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スズメバチの巣|徹底解説・あらすじ・ネタバレ・登場人物など【ポワロ24】

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 スズメバチの巣』はエルキュール・ポワロが殺人事件を未然に防げるかどうか、というのが見どころのエピソードです。この記事では、あらすじ、登場人物、真相ネタバレ、トリック解説・考察、感想などをまとめています。

Wasps’ Nest
項目 内容
シーズン 3
エピソード 5
放送日(英国) 1991年1月27日(日)
放送日(日本) 1991年9月16日(月)
出演者 キャスト一覧
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あらすじ

 ポワロは夏祭りで古い友人の息子ハリスンと再会する。祭りの最中、ポワロはハリスンの婚約者モリーのカップに二種類の口紅が付着していることに気付く。祭りの後、大尉が撮影した写真を確認したポワロは最悪の事態を想定する。ポワロがハリスンの自宅を訪ねると、天水桶にガソリンが入っていることが明らかになる。そして、庭のスズメバチの巣を彫刻家のラングトンがガソリンでスズメバチの巣を退治しようとしたが上手くいかなかったことを知る。ラングトンはモリーの元恋人であり、まだ好意を抱いているようだった。巣の始末に失敗したラングトンは薬局で青酸カリを購入しており、ラングトンがハリスンを殺害しようとしているようであった…。

事件概要

モリーが車で事故を起こすという出来事も起きています。この車はハリスンが修理したばかりでした。ハリスンが事故を起こすように細工しモリーを殺害しようとしたようにも見えます。しかし、ハリスンがモリーを殺す理由はないように思えます。事故の理由も謎ですが、夏祭りの口紅、ポワロがみた写真、防火水槽(天水桶)のガソリンなども謎といえます。

彫刻家のラングトンがモリーをまだ愛していることや、青酸カリを購入していることから、ラングトンがハリスンを殺害しようとしているようにみえます。動機は婚約者のハリスンが邪魔だったからということになります。

登場人物

  • エルキュール・ポワロ
    私立探偵
  • アーサー・ヘイスティングス
    ポワロの探偵事務所のパートナー、陸軍大尉
  • ジェームス・ジャップ
    スコットランド・ヤード主任警部
  • フェリシティ・レモン
    ポワロの秘書
  • ジョン・ハリソン
    ポワロの知り合いで作家
  • モリー・ディーン
    ファッションモデルでハリソンの婚約者
  • クロード・ラングトン
    彫刻家でモリーの元婚約者、ハリソンの友人
  • H・A・ベルベディア
    外科医
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ネタバレ

ハリスンは青酸カリを飲んで自殺し、自身の自殺をラングトンによる他殺にみせようとしていました。実はモリーは既にラングトンと浮気をしていました。これに気付いたハリスンはラングトンに殺人の罪をきせることで復讐しようとしていました。ハリスンは病におかされており、余命わずかでした。

夏祭りでカップに口紅が二種類付着していたのは、モリーとラングトンがキスをしたためです。ラングトンはピエロに扮装していたため、口紅をしていました。ハリスンはモリーの浮気に気付いていたため、夏祭りで嫌悪の表情を浮かべていました。これがヘイスティングス大尉の撮影した写真に写っていました。モリーの事故はラングトンと会うための口実です。モリーはわざと事故を起こして、ラングトンに会いに行っていました。最後にガソリンですが、これは、ハリスンが蜂駆除の噴霧器からガソリンを抜き出したため、桶にガソリンが入っていました。ガソリンを捨てた理由はラングトンに青酸カリを購入させるためです。

トリック

 自殺を殺人にみせるという偽装工作において、罪をなすりつようとする人物(このエピソードでは彫刻家のラングトン)に青酸カリを買わせるため、スズメバチの巣が使われました。当時、青酸カリは薬局で購入することができ、誰でも入手可能な薬品だったようです。

隠れた事実

 このエピソードでは、犯行を計画した人物の病気、婚約者の浮気、自殺の計画といった様々な事柄が隠れていました。日付を眺めるハリスンやカップの口紅などなどは、これらを示唆する証拠だったといえます。浮気に関しては、カップ、車の故障だけではなく、彫刻家の家に飾られたモリーの衣装が新しいという状況証拠もありました。このように、浮気を示す手掛かりが、より多く登場していたようです。

