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負け犬|あらすじ・ネタバレ解説【ポワロ35】

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 名探偵ポワロ第35話「負け犬」のあらすじとネタバレ、トリック解説、感想・考察です。アストウェル化学に何者かが侵入し、その後、会社の社長が殺害されます。

The Underdog
項目 内容
シーズン 5
エピソード 2
放送日(英国) 1993年2月24日(水)
放送日(日本) 1994年5月21日(土)
出演者 キャスト一覧
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あらすじ

 アストウェル化学に何者かが侵入し、機密書類を盗み出そうとするが失敗に終わる。社長のサー・ルーベンは事件が起きたことで機密書類の自宅保管を決める。

 翌日、サー・ルーベンのコレクションを鑑賞するために、ポワロが屋敷を訪れる。そしてその翌朝、サー・ルーベンは死体となって発見される。警察は被害者の甥・チャールズを逮捕するが、遺産は妻ナンシーと弟ビクターに渡り、甥のチャールズには何も相続されないようだった。屋敷には被害者の妻以外に、話し相手のリリーという女性がいた。リリーは、どうやら、アストウェル化学の侵入者と親しいようだった。

事件概要

被害者は撲殺されました。最後に被害者をみたのは甥のチャールズで、逃亡したため警察に逮捕されます。チャールズの前に、妻のナンシーが被害者と口論になっています。その直前に、弟のビクターが被害者と会っています。つまり、ビクター、ナンシー、チャールズの順に被害者に会ったことになります。実は、チャールズが部屋に入った時、もう既に被害者は死んでいました。疑われると思ったチャールズは逃走しましたが、あっけなく捕まってしまいます。

アストウェル化学に侵入した人物は、大学教授であることが明らかになります。名前はハンフリー・ネイラーで、機密書類を狙っていました。その理由は、ハンフリーが始めた新素材の研究をサー・ルーベンが横取りしていたためです。なお、この新素材を実用化したサー・ルーベンは、ドイツ最大の化学メーカーにライセンスを与えようとしています。ハンフリーの妻が屋敷にいたリリーで、リリーも機密書類を狙っていました。彼女にはマーグレーブ(margrave)という名前の推薦状がありましたが、これはネイラー(nayror)を書きかえたものでした。

事件発生時、屋敷にいたのは、被害者の妻、弟、甥、そして、リリーだけではなく、ホレース・トレフューシスというアストウェル化学の化学者もいました。他に、メイドと執事もいたようです。

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ネタバレ

犯人はホレース・トレフューシスです。犯人は新素材の開発者になるという契約を被害者と結んでいました。しかし、ドイツの化学メーカーにライセンスされることになりそうだったため、契約は無意味なものになっていました。このことを犯人は、手紙で知ったようです(冒頭のシーン)。契約書を盗み出そうとした犯人は、被害者の書斎に忍び込みますが、そこへ被害者が戻ってきてしまいます。咄嗟に、犯人はカーテンの奥に身を隠しました。逃げる機会をうかがっていた犯人ですが、被害者の弟や妻が現れ、逃げ出すことができません。

妻が立ち去った後、犯人のトレフューシスは被害者に気付かれぬよう、こっそり書斎を出ようとします。しかし、被害者にみつかってしまったため、近くにあった銅像で殴りました。その後、甥のチャールズが現れ、犯人はもう一度隠れます。チャールズの次にはリリーが書斎にやって来て、彼女が機密書類を持ち出しました。ハンフリー・ネイラーが書類を手に入れることができたのは、実はリリーが持ち出していたためだったということになります。

妻ナンシーと弟ビクターは、互いに愛し合っていました。
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トリック

 犯人にサー・ルーベン殺害の意志はありませんでした。契約書を盗み出そうとして見つかってしまったため、突発的に、犯行に及びました。そのため、トリックなどの準備はありませんでした。ところが、犯行後に、二人の人物が現場に現れ、どちらも正直に話さなかったため、真犯人への疑いが逸れました。一人は第一発見者になったために逃走し、もう一人は盗みを働いたため、事実を隠していたようです。

偶然

 行き当たりばったりの殺人でしたが、偶然が重なり、事件が複雑になりました。殺人と同じタイミングで発生した機密書類盗難事件が、真相をわかりにくくしています。

考察

 犯人は被害者を殺そうとしていたわけではないようです。計画性のない犯行の中で、唯一、アリバイ証言で、寝ていたと嘘をついたことがトリックといえそうです。嘘は万能です。

動機

 犯人は契約書を盗もうとしていました。契約の通り、新素材の開発者となれば、大金が手に入ります。しかし、新素材(ゴム)はドイツのメーカーで製造されるようでした。そうなると、会社にライセンス料は入っても、開発者には金が入らなくなるようです。犯人は被害者となった社長に対して、恨みを抱いていたと思いますが、殺すためではなく、契約書を盗み出すために、書斎に忍び込んでいました。犯人が契約書を処分したかった理由は、敵国ドイツで製造されるゴムの開発者であることを隠すためだったのかもしれません。

感想

負け犬という辛辣なタイトルでした。殺人が許されるわけではありませんが、経営者のいいように使われる労働者という意味で、憤りを感じる作品であったと思います。アガサ・クリスティーの作品に出てくる人物は負け犬じゃない人が多い気がします。

コント

ミステリーとして面白い作品でしたが、ちょっと、コントっぽい感じもありました。部屋に忍び込んだら、主が帰って来てしまい、さらに、いろんな人物が現れて逃げるに逃げ出せないというのは、喜劇っぽい気がします。この作品では、口論だけではなく、殺人や盗難もあったので笑っている場合ではないですが、こんな感じの設定が笑える気もします。古畑任三郎の「雲の中の死」が似ている気がします。

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