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向日葵の咲かない夏|あらすじ・感想・ネタバレ【道尾秀介】

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 道尾秀介さんの傑作ミステリー『向日葵の咲かない夏』は、少年探偵のようなミステリーでありながらも、心の闇、狂気 、救済などのテーマを感じ取れる本です。この記事では、あらすじと特徴、感想、ネタバレなどをまとめています。

項目 評価
【読みやすさ】
スラスラ読める!?
【万人受け】
誰が読んでも面白い!?
【キャラの魅力】
登場人物にひかれる!?
【テーマ】
社会問題などのテーマは?
【飽きさせない工夫】
一気読みできる!?
【ミステリーの面白さ】
トリックとか意外性は!?
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あらすじ

 小学四年生の摩耶道夫(ミチオ)は、夏休み直前の終業式の日、クラスで孤立していたクラスメイトのS君の家へプリントを届ける。声をかけても応答がないため、中に入ってみると、そこには首を吊って死んでいるS君の姿があった。ミチオは急いで学校に戻り、担任の岩村先生に事態を報告するのだが、先生と警察がS君の家に戻ると、死体は消えていた。
 それから一週間後、ミチオの前に、S君が蜘蛛になって現れる。蜘蛛の姿となったS君は、ミチオに「自分は殺されたんだ」と訴え、共に犯人を探してほしいと懇願。ミチオは、妹のミカと共に、S君を殺した犯人を探すことになる。
 そして犯人探しが進むにつれて、虐待、変質者、狂気といった要素が絡み合い、物語は予想外の方向へと進んでいく。

小説の特徴

  • 物語の構成:複雑に絡み合った伏線がちりばめられています。一見無関係に見える出来事や登場人物の言動が、後々重要な意味を盛ったりします。ストーリーは二転三転しります
  • 舞台設定:日本の田舎町を舞台に、夏休みというノスタルジックな雰囲気が漂う一方で、猟奇的な事件が起こります。相反する要素が混在していて、このコントラストが物語に独特の不気味さを与えています
  • テーマ:心の闇、狂気、そして救いを求める姿が主要なテーマです。登場人物たちは、それぞれ心の傷を抱え、その傷から逃れるために、嘘をついたり、現実を歪めたりしています。また、語り手の信頼性というミステリーにおける重要な要素も、巧みに利用されています
  • 作風:暗く不気味な雰囲気で、S君が蜘蛛に姿を変えて現れるなどのファンタジー要素もあります。グロテスクな描写も多いです
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感想

 何が真実で何が嘘なのか分からなくなる感覚ですね。読んでいて違和感がすごいですし、最初に読んだときは読後に重苦しい気分になったりもしました。が、これがこの作品の魅力だと思います。ミステリーなのかホラーなのかわからない感じで、それがまた面白いですね。わけわからん話ですが、結末が楽しみになってどんどん読み進められると思います。

高評価のポイント

  • 予想を裏切る展開:読者の予想を(たぶん)遥かに超える、衝撃的な結末!
  • 独特な世界観:現実と幻想が入り混じった、不気味で美しい世界観!
  • 伏線の回収:物語全体に散りばめられた伏線が見事に回収されます
  • 心理描写の巧みさ:登場人物たちの心の闇や葛藤が繊細かつリアルに描かれています!

低評価のポイント

  • 後味の悪さ:救いのない結末で読後感が悪いかも
  • グロテスクな描写:動物虐待や死体損壊などグロテスクな描写が苦手な人には不向き
  • 登場人物の異常性:登場人物のほとんどがなにかしらかの病を抱えており、共感しにくい

ネタバレ

 S君はクモに、妹のミカはトカゲに、トコ婆さんは猫に姿を変えた存在であることが明かされます。しかし、これらは全て主人公ミチオの作り出した物語に過ぎませんでした。ミチオは、3年前に下駄箱に隠した妹への誕生日プレゼントが原因で、当時妊娠中だった母親が転倒し、流産してしまったという過去の出来事に苦しんでいました。その罪悪感から逃れるため、自分だけの物語を紡ぎ出し、その中で生きていたわけです。
 そして、S君を自殺に追い込んだのは、他でもないミチオ自身でした。演劇会に出たくないという理由だけで、S君に「死んでくれない?」と言ってしまったことが、S君の心を深く傷つけ、自殺へと追いやっていました。そもそもS君は家庭環境やいじめによって、絶望を感じていました。近所で起こっていた動物虐待事件もS君が犯人です。S君は、うっぷんを晴らすために、動物たちを虐待していました。
 S君の死体を持ち去ったのは近所に住む老人・古瀬泰造です。古瀬は過去のトラウマから、死体が生き返るという強迫観念に囚われていたようです。

結末

 物語の最後、ミチオはクヌギ林で泰造を殺害しようとしますが、未遂に終わります。その後、ミチオは自宅に火を放ち、両親もろ とも焼死しようとします。しかし、両親はミチオを助け出します。焼け跡の前で、ミチオは両親と会話をしますが、そこに映る影は1つだけ。両親もまた、ミチオの作り出した物語の中の存在に過ぎなかった…のかもしれません。
 プロローグに戻ってみると、この一年後にミカ(トカゲ)が死ぬことが分かりますので、そこでミチオも目を覚ますのでは?という希望も残されていそうです。

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