「ビッグ・フォー」のあらすじと登場人物の相関図、真相、トリック考察、感想などをまとめています。ビッグフォーという秘密結社が登場するエピソードで、ヘイスティングス、ミス・レモン、ジャップ警視監といった懐かしいメンバーが再登場します。
項目 | 内容 |
---|---|
シーズン | 13 |
エピソード | 2 |
長さ | 1時間27分 |
放送日(英国) | 2013年10月23日(水) |
放送日(日本) | 2014年9月15日(月) |
出演者 | キャスト一覧(imdb) キャスト一覧(allcinema) |
原作者 | アガサ・クリスティー |
あらすじ
ポワロの葬儀に、かつての親友であるヘイスティングス、ミス・レモン、そしてジャップ警部が参列する…。
数週間前。新聞記者のタイソーが外務省にビッグ・フォーの存在を訴えたのだが、その訴えは完全に無視されてしまう。その頃、ポワロは平和党の集会に参加し、偶然、ジャップ警視監と再会する。その後、二人は共にチェスの対局を観戦していたのだが、対局中にロシアのチェス王が倒れ急逝する。発作が原因の自然死と思われたチェス王だったが、ポワロはチェス王が握ったチェスの駒に細工があることに気付く。
相関図
懐かしのヘイスティングスとミス・レモンが登場しますが、事が起こった後の登場人物ですので、事件にはあまり関係していません。
タイソーは新聞記者で、平和党とビッグ・フォーの関係を疑っている人物です。なお、平和党を疑う根拠はドラマの中盤に明かされます。平和党には、エイブ・ライランドやレジーヌ・オリヴィエという幹部がおります。ライランドは集会であいさつをした人物で、チェス王のサヴァロノフと対局した人物でもあります。オリヴィエは集会でスティーブン・ペインターと手をつないでいた人物、スティーブンは平和党の支持者で、妻と甥、そして、主治医が登場します。
平和党指導者のリー・チャン・イェンはほとんど登場しませんが、伝記を書いた人物が登場します。名前はジョナサン・ウォーリーで、使用人が二人います。ジョナサンには、仲の悪い甥がいるようですが、甥とは連絡がつかないようです。
謎めいているのは、時々登場するフロッシーという俳優ですが、彼女は中盤以降に、重要な人物となります。
事件概要
ビッグ・フォーの陰謀が絡むストーリーとなっており、7つほどの事件が起きます。発端ともいえるのがチェス王の死で、その後、平和党幹部が失踪し、殺人が3件起き、また平和党の幹部が行方不明になり、最後はポワロが爆発に巻き込まれます。
最初に死んだサヴァロノフの死因は感電死で、感電する仕組みがチェスの駒とチェス盤に仕掛けられていました。対戦相手だったライランドが疑われることになりますが、詳しいことは語らぬまま、ライランドも行方を暗ましてしまいます。そしてさらに、ジョナサン・ウォーリーが殺害される事件が発生します。
ジョナサン・ウォーリーの事件に関して、使用人のロバート・グラントが逮捕されますが、彼は殺人犯ではありません。結局、犯人はわからぬまま、次の殺人が発生します。
殺されたのは正体不明の男性で、タイソーの目の前で殺されます。目の前で人が殺されたため、タイソーは隠していたことをポワロやジャップ警視監に話します。どうやら、ビッグ・フォーを名乗る組織から不審な手紙がタイソーに届いており、その手紙には、これまでに起きた事件を予告するような内容が書かれていました。
ビッグ・フォーの正体についてですが、ヒントになりそうなカードをタイソーの目の前で死んだ男性が持っていました。カードは4枚あり、1が書かれた“東”のカード、2と書かれたモノポリーのチャンスカード、3と書かれたクイーンのトランプ、4と書かれたタロットの大アルカナとなっていました。1がリー・チャン・イェンで、2はライランド、3はオリヴィエだとすると、まさに、ビッグ・フォーの正体は平和党だといえそうです。ただ、4のカードが誰を示しているのかは、推測できません。
チェス王の死、平和党幹部の失踪、平和党指導者の伝記を書いた作家の殺人、謎の男の殺人と、事件が立て続けに起きますが、つかみどころがなく、そもそも関連しているかどうかもわかりづらいです。そんな中、平和党の支持者だったスティーブン・ペインターが殺されます。スティーブンとの不倫を疑われたオリヴィエも容疑者となりますが、オリヴィエもどこかに姿を消してしまいます。
その後、ポワロが劇団の女性と会い、伝記作家の甥が怪しいということになります。ただ、甥がどこにいるのかはわかりません。そして、ポワロが訪ねたアパートで、爆発が起き、ヘイスティングスとミス・レモンが呼び出され、葬儀となります。
