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ミステリー

犯人探しの推理クイズ【ミステリークイズ】

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 文章を読んで犯人を当てるクイズです。推理小説風となっています。Youtubeで公開中の推理クイズもご紹介しています。

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推理クイズ(動画)

 Youtubeで公開中です。1から2分程度の短い推理クイズになっています。

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阿蘇橋の謎

 阿蘇橋という橋で殺人事件が起きた。被害者の名前はU子、阿蘇橋のすぐ近くのアパートに暮らす女子大生だった。U子はナイフで胸を刺されており、ナイフは胸に刺さったままだった。凶器となったナイフはありふれたキッチンナイフで、柄の部分からはU子の指紋がみつかっている。そしてこのナイフはU子の所有物だったことも確認されている。被害者は料理好きだったらしく、安物ではなく、切れ味の良いキッチンナイフを使っていたので、十分な殺傷能力があった。

 死体がみつかったのは早朝で、第一発見者は通りがかった新聞配達の男性だった。この男性は死体をみつけてすぐに通報し、近くの警察官が現場に駆け付けた。死亡推定時刻は深夜0時頃ということがわかっており、この頃、新聞配達の男性にはアリバイがあるので、彼が犯人ということはあり得ないと言える。

 容疑者だが、適任というべき人物が一人いる。U子の交際相手のK男だ。当初、K男は“事件があった日はU子と会っていない”と供述したのだが、それが嘘であることがわかった。アパート付近の高級住宅に防犯カメラが設置されており、事件があった日の0時前後に、K男はそのカメラに2度も映っていた。つまり、K男が夜遅くにU子のアパート近辺をうろついていたということである。なお、防犯カメラは住宅前の一本道を映しており、K男が2度カメラに映ったというのは、すなわち、行きと帰りを意味する。

 以上ことから、K男がU子を刺し殺したと考えられるわけだが、K男は犯行を否定している。凶器のナイフからは、U子だけではなくK男の指紋もみつかっており、K男が凶器を握ったのは間違いない。それでもK男は犯行を否定し続けている。K男の主張は、U子に呼び出されて阿蘇橋へ行ったが、そこでU子が自分で自分を刺したという内容で、つまり、U子の自殺を説いている。凶器に指紋が付着していたのは、数日前、U子の自宅で料理をしたからだという。防犯カメラを調べてみると、確かに2日前、一本道を行き来するK男の姿が写っていた。

 もしもK男の主張が正しいならば、U子は自殺だ。しかし、他殺であるならばK男以外に容疑者はいない。果たして、自殺なのか、他殺なのかを推理できる事実や証言がこれまでの内容に含まれていただろうか?

ヒント

 実は新聞配達の男性が犯人でした、みたいなことではありません(そっちの方が面白いのかもしれません。例えば新聞配達の男性の家族がアリバイを偽証していたなど←これは面白くないかもしれないですが)。U子が自分の自殺をK男の他殺にみせようとしたのか、それとも、K男がU子を殺し、他殺をU子の自殺にみせようとしているのか、どちらかを当てるという主旨です。

 上記の問題文の中におかしな部分(誤字脱字とかではありません)がありまして、そこからU子の他殺偽装かK男の自殺偽装かがわかる(はず)という仕組みになっております。ですが、ちょっとした知識を必要とするかもしれません。その知識というのは『水に濡れると指紋は消える』ということです。程度の差はありますが、ごしごし洗ったりしたら、当然ですが、指紋は消えてしまいます。

答え

 U子は自殺ではありません。K男が犯人です。凶器のキッチンナイフにはK男の指紋がついていました。しかし、キッチンナイフは使ったら洗うはずなので、指紋は残っていないはずです。それにも関わらずナイフにK男の指紋が残っているということは、「2日前にU子の自宅で料理した」後にもナイフを触ったということになります。そのタイミングは防犯カメラに再び映った事件当日しかありません。

