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マギンティ夫人は死んだ|あらすじ・ネタバレ解説【ポワロ58】

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マギンティ夫人は死んだ」のあらすじとネタバレ、トリック考察、感想です。マギンティ夫人殺害の容疑でジェームズ・ベントリーという青年が逮捕され死刑が確定しますが、担当警視が疑問を抱きポワロに調査を依頼します。

Mrs McGinty’s Dead
項目 内容
シーズン 11
エピソード 1
長さ 1時間33分
放送日(英国) 2008年9月14日(日)
放送日(日本) 2010年9月13日(月)
出演者 キャスト一覧
原作者 アガサ・クリスティー
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あらすじ

マギンティ夫人を殺した罪で、ジェームズ・ベントリーの絞首刑が確定する。しかし、担当刑事のスペンスはジェームズの犯行に確信を持てず、ポワロに事件の調査を依頼する。依頼を引き受けたポワロは関係者に聞き取り調査を行い、その過程で、マギンティ夫人が所持していたサンデー・コメットという新聞を発見する。新聞の一部は切り抜かれていたのだが、見出しは“過ぎ去った悲劇の女性犠牲者・彼女たちは今どこにいるのか?”であることがわかる。ポワロは、記者に記事の詳細を尋ねるのだが、ゴシップだと言い返されてしまう。しかしながら、その記事に載った女性と、マギンティ夫人殺害にはつながりがあるようだった。

事件概要

マギンティ夫人が死に、容疑者としてジェームズが逮捕され刑が確定する、というところまで物語は進んでいます。ジェームズが逮捕された経緯ですが、まず、マギンティ夫人の屋敷に住んいたジェームズは死体の第一発見者でした。動機は金で、死んだ夫人の金品が盗まれていたことや、ジェームズが金に困っていたことなどが、裏付けとなっています。しかしながら、ジェームズ本人は犯行を否定しています。そして、凶器となった鈍器はみつかっていません。

サンデー・コメットはゴシップネタなどを記事にしている新聞で、マギンティ夫人の遺品でした。後に、この記事に書かれていた“彼女たち”というのが、エヴァ・ケインとリリー・ガンボールという名前の女性であることがわかります。

エヴァとリリーには後ろ暗い過去があり、エヴァは不倫の末に相手の妻の殺害に加担し、リリーは肉ひき機でおばを殺害しています。エヴァには不倫相手との間に生まれた子供がいるはずで、名前はイヴリン・ホープですが、三人とも、どこで何をしているのかはわかりません。このエヴァ、リリー、イヴリン、もしくは彼らの関係者が、マギンティ夫人殺害が起きたブロードヒニーに潜んでおり、その正体を知ったためにマギンティ夫人は殺されてしまったようです。

その後、ローラ・アップワードという高年の女性も殺害され、彼女の屋敷で死体がみつかります。ポワロは、ローラが亡くなる前に、エヴァとリリーの写真をみせており、この時、ローラはリリーの顔に見覚えがあると答えます。ただ、その詳細については語らぬまま殺されてしまうため、ローラがリリーの何を知っていたのかというのはわからなくなってしまいます。なお、ポワロが駅のホームで突き飛ばされますが、これは、マギンティ夫人殺害とは直接関係のない事件です。

死んだローラはマギンティ夫人を掃除婦として雇っていた人物の一人でした。ローラはロビンという劇作家と暮らしており、ロビンはオリヴァ夫人と共同で戯曲を執筆しています。ローラが殺された頃、ロビンはオリヴァと共に劇場に出かけており、途中、ロビンはローラに電話をしています。

ローラの死体がみつかった部屋には口紅のついたカップが置かれていました。また、イヴ・カーペンターが愛用している香水の残り香もありましたが、イブはローラの屋敷には向かっていないと主張しています。事件があった日、ローラは、あちこちに電話をして人を呼び出していたようですが、実際に訪ねてきたのは下宿屋のモーリンだけでした。モーリンは扉をノックしたりしたが、何も返事はなかったと証言しています。

マギンティ夫人殺害につながるヒントとしては、アップワードの屋敷に“イヴリン・ホープ”の名前が書き込まれた本(オーストラリアのグレート・バリア・リーフについて)があったこと、そして、下宿屋の引き出しに“我が母”と書かれたエヴァ・ケインの写真が入っていたことなどが挙げられます。また、ポワロが死んだローラが嘘をついていること、つまり、写真を見せたとき、ローラが知っていたのは、リリーではなくエヴァのことだったこともヒントといえます。

その他、モードがイヴリン・ホープの名前を知っていたこと、イブ・カーペンターの昔の写真が見るかったこと、シーラが書類を燃やしていたことなど、謎めいた事実が明らかになりますが、これらは、あまり真相には関係ありません。文房具屋の女性とマギンティ夫人の姪の夫が不倫していたというのも明らかになりますが、これも殺人とは関係のない話です。

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ネタバレ

真犯人はロビン・アップワードです。彼こそがエヴァ・ケインの子供イヴリン・ホープで、正体を知られたため、マギンティ夫人とローラ・アップワードを殺害しました。ロビンとローラは実は養子で血のつながりはなく、ロビンにとってローラは劇作家として活動するためのパトロンでした。ロビンは、母親が不倫し、さらに相手の妻も殺したという事実がスキャンダルになると考えていたようです。

