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スタイルズ荘の怪事件|あらすじ・ネタバレ解説・相関図【ポワロ20】

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 「スタイルズ荘の怪事件」のあらすじとネタバレ、トリック考察、感想です。ポワロの最初の事件ともいえるエピソードです。ドラマは原作者アガサ・クリスティの生誕100周年を記念して1990年に放送されました。

The Mysterious Affair at Styles
項目 内容
シーズン 3
エピソード 1
長さ 1時間43分
放送日(英国) 1990年9月14日(金)
放送日(日本) 1990年11月24日(土)
出演者 キャスト一覧
原作者 アガサ・クリスティー
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あらすじ

 友人に招かれてスタイルズ荘へとやって来たヘイスティングス中尉は、女主人のイングルソープ夫人がストリキニーネで毒殺される事件に遭遇する。中尉からの知らせを受けたポワロは死体発見場所となった夫人の寝室を調べ、いくつかの手掛かりを手にする。捜査の結果、容疑者として夫のアルフレッド・イングルソープの名が上がるがアルフレッドには毒薬の購入に関して完璧なアリバイがあった…。

事件概要

アルフレッドはイングルソープ夫人の二番目の夫であり、夫人の友人であるエヴリン・ハワードは別れるように忠告したあと、屋敷を出て行っています。この後に夫人は毒殺されたため、ハワードはこの時、スタイルズ荘にはいなかったことになります。夫のアルフレッドも事件があった時は外出していました。薬局でストリキニーネを購入した人物がアルフレッドのような髭の人物だったため、彼による犯行が疑われますが、彼には薬局から遠く離れた場所にいたというアリバイがありました。アルフレッドへの容疑が晴れると、今後は、夫人の息子であるジョン・キャベンディッシュが疑われることになります。

相関図

主要登場人物の相関図です。お馴染みのメンバーであるポワロ、ヘイスティングス中尉(この時はまだ中尉だったようです)、ジャップ警部は簡単に記載しています。

スタイルズ荘の怪事件相関図

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ネタバレ

夫人を毒殺したのはアルフレッドとハワードです。二人は愛し合っていました。毒殺方法はイングルソープ夫人が服用していた強心剤に、臭化カリウムを入れるという方法です。臭化カリウムによって強心剤は沈殿反応を起こし、ストリキニーネだけが底に沈みます。この底に溜まった多量のストリキニーネを一度に摂取したため、夫人は死亡しました。

薬局で目撃された髭の人物はハワードの変装、そして、遠くの町で目撃されたアルフレッドは本物です。夫人の部屋にあった書類箱の中には、アルフレッドからハワードに宛てられてた手紙で、そこには二人の関係や殺害計画が書かれていました。この手紙を盗み出すために犯人は、現場に戻り、書類ケースをこじ開けました。しかし、ポワロ達がやって来たため、マントルピースの上の置物の中に隠しました。ポワロは自分がマントルピースの上のものを二度も整理したという事実を思い出し、そこから、誰かが置物を動かしたという結論に達します。

この毒殺事件には、他にも、様々な思惑や事実が隠れていました。まず、イングルソープ夫人の口論の相手は息子のジョンです。ジョンは未亡人のレイクス夫人に金を貸していました。これに気付いたイングルソープ夫人は激怒し、息子に残すはずだった遺言状を書き換えようとします。暖炉で燃えていた遺言状は書き換える前の遺言状で、イングルソープ夫人が自ら燃やしたものでした。しかしながら、新しい遺言を書く前に、殺されてしまいます。

ジョンの妻、メアリ・キャベンディッシュは夫の不倫を疑っていました。イングルソープ夫人が、その証拠となる手紙を持っていると勘違いしたメアリは、夜中に夫人の部屋に忍び込みました。この時、農作業用の緑の糸くずを現場に残しました。色の違う蝋燭のろうも、彼女が落としたものです。

コーヒーカップを粉々に砕いたのはジョンの弟のローレンス・キャベンディッシュです。彼はスタイルズ荘の居候であるシンシア・マードックが犯人であると勘違いし、彼女をかばうためにカップを踏みつけ、粉々にしました。シンシアが犯人だと勘違いした理由は、夫人の部屋からシンシアの部屋に通ずる扉の鍵が、開いていたためです。

