『エンドハウスの怪事件』のネタバレ、登場人物とキャスト、感想です。4回命を狙われた女性が5回目で誤って友人が殺害されてしまうエピソードです。
項目 | 内容 |
---|---|
シーズン | 2 |
エピソード | 1 |
長さ | 103分 |
放送日(英国) | 1990年1月7日(日) |
放送日(日本) | 1990年8月11日(土) |
原作者 | アガサ・クリスティー |
あらすじ
エンドハウスで暮らすニックという愛称の女性が4度も命を狙われる。ニックが怪我を負うことはなかったのだが、5回目でついに死人が出てしまう。殺されたのはニックのいとこ・マギーで、ニックと似たような恰好をしていたため、間違えて殺されたようだった。当初、ニックを狙った動機は不明だったが、実はニックはお金持ちと婚約していたことが判明する。そしてついに、ニックも毒殺されてしまう…。
マギーを殺したのはニックだった。お金持ちと婚約していたのはマギーであり、ニックはマギーに成りすまして財産を手に入れるため、マギーを殺害。自分の命が狙われているようにみせて、マギーが間違って殺されたように偽装していた。つまり、ニックが4回命を狙われたというのは自作自演だった。
毒殺されたようにみえたニックだが、実は生きている。死んだふりは遺言状を見つけ出すためのポワロの計画だった。遺言状を隠し持っていたのはエンドハウスの別棟で暮らしているクロフト夫妻だった。そして、チャレンジャー大佐は麻薬を密輸し、それを売りさばいていた。
登場人物
事件関係者は以下の通りです。ポワロ、ヘイスティングス大尉、ジャップ警部、ミス・レモンは省いております。
名前 | キャスト | 説明 |
---|---|---|
マグダラ”ニック”バックリー Magdala ‘Nick’ Buckley |
ポリー・ウォーカー Polly Walker |
スタイルズ荘の主 命を狙われた女性 |
マギー・バックリー Maggie Buckley |
エリザベス・ダウンズ Elizabeth Downes |
被害者 ニックのいとこ |
ジョージ・チャレンジャー George Challenger |
ジョン・ハーディン John Harding |
中佐 ニックの友人 |
ジム・ラザラス Jim Lazarus |
ポール・ジェフリー Paul Geoffrey |
ギャラリー経営者 ニックの友人 |
フレデリカ・ライス Freddie Rice |
アリソン・スターリング Alison Sterling |
ニックの友人 |
バート・クロフト Bert Croft |
ジェレミー・ヤング Jeremy Young |
エンドハウス別棟の住民 |
ミリー・クロフト Milly Croft |
キャロル・マクレディ Carol MacReady |
バートの妻 車椅子の女性 |
エレン Ellen |
メアリー・カニングハム Mary Cunningham |
スタイルズ荘のメイド |
チャールズ・バイス Charles Vyse |
クリストファー・ベイネス Christopher Baines |
弁護士 ニックのいとこ |
感想
命を狙われていた女性が実は犯人だったというビックリ仰天なトリックです。ミステリーに慣れていない状態で視聴した場合は、かなり印象に残る作品ではないかと思います(私はそうでした)。自分の命が狙われているようにみせておいて標的を殺し、誤って殺されたようにみせるというトリックだけではなく、動機についても驚愕の真実が待っていたりします。ミステリーをいろいろ鑑賞していると、何度も命を狙われたのに無傷というのがすごく怪しく思えてしまいます。ただし、動機はわかりません。犯人はなんとなく予想できても動機を正確に当てるのは難しい、そんな感じです。
最後、ミス・レモンがなんちゃって霊媒をします。ポワロさんの無茶ぶりが面白いですが、パワハラにみえなくもないです。
考察
まず、「マグダラ」という名前が複数の人物に使われています。ニックとマギーが同じ名前だったことが、遺産相続のトリックに利用されました。次に、ニックが書いたはずの遺言書が一時的に行方不明になり、後に偽造されたものが見つかるという展開も、読者のミスリードを誘っています。また、ポアロが容疑者リストを作成し、それぞれの人物に関する疑問を挙げていく過程も物語の重要な要素ですが、最終的に真犯人はそのリストに含まれない人物(ニック自身)であることが明らかになります。
本作では、ポアロがニックの巧妙な自作自演によって終始翻弄される様子が描かれています。ニックは自分が命を狙われているかのように見せかけ、ポアロの注意を引きつけ、誤った方向に推理を誘導します。ポアロはニックの言葉や行動を信じ込み、彼女を守ろうと奔走しますが、その裏をかかれ続けます。特に、ニックがチョコレートで襲われた事件は、ポアロの警戒態勢をあざ笑うかのような出来事であり、ポアロを大いに狼狽させます。しかし、ヘイスティングスやミス・レモンの何気ない一言や、ニックの過去の言動の矛盾から、ポアロは真実に気づく糸口を見つけ出します。この作品は、探偵の先入観やプライドが推理を誤らせる可能性を示唆しており、第三者の視点の重要性を浮き彫りにしています。
ドラマと原作の違い
ドラマ版は原作の主要な要素を概ね踏襲していますが、いくつかの違いがあります。例えば、ポワロとヘイスティングスが飛行機でセント・ルーに到着する場面や、ジャップ警部が登場して捜査にあたる点、ミス・レモンがマカリスター博士の調査を担当する点などがドラマオリジナルの要素です。また、原作では重要なヒントとなるマギーの手紙や、フレディの夫が登場しないといった省略も見られます。霊媒能力がミス・レモンにあるという設定もドラマ独自のアレンジです。
ドラマのロケ地
物語の舞台であるセント・ルーは架空の町ですが、ドラマの撮影は主にデボンシャーのサルクームで行われました。エンドハウス のロケ地はモールトという邸宅です。
セント・ルーの駅の場面は、ダートマス蒸気鉄道のキングスウェア駅で撮影されました。また冒頭の飛行機の場面はゴールデン・キャップ付近上空で撮影されています。マジェスティック・ホテルのモデルはトーキーのインペリアル・ホテルとされていますが、ドラマのホテル内外の場面は複数の場所で撮影されたようです。
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