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invert城塚翡翠倒叙集【あらすじ・ネタバレ解説・感想・考察】

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 推理小説「invert 城塚翡翠 倒叙集」は「medium 霊媒探偵 城塚翡翠」の続編です。この記事では、インヴァートのあらすじ、真相、みんなの感想などをまとめています。

インヴァートには、メディウムのネタバレが含まれます。先に前作のメディウムを読むことをオススメします。
項目 説明
タイトル invert 城塚翡翠倒叙集
インヴァート
評価
著者 相沢沙呼
(あいざわ・さこ)
出版社 講談社
シリーズ順番 2
発行日 2021年7月7日
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あらすじ

緻密な犯罪計画により実行された殺人事件。アリバイは鉄壁、計画は完璧、事件は事故として処理される……はずだった。だが、犯人たちのもとに、死者の声を聴く美女、城塚翡翠が現れる。大丈夫。霊能力なんかで自分が捕まるはずなんてない。ところが……。
invert城塚翡翠倒叙集

 インヴァートには中編が三作収められてます。それぞれ、第一話「雲上の晴れ間」、第二話「泡沫の審判」、第三話(最終話)「信用ならない目撃者」というタイトルです。倒叙形式のため、いずれも犯人の視点で描かれており、一話はITエンジニア(プログラマー)、二話は小学校教師、三話は元刑事の探偵が犯人です。

雲上の晴れ間

 プログラマーの狛木繁人(こまきしげと)は、勤務する会社の社長であり、幼馴染でもある吉田直政を殺害します。狛木は吉田を自宅で撲殺後、死体を風呂場に運び、事故死を偽装します。この間、被害者の自宅から電車で一時間ほど離れたオフィスにいたというアリバイを作ります。アリバイというは、会社で運営するネットサービスに不具合があったため、オフィスにいなければ絶対にできない作業をしていたというものです。

泡沫の審判

 小学校教師の末崎絵里(すえざきえり)は元校務員の田草明夫を殺害します。末崎は、小学校で田草の頭を殴ったあと、死体を校舎の三階から落とし、事故死に偽装します。末崎はアリバイを準備した上で、ある方法を使って学校の防犯システムを作動させ、学校に忍び込んだ田草が警報に驚き、逃亡中に誤って転落したというシナリオを用意します。実は田草は盗撮犯で、被害にあった末崎は、田草に脅されていました。

信用ならない目撃者

 探偵の雲野泰典(うんのやすのり)は、浮気調査など掴んだ事実を使って、様々な人間を脅していました。ところが部下の曾根本が恐喝を告発しようとします。雲野は、口封じのため、拳銃自殺にみせかけて曽根本を殺害。元刑事の経験を活かして証拠を完全に隠滅します。しかし、たまたま天体観測をしていた一般人に、現場にいるところを目撃されます。雲野は、この一般人と接触し、証言を操ることで、自分に不利な内容をもみ消します。が、霊媒探偵と噂の城塚翡翠が、しつこく、つきまとわれます。

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ネタバレ

前作メディウムで明かされたとおり、城塚翡翠はインチキ霊媒師です。インヴァートでは最終話にどんでん返し用意されています。

雲上の晴れ間:解決編

ウェブサービスの不具合は犯人が意図的に起こしたものでした。犯人は、長い間、修正のために色々と作業していたと証言していますが、これは嘘です。犯人は予め修正用のファイルを用意しており、実際には、何も作業をしていませんでした。つまり、犯人は被害者の部屋からテレビ電話をつなぎ、作業をしているふりをしていただけでした。修正したファイルの反映は、会社に行って行っています。これが0時頃でした。

決定的な証拠となったのは、机の上の、Cの文字です。これは、被害者が漢方を飲んだ際についた円形の染みを、犯人が自分のパソコンのゴム足で擦ったために残った証拠でした。

泡沫の審判:解決編

防犯システムが作動したときに被害者は死亡したと思われており、作動時、犯人にはアリバイがありました。しかしこれは、ハムスターのタンジを利用したトリックでした。犯人は、タンジがたとえ逃げても、ある場所に戻ってくるという習性を利用し、タンジに防犯システムを作動*1させました。

決定的な証拠になったのは、シャボン玉の液です。被害者が濡れていたのは、こぼれたシャボン玉の液を踏んだためでした。この液には砂糖が入っており、蟻が寄ってきていました。シャボン液が零れていたのは、転校生がこっそり遊んでいたためです。

*1防犯システムに使われていたのは赤外線センサーだったため、温度差に反応しました。赤外線センサーは人が通ると自動でつく照明などに使われています。

信用ならない目撃者:解決編

犯人は城塚翡翠に、大事にしていた腕時計に殺人の証拠が残っていると指摘されます。追い込まれた犯人は城塚翡翠、そして、目撃者の涼見梓も射殺します。しかし、犯人のもっていた拳銃はすり替えられており空砲でした。実は、涼見梓は城塚翡翠で、城塚翡翠は千和崎真が変装していました。犯人が初めて梓に接触した時、目の前にいたのは城塚翡翠でした。

本物の梓は翡翠のプレゼントで旅行に行っており、本当は通報すらしていませんでした。推理力で目撃者がいることに気付いた翡翠は、犯人が接触する前に、梓と会っていました。

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みんなの感想

 口コミを調べてみると、翡翠や倒叙ミステリに関する書き込みがありました。

あざといぶりっ子

 翡翠に対しては可愛いや好きなどのコメントが多いですが、あざといやぶりっ子、というのもあります。

はわわ。うっかりさん。てへぺろー 翡翠ちゃんのあざとさもここまで来ると尊敬の域。

超絶あざと可愛いドジっ子天然ゆるふわっぷり健在!