ロビンはマギンティ夫人を強盗殺人のようにみせ、間借りしていたジェームズに罪をなすりつけました。凶器は下宿屋から盗んだシュガーハンマーで、宿屋のモーリンはハンマーの紛失に気付いていませんでした。

ローラ・アップワードはポワロに写真をみせられたときにロビンの正体に気付きました。このことを悟ったロビンは、オリヴァ夫人と劇場に出掛ける直前にローラを殺し、口紅や香水、声色をかえて電話し人を呼び出すなどのトリックを仕掛けました。オリヴァ夫人が目撃したのは、ロビンが電話をしているふりでした。なお、下宿屋からエヴァの写真がみつかっていますが、これはロビンの仕掛けた罠です。

モード・ウィリアムズの正体はエヴァ・ケインが不倫した相手の子供、そして、ホームでポワロを突き飛ばしたのはシーラ・レンデルでした。

モードは母を殺し、家庭を崩壊させたエヴァ・ケインを憎んでいました。そして、モードはローラがエヴァ・ケインであると勘違いし、ローラを殺害しようとしていました。しかし、モードがローラの屋敷に侵入した時、ローラは既にロビンに殺されていました。

シーラがポワロを突き飛ばしたのは、夫のレンデル医師が末期患者の安楽死のために薬を処方していたからです。医師の目的が金儲けだったのかどうかは定かではありませんが、悪い噂が広まってしまいシーラは精神的に参っていました。そこにポワロが登場したので、妄想が膨らんでしまい、探偵に咎められることを恐れポワロを殺害しようとしました。

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トリック考察

 殺人に関しては、強盗殺人に偽装する、被害者が生きているようにみせるなどのトリックが登場していました。メイントリックは、女だと思われていたイヴリン・ホープが男だったということですが、これは、関係者が勝手に勘違いしたという要因が大きいと思います。

 イヴリン・ホープは親につけられた名前なので、犯人が自ら仕込んだトリックかというと、そうではないように思います。自分の名前をうまく利用していたとも考えられますが、それを匂わせるような描写は、ほとんどなかった気がします。そもそも、イヴリン・ホープという名前を知っているのがおかしいという状況であり、ポワロ達が女性だと勘違いしているという確信も得られなかった状況ではなかったかと思います。

原作

原作は第42作目の長編小説「マギンティ夫人は死んだ」で、ドラマは原作小説を忠実に再現しています。ただし、多少の違いもあります。ドラマで登場した過去の女性は二人(エヴァ・ケインとリリー・ガンボール)だけでしたが、原作小説では二人加わり、合計四人の女性が登場します。

みんなの感想

 原作小説のレビューをご紹介します。

先にドラマをみたので、犯人はわかっていたが、トリックや背景にある動機など、やはりアガサならではの人間心理が面白かった。ポアロの「自己主張というやつは、年をとるにつれて出てくる性質なのです」という言葉が記憶に残った。

大学生の頃に読んだのだが、登場人物の多さに頭がついていけなかった。その後の再読で、過去のストーリーを手繰るポアロとスパイス的ポジションのオリヴァ夫人を楽しむことができた。その後、ドラマをみたのだが、原作忠実度は高いと思う。

例えば“密室”のように、くっきりした謎があるわけではないです。

トリックは…という感じなのだが、ストーリーは世相を反映している所もあって面白いと思った。

登場人物の多さ、名前の複雑さから苦労しながらの読書でした。

感想

お前がイヴリンだったのか、という真相でした。イヴリンはオリヴァ夫人と脚本を書いていたようなので、本当に計画的に人を殺した人間が描くミステリーというのはなかなか面白そうだな、なんて不謹慎なことを思ったりもします。

まとめ

 名探偵ポワロ「マギンティ夫人は死んだ」について、あらすじ、真相、トリック考察および解説、感想・雑談をご紹介しました。

登場人物

事件関係者は以下の通りです。

名前 説明 解説
ジェームズ・ベントリー
James Bentley
容疑者 マギンティ夫人の家に間借りしており夫人殺害を疑われる
死刑が確定するが真犯人がみつかり釈放される
ロビン・アップワード
Robin Upward
劇作家
犯人
実はエヴァ・ケインの子供であるイヴリン・ホープ
スキャンダル発覚を防ぐため正体に気付いた人物を殺した
モード
Maude
容疑者の元同僚 エヴァ・ケインが不倫した男性と妻の子供
ローラ・アップワードがエヴァ・ケインだと勘違いし屋敷に侵入していた

ロケ地

 イブ・カーペンターが暮らしていた邸宅はSt Ann’s Court(セント・アンズ・コートと読む、はず)というイギリス指定建造物でした。このお屋敷は「三幕の殺人」の冒頭のシーンなどにも登場しています。

ロンドンのビッグ・ベンから26マイル(41km)ほど離れた場所にあります。日本でいうと、東京駅から八王子くらい、もしくは、梅田から河原町くらいの距離です。

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