『星読島に星は流れた』は久住四季さんのミステリー小説です。美しい舞台設定やキャラに魅力があって、ミステリーとしての面白さもあります!
あらすじ
数年に一度、隕石が落下するという神秘的な島、星読島。その島に住む天文学者サラ・ディライト・ローウェル博士は、毎年、天体観測の集いを開催していた。家庭訪問医の加藤盤はその集いに参加することになる。
島に上陸した招待客たちのあいだに静かな緊張が走るなか、ひとりが死体となって海に浮かぶ。クローズドサークルと化した島――犯人は、この六人のなかに、いる…??
小説の特徴
美しい舞台設定、個性的なキャラクター、巧妙な仕掛けなどが特長といえます。
感想
私はロマンチックな舞台設定と、人間の心の奥底にある感情を描いた、奥深いミステリーとして楽しむことができました!
高評価なポイント
- 舞台設定が魅力的!
ロマンチックで神秘的な非日常的世界観に浸れます! - 読後感の良さ
前向きな気持ちになれます!爽やかな読書体験といえますね - キャラクターの魅力
個性的な登場人物に愛着が湧くかもしれません - 文章が読みやすくてタイトルが秀逸!
低評価なポイント
キャラについては好みがありそうです。ミステリー要素は、個人的には結構おもしろかったですが、既視感がないわけではないですね。
- ミステリー要素の弱さ
ミステリー慣れしている人にとってはトリックや真相に驚きが少ないかもしれないです…目新しさはない、みたいな - キャラクターに違和感
現実離れしている、行動原理に疑問、ラノベ的なキャラクター描写が雰囲気に合わない…なんて思う場合もありそうです - 物語の展開
事件が起こるまでの展開が遅いかもしれないですね
ネタバレ
真犯人は意外な人物ですし…数年に一度隕石が落ちるという設定も実は…という感じです。
事件概要
星読島では二つの事件が起きました。一つは、隕石ハンターであるコール・マッカーシーの死。彼は頭部を強打されたことによる溺死と判明します。もう一つは、参加者のサレナ・カーペンタリアの死です。
真犯人
サレナがマッカーシーを殺害し、その後、事故死したように見えますが…実は、サレナは真犯人に操られてマッカーシーを殺害していました。彼女自身もまた、真犯人の計画の一部として利用されたに過ぎなかったわけです。
真犯人は、星読島の主であるサラ・ディライト・ローウェル博士です。彼女は、数年おきに隕石が落ちてくるという設定を利用し、集いに参加者を募っていました。その目的は、かつて飛行機事故で亡くなった父の仇であるコール・マッカーシーを殺害することでした。
動機
サラ博士の父は、かつて天文学者であり、隕石の研究をしていました。しかし、マッカーシーの策略によって研究成果を奪われ、失意のうちに飛行機事故で亡くなってしまいます。サラ博士は、その復讐のために、長年にわたり周到な計画を練っていました。
トリック
サラ博士は、マッカーシーを直接殺害するのではなく、参加者の中にいる人物を操り、間接的に殺害を実行させました。うまくいくかどうかははっきりしませんので、プロバビリティの殺人というわけになります。彼女は、参加者たちの個人的な事情や欲望につけ込み、心理的に誘導することで、マッカーシー殺害の動機を煽ったわけです。実行犯となったサレナは、多額の借金を抱えており、隕石を盗むことで、その借金を返済しようと考えていました。
数年に一度隕石が落ちるという星読島の秘密は、サラ博士が作り上げた嘘でした(最初と2回目の隕石落下は真実)。隕石を定期的に島に運び込み、それを目当てに集まる強欲な人々を殺人に利用する計画です。
まとめ
『星読島に星は流れた』は、美しい舞台設定が魅力的なミステリーです。トリックや真相については賛否両論ありますが、読後感はいいと思います!
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