人気作家・東野圭吾さんの心温まる長編ミステリー『クスノキの番人』について、あらすじ、読者の感想、ネタバレなどをまとめてご紹介します!ファンタジーやヒューマンドラマの要素があって幅広い読者の方に受け入れられそうな作品です。
あらすじ
主人公の直井玲斗が窃盗の罪で逮捕されてしまう。しかし、玲斗は女性弁護士によって救われ、叔母である柳澤千舟からクスノキの番人という奇妙な仕事を任されることになる。クスノキの番人は、月郷神社にある不思議な力を持つクスノキの管理をする仕事で、クスノキには、人々の「念」を預かり、血縁者に伝える力があるという。玲斗はクスノキを訪ねる人々と出会い、彼らを案内するうちに人々の秘めた想いに触れていく。そして自身の過去と向き合い、成長していく――。
小説の特徴
- ファンタジー要素!
願いを叶えるクスノキという設定が印象的 - ヒューマンドラマ!
家族の絆や人間関係が描かれています - ミステリー要素!
クスノキを訪れる人々の隠された背景が徐々に明らかになっていく部分がミステリー要素です - 成長物語
クスノキの番人になった主人公が様々な経験をする中で、人間的に成長していく姿に感動します
感想
読後感が温かく、優しい気持ちになれる作品でした。家族や人間関係の大切さを改めて感じさせてくれます。主人公の玲斗の成長物語に共感し、応援したくなりましたし、描かれる様々な人間模様にいろんなことを思いました。「自分にとって大切な人との絆とはなんだろうか?」とか、「もしクスノキに念を預けられるとしたら、誰に何を伝えたいか?」とかです。
ただですね、本格ミステリーのような謎解きを期待すると少し物足りないかもしれないです…。ミステリー要素がないわけではないですが、偽装工作とかトリックとかいう感じではなく、あくまで人間ドラマが中心だと思います。
あと、『クスノキの番人』というタイトルが最初は比喩表現なのかなとおもったら、ほんとに不思議な力をもったクスノキの番人だったので、ちょっと意外でした。
高評価なポイント
- 心温まるストーリー
読後感が良くて心が温かくなる!玲斗がクスノキの番人として成長していく姿に感動! - 読みやすい文章
東野圭吾さんの文章はいつも読みやすくて物語に没入できます - 東野圭吾の新たな一面
今までの東野作品とは一味違ったテイストが楽しめます
低評価なポイント
- ミステリー要素の薄さ
過去の東野作品のようなミステリーを期待すると物足りないかもしれません - 設定の非現実性
クスノキの力などスピリチュアルな要素を受け入れられるかどうかは好みが分かれそうです - 都合の良い展開
主人公がトントン拍子で成長していく展開に違和感
ネタバレ注意
クスノキはただのパワースポットではなく、人々の念を預かり、血縁者に伝える力を持っています。新月の夜にクスノキに祈念することで、故人や遠く離れた家族に想いを伝えることができます。
物語の終盤で、千舟が認知症を患っていることが明らかになります。彼女は、クスノキの力を使って、自分の記憶が失われる前に、大切な想いを玲斗に伝えようとしていました。そして、玲斗は千舟の念を受け継ぎ、クスノキの番人として生きていくことを決意します。あと、佐治寿昭は不倫していたのではなく、亡くなった兄・喜久夫の音楽を母(寿昭と喜久夫の母親)に届けようとしていました。
まとめ
トリック満載の本格的なミステリーというよりは、ミステリー要素とファンタジー要素のあるヒューマンドラマという感じですが、心温まる物語でした!
続編
続編は『クスノキの女神』です!こちらの小説については別のページにまとめています。
この本を読んだ方へのオススメ
- ナミヤ雑貨店の奇蹟:同じく東野圭吾さんの心温まるファンタジー作品
- ツナグ:辻村深月さんの死者との再会を描いた感動的な物語
コメント