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ベールをかけた女|徹底解説・あらすじ・ネタバレ・登場人物など【ポワロ12】

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 ベールをかけた女』は宝石強盗事件とポワロの依頼人が意外なかたちで繋がるエピソードです。この記事ではあらすじとネタバレ、登場人物(キャスト)、考察・感想などをまとめています。

The Veiled Lady
項目 内容
シーズン 2
エピソード 2
長さ 49分
放送日(英国) 1990年1月14日(日)
放送日(日本) 1990年7月18日(水)
原作者 アガサ・クリスティー
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あらすじ

 とある強盗は捕まえるふりをした仲間に宝石を渡し、まんまと宝石を盗み出したという。ジャップ警部からそんな宝石強盗の話を聞いたポワロだったが、事件には興味を示さず、代わり、伯爵令嬢の依頼を引き受けることにする。依頼人は過去に書いた軽率な手紙が原因で、ラビントンという男に脅されていた。ポワロはラビントンの留守中に屋敷へと忍び込み、手紙を盗み出そうとうするが、賢明なる家政婦にみつかってしまう…。

事件概要

不法侵入で捕まったポワロですが、その場から一目散に逃げたヘイスティングス大尉がジャップ警部に連絡し、釈放されます。捕まったとはいえ、薪の中に隠された木箱と、その中に入っていた手紙を手に入れたポワロは依頼人の伯爵令嬢に、手紙を返そうとします。この事件には、ジャップ警部の話していた宝石強盗だけではなく、実は、オランダでイギリス人が死亡したという事件も関わっています。

登場人物とキャスト

事件関係者は以下の通りです。ポワロ、ヘイスティングス大尉、ジャップ警部、ミス・レモンは省いております。

名前 キャスト 説明
ミリセント
Lady Millicent
フランシス・バーバー
Frances Barber
依頼人の女性
伯爵令嬢
ラビントン
Lavington
テレンス・ハーヴェイ
Terence Harvey
ゆすり屋
ミリセントを強請っている
ゴッドバー夫人
Mrs Godber
キャロル・ヘイマン
Carole Hayman
メイド
ラビントン宅に勤めている
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ネタバレ

伯爵令嬢を名乗っていた依頼人は宝石強盗の一人です。主謀者である彼女はラビントンと共謀し、宝石を盗みました(ドラマ冒頭のシーン)。しかし、宝石を盗み出した後に、ラビントンが裏切ります。裏切りにあった依頼人はラビントンを殺害。実は、オランダで死亡したイギリス人というのはラビントンのことで、ポワロのマンションに現れたラビントンは偽物です。

宝石強盗である依頼人が手紙を探していたのは、名探偵ポワロに宝石を探させるためです。依頼人はラビントンを始末しましたが、宝石の在り処はわからなくなっていました。依頼人はラビントンが宝石と一緒に隠していた手紙を巧みに利用し、恐喝されている伯爵令嬢になりすまし、ポワロに手紙の奪還を依頼しました。

  • レディー・ミリセント(Lady Millicent)
    伯爵令嬢というのは嘘。ポワロに手紙の奪還を依頼したが実は強盗。強盗犯のラビントンと仲間割れを起こしていた
  • ラビントン(Lavington)
    ミリセントと共謀して宝石を盗むが宝石を持って逃亡する。オランダで死んだイギリス人とは彼のこと
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トリック考察

 犯人(=ベールの女性=伯爵令嬢=窃盗団の頭領)は嘘をついていました。本当は伯爵令嬢ではありませんでしたし、探していたものも手紙ではなく宝石でした。依頼人が嘘をついていることを示すような手掛かりはありませんでしたが、ジャップ警部の調べで事実が明らかになっています。

 嘘をつくというのは、最もシンプルなトリックだと思います。伯爵令嬢がいけない手紙を探している、というシナリオを成立させるため、今回の犯人は嘘をつきました。嘘以外にも、貴族になりすますため、それっぽい服も着ています(これは変装というトリックといえそうです)。通常は、犯人の嘘に対して真実との矛盾が生じます。しかし今回、犯人が嘘をついていることを示唆するような証拠や証言は登場していないようです。

木箱の隠し場所

 死んだラビントンは手紙や宝石を中国の魔法の小箱に隠していました。さらにこの箱は薪の中に隠されていました。太めの薪は斧で割ったように二分割でき、内部には箱を収納できるようなスペースがあります。この隠し場所が明らかになったのは、冬でもないのに暖炉に薪が置かれていたからです。

