「象は忘れない」のあらすじと登場人物の相関図、真相、トリック考察、感想などをまとめています。オリヴァ夫人が過去の心中事件を調査し、一方、ポワロは別の殺人事件の捜査を進めます。
項目 | 内容 |
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シーズン | 13 |
エピソード | 1 |
長さ | 1時間29分 |
放送日(英国) | 2013年6月9日(日) |
放送日(日本) | 2014年9月8日(月) |
出演者 | キャスト一覧(imdb) キャスト一覧(allcinema) |
原作者 | アガサ・クリスティー |
あらすじ
推理作家のオリヴァ夫人は“CRIME WRITER OF THE YEAR”の授賞式でバートンコックス夫人に声をかけられ、13年前に起きたレーブンズクロフト夫妻心中事件の調査を依頼される。依頼内容は夫が妻を撃ち殺したのか、それとも妻が夫を撃ったのか知りたいというものだった。
ちょうどその頃、ウィロビー研究所の地下室で、ウィロビー博士の死体がみつかり、ポワロは事件の調査を進めることになる。オリヴァは心中事件の調査についてポワロに相談するが、ポワロはウィロビー博士殺害事件の捜査で忙しく、手が離せなかった。ポワロの協力を得られなかったオリヴァは、ひとりで友人達から心中事件の話を聞くのだが、情報が錯そうし、混乱してしまう。
相関図
レーブンズクロフト夫妻の心中事件とウィロビー研究所の殺人事件という二つの事件が登場し、登場人物も多くなっています。特に、心中事件は関係者が多く、さらに、心中のときに誰と誰がその場にいたのかというのが明確に語られないため、より一層混乱してしまいます。
ウィロビー研究所の事件は関係者がそれほど多くありません。殺されたのはウィロビー博士というお爺さんで、その息子がデビッド博士です。デビッドには妻がおり、若い秘書もいます。
レーブンズクロフト夫妻の関係者は、序盤ではかなりぼんやりしています。しかし、物語が進むにつれて、海外の女性というのが秘書でゼリーという名前だったこと、妻のマーガレット・レーブンズクロフトにはドロシアという姉がいたことなどが判明します。
なお、登場人物には隠された相関関係があり、実は心中と殺人は繋がっています。
事件概要
レーブンズクロフト夫妻の事件は心中ということで決着がついています。しかし、この過去の事件をバートンコックス夫人が蒸し返します。夫人は妻が夫を殺して自殺したのか、それとも夫が妻を殺したのか知りたがっているようですが、バートンコックス夫人が心中事件について騒ぎ始めたのには、理由があり、それは終盤に明かされます。
オリヴァ夫人が心中事件について友人達から話を聞きますが、13年前の事件のためか、はっきりとした情報は掴むことができません。アリステア・レーブンズクロフトは秘書と不倫していたかもしれないし、妻のマーガレットは病気だったかもしれないし、誰かはわからないが精神を病んでいる人がいて入院していたかもしれないし、マーガレットには妹がいたかもしれないし、忠実だった犬が主人に噛みついたかもしれないし…、といった具合で、とりとめがありません。はっきりしていそうなのは、カツラが4つあったということですが、それが意味するところはわかりません。
ポワロが捜査を進めているウィロビー博士の殺人事件については、のちに、デビッドがアリバイに関して嘘をついていたことがわかります。デビッドは、犯行時刻は一人だったと話していましたが、実は、秘書のマリーと一緒で、不倫の最中でした。マリーと一緒だったことを正直に話すわけにはいかなかったデビッドは、妻にアリバイの偽証を頼みますが断られてしまいます。どうやら、妻はデビッドの不倫を知っているらしく、そのせいで、不機嫌な態度を取っていました。
心中事件の詳細
心中事件の詳細は、担当刑事のギャロウェイ警視によって語られます。死んだマーガレット・レーブンズクロフトには、確かに、ドロシア・ジャローという姉がいました。
ドロシアは軍人と結婚し二人の子供を授かりましたが、夫は戦死し、息子は溺死してしまいます。ドロシアは当初、娘が息子を殺したと主張していたようですが、息子を沈めて殺したのはドロシア自身でした。その後、逮捕されたドロシアは心神喪失となり、精神病院に入院。退院後、レーブンズクロフト家へと戻り、心中事件の数週間前に死亡します。
ドロシアは夢遊病でさ迷っている最中に崖から転落し、亡くなりました。ドロシアの死後、マーガレットが体調を崩したため、2週間入院し、退院の3日後に心中事件が発生しました。なお、ドロシアとマーガレットですが、実は双子であることが判明します。つまり、二人は見た目が似ているということになります。
事件のつながり
