『予告殺人』のあらすじと真相、原作小説との違い、考察、感想などをまとめています。ドラマ版ミス・マープルシリーズの第4話(S1E4)です。ある村で新聞の広告欄に殺人予告が掲載されます。
あらすじ
実業家ランダル・ゴドラーの盛大な葬儀が報道され、それから10年後。「殺人お知らせ申し上げます。10月29日金曜日午後6時30分より、レティシア・ブラックロックの自宅リトル・パドックス館にて…」
――その日の朝、チッピング・クレッグホーンの住民は誰もが地元新聞の殺人広告を読んで驚いた。そして、当然のように、大勢の住民が予告された時刻にリトル・パドックスに集まることになった。午後6時30分を迎えると、部屋の照明が消えた。するとそこに男が扉を開けて侵入してきた。その直後、暗闇の中で銃声が鳴り響いた。余興ではないことを察した住民達が騒ぎ始め、主人のレティシアが耳に怪我を負っていることがわかった。さらに、侵入したと思しき若い男性の死体も発見される。死んでいたのは、ホテルの若い従業員でルディー・シャーツという名前だった。
登場人物とキャスト
主な登場人物とキャストをまとめます。
名前 | キャスト | 説明 |
---|---|---|
ミス・マープル Miss Marple |
ジェラルディン・マクイーワン Geraldine McEwan |
老婦人の名探偵 |
レティシア・ブラックロック Letitia Blacklock |
ゾーイ・ワナメイカー Zoë Wanamaker |
殺人が予告された館の主 かつてランダル・ゴドラーの秘書だった |
ドラ・バンナー Dora Bunner |
エレイン・ペイジ | レティシアの親友で一緒に暮らしている 愛称はバニー |
ジュリア・シモンズ Julia Simmons |
シエンナ・ギロリー Sienna Guillory |
レティシアのはとこ |
パトリック・シモンズ Patrick Simmons |
マシュー・グード David Warner |
レティシアのはとこ |
フィリッパ・ヘイムズ Phillipa Haymes |
キーリー・ホーズ Keeley Hawes |
リトス・パドックスの下宿人 息子がいる |
エイミー・マーガトロイド Amy Murgatroyd |
クレア・スキナー Claire Skinner |
養鶏場の女性 ミス・マープルの旧友の娘 |
リジー・ヒンチクリフ Lizzie Hinchcliffe |
フランシス・バーバー Frances Barber |
養鶏場の女性 エイミーとは恋人同士 |
イースターブルック大佐 Colonel Easterbrook |
ロバート・ピュー Robert Pugh |
独り身の男性 |
サディ・スウェッテナム Sadie Swettenham |
シェリー・ルンギ Cherie Lunghi |
大佐と懇意にしている御婦人 |
エドマンド・スウェッテナム Edmund Swettenham |
クリスチャン・コールソン Christian Coulson |
スウェッテナム夫人の息子 |
ルディー・シャーツ Rudi Schertz |
クリスティアン・ルーベック Christian Rubeck |
死んだ男 ホテル従業員 |
事件概要
最初は自殺や強盗の犯行だと考えられますが、次々に重要な手掛かりが発見され、リトル・パドックスに集まった誰かが犯人であると考えられるようになります。
リトル・パドックスの主人であるレティシアは被害者のシャーツとかなり前から面識がありました。その昔シャーツはスイスのホテルで働いており、そこで、レティシアの妹であるシャーロットが亡くなっていました。このことを憶えていたシャーツは、働いているホテルでレティシアをみかけ声を掛けました。それが事件の数週間前のことでした。
シャーツが殺人犯になりすましていたのは、金で雇われていたからだったようです。しかし、依頼人までは明らかになりません。
レティシアは大富豪の秘書を長年務めており、遺産を相続する立場にありました。もしもレティシアが亡くなれば、その遺産は大富豪の妹の子供達に渡ることです。その子供達の名前はピップとエマで、レティシアを殺す動機がありますが、行方はわからなくなっています。もしかしたら正体を隠してレティシアに近づいているのかもしれませんが、誰がピップで、誰がエマなのかはわかりません。
事件は解決しないまま、レティシアの親友であるドラ・バンナーの誕生日会がひらかれ、その翌日、ドラの毒殺死体が発見されます。さらに、養鶏場のエイミーが予告殺人のとき部屋にいなかった女性に気付きますが、その直後に殺されてしまいます。
犯行手口についてですが、予告殺人のときに集まった部屋には、“開かずの扉”と呼ばれる出入口がありました。停電の中でそこから出入りすれば、シャーツの背後に移動することができます。開かずの…と言われていますが、開けるのは容易でした。
