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なぞの遺言書|徹底解説・あらすじ・ネタバレ・登場人物など【ポワロ37】

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なぞの遺言書』はポワロが友人から遺言の書き換えを相談され、その友人が死亡してしまうエピソードです。原作とドラマでは、内容に大きな違いがあります。この記事ではあらすじと登場人物、ネタバレ、感想考察などをまとめています。

The Case of the Missing Will
項目 内容
シーズン 5
エピソード 4
放送日(英国) 1993年2月7日(日)
放送日(日本) 1994年7月31日(日)
出演者 キャスト一覧
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あらすじ

 友人・アンドルーの屋敷に招待され、遺言の執行を依頼されたポワロ。死期を悟ったアンドルーは遺言を書き換え、全財産を養女のバイオレットに残そうとしていた。しかし、書き換えが済む前にアンドルーの死体が発見されてしまう。死亡したアンドルーは何者かに電話で呼び出され、直後に死亡したようだった。

 不思議なことに、アンドルーの遺言書は紛失していた。ポワロはアンドルーに隠し子がいたことを知り、相続人になり得るその人物を探すが、特定できず、警察はアンドルーの死体を診断した医師を逮捕する。死体発見現場には医師のものと思しきインスリンの瓶が残されており、さらに医師には患者を安楽死させた過去があった。ところが、医師が逮捕されたにも関わらず、次の事件が発生してしまう。

事件概要

ポワロの友人アンドルー・マーシュは10年前に遺言を書いており、その遺言を書き換えようとしていました。しかし、書きかえる前に亡くなってしまいました。アンドルーが10年前に書いた遺言は、親族や関係者全員に遺産を残すという内容でしたが、これを養女のバイオレット・ウィルソンだけに譲るという内容に書き換えようとしていました。結局、書き換えは起きなかったわけですが、10年前の遺言書も紛失してしまいます。

遺言書がないので、アンドルーの財産は全て、血縁者に渡ります。ここで問題になるのが、アンドルーの隠し子です。隠し子は、男性らしく、それらしい人物はロバート・シダウェイとピーター・ベーカーという二人に絞られます。いずれにしても、アンドルーが殺され、さらに遺言書が紛失したため、アンドルーに一番近い家族である子供には、遺産目当てという動機があることになります。

登場人物

役名 俳優名
(日本語吹替)
説明
エルキュール・ポワロ デビッド・スーシェ
(熊倉一雄)
私立探偵
アンドルーの友人
アーサー・ヘイスティングス大尉 ヒュー・フレイザー
(富山敬 / 安原義人)
ポワロの友人でありパートナー
ジェームズ・ジャップ主任警部 フィリップ・ジャクソン
(坂口芳貞)
スコットランド・ヤードの警部
ミス・フェリシティ・レモン ポーリン・モラン
(翠準子)
ポワロの秘書
アンドルー・マーシュ マーク・キングストン
(宮川洋一)
富豪
事件の被害者
バイオレット・ウィルソン ベス・ゴダード
(島本須美)
アンドルーの養女
マディングリー・カレッジの学生
フィリダ・カンピオン スーザン・トレーシー
(藤波京子)
マディングリー・カレッジ学長
マーチン・アーサー・プリチャード医師 リチャード・ダーデン
(大木民夫)
アンドルーの主治医
ジョン・H・C・シダウェイ テレンス・ハーディマン
(山野史人)
弁護士
セーラ・シダウェイ ロウィーナ・クーパー
(麻生美代子)
ジョンの妻で元看護婦
ロバート・シダウェイ エドワード・アタートン
(辻谷耕史)
シダウェイ夫妻の息子
ウォルター・ベーカー ジョン・ローリモア
(増岡弘)
巡査部長
マーガレット・ベーカー ジリアン・ハンナ
(藤夏子)
ウォルターの妻
クラブツリーの家政婦
ピーター・ベーカー ニール・ストゥーク
(増岡弘)
ベーカー夫妻の息子
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ネタバレ

犯人はセーラ・シダウェイです。看護師のセーラは息子ロバート・シダウェイに遺産を相続させようとしていました。ロバートが隠し子だったかというと、そういうわけではなく、ロバートを隠し子のようにみせて遺産を受け取る計画だったようです。