捨て駒

 宝石強盗で使われたトリックは強盗実行犯があえて捕まるというものでした。犯人が捕まってしまえば周囲は安心します。その隙に、共犯者が実行犯を取り押さえるふりをして宝石を受け取り逃亡します。実行犯は捨て駒にみえますが、宝石を持っていないということが明らかになれば、釈放される可能性もあります*1

*1:捕まった実行犯の、犯行の一部始終が目撃されていたのであれば釈放されることはないかもしれません。実行犯が捨て駒扱いの場合は共犯者を使ったトリックといえます

感想

 ラビントンの家政婦ゴッドバーが最強でした。とはいえ、いきなり鍵屋が現れたら、誰でも不審に思うのかもしれません。ゴッドバーさん、なんか口うるさそうだったし(関係ないか)。そういえば、シャーロック・ホームズは配管工に扮してある人物の屋敷に忍び込んでいました*1

*1:「犯人は二人」という作品です。ネタバレではありません

不法侵入

 手紙を奪還するため、ポワロはラビントンの自宅に不法侵入しています。この後、すぐに捕まっているので、一応、罪は裁かれたように思います。シャーロック・ホームズも割と住居に侵入していますし、最近私がみたガリレオシリーズ(ドラマ)でも、そんなシーンがありました。みんなやってるからいいのかもしれない、とちょっと思ったりもします。もちろん、フィクションの中での話です。

ベール

 ベールの女というのは、顔が見えません。これが、正体を隠しているという意味だったとすると、タイトルが、依頼人の嘘を暗に示していたのかもしれません。つまり、タイトルが伏線だった、かもしれないです。原題は「The Veiled Lady」なので、邦題とほぼ同じ意味のようです。翻訳者ではなく、イギルスの製作者の意図だった、かもしれないです。

見どころ

ドラマ版では、ポワロが錠前屋に変装してラヴィントンの家を偵察する場面や、ヘイスティングスと共に家に忍び込む場面が面白く描かれています。特に、ポワロが逮捕され、ヘイスティングスが豪快に逃げるシーンは印象的です。
博物館での追いかけっこはドラマオリジナルの見せ場といえます。警備員とジャップ警部のやり取りなど、随所にユーモアが散りばめられています。ガーティ役のフランシス・バーバーやラヴィントン(ジョーイ)役のテレンス・ハーヴェイなど、ゲスト俳優の演技も見どころの一つです。

ロケ地

強盗が入った宝石店はバーリントンアーケードと呼ばれる場所です。

拡大地図の表示することで外観などを確認できます。

原作

原作は短編「ヴェールをかけた女」で、短編集「ポアロ登場」に収録されています。原作とドラマで、ストーリーやトリックは同じです。しかしながら、ドラマのラストに登場したミリセント達の逃走は原作には描かれていません(ドラマオリジナルの演出です)。また、原作では、ラビントン宅侵入でポワロは捕まらず、完全犯罪を成し遂げています。この他、強盗事件をポワロに話すのが大尉だったり、依頼人(ドロボー)の紙の色が金髪だったりと、細かな違いがあります[下記山荘]。

ドラマ版との相違点

  • 原作ではヘイスティングスが宝石強盗の話をしますが、ドラマ版ではジャップ警部がポワロに話を持ちかけます
  • ポワロとヘイスティングスは、依頼人である「レディ・ミリセント」とアシーナ・ホテルで会う設定になっています
  • 原作にはヘイスティングスがラヴィントンを尾行する場面が追加されており、彼の助手としての役割が強調されています
  • ラヴィントン宅への侵入の結末がドラマオリジナルです。ポワロは家政婦に通報されて逮捕されてしまいますが、ヘイスティングスは窓を破って大胆に逃走し、ジャップ警部に連絡します
  • 手紙と宝石の受け渡し場所が鳥獣博物館に変更されており、クライマックスではガーティとジョーイのコミカルな逃走劇が描かれます。警備員がジャップ警部を犯人と間違えるなど、ユーモラスな演出が加えられています
  • 原作でポワロが偽物を見抜いたヒントとされる「靴」については、ドラマ版では特に言及されず、謎解きにも直接関係しません
  • ポワロが船が苦手という初期原作の設定が反映された、船に関するユーモラスなやり取りが最後にあります

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