『鏡は横にひび割れて』のあらすじと真相、原作小説との違い、考察、感想などをまとめています。ドラマ版ミス・マープルシリーズの第20話(S5E4)です。第1話に登場したゴシントン・ホールなどが再び登場します。
あらすじ
大女優マリーナ・グレッグ主演の映画を鑑賞したマープルと友人のバントリー夫人は、かつてバントリー夫人が所有していたゴシントン・ホールを訪ねる。そこではマリーナが若い夫と暮らしていた。マリーナらとお茶を楽しんだマープルは帰り道で躓いてしまい、通りすがりのヘザー・バドコックに助けられる。どうやらヘザーはマリーナの大ファンらしかった。
数日後、マリーナがゴシントン・ホールで慈善パーティーをひらき、大勢のゲストや報道関係者が集まる。慈善団体で秘書を務めるバドコックもゲストの一人で、マリーナと会話を交わすが、その最中にマリーナは無表情で呆然と立ち尽くしてしまう。その直後、バドコックが毒殺されてしまう。
登場人物とキャスト
主な登場人物とキャストをまとめます。
名前 | キャスト | 説明 |
---|---|---|
ミス・マープル Miss Marple |
ジュリア・マッケンジー Julia McKenzie |
老婦人の名探偵 バントリー夫人の友人 |
ドリー・バントリー Dolly Bantry |
ジョアンナ・ラムレイ Joanna Lumley |
マープルの友人 ゴシントン・ホールの元持ち主 |
マリーナ・グレッグ Marina Gregg |
リンジー・ダンカン Lindsay Duncan |
大女優 自宅でパーティーを開く |
ジェースン・ラッド Jason Rudd |
ナイジェル・ハーマン Nigel Harman |
映画監督 マリーナの5番目の夫 |
エラ・ブラント Ella Blunt |
ヴィクトリア・スマーフィット Victoria Smurfit |
ラッドの秘書 花粉症 |
ヘイリー・プラストン Hailey Preston |
ブレナン・ブラウン Brennan Brown |
マリーナの助手 |
ヴィンセント・ホッグ Vincent Hogg |
マーティン・ジャーヴィス Martin Jarvis |
マリーナの元夫 映画評論家 |
ローラ・ブルースター Lola Brewster |
ハンナ・ワディンガム Hannah Waddingham |
ホッグの妻 ラッドの元恋人 |
ヘザー・バドコック Heather Badcock |
キャロライン・クエンティン Caroline Quentin |
被害者 マリーナのファン |
マーゴット・ベンス Margot Bence |
シャーロット・ライリー Charlotte Riley |
写真家 パーティーの様子を撮影 |
チェリー・ベイカー Cherry Baker |
オリビア・ダーンリー Olivia Darnley |
マープル家のメイド |
プリムローズ・ディクソン Primrose Dixon |
ロイス・ジョーンズ Lois Jones |
チェリーの友人 パーティーの給仕 |
ヘイドック Dr. Haydock |
ニール・ステューク Neil Stuke |
医師 マープルの捻挫を治療する |
ヒューイット Hewitt |
ヒュー・ボネヴィル Hugh Bonneville |
警部 |
ティドラー Tiddler |
サミュエル・バーネット Samuel Barnett |
巡査部長 |
事件概要
ヘザー・バドコックという女性がパーティーの最中に毒入りカクテル(ダイキリ)を飲んで死んでしまいます。ダイキリが入ったグラスはプリムローズという女性が運び、マリーナの夫であるラッドがバドコックに手渡しました。このとき、ラッドは妻のマリーナにもダイキリを渡しています。そのあと、バドコックがマリーナとぶつかり、ダイキリをこぼしてしまいます。マリーナは持っていたダイキリをバドコックに渡しますが、そのダイキリは毒入りでした。
マリーナは自分が狙われたに違いないと考え、怯え始めます。その後、映画の撮影中にコーヒーに毒が入っていたと騒いだりもします。問題のコーヒーは夫のラッドが捨ててしまいますが、実はラッドは少量を残していたらしく、そのコーヒーにはヒ素が含まれていました。