今回の翡翠ちゃんは、前作よりも、あざとさや、ドジっ子ぶりがパワーアップ。

今翡翠ちゃんの、はわわ系があざと過ぎる(笑)

1作目を朧げではあるが、翡翠のあざとさよりもウザい感じが増している。

追い詰める

 倒叙形式で、犯人視点で描かれているため、犯人が追い詰められていく様子がよくわかります。

既に分かっている犯人をじわじわ追い詰めて、逃げ道を全て塞いでしまう巧妙な会話劇と騙し合いがとても気持ちよくて面白かった!

大好きな倒叙モノということで読む前からハードル上がってましたが、犯人を追い詰めていくやり取りは期待以上の面白さでした。

例のごとく、ふわふわした容貌で、はわわ~とうっかりさんを演じながら犯人を追い詰めていく過程はお見事。

古畑任三郎と刑事コロンボ

 倒叙ドラマで有名な古畑やコロンボに言及している方は多かったです。レビューを投稿した読者の中で、約18%が古畑について書いていました。倒叙形式というだけではなく、解決編の前に照明が落ちるというような描写があるため、古畑を連想しやすかったと思います。

翡翠が犯人をいらつかせて追い詰めて行く様は古畑任三郎やコロンボを彷彿させるものがありました。

かのコロンボも古畑任三郎も、彼女には一目置くことだろう。

刑事コロンボや古畑任三郎シリーズが好きなわたしには、コロンボがかわいいお嬢さんになった感覚で読み進められました。

倒叙ミステリーと聞いてもどういった作品かピンとこずに何となく読み始めましたが、成程この手の趣向かと、そしてこれは私の好きなドラマ「古畑任三郎」だと、作中でも確信犯的にオマージュやパロネタが仕込まれていて、その辺りも楽しむ事ができました。

動画でご本人(作者の相沢沙呼さん)が古畑任三郎お好きだと語っておられましたが多分にその要素が表れていて面白かったです。

個人の感想

 古畑任三郎の照明が落ちる演出や、コロンボの名台詞「もう一つだけ(Just one more thing)」、コナン君の「あれれ」など、楽しいシーンがたくさん盛り込まれていました。他にも、ガリレオ(湯川学;東野圭吾氏)の「子供は苦手ではなく嫌い」、火村英生(有栖川有栖氏)の唇を撫でる癖なども登場していたように思います。レビューをみていると、杉下右京や氷菓(米澤穂信氏のアニメ化された学園ミステリ小説)などを感じとった読者もいるようです。他にも、推理小説のパロディが盛り込まれているかもしれません。

ドラマ城塚翡翠

2022年10月に放送されるドラマはメディウムを原作としているはずなので、倒叙モノというのはあまり強調されないように思います。もしも、インヴァートもドラマになるのであれば、古畑のようになって欲しいものです*1。コロンボを演じておられたピーター・フォーク氏も、古畑を演じておられた田村正和氏も他界されたため、もう新作をみることはできません。

*1古畑はフジテレビ、ドラマの城塚翡翠は日テレなどで、局が違います。ドラマ業界のことはよくわかりませんが、まったく同じというのは難しいかもしれません

考察

 古畑やコロンボは、犯人がどのような職業であるのかというのが、一つの注目するポイントになると、私は考えています。その理由は、犯人が職業を利用してトリックを仕掛けたり、その職業ならではの動機などが描かれるためです。インヴァートで登場したITエンジニア、小学校教師、元刑事の探偵というのは、コロンボにも古畑にも登場していません*1

*1化学系研究員、全寮制女子高の教師、現職の警察官など、近しい職業の犯人は登場しています

偽装工作

 犯人が用意した筋書きは、一話が風呂場で転倒そして溺死、二話が転落死、三話が拳銃自殺でした。筋書きはそれほどバリエーションがないように思え、いずれも、古畑やコロンボに登場しています。風呂場での転倒を偽装するのは古畑任三郎「汚れた王将」や刑事コロンボ「大当たりの死」、転落死は刑事コロンボ「奪われた旋律」、拳銃自殺は刑事コロンボ「忘れられたスター」などで登場しています*2

*2ネタバレではありません

絵のアリバイトリック

 第一話で犯人は事前に準備したプログラムを使って、アリバイを成立させました。これは、絵を描いていたというアリバイを主張し、実は絵は予め描かれていたというトリックに似ています。ITバージョンといえるかもしれません。

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