『無実はさいなむ』のあらすじと真相、原作小説との違い、考察、感想などをまとめています。ドラマ版ミス・マープルシリーズの第10話(S3E2)です。義母殺害で養子が逮捕され刑が執行されたあと、養子のアリバイを証言する人物が現れます。
あらすじ
お金持ちのレイチェル・アーガイルと養子のジャッコが口論になった日の夜、屋敷の書斎でレイチェルの死体が発見される。ジャッコはヒッチハイクというアリバイを主張したが、車を運転していた男性はみつからなかった。ジャッコはレイチェルの金を所持していたことが決定的な証拠となって死刑となる。
アーガイル家の痛ましい事件から二年後、ミス・マープルは友人であるグウェンダ・ヴォーンの結婚式に招待される。グウェンダはリオ・アーガイルの秘書で、リオとの結婚が決まっていた。アーガイルの屋敷に養子たちが集まり、楽しいひと時を過ごしていると、見知らぬ男が屋敷に姿を現す。その男はキャルガリという学者で、二年前の事件の日、ジャッコを車に乗せた人物だった…。
登場人物とキャスト
主な登場人物とキャストをまとめます。
名前 | キャスト | 説明 |
---|---|---|
ミス・マープル Miss Marple |
ジェラルディン・マクイーワン Geraldine McEwan |
老婦人の名探偵 友人の結婚式に招待される |
レイチェル・アーガイル Rachel Argyle |
ジェーン・シーモア Jane Seymour |
資産家 被害者 |
リオ・アーガイル Leo Argyle |
デニス・ローソン Denis Lawson |
レイチェルの夫 |
メアリ・デュラント Mary Durrant |
リサ・スタンスフィールド Lisa Stansfield |
アージル夫妻の養子。年長者 フィリップの妻 |
ミッキー・アーガイル Micky Argyle |
ブライアン・ディック Bryan Dick |
アージル夫妻の養子 |
ジャッコ・アーガイル Jacko Argyle |
バーン・ゴーマン Burn Gorman |
アージル夫妻の養子 義母殺害の容疑で死刑となる |
ボビー・アーガイル Bobby Argyle |
トム・ライリー Tom Riley |
アージル夫妻の養子 ジャッコとは双子の兄弟 |
ヘスター・アーガイル Hester Argyle |
ステファニー・レオニダス Stephanie Leonidas |
アージル夫妻の養子 |
ティナ・アーガイル Tina Argyle |
ググ・バサ=ロー Gugu Mbatha-Raw |
アージル夫妻の養子 |
フィリップ・デュラント Philip Durrant |
リチャード・アーミティッジ Richard Armitage |
メアリの夫 車椅子 |
グウェンダ・ヴォーン Gwenda Vaughn |
ジュリエット・スティーヴンソン Juliet Stevenson |
リオの秘書 事件後、リオとの結婚が決まる |
カーステン・リンツトロム Kirsten Lindstrom |
アリソン・ステッドマン Alison Steadman |
アージル家のメイド 長年仕えている |
アーサー・キャルガリ Arthur Calgary |
ジュリアン・リンド=タット Julian Rhind-Tutt |
学者。うなぎに詳しい ジャッコのアリバイを証言 |
モーリン Maureen |
アンドレア・ロウ Andrea Lowe |
ジャッコの妻 |
ヒュイッシ Inspector Huish |
リース・シェアスミス Reece Shearsmith |
警部 |
事件概要
レイチェル・アーガイル殺害は金銭トラブルを抱えていた養子のジャッコ・アーガイルが犯人ということで、事件は片付いています。しかし、ジャッコのアリバイを証言するキャルガリ博士が登場し、二年前に起きたレイチェル殺害について、再捜査が始まります。
ジャッコのアリバイは確かそうですが、彼は被害者であるレイチェルの紙幣を所持していました。ジャッコはレイチェルに金を要求して口論になりましたが、結局、金銭は受け取っていなかったはずです。そのため、彼が金を持っているのは不自然で、アリバイが証明されても、謎は残ります。