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トリック考察

 毒殺トリックは、強心剤のストリキニーネを沈殿させて致死量にするというものです。これには、臭化カリウム入りの睡眠薬が使われたと考えられます。これ以外に、一度無実となることで完全に容疑者から外れるというトリックや変装トリックも使われています。毒殺トリックは科学っぽい内容(というか化学そのもの)でした。完全犯罪になりそうではありますが、専門家がみるとすぐに気付けるのかもしれません。

 毒殺事件とは直接関係のない出来事が絡み、それが、現場に証拠として残りました。未亡人に金を貸すジョン、不倫を疑うメアリ、愛する人の犯行を疑うローレンスなど、それぞれが本当のことを話さなかったため、現場は混沌した状態になっていました。これらは、人は嘘をつくということ、殺人現場に残された証拠が必ずしも殺人に関係しているとは限らないこと、などを強調しているようでした。

感想

 毒殺のとき、アルフレッドが屋敷にいなかったので、逆に、とても怪しくみえました。怪しいな、と思っていたら、作中でも、アルフレッドが疑われる展開となりました。ところが、毒物購入に関して鉄壁のアリバイがあったので、容疑は晴れてしまいます。なんだか、製作者の手のひらで踊らされていた気分になりました。ちなみに、しきりにアルフレッドを悪者にしようとしていたハワードは、そういうキャラなんだなと思って、違和感すら抱いていなかったです。

金目当て

夫は金目当てでイングルソープ夫人に近づき、恋人と一緒に暮らしながら、殺人の機会を伺っていたわけです。しかもその恋人は、夫人の友人でした。なかなかに残酷な状況だと思います。

原作

原作は長編「スタイルズ荘の怪事件」です。なお「スタイルズの怪事件」と訳される場合もあります。原作とドラマで、おおまかな展開や結末、事件のトリックや真相などは同じです。そのためドラマは原作を忠実に再現しているといえます。しかしながら、ドラマでは割愛されている描写が結構あります。

みんなの感想

 原作小説のレビューをご紹介します。

昔みたドラマの世界観で原作を読みました。ポワロの声、仕草、そしてヘイスティングスも、まざまざとイメージで思い浮かびます。本当に素晴らしい原作で、ドラマシリーズも面白かった!

ポアロの初登場作品で、ポアロ自身の人物描写も多くありましたが、結局、ドラマ版ポアロを思い浮かべながら読んでしまいました。

映画やドラマは見たことのあるポワロシリーズですが、原作を読むのはこれが初めてでした。100年も前の作品ですが、そうとは思えない面白さでした。今更ながらアガサ・クリスティにハマりつつあります。

お恥ずかしながら…初めてのアガサ・クリスティー作品。最近のミステリーをよく読んでいるので、急展開やドンデン返しには慣れており、古典は物足りないかと思いましたが、十分面白かったです。

ヘイスティングスが繰り返す軽率な思考に失笑しつつ、一緒に振り回されていくうちに辿り着く二転三転の結末には驚かされる。

まとめ

 名探偵ポワロ「スタイルズ荘の怪事件」について、あらすじ、真相のネタバレ、トリック考察・解説、感想などをご紹介しました。複雑なストーリーでしたが、とても楽しめるエピソードだったと思います。最後に主な登場人物、ロケ地、謎解きシーンなどをご紹介します。

登場人物

 事件関係者は以下の通りです。このエピソードにはヘイスティングス、ジャップ警部が登場します。

名前 説明 解説
イングルソープ夫人
Mrs. Inglethorp
スタイルズ荘の主人
被害者
強心剤に細工され死亡する
息子が未亡人に金を貸していたのを知り遺言を書き換えようとする
エヴリン・ハワード
Evie Howard
被害者の友人
犯人
実はアルフレッドの恋人
アルフレッドに疑いが向くように仕向けていた
アルフレッド・イングルソープ
Alfred Inglethorp
被害者の夫
犯人
遺産を手に入れるためハワードと共謀し妻を殺害
遠出しアリバイをつくっていた

ロケ地

スタイルズ荘のロケ地はChavenage House(チャベネージ・ハウスと読むはず)で、建物は、16 世紀後半に建てられたカントリーハウスだそうです。

拡大地図を表示することで外観などを確認できます。

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