屋敷の居間に集まっていました。しかし、停電が発生し、居間で秘書のエドガー・ローソンが拳銃片手にルイスを脅し始めます。

暗闇とはいえ、誰かが居間を出てクリスチャンを殺したとは考えにくい状況でしたが、居間には廊下へ通ずる隠し通路があり、居間にいた全員が容疑者となります。さらに、受刑者のアーネストが施設の鍵を所持していたことも判明し、容疑者はさらに増えることになります。

クリスチャン殺害後、キャリー・ルイーズの毒殺未遂が発覚し、受刑者アーネストの毒殺未遂も発生。二番目の夫であるジョニー・リスタリックは殺されてしまいます。ジョニーは口封じのために殺されたようですが、何を知ったのかまでは明らかになりません。

動機については、キャリー・ルイーズの遺産が絡んでいると推測されます。ぼやで遺言書が燃え、これをきかっけに遺言が書き換えられただけでなく、実際、キャリー・ルイーズが服用していた薬からヒ素が検出されています。遺産とは関係のなさそうなクリスチャンですが、彼は毒殺犯を告発するような手紙を書き残していました。

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ネタバレ

犯人はルイス・セロコールドで、エドガー・ローソンは共犯者でした。ローソンに銃を向けられていたはずのルイスでしたが、実際、その場にいたのはローソンだけでした。ルイスはローソンが一人二役を演じている間に、居間から外を回ってクリチャンのもとへと向かっていました。

動機はグルブランドセン信託の横領が発覚したためです。ルイスは更生施設を維持するため、管財人という立場を利用し金を使い込んでいました。このことに管財人のクリスチャンが気付いてしまったため、ルイスはボヤ騒ぎを起こして会計報告書を燃やしました。しかし、これだけでは時間稼ぎにしかならず、最終的にクリスチャンを殺すことになります。

ボヤ騒ぎの実行犯は受刑者のアーネストで、ルイスは詐欺などの犯罪歴があったアーネストに酒などを渡し、横領の手伝いをさせていました。アーネストに毒を盛ったのはルイスですが、殺害ではなく、容疑者から遠ざけることが目的でした。

なお、ジョニー・リスタリック殺害の実行犯はローソンです。ジョニーは事件発生時に耳にした足音などから、ルイスが犯人であることに気付いており、キャリー・ルイーズの爪を切ろうとしたのは、ヒ素が含まれるかどうかを調べるためでした。

その他に隠されていた真実は以下の通りです。

  • ジーナは殺人を犯して処刑された女性の娘だった。それを知った上でキャリー・ルイーズはジーナを養子に迎えていたが、ジーナ本人には何も知らせていなかった
  • ジーナは新聞記事で母親の正体を知ってしまう。新聞をジーナの部屋に置いたのはミルドレッド
  • ミルドレッドは母親から愛されていないと感じていた。母親であるキャリー・ルイーズは養子にこそ十分な愛が必要だと考えていた
  • メイドのジョリー・ベルエバーはジョニー・リスタリックにそそのかされて、屋敷の門の鍵を開けていた
  • ジョニー・リスタリックはキャリー・ルイーズと寄りを戻すため、ジョリーに近づいていた

結末

マープルが事件の真相を明かし、さらに、ルイスとエドガー・ローソンの関係も明らかにします。ルイスとエドガーは実は親子でした。マープルが真相を語り切った直後、エドガーは湖へと入り、後を追った父親のルイスと共に亡くなります。

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原作とドラマの違い

原作小説とドラマは、事件の概要やトリックといった点において、概ね同じ内容になっています。しかしながら、キャラクター設定などに違いがいくつかあり、ドラマオリジナルのシーンなどがいくつか加えられています。

  • ドラマでジーナはキャリー・ルイーズの養子だが、原作では養子の子供、つまり孫という設定になっている。なお、ドラマには登場していないが、原作にはピパというキャリー・ルイーズの養子が登場する
  • ジーナの母親に関する背景はドラマオリジナル
  • ジーナとミルドレッドの軋轢はドラマオリジナル
  • 火災は原作には登場しない
  • 原作では、ルイスとローソンが書斎で口論となって、そのあとにクリスチャン殺害が発覚する。ドラマはアマチュア演劇の最中に事件が起きている
  • クリスチャンの殺害手口が異なる。原作は銃殺、ドラマは刺殺
  • 原作において、ジョニー・リスタリックは既に亡くなっている。ルイスとローソンが揉めている時に登場する点など、ジョニーに関する内容はドラマオリジナルといえる
  • 受刑者のアーネストは原作に登場せず、ドラマオリジナルのキャラクターである

感想

英語のタイトルは“They do it with Mirrors”となっており、トリックに鏡を使っていそうな雰囲気が漂っています。ドラマには鏡のシーンも登場していましたが、事件そのものに鏡は使われていませんでした。

“with mirrors”は“魔法で”という意味があるようですが、もちろん魔法も登場していませんでした。

考察

秘密の通路がレッド・ヘリングに使われています。犯人は秘密の通路を使って逃げたに違いないというのはミスリードで、実は、誰でも気付きそうなありふれた経路を移動していました。

まとめ

 ミス・マープル「魔術の殺人」について、あらすじ、真相、ドラマと原作の違い、感想などをご紹介しました。

犯人

  • ルイス・セロコールド
    Lewis Serrocold
    遺産の使い込みが発覚し犯行に至る。横領した金は私欲のためではなく、更生施設の維持費にあてていた。施設を維持しようとしたのは、妻であるキャリー・ルイーズ・セロコールドのためであり、ルイスは妻に安らかな生活を与えようとしていた。

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