「三幕の殺人」のあらすじとネタバレ、トリック考察、感想です。ポワロの旧友であるサー・チャールズ・カートライトがパーティーを開きますが…、そのパーティーで地元の牧師が死んでしまいます。
項目 | 内容 |
---|---|
シーズン | 12 |
エピソード | 1 |
長さ | 1時間34分 |
放送日(英国) | 2010年1月3日(日) |
放送日(日本) | 2012年2月6日(月) |
出演者 | キャスト一覧(imdb) キャスト一覧(allcinema) |
原作者 | アガサ・クリスティー |
あらすじ
元俳優でポワロの旧友でもあるサー・チャールズ・カートライトがコーンウォールの自宅でパーティーを開催し、サー・チャールズの友人であるストレンジ医師や、地元の牧師などが集まった。バビントン牧師は地元の名士といえるような人物で、誰にも恨まれることはなさそうな人物だったのだが、パーティーで振舞われたドライ・マティーニを飲んだ直後に倒れ、そのまま亡くなってしまう。他殺が疑われもするのだが、グラスなどから毒物は検出されなかった。そして、牧師が死亡してから1ヶ月後――。今度は、ストレンジ医師が自宅でパーティーを開催し、酒を飲んだ直後に倒れ死んでしまう。
相関図
登場する人物達は、パーティーに参加していただけなので、ほぼ他人といえます。牧師の妻、デイカーズ夫妻、劇作家、若者の男性を除くと、主な登場人物はポワロ、サーチャールズ、エッグ、バビントン牧師、ストレンジ医師となります。ストレンジのパーティーで給仕をしていたエリスという執事が、ストレンジ殺害後に行方不明となりますが、どんな人物なのかは不明です。そして、ストレンジの療養所に到着したというラッシュブリジャーも、ほぼ名前だけ登場する人物となっています。
デイカーズ夫妻の夫は、賭博好きの男性で、妻は婦人服メーカーでオーナーをしているという女性です。劇作家はミュリエル・ウィルズ、青年はオリバー・マンダーズという名前となっています。
事件概要
カラス荘のパーティーで牧師が死亡し、ストレンジ医師が開いたパーティーでストレンジ自身が死亡するわけですが、ストレンジが死んだあと、ポワロ、サー・チャールズ、エッグが調査を開始し、当初病死と考えられていた牧師も、毒殺であることが判明します。
手口が同じだったことから、二つのパーティーに参加していた人物が怪しい、ということで、登場人物をまとめると次のようになります。なお、エッグはどちらのパーティーも、母親のメアリーと一緒に参加していました。また、ストレンジのパーティーに関して、オリバーは招待客としてではなく、飛び入りで参加しています。
名前 | 一つ目のパーティー | 二つ目のパーティー |
---|---|---|
ポワロ | 〇 | × |
サー・チャールズ | 〇 | × |
エッグ* | 〇 | 〇 |
牧師夫妻 | 〇 | × |
デイカーズ夫妻 | 〇 | 〇 |
劇作家のウィルズ | 〇 | 〇 |
青年オリバー | 〇 | △ |
エッグ、デイカーズ、ウィルズ、オリバーが怪しい人物ですが、エリスという執事も怪しいです。執事は誰かを脅していたらしく、医師の死亡後に行方を暗まします。この執事ですが、執事にしては社交界のスキャンダルに詳しく、他の執事とは違うやり方で仕事を進めたようです。
その他、パーティーの最中に、ストレンジが執事に「君は優秀な執事だ」と言ってからかっていたという目撃証言もあります。情報の多い執事ですが、どんな人物なのかはわからず、名前だけ登場しているような状況といえます。中盤以降、唯一明らかになるのは、手に赤いアザがあったということくらいです。
関係者の事情聴取で、ストレンジ医師の屋敷に隠し通路があるらしいという話題が上がっていますが、これは、真相にはあまり関係がありません。誰かが隠し通路を使って医師を殺し逃げたということのようですが、犯人は部外者ではなく、関係者の中にいます。なお、劇作家のウィルズが怪しい行動をとっていたのは、秘密の抜け道をみつけ出そうとしていたためです。
エッグと牧師の息子の関係(詳細不明)が登場したり、デリク・デイカーズが妻とストレンジの大人な関係(詳細不明)を匂わせたりするので、関係者に動機がありそうな雰囲気になります。さらに、次の事実が判明し、どちらかといえば、謎が深まっていきます。
- デリク・デイカーズはストレンジ医師に指示されてパーティーに飛び入り参加した
- ストレンジはカクテルを飲まないので牧師が誤って殺されたということはない
- サー・チャールズのメイドが新聞を読んで取り乱している
- メイドは林の中にある実験器具を破壊しようとする
- “通し稽古”という言葉でポワロが閃く