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ドラマと原作の違い

アガサ・クリスティのエルキュール・ポアロシリーズ短編小説『スズメバチの巣』は短編集『教会で死んだ男』に収録されています。デヴィッド・スーシェさんが主役を演じる海外ドラマ「名探偵ポワロ」と原作との主な相違点は以下の通りです。

ストーリー

  • 原作
    非常に短く、ポワロがハリソンの家を訪れてから事件の真相を暴くまでの部分が中心です
  • ドラマ
    原作部分はエピソードの最後の15分程度に凝縮されており、それ以前にハリソンが凶行に走るきっかけとなった背景や、登場人物たちの人間関係を丁寧に描くためのオリジナルエピソードが多数追加されています
  • 原作
    ラングトンが青酸カリを購入したことをポワロが知ったことが事件のきっかけとなります
  • ドラマ
    夏祭りの会場でポワロがスズメバチに刺され、薬局に行った際にラングトンが青酸カリを購入したことを知る、という具体的なきっかけが描かれています。また、モリーの口紅の色から危機を察知する「紅茶占い」の場面も追加されています
  • 原作
    青酸カリのすり替えの場所について、具体的な場所は明示されていません
  • ドラマ
    ポワロがラングトンのアトリエで青酸カリと洗濯ソーダをすり替える場面が描かれています

キャラクターの役割

  • 原作
    ポワロとハリソンが中心で、他のキャラクターの登場は限定的です
  • ドラマ
    ヘイスティングス、ジャップ警部、ミス・レモンといったレギュラーキャラクターそれぞれに、事件解決に貢献する場面が用意されています
    • ヘイスティングス
      新しいカメラに凝り、撮った写真が犯人の動機(モリーとラングトンの関係)を見抜く手がかりとなります。また、ポワロに頼まれて洗濯ソーダを買いに行きます
    • ジャップ警部
      盲腸で入院しており、病院でハリソンの主治医と出会うことで、ポワロがハリソンの余命を知るきっかけを作ります
    • ミス・レモン
      フィットネスクラブに通う描写が追加されています

結末

  • 原作
    ポワロがスズメバチを普通に殺しています
  • ドラマ
    ポワロがスズメバチの巣を駆除せずに残すという、より穏やかな結末が描かれ、物語に爽やかな余韻を与えています

その他の追加要素

  • モリーがラングトンと一緒に過ごすためにわざと車を衝突させる偽装事故のエピソード。
  • モリーとラングトンの関係をポワロが見抜くファッションショーの場面。
  • ジャップ警部の食当たりやポワロの運動不足など、ユーモラスな描写が豊富に盛り込まれています。

感想と考察

彫刻家の犯行計画が次第に明らかになっていたのかと思いきや、他殺にみせかけた自殺を真犯人が企んでいました。どんでん返しが凄いエピソードだったと思います。余談ですが、スズメバチの巣をガソリン、もしくは、青酸カリで駆除するというのは、意外な駆除方法でした。ガソリンをまいて盛大に爆破し、蜂を爆死させるのかと思っていたら、まくだけでいいようです。どうやら窒息死するらしいです。青酸カリは蜂にも猛毒ということでしょうか。薬局で売っているなんて、だから「推理小説で毒殺といえば青酸カリ」になったのかもしれません。

他殺偽装

 自殺を他殺に偽装するというのは、ミステリーにお馴染みの偽装工作だと思います。このエピソードは事件発生後に探偵や刑事が登場するのではなく、未然に防ぐという内容で、さらに、罪を着せられた人物が最も怪しくみえるようになっていました。事件が起きていないので、探偵の妄想に終わりそうではありますが、そのようには感じない内容だったと思います。

余談

ジャップ警部は盲腸になっていたようです。休みの日に限って体調がわるくなるというのは、誰もが一度は経験したことがあるのではないかと思います。誕生日の日に限って風邪をひくとか、せっかく有給をとったのに会社から仕事の電話がかかってくるとか、いろんなバリエーションが考えられます。

ポワロは青酸カリを洗濯ソーダにすり替えていました。洗濯ソーダってなんだろうかと思い調べたところ洗剤の一種だそうです。そりゃそうだろう、という感じですが、それ以上は化学的な説明になりそうです。動物性繊維の洗濯などに使えるようです。私の場合、化学繊維の服が主流ですので、縁は、これからもきっとないでしょう。

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