あとがき

あとがき、というよりは補足説明(言い訳)です。まず、K男は防犯カメラの存在を知りませんでした。なので、防犯カメラを回避して行動するということはありません。もしかすると、死亡推定時刻よりも前にこっそりU子の家に行き、こっそりキッチンナイフを触ったのかもしれませんが、U子の家に行くと防犯カメラに絶対映ってしまうという設定なので、カメラの存在を知らないK男にそんな行動はとれないのです。(K男が最初に「U子とは会っていない」という嘘をついたのは防犯カメラの存在を知らなかったから、ということにしておいて頂きたいです)

一番の謎は、なぜ阿蘇橋で犯行に及んだのか、ということですが、これには、理由がありません。推理小説風なので、そんな感じです。ありのままに話すと、シャーロック・ホームズシリーズの「ソア橋の謎」から着想を得た(パクッた)ので、橋で事件が起きちゃいましたー。ミステリーファンからは鼻で笑われそうですが、ソア橋みたいなクイズが書きたかったからという動機は、ミステリーの辻褄合わせっぽくなく、もっとも納得できる気がしています(これぞまさに言い訳です)。

辻褄合わせをするなら、犯人のK男がソア橋を読んだから、みたいなことになるのかもしれません。ソア橋のトリックは(一部の人種にとっては)有名なので、自殺だと思い込ませるのに役立つというスンポー(寸法)です。つまり、捜査担当の刑事が、橋で事件が起きたのはなぜか、という疑問を持ち、すると都合のいい感じで、シャーロキアンの同僚がソア橋を語り出し、「アソ、ソア、つまりこれはソア橋のトリック!」みたいな展開でミスリードするという…。それっぽい話はさておき、K男がどうやってU子を橋に誘い出したのかというのも謎だったりします。

あとは、キッチンナイフ、つまり包丁ですが、柄の部分って洗わなくない?というところでしょうか。私自身、柄の部分はごしごし洗わないです。でも水に濡れまくっているので、きっと指紋も出にくい、はず。そして、そもそもキッチンナイフにK男の指紋が残っていたのは、ナイフに指紋がないと被害者U子による他殺偽装がもっともらしくならないから、ということにしておきたいと思います。

(クイズと答えの本文よりも言い訳の方が長くなっている気がします)

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デー坂の殺人

 デー坂という坂道にある長屋の一室で死体が発見された。他殺は間違いないようだが、特に争った形跡はなく、周辺住民は不審な物音を一切耳にしていなかった。第一発見者の証言により、犯行時刻は概ね絞られており、衆人環視という状況から容疑者も長屋の住民に絞り込まれている。だが、犯人の目星はまったくついていない。

 被害者と現場について簡単に述べておくと、まず、被害者は20代後半の女性で、夫婦で暮らしていた。なお、犯行時刻、夫は外出中だったのでアリバイがある。余談だが、どうやら夫の方は男性的に不能だったらしく、美人の奥さんがいるのに勿体ないな、という感じである。

 それはさておき、被害者は首を絞められて殺されていた。しかし、抵抗したような痕跡は全くなかった。着ていた浴衣は太ももが見える程度にはだけていたが、脱がせてみると不思議なことに縄できつく縛られたような跡が残っていた。これに関しては全く意味不明である。真新しい傷だけではなく、古い傷もたくさんあった。特にひどいのは腹部から胸部にかけてで、擦り傷や切り傷はもちろん、火傷の跡やムチで打たれたような傷痕まであった。ただし、傷はいずれも浴衣で隠せるような場所につけられており、傷について夫は何も知らなかったと話している。

 現場について、死体がみつかった居間の電球が切れていたが、それ以外に特筆すべきことはない。夫によれば、昨晩に切れたのをそのままにしていたという。

 注意すべきなのは、上記の内容を容疑者達は知らないということだ。もちろん事件が起きたことは知っているし、被害者のことも知っているが、間違いなく、その程度のことしか把握していない。

