M・W・クレイヴンさんのストーンサークルの殺人(原題:The Puppet Show)は、2019年に英国推理作家協会賞最優秀長編賞であるゴールド・ダガーを受賞した翻訳ミステリー小説です。英国のカンブリア州を舞台に、猟奇的な連続殺人事件と、それに挑む型破りな刑事ワシントン・ポーの活躍を描いています。この記事では、あらすじ、作品の特徴、読者の感想、ネタバレなどをまとめています。
項目 | 評価 |
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【読みやすさ】 スラスラ読める!? |
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【万人受け】 誰が読んでも面白い!? |
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【キャラの魅力】 登場人物にひかれる!? |
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【テーマ】 社会問題などのテーマは? |
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【飽きさせない工夫】 一気読みできる!? |
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【ミステリーの面白さ】 トリックとか意外性は!? |
あらすじ
イングランド北部のカンブリア州に点在する古代のストーンサークルで、凄惨な焼死体が発見される。被害者はいずれも高齢の男性で、何者かによって拘束された上、生きたまま火をつけられ、性器を切断されていた。地元警察は捜査に乗り出すものの、被害者同士の共通点が見当たらず、捜査は難航する。
そんな中、3番目の被害者の遺体には、なぜか不祥事を起こして停職処分中の警察官、ワシントン・ポーの名前と数字の「5」が刻まれていた。身に覚えのないポーは上司であるステファニー・フリン警部の命令で停職を解かれ、捜査に加わることになる。
ポーは、かつての部下であり現在は上司となったフリン、そして、数学の天才でありながら社会性に欠ける分析官、ティリー・ブ ラッドショーとともに捜査を進める。
ティリーによって被害者たちの意外な共通点で発見される。それは、26年前に地元の慈善団体が主催したクルーズ・イベントで、ある児童養護施設の子供たちが性的虐待を受けていたという事件に関係していた。
ポーたちは、この過去の事件が現在の連続殺人と深く関わっていることを確信し、事件の真相を追うが…、捜査が進むにつれて、事態はますます複雑化していく。
小説の特徴
- 物語の構成
猟奇的な連続殺人事件を軸に、過去の忌まわしい事件、権力者の陰謀、主人公の過去などが複雑に絡み合い、二転三転する展開になっています - 舞台設定
イングランド北部のカンブリア州という、ストーンサークルが点在する荒涼とした風景が、物語に神秘的かつ陰鬱な雰囲気を与えているといえます。地元の風俗や習慣、食文化なども丁寧に描写されています - テーマ
正義とは何か、過去の罪と償い、権力による隠蔽、友情、児童虐待といった重いテーマを感じとれます - 作風
残酷な描写もありますが、ユーモアや登場人物たちの温かい交流が、重苦しい雰囲気を和らげています。会話のテンポが良く、読みやすい文章も魅力です - 主人公
型破りな刑事ワシントン・ポーは、正義感が強く、時に手段を選ばない行動に出ることもあります。しかし、その人間味あふれるキャラクターに共感できると思います。天才的な分析力を持つが世間知らずなティリー・ブラッドショーとのコンビはコミカルな要素になっています
読む順番
ストーンサークルの殺人は〈ワシントン・ポー〉シリーズの一作目です。シリーズの読む順番は下記のページにまとめています!
感想
猟奇的な事件と魅力的なキャラクター、そして社会的なテーマが融合した読み応えのあるミステリー小説でした!ミステリー要素はもちろん、人間ドラマとしても読み応えのある作品ですね。猟奇的な事件の裏に隠された悲しい真実、そして登場人物たちの葛藤や成長も面白いです。
高評価のポイント
- キャラクターの魅力
- 型破りな刑事ポーと、世間知らずな天才分析官ティリーのコンビが良い!二人の掛け合いがユーモラス!
- 登場人物に個性があって、感情移入もしやすい
- ポーの過去や生い立ちが、彼の行動原理を理解する上で重要
- ストーリー展開
- テンポが良く、飽きさせない展開。謎が謎を呼ぶ感じで、ページをめくる手が止まらない!
- 伏線回収が見事で、最後の最後まで楽しめる
- 読みやすさ
- 翻訳が自然で読みやすい!
- 情景描写が豊かで、映像が浮かんでくるよう
- 読後感
- 重いテーマだが、読後感は悪くない
- 考えさせられるテーマがある。正義とは何か、社会の闇とは何かを考えさせられる
低評価のポイント
- 情景描写の物足りなさ
- イングランド北部をもっと感じたかった。カンブリア州の風景描写が物足りない
- 展開の予測可能性
- 犯人が早い段階で分かってしまう。ミステリーとしての驚きは少ない
- 展開がやや地味で、派手さがない
- 胸糞展開
- 地味に胸糞展開あり。児童虐待というテーマが重い
- 猟奇的な事件で陰鬱になるところがある
ネタバレ
やがて、ポーは事件の真相にたどり着き、犯人と対峙します。真犯人はポーにとって身近な人物のひとり、幼馴染であり地元の刑事のキリアン・リードでした。リードは、過去に児童養護施設で起きた虐待事件の被害者であり、虐待を受けた子供達のために、長年にわたって復讐の機会をうかがっていました。
リードは、ポーを操り人形のように利用し、捜査状況を把握しながら復讐を遂げようとしていました。そして、ポーに事件を解決させ、自らの復讐を正当化しようとしています。なお、犯行現場に残された「5」という数字は、児童養護施設ズで虐待を受けていた5人の少年たちを意味していました。
結末
ポーはリードの犯行に気付きますが…、リードは自ら命を絶ってしまいます。最終的にポーはリードが残した告発データを各国の新聞社に送信し、虐待事件の真相を公表します。
亡くなったと思っていたリードですが、死体は身代わりらしく、実は生きているかもしれない――というところで物語は幕を閉じます。
次にオススメの推理小説
次は、同じく英国を舞台にしたミステリーや警察小説、あるいは過去の因縁が絡み合う復讐劇などをテーマにした作品がおすすめです。例えば、アンソニー・ホロヴィッツの「ホーソーン」シリーズや、ミネット・ウォルターズの作品などが挙げられます。
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