マーガレットの双子の姉であるドロシアは、ウィロビー研究所で治療を受けていました。つまり、ドロシアは死んだウィロビー博士の患者でした。
ネタバレ
ウィロビー博士を殺したのはマリー・マクダーモットです。マリーはドロシア・ジャーロの娘でした。マリーは、母の手紙で、ウィロビー博士の水治療によって病が悪化したことを知り、復讐のために博士を殺害しました。デビッドの妻に不倫を教えたのも、シリアを苦しめるためにデスモンドを襲ったのもマリーです。
心中
心中で死んだのはドロシア・ジャーロでした。ドロシアは心中事件の前に転落死したと考えられていましたが、転落して死んだのはドロシアの双子の妹、すなわち、マーガレット・レーブンズクロフトでした。
マーガレットの死は事故ではなく、殺人で、犯人はドロシアでした。その昔、ドロシアはアリステア・レーブンズクロフトとの結婚を望んでいました。しかし、アリステアは妹と結婚してしまいます。その後、水治療で精神病が悪化したドロシアは、アリステアを手に入れるために、邪魔な妹を突き落として殺害します。
ドロシアに突き落とされたマーガレットは、しばらく息があったため、捜索にきた夫と秘書のゼリーに、ことの真相を話していました。このときアリステアは、ドロシアが妻を突き落としたと知り、ドロシアの殺害を計画することになります。
転落事件の後に入院していたのはドロシアで、ドロシアはマーガレットのように振舞っていました。このとき変装に使われたのがカツラで、愛犬が嚙みついたのは、ドロシアが偽者だったからです。
なお、心中を蒸し返したバートンコックス夫人のねらいは、シリアとデスモンドの結婚を阻止することにありました。動機は金で、夫人はデスモンドが受け取るはずの遺産を使い込んでいました。デスモンドが結婚すると、遺産の使い込みが発覚してしまうため、シリアの過去をつっついていました。
トリック考察
双子のトリックが登場しています。実は双子だったというのが終盤であきらかになりますが、双子の権威なる人物が登場しており、これが伏線になっていました。
死んだ二人の女性が実は双子で、真相では、その順番が逆になっていました。
原作
原作は第63作目の長編小説「象は忘れない」です。物語に登場した心中事件については、原作小説とドラマで同じですが、原作にポワロが捜査した研究所の事件は登場せず、犯人であるマリーはドラマオリジナルの登場人物となっています。その他の登場人物の変更もあり、原作には、ミス・レモンも登場しています。
みんなの感想
原作小説のレビューをご紹介します。
悲しさの残る結末だった。ところで、オチが超定番なので早々にわかってしまうが、どうなのだろう?トリックとか謎解きとかの要素は、かなり解りやすい作品だと思う。
クリスティが81歳の頃に書いた作品。スタイルズ荘から50数年がすぎ、意表を突く超絶トリックはありません。しかしながら、不覚にも涙腺が緩むようなお話です。
ポアロの実質的最終作で、クリスティ晩年作という事もあり、派手さはありません。
「かつら」がポイントになりますが、これと「双子設定」を組み合わせたら、やっぱりこのトリックだよね!というわけで、看破できてしまった。
「象は忘れないが、人間は忘れることができる」というのが大事な伝言だと思いました。忘れる能力は人間が大事なことに集中するための力なのだと。
感想
オリヴァ夫人が友人などなどに話を聞いたあたりでは、かなりわけのわからない事件になっていました。特にばあやの話は、ほんと、年老いたお婆さんと話している感じで、それはもう、優しく接してあげるしかない感じでした。
まとめ
名探偵ポワロ「象は忘れない」について、あらすじ、真相、トリック考察および解説、感想・雑談をご紹介しました。最後に、登場人物とロケ地についてご紹介します。
登場人物
事件関係者は以下の通りです。
名前 | 説明 | 解説 |
---|---|---|
マリー・マクダーモット Marie McDermott |
秘書 犯人 |
デビッド・ウィロビーの秘書で実はドロシアの娘 母ドロシアを精神的に追い詰めた博士に復讐した |
ドロシア・ジャロー Dorothea Jarrow |
妹 | マーガレット・レーブンズクロフトの双子の妹 精神的に病んでしまい姉を突き落として殺してしまう |
アリステア・レーブンズクロフト General Ravenscroft |
将軍 | シリアの父親で妻と心中したと考えられていた 妻をドロシアに殺されたため、ドロシアを殺して自殺した |
シリア・レーブンズクロフト Celia Ravenscroft |
娘 | アリステアとマーガレットの娘 デスモンドと婚約中 |
ロケ地
心中に使われたロケ地はSeven Sisters(セブン・シスターズ)という景勝地です。
コメント
解説がとても有り難く参考になります!
ありがとうございます!
こちらこそありがとうございます。ポワロ面白いですね!