 以下は容疑者の証言だ。容疑者は同じ長屋に住む佐渡、奥尻、石垣の三人でいずれも男。奥尻と石垣は既婚者だが、佐渡は未婚である。

佐渡
「俺はあそこ奥さんが気に入っていてね。いや、やましい意味はねえよ。ただ、あの日もちょっと気になって裏口からちらりと覗いてみたんだが、電球が切れてて明かりがつかないだろ、だから暗くてよくわからなかった。奥さんはいなかったと思うね。それにしても、ひどいもんだな、なんな美人の奥さんを傷もんにしちゃうなんてよ。あれだろ、最近よくいうデーブイってやつだろ?旦那が痛めつけて、虫の息だったもんで、ゆっくりと死んでったんじゃあねえの?」

奥尻
「あの日、私は奥さんを訪ねましたよ。嫁の実家からリンゴが届いたんで、それを渡しに、裏口から。だけども誰もいなかった。奥の部屋に誰かがいるような気配はありましたけど、声を掛けても、返事はなかった。デーブイ?なんですかそれは?――へえ、いや、そんな様子はなかったですけどね。うちは隣なんで、物音とか筒抜けですけど、変に思ったことはないな。そういえば、うちの嫁が亡くなった奥さんは裏社会の人じゃないかって言ってましたね。なんでも、銭湯で体を必死に隠してるらしくて、それをみた嫁が、刺青でも入ってるんじゃないかって。まあそんな人にはみえませんけどね」

石垣
「事件があったの日の朝、旦那さんと話しましてね、その時、電球が切れたって聞いたもんだから、うちの余ってたやつをあげようと思って、裏口から訪ねたんですけど、留守だったので、すぐ引き返しましたよ……。デーブイっていうのは初めて聞きましたけどね、刺青の噂は奥さん連中の間では有名みたいですよ。御覧の通りの長屋で風呂がないんでね、もっぱら銭湯通いなんですけど、もちろん私はみる機会なんてありませんから、いやいや、見たいとか、見たくないとかそういうことを言ってるんじゃなくてですね、刑事さん…」

ヒント

 犯人は口を滑らせて余計なことを言っています。よくある“犯人でないと知らない事実”というやつですが、正確には“知っているとおかしい事実”といえます。なお、被害者の夫は犯人ではありません。「D坂の殺人事件」という江戸川乱歩氏の作品をオマージュしていますので、作品をご存知であれば、犯人はすぐにわかってしまうかもしれません。

答え

 余計なことを言ったのは佐渡です。佐渡は被害者の体に刺青ではなく、傷があることを知っていました。つまり、佐渡は近所の奥さんの裸をしっかりみたことがあるということになります。このことから、佐渡は非常に怪しいことがわかります。

あとがき

「D坂の殺人事件」のネタバレがあります。

犯人は佐渡で、佐渡はサド(ドS)で、奥さんと不倫し、プレイを楽しんでいて、殺してしまいました。ちなみに被害者はドMで、行為中だったため、特に叫び声などはあげていませんでした。このような動機や犯行の経緯は、D坂の殺人事件と同じだったりします。

衆人環視によって容疑者が絞り込まれておりますので、誰も知らない奥さんの秘密を知っていた人物が非常に怪しい、ということなんですが、怪しいだけで犯人かどうかはわかりません。それでも、いちおう、目星はつきそうな感じです。

さて、ここでクイズです。佐渡はどんな風に言い訳すれば嫌疑を回避できるでしょうか?
……。
私が佐渡なら、きっと、実はのぞきをしていたと告白するでしょう。のぞきも犯罪ですので、肉を切らせている感じですが、殺人よりは罪が軽そうです。
では場所はどこでしょうか?
……。
銭湯と答えてしまうと、不自然になってしまいます。被害者は刺青の噂立つほどに体を隠していたので、頑張ってのぞいても、傷があるかどうかまではわからないはずです。なので、長屋と答えるのが自然です。

「俺は奥さんのことが気にいっていたから、ちょいちょいのぞきをやってたんだ。だから傷の事は知ってた。旦那がデーブイでつけたんだと思ったよ。口は塞いでたんだろ」

うまく言い逃れされた気がします。ここはもう、ご都合主義で、罪を悔いて自首させるしかなくなってきました。

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