『翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件』は麻耶雄嵩さんのデビュー作です。この記事では、あらすじ、感想、ネタバレなどをまとめています!
項目 | 評価 |
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【読みやすさ】 スラスラ読める!? |
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【万人受け】 誰が読んでも面白い!? |
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【キャラの魅力】 登場人物にひかれる!? |
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【テーマ】 社会問題などのテーマは? |
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【飽きさせない工夫】 一気読みできる!? |
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【ミステリーの面白さ】 トリックとか意外性は!? |
あらすじ
駆け出しの推理作家である香月実朝は、友人であり探偵の木更津悠也から奇妙な依頼を打ち明けられる。
依頼主は京都の富豪・今鏡伊都。彼女は木更津に、蒼鴉城という館に来てほしいとだけ告げ、詳しい理由を明かさなかった。そして、同時期に受け取った手紙には、蒼鴉城に近づくことを禁じる脅迫文が同封されていた…。
蒼鴉城に到着した木更津と香月を待ち受けていたのは、警察だった。依頼主の今鏡伊都が、首を切断された状態で自室で発見されたという。死体は首を切られただけでなく、甲冑の鉄靴を履かせるために足まで切断されていた。
さらに、捜査を進めると、「地獄の門」と呼ばれる部屋でも首斬り死体が発見される。死んでいたのは伊都の息子・有馬で、その部屋は密室状態だった。しかも、有馬の胴体と伊都の首はそれぞれ入れ替えられていた。
蒼鴉城では、その後も連続殺人事件が発生。被害者はいずれも首を切断されていた。木更津は、持ち前の推理力で事件の真相に迫ろうとするが…。そんな中、もう一人の探偵・メルカトル鮎が現れ、独自の視点で事件を捜査し始める。
小説の特徴
物語は大きく二部構成となっており、第一部では事件の発生から木更津悠也による推理が展開されます。第二部では、メルカトル 鮎が登場し、物語はさらに複雑化していきます。
舞台設定
舞台となる蒼鴉城は、京都の山奥にひっそりと佇む、ヨーロッパ中世の古城を模した館です。この人里離れた閉鎖的な空間が、物 語の不気味さを際立たせていると思います。館に住む今鏡一族の異様な雰囲気も独特です。
テーマ
テーマとしては人間の狂気や業、そして探偵という存在の欺瞞性などを感じとれます。
作風
麻耶雄嵩さんは、衒学趣味と大胆なトリックを組み合わせた独特の作風で知られており、本作もそのような作風を感じます。物語の随所に文学や哲学、音楽などの知識が散りばめられています。
主人公
主人公は、駆出し推理小説作家・香月実朝で、探偵・木更津悠也の友人として、事件に巻き込まれていきます。物語は香月の視点で語られ、読者は彼とともに事件の真相に迫っていくことになります。
感想
推理が二転三転し、読者を翻弄する感じの構成でした。クセの強さがあって、万人受けする作品とは言えないと思いますが…、ミステリー小説の中では有名な作品の一つだと思います。熱狂的なファンが多い印象ですね。
探偵たちが披露する推理は、一見すると論理的で説得力があるように思えますが、新たな事実が判明するたびに覆されていきます。現実離れした設定や展開が多く、フィクションとしてどこまで許容できるかで、評価が分かれそうでもあります。私は物語の魅力を高めていると思いますが…、割り切って楽しめる人にはおすすめです。
高評価のポイント
- 二転三転する展開に驚かされる!
- 今までのミステリーにはない斬新さがある!
- 奇抜なトリックが面白い!
- 登場人物のキャラクターが魅力的!
- 世界観に引き込まれた!
低評価のポイント
- 言い回しが難解で読みにくい
- トリックが荒唐無稽すぎる/結末に納得できない…
- グロテスクな描写が苦手だった
- 登場人物に感情移入できない場合もありそう
ネタバレ
今鏡絹代が実はロシア皇帝の血を引くアナスタシア皇女で、日本人との混血というのが許せず、自らの血を引く者をプライドのために殺害していました。首と胴体の入れ替えなどは捜査かく乱の意味があったのでしょうか。
しかし、それすらも香月実朝によって覆され、彼が事件を操っていたことが明かされます。香月は、実はメルカトル鮎の双子の弟であり、すべてを仕組んだ張本人でした。
この本を読んだ後に読みたい推理小説
- 小栗虫太郎『黒死館殺人事件』
- 麻耶雄嵩『夏と冬の奏鳴曲』
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