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ヒッコリー・ロードの殺人|あらすじ・ネタバレ解説【ポワロ43】

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 ヒッコリー・ロードの殺人」のあらすじとネタバレ、トリック解説、感想・考察です。学生寮で起きた盗難事件をポワロが調査します。

Hickory Dickory Dock
項目 内容
シーズン 6
エピソード 2
長さ 1時間43分
放送日(英国) 1995年2月12日(日)
放送日(日本) 1997年12月30日(火)
出演者 キャスト一覧
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あらすじ

 フローレンス・ハバードはヒッコリー・ロードの学生寮で管理人をしていた。あるとき、学生寮で盗難事件が多発する。不安を感じたフローレンスは妹のミス・レモンに事件を話し、エルキュール・ポワロに相談する。盗まれたものの中に貴重な品はなかった。一度、高価な指輪が盗まれもしたが、それはすぐにスープの中からみつかった。調査を引き受けたポワロは見事な推理力で紛失した片方の靴を見つけ出し、その後、学生寮で暮らすシーリアという女性がクレプトマニア(窃盗癖)を告白する。シーリアの自供によって盗難事件は解決したようにみえたが、そのシーリアが殺されてしまう。学生達から話を聞くなどして殺人の調査を進めるポワロだったが、学生寮のオーナーと、パトリシアという学生も殺されてしまう。

解説

学生が7名登場します。このうち、2名が殺害されます。最初に殺されたのはシーリア・オースティンという学生です。彼女は睡眠薬とモルヒネをすり替えられて死亡しました。シーリアがクレプトマニアをポワロに告白した時、コリン・マックナブも一緒でした。コリンは見た目が青年っぽくないので、憶えやすい人物です。重要なのは、シーリアはコリンのことが好きだという点です。

シーリア殺害が発覚した後、オーナーが犯人を知っているようなことを学生達の前で口走り、殺されます。そして、女子学生のパトリシア・レインも殺されます。シーリアとパトリシアは、どことなく雰囲気が似ています(役者さんが似ているというだけで、事件には関係がありません)。パトリシアは政治家と病院で面会し、ある写真を手に入れたために殺害されました。その政治家は過去に妻を亡くしており、写真は真犯人の正体を知る重要な手掛かりとなります。

冒頭、旅行から帰ってきたらしき男子学生はレナード・ベイトソンで、女子学生はサリー・フィンチです。サリーは鞄屋の店員と親しくしています。そして、大学で詩人ジョン・キーツを研究しているにも関わらず、キーツの詩の一節に気付かないという不審な点もあります。以上のことから、サリーは非常に怪しい人物といえます。残る学生はナイジェル・チャップマンという男子学生と、バレリー・ホブハウスという女子学生です。ナイジェルはべっ甲の丸眼鏡をかけたパーマの青年です。彼はパトリシアが襲われたとき、ポワロのそばにいました。そしてバレリーはファッションを学ぶ女性です。

7名の学生のうち2名が殺害され、残る5名の学生の中に殺人事件の真犯人がいます。事件は盗難から始まりましたが、盗んだのは最初に殺されたシーリアでした。彼女はクレプトマニアという精神病を抱えていたようですが、実はシーリアが盗んでいないものがあります。それがホウ酸、リュックサック、電球、聴診器です。このうち、シーリアはリュックサックを盗んだ人物を知っているというようなことを口走り殺害されます。

聴診器を盗み出したのは男子学生のコリンで、彼は医者に変装してモルヒネを盗むために、寮にあった聴診器を盗みました。モルヒネを盗んだのは、他の学生との賭けのためです。コリンはモルヒネの瓶を盗んだ後、一週間ほど瓶を所持し、その後、トイレに流して捨てました。しかし、捨てたはずのモルヒネがコリンの部屋で発見され、コリンは逮捕されます。

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ネタバレ

 犯人はナイジェル・チャップマンとバレリー・ホブハウスです。ナイジェルとバレリーはダイヤ密輸の一員でした。彼はリュックの隠しポケットに入れてダイヤを密輸していましたが、ある夜、リュックを引き裂いている姿をシーリアに目撃されてしまいます。シーリアに目撃されたことを知ったナイジェルはモルヒネと睡眠薬をすり替えてシーリアを殺害しました。モルヒネはコリンが薬局から盗んだもので、ナイジェルが中身をホウ酸と入れ替えていました。オーナーのクリスティーナ・ニコレティスも密輸に加担しており、いわばナイジェルの味方でした。しかし、オーナーにとって人殺しは想定外だったため、犯人のナイジェルを告発しようとします。そして、逆に殺されてしまいます。

