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ミステリー用語

ミステリーとサスペンスの違い【倒叙はサスペンス?ホラーについても】

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 ミステリーとサスペンスの違いについてです。ミステリーとサスペンスの定義には、人の感じ方が含まれるので、発言者によって意見にかなり違いがあります。広く知られている言葉の意味は、下記の通りです。

  • ミステリーは謎解きを重視した作品
  • サスペンスは緊張感や恐怖感を重視した作品
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ヒッチコックの定義

 映画監督のアルフレッド・ヒッチコックは『テーブルの下に爆弾がある状況』を用いて、サスペンスを次のように説明しています(『映画術』という書籍の文章を一部改変し記載しています)。

「観客はテーブルの下に爆弾が仕掛けられたことを知っている。しかし、物語の中の登場人物は爆弾を仕掛けられていることに気付いていない。爆弾は午後1時に爆発する。今は午後12時45分である。観客は『もうすぐ爆発するぞ!』と言ってやりたくなる。もしも観客がこの状況に15分間さらされたらどうなるだろうか。つまり、これがサスペンスである」

 続いてミステリーについてです。ヒッチコック本人はミステリーという言葉を使っていないようですが、その代わりにサプライズという言葉について語っています。

「観客も登場人物もテーブルの下の時限爆弾に気付いていない。そして、あるとき突然、ドカンと爆弾が爆発する。観客は不意をつかれてびっくりする。これがサプライズだ。サスペンスの15分間とは違い、15秒のサプライズを与えることになる。サプライズの前には平凡なシーンが描かれるだろうな」

 ヒッチコックが語るサプライズはミステリーと言い換えることができそうです。突然爆弾が爆発するのも、最後に犯人が明らかになるのも、結果的に得られるのはサプライズということです。なお、ヒッチコックはサスペンスとサプライズの使い分けについて、以下の様に話しています。

「どんなときでもできるだけ観客には状況を知らせるべきだ。思いがけない結末が話の頂点になっている場合をのぞけば、観客にはなるべく事実を知らせておくほうがサスペンスを高める」

 ヒッチコックの意見は、基本的にはサスペンスで描き、結末に自信がある場合はサプライズを用いるとなっています。

サスペンスとサプライズ(ミステリー)

 映画の見せ方におけるサスペンスとサプライズの違いは『ヒッチコックの定義』の通りです。これを観客や読者などが抱く感情に置き換えると、サスペンスは持続する緊張感や恐怖感、サプライズは驚きと言い換えることができそうです。

 ミステリーはサプライズの一種だと考えることができます。突然ゾンビが出てきて驚くのも、最後の謎解きで犯人がわかって驚くのも、どちらも同じサプライズです。ただし、まったく同じかというと、そうではないです。例えば、バイオハザードとオリエント急行殺人事件が同じだと思う人はいないはずです。この二つの映画の違いは、やはり謎解きを重視しているかどうかにあります。

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ミステリー

 ミステリーは謎解きを重視した作品です。とりあえず最後に真相を明かしておけばいい、というわけではなく、事前にヒントを提示しておく必要があります。ヒントは手掛かりや伏線などとも呼ばれます。

 推理小説ではフェアという言葉がよく使われます。これは、真相に辿り着くための十分な手掛かりが登場していたか(言い換えると、出題者である作者と回答者である読者が対等な立場になっていたか)どうかという意味です。なお、フェアかどうかを重視した小説は本格推理小説と呼ばれることもあります。

ミステリーの代表作

シャーロック・ホームズシリーズはミステリーに分類されます。「這う人」「犯人は二人」など、本格ミステリーっぽくない作品もありますが、おおむね、サプライズを備えたミステリーといえます。その他、名探偵が登場する作品(名探偵コナン、名探偵ポワロ、金田一耕助などなど)も基本的にミステリーです。

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サスペンス

 サスペンスは緊張感や恐怖感などの感情を重視した作品です。読んだり見たりしていてハラハラする、ドキドキする作品はサスペンスです。例えば、殺人犯だと誤解された主人公の逃亡劇などを描いた作品が挙げられます。

 制作者の意図を除いた場合、サスペンスかどうかの判断は見た人や読んだ人が抱いた感情によって変わります。また、ひとつの作品にはサスペンスやミステリー(サプライズ)の要素が含まれるため、どこに注目するかによってその人の意見は変わります。

なお、百科事典にはサスペンスは読者や視聴者を飽きさせない手法と書かれています。

サスペンスの代表作

デスノートは非常にわかりやすいサスペンスといえます。デスノートを手に入れた主人公(キラ)と探偵(L)の対決を描いたこの作品は、まさにヒッチコックのいうサスペンスです。ミステリーっぽいと感じる人もいるかもしれませんが、謎解きがメインかというとそうではありません。

倒叙ミステリー

最初に犯人がわかることで有名な古畑任三郎シリーズや刑事コロンボシリーズは倒叙ミステリーと呼ばれます。デスノートと似たような状況なので、サスペンスに思えますが、実は古畑やコロンボは謎解きがメインのミステリーです。

 犯人がわかっているとミステリーとして成り立たないように思えますが、古畑やコロンボは犯人をどう捕まえるのか(なぜ犯人は捕まったのか)という謎解きを重視したミステリー作品で、結末には必ずサプライズがあります。そして、大事なのは、必ず犯人は捕まるという点です。どちらが勝つかではなく、最終的に100%刑事が勝ちます。デスノートは主人公と探偵のどちらが勝つかわからない状況が続きますので、この点が古畑などとは違います。

ホラーとの違い

 ホラーは基本的に超常現象的な存在や現象などが登場します。一方、サスペンスは
ジャンルというよりも演出の一つです。ハラハラやドキドキなどの緊張感や恐怖感というと、ホラー作品を思い浮かべる方も多いと思います。サスペンスが恐怖などを感じさせる作品であるならば、ホラーも負けてはいません。どちらも恐怖などを与える作品ですが、ホラーはゾンビやおばけなどが登場する作品のジャンルです

動画

ここでの内容は動画でもまとめています。

まとめ

 ミステリーとサスペンスの違いについてご紹介しました。ミステリとサスペンスの違いについては、いろいろな意見があるようです。この作品はミステリー、この作品はサスペンスと言い切るのは難しく、作品を構成する一つの手段としてミステリーやサスペンスの要素を含んだ作品が多いといえます。

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