ネタバレ
殺人犯は医師のクエンティンです。そして、ビッグ・フォーなる組織は存在しません。クエンティンは俳優であるフロッシーに認めてもらうために、ビッグ・フォーという秘密結社をでっち上げました。クエンティンからの嘘の手紙を受け取った新聞記者のタイソーは、その内容を信じ、ビッグ・フォーについて騒ぎ出し始めました。すなわち、元凶はタイソーにあったといえます。
クエンティンは以前、フロッシーに告白したことがあるようですが、残念なことに振られてしまいました。このときクエンティンは、もっとビッグになって、というようなことを言われています。
失踪
失踪したエイブ・ライランドやレジーヌ・オリヴィエはクエンティンに連れ去られただけなので、生きています。彼らに裏はなく、ほんとうに、ただの平和党の幹部です。クエンティンによってビッグ・フォーに仕立てられた被害者といえます。
殺人
チェス王、伝記作家のジョナサン・ウォーリー、正体不明の男、平和党支持者のスティーブン・ペインターは、全員、クエンティンによって殺されました。正体不明の男はクエンティンが仕込んだ人物でした。ビッグ・フォーから逃げてきた人物、などと言われていましたが、ただの浮浪者でした。
一連の犯行に共犯者はおらず、すべてクエンティンの単独犯です。チェス王殺しは対局相手だったライランドに、ジョナサン・ウォーリーは使用人に、ペインター氏は甥に罪を着せようとしていたようです。なお、クエンティンは、何度かその存在が登場していたジョナサン・ウォーリーの甥です。
トリック考察
ビッグ・フォーが存在するかのようにみせるというのが、犯人の目的になっていました。ビッグ・フォーの犯行にみせかけて罪から逃れようとしていたのかもしれませんし、事実、探偵達はミスリードしたわけですが、ある人に認めてもらいたいという想いが先行していたと推測します。
このエピソードにおいて、殺人や失踪の手口はあまり重要視されていないようです。しかし、チェスのコマに細工して自然死にみせかけたり、使用人や因縁のある甥に罪をなすりつけるなど、適当な犯行ではありませんでした。
原作
原作は第7作目の長編小説「ビッグ4」です。推理小説というよりは、サスペンスになっており、ビッグ4とポアロの対決が主に描かれた作品となっています。ドラマと原作小説は、まったく違う物語になっており、原作小説にはビッグ4という犯罪組織が登場します。
みんなの感想
原作小説のレビューをご紹介します。
世界征服を企む国際犯罪組織・ビッグ4登場!?大風呂敷を広げる展開や妙にツギハギ感のある構成に加え、物語はスパイ活劇のよう。巻末解説によると「これまでに書いていた短篇12編の中から使えそうな作品を再編集して本作にまとめあげた」とあって納得した。
クリスティ作品の中では駄作と言われているらしい。読んでみて「こういうのも書くんだ」という意外性はあったし、まあまあ面白かったと思う。
連作短編集のような作品でした。他作品とは違う展開の早さがあって、推理以外でハラハラさせられる場面が続きます。
国際的な陰謀を阻止するために、ポアロが積極的に活動する。映画でたとえるなら007といった感じ。ポアロシリーズのイメージと違うが、これはこれで面白い。
クリスティの作品の中では異端と言われる今作。推理ものというよりは冒険活劇。ホームズのパロディなのでは?と思ったりもした。
感想
ポワロは死んでいないんだろうなぁ、というのは最初になんとなくわかります。別の作品で恐縮ですが、あの葬儀のシーンは、まさに刑事コロンボの「かみさんよ、安らかに」でした。ちなみに、亡くなるのはコロンボではなく、“かみさん(コロンボ夫人)”の方です。
まとめ
名探偵ポワロ「ビッグ・フォー」について、あらすじ、真相、トリック考察および解説、感想・雑談をご紹介しました。最後に、登場人物とロケ地についてご紹介します。
登場人物
事件関係者は以下の通りです。
名前 | 説明 | 解説 |
---|---|---|
クエンティン Dr. Quentin |
医師 犯人 |
ビッグ・フォーをでっち上げた人物でジョナサンの甥 フロッシーの気をひくために全ての犯行に及ぶ |
レジーヌ・オリヴィエ Madame Olivier |
幹部 被害者 |
平和党の幹部でビッグ・フォー騒動に巻き込まれる 支持者のスティーブン・ペインターとは不倫している |
ロケ地
フロッシーが働いていた劇場の外観はRichmond Theatre(リッチモンド・シアター)という劇場が使われています。
コメント