 最後に死んだパトリシアは政治家のサー・アーサー・スタンリーの病室で、ナイジェルの写真を手に入れました。話題になっていた政治家の息子は実はナイジェルでした。ナイジェルの正体に気付いたパトリシアはナイジェルの共犯者であるバレリーによって殺されました。パトリシアが襲われた時、ナイジェルにアリバイがあったのは共犯者が犯行に及んだためです。ナイジェルは自分の母親を殺していました。彼は母親の金を何度も盗んでいました。幾度となく許していた母ですが、ついに警察への通報を決意します。それを知ったナイジェルは母親を殺害します。父親であるサー・アーサー・スタンリーは妻の死を事故死だと主張し殺人を隠蔽しますが、息子のナイジェルに、もう一度でも罪を犯したら母親殺しを公表するという誓約書を書かせていました。

 リュックサック、ホウ酸、電球を盗んだのはナイジェルです。リュックサックは隠しポケットに入ったダイヤを手に入れるためです。ホウ酸はモルヒネとすり替えるためで、犯人はモルヒネがトイレに流されたと認識させようとしていました。電球は寮に現れた密輸捜査の警官から姿を隠すためです。警官が現れたとき、暗闇に潜むナイジェルの姿がみえます。なお、鞄屋の店員・キャスタマンと女子学生のサリーはダイヤ密輸を追っていた捜査官です。

 クレプトマニアを告白したシーリアでしたが、それは、心理学を学ぶコリンの気をひくための嘘でした。なお、シーリアが物を盗んだのは事実です。この入れ知恵をしたのは、共犯者のバレリーです。

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トリック考察

 ダイヤの密輸に使ったリュックサックが紛失してもおかしくないようにするため、学生の一人にクレプトマニアを装った盗難を行わせるというトリックが使われたようです。犯人はクレプトマニアを自白した学生の恋心をうまく利用し、盗難へと導いています。

 犯人は学生寮に住む女子学生の恋を利用しました。盗難といえるかもしれませんが、悪戯程度で済んでいた出来事にも思えるため、女子学生は誘いに応じたのかもしれません。この女子学生は盗難の真相に近い人物となるため、いずれは始末する必要があったと思います。そのため、犯人はあらかじめモルヒネを入手していたようです。

関連性

 何の関係もないようにみえた数々の出来事ですが、実は密輸という事件につながっていました。密輸を捜査してた人物、密輸を隠すための盗難、密輸犯の正体などなど、それぞれの全体像が見えず、謎を呼んでいたと思います。

感想

窃盗癖のふりをして好きな人の気をひくという恋のトリックが登場していました。あんなことやこんなことの既成事実を作った後に窃盗癖の嘘を告白するつもりだったのかもしれませんし、「あなたのおかげで治った」みたいなことを言って手玉にとるつもりだったのかもしれません。

愛称

学生達が互いを愛称で呼び合うため、誰が誰のことを語っているのかわからなくなり、混乱します。名前がカタカナで、見慣れない方々が多いので、そもそも顔と名前が一致していないわけですが、愛称はそんな状況に拍車をかけてきます。その愛称も、日本と違い名前なのかニックネームなのか区別がつかないので困ります。他国の文化にケチをつけてもしょうがないのですが、日本みたいに、鈴木君は眼鏡だからメガネみたいなニックネームは、わかりやすいと思ったりもします。

まとめ

 名探偵ポワロ「ヒッコリー・ロードの殺人」について、あらすじ、真相、トリック考察および解説、感想・雑談をご紹介しました。

登場人物

 このエピソードには、ポワロ以外にジャップ警部とミス・レモンが登場します。事件関係者は以下の通りです。

名前 説明 解説
シーリア・オースティン
Celia Austin
学生
最初の被害者
窃盗癖を装って意中の男性の気をひこうとする
真犯人がリュックを破いているところを目撃し殺される
ニコレティス
Mrs Nicoletis
オーナー
二番目の被害者
密輸犯の一人だったが殺人告発しようとして殺される
パトリシア・レイン
Patricia Lane
学生
三番目の被害者
政治家の写真をみてナイジェルの正体に気付く
ナイジェル・チャップマン
Nigel Chapman
学生
犯人
密輸犯の一人で最初と二人目の被害者を殺害した男
政治家の息子であり母を殺した過去がある
バレリー・ホブハウス
Valerie Hobhouse
学生
共犯者
密輸犯の一人で三人目の被害者を殺害した女性
サリー・フィンチ
Sally Finch
学生 鞄屋の店員と共に密輸を追っていた捜査員
コリン・マックナブ
Colin McNabb
学生 聴診器を拝借し薬局からモルヒネを盗む
レナード・ベイトソン
Leonard Bateson
学生 聴診器を盗まれる
フローレンス・ハバード
Florence Hubbard
管理人 ミス・レモンの姉

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