no murder, yes life
森博嗣

笑わない数学者【あらすじ・ネタバレ解説】

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 「笑わない数学者」はS&Mシリーズの三作目です。逆トリック、ビリヤード問題、最後の人物の謎など、話題の多い作品です。前2作とは異なり、漫画やドラマでビジュアル化されていないエピソードです。この記事では、あらすじ、みんな感想、作品の考察などをまとめています。

項目 説明
タイトル 笑わない数学者
著者 森博嗣
出版社 講談社
シリーズ S&M
順番 3
発行日 1996/9/2
Audible版 あり
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あらすじ

伝説的数学者、天王寺翔蔵博士の住む三ツ星館でクリスマスパーティーが行われる。人々がプラネタリウムに見とれている間に、庭に立つ大きなブロンズのオリオン像が忽然と消えた。博士は言う。「この謎が解けるか?」像が再び現れた時、そこには部屋の中にいたはずの女性が死んでいた。しかも、彼女の部屋からは、別の死体が発見された。パーティーに招待されていた犀川助教授と西之園萌絵は、不可思議な謎と殺人の真相に挑戦する。
講談社BOOK倶楽部

 死亡したのは天王寺律子と天王寺俊一です。実は、12年前にオリオン像を消した日の翌日、天王寺翔蔵博士の長男である天王寺宗太郎が自動車事故で死亡しています。さらに、使用人だった鈴木彰が失踪します。不思議なことに、12年前の事件の4年後、失踪した鈴木彰から天王寺宗太郎の未発表原稿が届けられます。そして、この本*1はベストセラーとなります。

*1『睡余の思慕』というタイトルです

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ネタバレ

 オリオン像消失の謎は建物が回転するというトリックです。つまり、オリオン像が消えたのではなく、登場人物がそこにオリオン像があると思い込んでいたということです。律子と俊一殺害の犯人は鈴木昇です。失踪したと考えられていた鈴木彰は、天王寺宗太郎と鈴木君枝によって殺されていました。その後、宗太郎は自殺*2します。死体を処理したのは翔蔵博士と鈴木昇です。

*2萌絵が発見した白骨死体は宗太郎の死体、と考えれらます

ビリヤード問題

 事件には直接関係がありませんが、作中で、ビリヤードの玉を使った問題が出題されます。『5つのビリヤードの球で輪を作る。この球を使って1から21までの全ての数字を作るとする。取る球の数はいくつでも構わないが、取った球の隣りの球しか取れない。この条件の場合、球をどのように並べる必要があるか?』答えは1、5、2、10、3です。全部足すと21になります。

最後の人物

 物語は謎を残したまま終わります。結局のところ、地下の人物は片山基生、白骨死体は天王寺翔蔵博士、そして、公園の人物は天王寺宗太郎であると考えられます。この根拠は作者が語った『タイトルにヒントがある』という言葉です。死体は笑わないので、白骨は翔蔵博士という推論です。

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みんなの感想

 口コミを調べてみると『タイトルのヒント』や『逆トリック』、『定義』という言葉がよく書き込まれていました。

きわめて多層的なミステリだ。1つに、オリオン像消失の謎。2つに、だれがどのように殺したのかについての謎。3つに、天王寺博士の正体についての謎。そして4つに、建築学科の助教授ともあろう創平がなぜそのトリックに気がつかないのかという謎…。1と2は、ある構造にさえ気づけば自ずと双方のトリックが見通せる仕掛け。難易度は高くない。最後まで解が与えられない3つ目の謎は、本書のタイトルにこそそのヒントがある。問題の4つ目。これこそが最大の罠。本書でいうところの「神のトリック」の仕掛けである。森ミステリ、おそるべし。

タイトルのヒント

 最後に登場した人物が何者なのかを解き明かすため、タイトルがヒントであるという手掛かりを掴み、納得している方が多いようです。このヒントがなければ、答えに確信を持てないと思います。

最後の最後で更に誘導されそうになるんだけど 結局はタイトルがヒントになってるんだよね?

笑わない数学者…タイトルがヒントらしいので、もう一度考える。

笑わない数学者、ネタバレ読んでしまった!なるほどなるほど。笑わない数学者というタイトルがヒントなのか!タイトルこそが最大のヒントと知り、全てを悟った次第。

逆トリック

 消えるオリオン像に使われたトリックは多くの読者が気付いたようです。ミステリー好きの方にとっては簡単なトリックなのかもしれません。しかしこれは、あえて気付くように仕組まれたトリック=逆トリックだと言われています。

オリオン像のトリックはかなり早い段階で気付いた。犯人はわからなかったけど…。

物語の犯人、大まかなトリックは推理小説好きには事件が発覚する前に予想がつく。

オリオン像のトリックはミステリー好きなら何となく分かっちゃいそう。

え?私、オリオン像のトリック、すぐにわかっちゃったんですけど???確か〇〇作品でもあったよね??それ以外は、天王寺博士が出した数字の問題も、殺人事件の犯人もまったく解けなかったけど。

オリオン像のトリックはすぐにわかったが、それが殺人事件のトリックと結び付けられず殺人事件の犯人とトリックはわからなかった。

定義

 この作品で多かったのは、定義が面白いという内容の感想です。鏡の謎は「チコちゃんに叱られる」でも取り上げられていました。人類不滅の謎です。

鏡に映ると右と左は逆になるのに、何故上下は逆にならないのかの定義が読んでて面白かった。

先生達が語る理屈だったり定義だったりが面白くて退屈しなかった。

中と外の定義など、定義について面白い話がたくさんあった。数学好きにはたまらない。

個人の感想

 ミステリー好きではなくても、このトリックには気付く気がします。私が初めて読んだのは、もう10年以上前で、その頃私は、まだ「そして誰もいなくなった」くらいしか読んでいませんでした。それでも、なんとなくわかった記憶があります。もちろん詳細をすべて説明できるほどに事件を把握したわけではありません。こんな感じで、人生初のトリックに気付いたミステリーだったわけですが、実は、わかりやすいトリックが使われていたようです。自分の才能を勘違いするところでした。

考察

 逆トリックはあえてわかりやすいトリックを使うことで、ミスリードを誘う手法のことのようです。ミスリードされるのは探偵や警察などの登場人物もしくは読者です。「笑わない…」では読者が逆トリックに引っ掛かったということになりますが、しかし、読者の気付いた建物の回転というトリックは真相でした。そのため、この作品で使われた逆トリックは()とは言えないように思います。

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