マリーナはパーティーでバドコックと話した時に、茫然自失としています。なぜ、そのような状態に陥ったのかは不明です。バドコックがマリーナに話していたのは、12、13年前の昔話で、病気だったけど“おしろい”で誤魔化してサインを貰いにいったという内容でした。
バドコックが話している時、元夫がサプライズで現れ、写真家のマーゴット・ベンスも姿をみせました。元夫のホッグが連れていたローラという女性はマリーナの夫であるラッドの元恋人で、ローラはマリーナにラッドを奪われたと考えています。
マードットは実はマリーナの養子でした。マリーナは養子をとりましたが、その直後に妊娠し実子を授かりました。ところが、その子供は重い障害を持っており、現在は療養所に入っています。
ホッグ氏やマリーナの専属助手であるプラストンに脅迫めいた電話がかかってくる中、秘書のエラ・ブラントも殺されてしまいます。脅迫電話をかけていたのはエラで、彼女は真犯人を脅迫したために、殺害されたようでした。
ネタバレ
真犯人はマリーナ・グレッグです。マリーナは自分のダイキリに毒を入れ、わざとバドコックにぶつかり毒入りダイキリを渡しました。バドコックがマリーナにわざとぶつかったという証言も登場しますが、これは見間違いです。
動機はバドコックの病気が原因でマリーナの実子が障害をもったためです。バドコックがマリーナにサインを貰ったとき、マリーナは妊娠中でした。バドコックの病気は麻疹で、マリーナが麻疹に感染したため、子供は障害を持ってしまいました。このことにマリーナはバドコックとの会話で気付き、茫然自失としていました。
コーヒーに毒が入っていたというのは嘘で、マリーナの自作自演でした。コーヒーから毒が発見されたのは、夫のラッドがマリーナの犯行に気付き、妻をかばおうとしたためです。つまり、コーヒーに毒は入っておらず、夫が毒入りコーヒーを用意して調べていました。
秘書のエラ・ブラントを殺したのもマリーナです。マリーナがエラに気付いたのは、花粉症のエラが電話の最中にくしゃみをしたためだと考えられます。なお、エラは手あたり次第に脅迫電話をかけていました。
結末
マープルはヒューイット警部らをゴシントン・ホールに集め、ジェースン・ラッドに真相を語ります。この時既に、マリーナは薬の過剰摂取で亡くなっていました。
原作とドラマの違い
登場人物の名前など、多少の違いはありますが、ドラマは原作小説を忠実に再現しているといえます。細かな違いは以下の通りです。
- ドラマに登場したヴィンセント・ホッグは、原作小説ではアードウィック・フェンという名前
- 原作には被害者ヘザー・バドコックの夫アーサー・バドコックが登場し、アーサーもパーティーに参加する
- ドラマと原作小説では、パーティーで給仕をしていたプリムローズの証言がやや異なる。原作はマリーナがわざとバドコックにぶつかったという事実と食い違いのない内容だが、ドラマは被害者のバドコックがわざとマリーナにぶつかったに変わっている
感想
アメリカの俳優ジーン・ティアニーがマリーナ・グレッグのモデルと言われています。ジーン・ティアニーは妊娠中にファンから風疹をうつされ、その結果、子供が障害を持ってしまいました。
考察
自分が狙われたようにみせて、容疑者から外れようとしていました。毒入りのグラスを渡したのがマリーナだったので、かなり疑わしい人物の一人でしたが、動機には気付きにくかったと思います。
まとめ
ミス・マープル「鏡は横にひび割れて」について、あらすじ、真相、ドラマと原作の違い、感想などをご紹介しました。
犯人
- マリーナ・グレッグ
Marina Gregg
ハリウッドスター。結婚は5回目。障害を持つ子供がおり、施設に預けている。出産から十数年後、『麻疹にも関わらずサインを貰いにいった』と誇らしげに語る女性が目の前に現れる。子供が障害をもったのは、その女性の麻疹が原因だった。このことに気付いた犯人は毒を盛って女性を殺害。自分が狙われたと嘘をつき、容疑者から外れようとする。
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