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名探偵コナンはノックスの十戒を破っているのか

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 名探偵コナンの作品がミステリーの原則として有名なノックスの十戒(じっかい)を破っているかどうかについての考察です。コナン作品は十戒を破っていますが、破っている方が普通です。

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考察

 名探偵コナンシリーズはノックスの十戒を破っています。ただし、ミステリー作品がノックスの十戒を忠実に守っているということはほとんどありません。有名なシャーロック・ホームズシリーズや金田一耕助シリーズなども、守っていない場合がほとんどです。

 『ノックスの十戒』は十戒という名前の通り、ミステリーの書き方について10の項目を定めています(詳細はノックスの十戒解説|ミステリーの禁じ手・タブーとは【原則とルール】にまとめています)。十戒の中でも「偶然と直感」および「手掛かり」について記述した項目があり、これを守るのが難しいです。

手掛かりと直感

 ノックスの十戒には「真相につながる手掛かりは予め全て提示する」という内容が書かれています。そして、「偶然や直感によって事件を解決しない」という項目もあります。全ての手掛かりが提示されていて、なおかつ、直感などがなければ、誰でも同じように事件を解決できます。ただ、それではミステリーとしての意外性がなく、結末が面白くなくなってしまいます。

 以上のことから、ミステリーとしての面白さを成立させるために、わかりにくい手掛かりや意味深な探偵の行動、そして、「どうして探偵は真相に気付いたんだ?」と思えるような場面が登場していると考えられます。

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オスカー・ブロズキー事件

 オースティン・フリーマン著『オスカー・ブロズキー事件』は世界初の倒叙ミステリーと言われています。この作品は物語の冒頭で真相が書かれ、その上で、探偵役である登場人物が真相に至るまでの経緯を緻密に描いています。結末に意外性はほとんどなく、手掛かりや直感に関する十戒を守った作品といえます(ただし、科学的捜査が登場するため、完全にノックスの十戒を守った作品ではありません)。

 倒叙ミステリーでは刑事コロンボや古畑任三郎などの作品が有名ですが、これらの作品は犯人当てではない謎解きに焦点を当てた作品といえます。つまり、倒叙作品の中にも様々なサブジャンルがあるため、倒叙形式であれば十戒を守っているとは言い切れません。

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まとめ

 「ノックスの十戒」は推理小説の基本的な書き方などを示していますが、ミステリ評論では十戒を書いたノックス氏の冗談だったと記述している書籍(本格ミステリ鑑賞術)もあります。そのため、守っていないからミステリーとして認められないということはなく、むしろ、守っていないミステリー作品の方が主流といえます。

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