ネタバレ
犯人はレティシア・ブラックロックです。レティシアは既に死んでおり、実は妹のシャーロットが遺産を手に入れるために、レティシアに成りすましていました。親友のドラはレティシアの正体を知っていましたが、うっかり口を滑らせそうになっていたため、危険と判断されてレティシア(シャーロット)に殺されました。なお、エイミーを殺したのもレティシアで、エイミーはあの場にレティシアがいなかったことに気付いていました。
シャーツが殺されたのは、レティシアの正体に気付いていたからです。シャーツはシャーロットだと思いホテルで声を掛けていました。しかし、その場にはドラしかいなかったため、成りすましがバレることはありませんでした。その後、レティシアはシャーツを予告殺人に誘い出し、犯行に至りました。
その他、いくつかの別の事実が重なり、事件は複雑になっています。特に重要なのは、ピップとエマの存在で、二人ともレティシアの近くにいました。まず、はとこと言っていたジュリア・シモンズはエマでした。一緒にいたパトリック・シモンズも偽者で、ジュリアのボーイフレンドでした。そして、フィリッパ・ヘイムズがピップでした。ピップは男性だと思われていましたが、実は女性でした。二人は遺産目当てでレティシアに近づいていたわけですが、手荒なことは何もしていません。
他の登場人物にも隠していることがありました。以下にまとめます。
- イースターブルック大佐
犯行に使われた拳銃は大佐の持ち物だったが、違法に所持していたため、隠していた。その昔、部下に銃を向けたため除隊となっており、そのことを知られるのを恐れていた。なお、拳銃を盗んだのは犯人のレティシア - スウェッテナム夫人
ラム肉を盗んでいた。このとき、レティシアが“開かずの扉”から出てくるのを目撃している - フィリッパ・ヘイムズ
夫は戦死したと嘘をついていた。実は脱走兵で、金をせびりに来ていた。このときの様子をメイドのミッチーがみていた
原作とドラマの違い
ドラマと原作は概ね同じ内容になっています。やや違うのは、ミス・マープルの滞在先で、原作では牧師の家となっています。なお、牧師はドラマから完全に省かれています。その他、主な違いは下記の通りです。
- ドラマにはジュリアン・ハーモン牧師と妻のダイアナが登場しない。原作でマープルはハーモン家に滞在する
- マープルが養鶏場に滞在するのはドラマオリジナル。養鶏場で暮らすエイミー・マーガトロイドがマープルの旧友の娘というのもドラマ独自の設定
- 養鶏場の女性二人が恋仲という設定はドラマオリジナル
- ドラマではマープル自身が停電のトリックに気付いていたが、原作では、ハーモン牧師の猫が再現する
- 原作には大佐の妻が登場するが、ドラマでは娘に変わっている
- ドラマでは、エイミー・マーガトロイドが殺されたとき、近くにヒンチクリフやマープルがいたが、原作では一人だった
- ドラマの最後にベル・ゲドラーが亡くなったようなシーンがあるが、原作にこのような描写はない
- 原作ではメイドがレティシアの予告殺人を目撃したと証言し殺されそうになるが、救い出される。ドラマでは暴走したメイドがレティシアに刃物を向けている
感想
殺人が予告されて、不謹慎かもしれないですが、とっても面白いと思ってしまいました。誰もが余興だと思っていたから広告も出せたのだと思いますが、それにしても、何かが起こりそうな予感がしてたまりません。ただ、本当に殺人が起きてしまったので、だいぶ笑えない感じになってしまいました。
狙われたと思しき女性が負傷しただけだったことなどから、この人が犯人かもしれないというのは、おおよそ見当がついたりするかもしれません。ただ、実は死んだと思われていた妹の方だったというのは、なかなかのどんでん返しでした。
考察
余興の殺人役を依頼して殺してしまうというトリックでした。正当防衛にみせるというわけではなく、明確に罪をなすりつける人物を用意していたわけでもなかったようです。遺産相続に関して、動機のある二人の人物に罪をなすりつけようとしていたかもしれませんが、本当にいるのかどうかわからない状況だったので、計画としてはあやふやな部分があるように思います。
まとめ
ミス・マープル「予告殺人」について、あらすじ、真相、ドラマと原作の違い、感想などをご紹介しました。
犯人
- シャーロット・ブラックロック
Charlotte Blacklock
莫大な遺産を手にれるために、姉のレティシアになりすましていた。親友のドラ・バンナーも共犯者といえるが、うっかりさんだったので、始末している。
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