終盤にかけて、まず、ラッシュブリンジャーが毒殺されます。ラッシュブリンジャーは、ポワロに、ストレンジ医師の死について何かを語ろうとしていましたが、ポワロがその何かを聞き出す前に、死んでしまいます。
ポワロはサー・チャールズと協力して、牧師殺害時に、毒物が検出されなかった理由を実験で確かめます。そのトリックは、被害者が倒れた直後に、毒入りグラスをすり替えるというもので、犯人は、どさくさに紛れて証拠を隠滅したということでした。この実験で、ポワロは、ある人物に注目していたようですが、それが誰なのかは、やっぱり、教えてくれません。
ネタバレ
犯人はサー・チャールズ・カートライトです。サー・チャールズは、自分が開いたパーティーで毒殺の予行練習をして、その結果、牧師が死にました。予行練習(通し稽古)だったので、誰が死んでもよいという状況だったといえます。
その後、犯人のサー・チャールズは、エッグと結婚するために、自身が既婚者であることを知る友人のストレンジ医師も殺害しました。そして、最後に、ラッシュブリンジャーも毒殺しますが、この患者は、サー・チャールズの妻でした。
執事の正体
サー・チャールズはストレンジ医師のパーティーに出席していなかったはずですが、実は、執事のエリスに変装してパーティーに参加していました。ストレンジ医師は、サー・チャールズの変装に気付き、「君は優秀な執事」と言ったり、サー・チャールズの変装についてパーティーで話そうとしていました。
劇作家のウィルズは、執事のシミについて話した時、彼女もチャールズと執事が同一人物であることに気付いています。なお、その後、ウィルズは行方不明となりますが、これはポワロが彼女を避難させたためです。そして、ポワロが実験で注目していた人物というのは、ウィルズのことでした。ウィルズは、疑っていたサー・チャールズが倒れたので、とても驚いたようです。
執事の部屋にあったインクの染みや脅迫文は、サー・チャールズが予め仕込んでおいた偽の証拠です。そして、林の中の小屋にあった実験器具は毒を作るための装置です。メイドは、サー・チャールズの犯行に気付いていたため、新聞を読んで取り乱したり、実験器具を破壊しようとしたりしていました。
トリック考察
パニックに乗じて証拠を隠滅するというトリックが登場していました。「あっ!UFO!」と似た部類のトリックですが、他にもいろんなパターンがありそうです。
殺人の練習で、自然死に見せるため、死体発見時に、毒入りのグラスを処分するというトリックが使われていたと思います。このトリックは成功し、毒物が検出されなかったため、病死と判断されています。
原作
原作は第16作目の長編小説「三幕の殺人」で、細かな違いはありますが、ストーリーは概ね同じです。原作には、アガサ・クリスティーの他作品で活躍するサタースウェイトが登場しますが、ドラマでは省かれています。他にも、アンジェラ・サットクリフという女優や細かな人物がいろいろと省略されています。
みんなの感想
原作小説のレビューをご紹介します。
「謎のクィン氏」というクリスティーの作品に登場するサタースウェイト氏も出てくる作品。
第二幕まで、ポアロは脇。小説の冒頭に“照明・ポアロ”と書かれているのが、なんだかおもしろい。
素人探偵三人が主役となり、ポアロが脇役扱いという、珍しいお話でした。
毒殺トリックがメインではなかった。本題は動機の謎であろう。
中高年の俳優と若い美女のロマンス。つっこみどころはあったけれど、もっと早く読むべきだったと感じた作品ではある。
感想
サー・チャールズが犯人だとは、本当に、思いませんでした。エッグと結婚することになり、歳の差ありすぎじゃない?と余計なお世話なことを思ったりもしましたが、これが動機につながっていたということですね。
まとめ
名探偵ポワロ「三幕の殺人」について、あらすじ、真相、トリック考察および解説、感想・雑談をご紹介しました。最後に、登場人物とロケ地についてご紹介します。
登場人物
事件関係者は以下の通りです。
名前 | 説明 | 解説 |
---|---|---|
サー・チャールズ・カートライト Sir Charles Cartwright |
ポワロの友人 犯人 |
殺人の練習をした結果、牧師を殺害する エッグと結婚するために古くからの友人や妻も殺害する |
エッグ Egg |
ポワロの協力者 | エッグは愛称で本名はハーミオン・リットン・ゴア サー・チャールズと結婚の約束をしてしまう |
ロケ地
サー・チャールズがパーティーを開いた屋敷の内装は、Eltham Palace(エルサレム宮殿)です。外装は「マギンティ夫人は死んだ」にも登場したSt Ann’s Court(セント・アンズ・コート)です。
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