レイチェル殺害時のアリバイが詳しく語られるのは以下の人物です。嘘をついている関係者が多いです。
- リオ(夫)
妻のレイチェルに寄生虫などの暴言を吐かれていましたが、このことを警察に隠しています - メアリとフィリップ(デュラント夫妻)
メアリは屋敷にいませんでしたが、警察には屋敷にいたと話しています - ミッキーとティナ
仕事をしていたため、屋敷にはいなかった - グウェンダ(秘書)
郵便物をポストに投函後、帰宅した
キャルガリ博士が登場した後、特に事件らしいことは起きませんが、レイチェル殺害の容疑が秘書のグウェンダにかかり、グウェンダも何者かによって殺されてしまいます。グウェンダに疑いがかったのは、事件後に被害者の夫であるリノと婚約したこと、家政婦のカーステンが被害者とグウェンダの痴情に関する口論を目撃したことなどが根拠となっています。
グウェンダ殺害については、凶器が発見されたことからリオに疑いがかかることになります。その後、遺産を管理していたボビーの様子がおかしくなり、突然、自殺します。最終的に死亡したのは、レイチェル、ジャッコ、グウェンダ、ボビーの四人で、このうち、レイチェルとグウェンダは他殺ということになります。
レイチェル殺害の再捜査過程では、マダムキラーで知られるジャッコはモーリンという女性と結婚していたことや、ジャッコが刑執行前に意味深な発言をしていたことなどが明らかになります。
ネタバレ
レイチェルとグウェンダを殺害したのは家政婦のカーステン・リンツトロムです。カーステンはジャッコに恋をしており、ジャッコにそそのかされてレイチェル殺害に至りました。金を奪ったのはカーステンで、その後、屋敷の近くへとやってきたジャッコに手渡しています。
カーステンはジャッコを愛していましたが、実は結婚していたことが判明したため、ジャッコを見捨てました。真犯人を知っていたジャッコは、母親のような存在だったカーステンを救うため、最後の善行として死刑を受け入れます。
グウェンダを殺したのもカーステンです。カーステンはアーガイル家の一員になろうとしてたグウェンダを拒絶し、犯行に至りました。
その他、関係者が隠していた事実は次の通りです。
- ティナとミッキーは恋仲だった
- レイチェル殺害時、仕事中だったと証言していたティナだが実は屋敷に来ていた。このとき、ミッキーのボートを見かけたため、ミッキーが犯人だと思い込み、取り調べでの証言を拒否した。
- ミッキーのボートに乗っていたのはジャッコ。ミッキーは本当に仕事中だった
- レイチェルは私立探偵を雇ってフィリップについて知らべていた。フィリップは女癖が悪く、レイチェルは離婚させようとしていた
- フィリップとヘスターは不倫していた
- 自殺したボビーは詐欺をしていた。ジャッコだけではなく、ボビーもレイチェルから見放されていた
結末
証拠がないと主張するカーステンでしたが、マープルに諭されます。そして、無実でさいなまれる子供達を開放するため、犯行を認めます。
原作とドラマの違い
原作小説はノンシリーズですので、ミス・マープルは登場しませんが、ストーリーはドラマも小説も概ね同じです。その他の違いは次の通りです。
- 原作でグウェンダは殺されず、フィリップが死亡する
- 原作にボビーは登場しない。ジャッコが双子という設定はドラマオリジナル
感想
マダムをメロメロにしてしまう男が登場します。マダムの方は殺人を犯すほどに入れ込んでいたようですが、結婚していたことが判明するという。ひどいを通り越して、怖いです。
考察
アリバイを作った上で、共犯者に殺害を実行させるという犯行でした。それほど複雑な事件ではありませんでした。事件に決着がついているため、一旦は、完全犯罪が成し遂げられたことになります。ただ、犯人が意図したかというとそうではありません。
まとめ
ミス・マープル「無実はさいなむ」について、あらすじ、真相、ドラマと原作の違い、感想などをご紹介しました。
犯人
- カーステン・リンツトロム
Kirsten Lindstrom
若い悪い男に骨抜きにされてしまう。ちょっと古いが、ヨン様に熱を上げるマダム達みたいなことだろうか。相手がうわべだけのスカスカ野郎であることに気付いたのは主を殺害した後だったという…。
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