セーラは医師のインスリンを盗み、注射器でアンドルーに投与し殺害しました。医師逮捕後、学長のカンピオンがエスカレーターで突き落とされますが、この犯人もセーラです。セーラは息子から、カンピオンがポワロを訪ねるという情報を手に入れ、それを阻止しようとしていました。カンピオンがポワロに話そうとしていたのは、隠し子に関することで、カンピオンは隠し子の母親でした。その子供は、養女のバイオレット・ウィルソンで、つまり、バイオレットはアンドルーの実の娘でした。

トリック

 医師が逮捕されていることを考えると、凶器にインスリンを使い、その瓶を現場に残したのは、医師に罪をなすりつけるためのトリックだったといえそうです。医師には、安楽死という過去があり、これが動機となります。

 犯人の計画は、自分の息子に被相続人の隠し子を名乗らせて、遺産を相続させるというものでした。隠し子であるかどうかの詳しい鑑定は、特にないようです。

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原作とドラマの違い

原作はアガサ・クリスティの短編集 『ポアロ登場』に収録されている短編『謎の遺言書』です。ドラマは原作の基本的なアイデアをもとにしつつも、殺人事件を導入し、登場人物や人間関係を大幅に膨らませています。そのため、物語の展開や設定に大きな違いがあります。

  • 物語の主軸
    • 原作
      アンドルー・マーシュが隠した遺言書をポワロが探し出す、という遺言書探しが中心の物語です。殺人事件は発生しません
    • ドラマ
      アンドルー・マーシュが殺害され、その死を巡る殺人事件が物語の主軸となります
  • 登場人物の追加
    • 原作
      登場人物はポワロ、ヘイスティングス、アンドルー、姪のヴァイオレット、世話人のベイカー夫妻など、比較的少数です
    • ドラマ
      原作には登場しないフィリダ・カンピオン、プリチャード医師、シダウェイ一家(ジョン、セーラ、ロバート)など、多くの人物が追加され、人間関係が複雑化しています。また、ジャップ警部も登場し、捜査に加わります
  • バイオレットの設定
    • 原作
      バイオレット・マーシュはアンドルーの姪という設定です
    • ドラマ:
      バイオレット・ウィルソンは、アンドルー・マーシュとフィリダ・カンピオンの間に生まれた実の娘という設定に変更されています
  • ポワロとアンドルーの関係
    • 原作
    • ドラマ
      ポワロとアンドルーは「旧知の友人」であり、アンドルーがポワロを新しい遺言書の執行人に指名するという設定が追加されています
  • 遺言書の謎
    • 原作
      遺言書自体が巧妙に隠されており、その隠し場所が謎の核心です
    • ドラマ
      遺言書は紛失しており、その紛失が殺人事件の動機と深く関わってきます

原作の真相

原作は遺言書探しがメインの物語になっており、鍵に付いていた封筒が遺言書の在り処となっています。封筒を切り開いて火であぶると、文字が浮かび上がるという仕組みで、一番目立つところに隠すというトリックです。

感想と考察

『なぞの遺言書』というタイトルですが、遺言書に謎はなかった気がします。養女に全財産を譲るというのも、殺人の気配を感じさせますが、特段不思議ではないです。原題は「The Case of the Missing Will」で、訳すと、消えた遺言書の事件なので、こちらの方が内容を表しているように思います。なお、原作は遺言書の捜索がメインになっていますので、タイトルとの不一致はありません。

 医師に罪をなすりつけるため、医師の薬を盗んで犯行に使うというのは、単純明快なトリックではないかと思います。医師を逮捕させるためには、犯行時刻の医師のアリバイ、動機などに気を使う必要もあるかと思いますが、この事件では、医師にとって不利な証拠が集まったようです。

 遺産を得るために、隠し子を捏造するということもあり得るわけですが、現代では、やはりDNA鑑定などの結果を示さない限り認められないと思います。

余談

学長はエスカレーターで突き落とされました。この時代にエスカレーターあったんだ、と思いました。時代は1930年代ですので、だいたい100年くらい前です。

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