劇場版『名探偵コナン 水平線上の陰謀(ストラテジー)』はコナンシリーズの第9作目にあたる映画で、どんでん返し系のミステリーです。2005年4月9日に公開、上映時間は107分、興行収入は約21億5000万円を記録し、キャッチコピーは「忘れはしねぇよ、オマエのことだけは…」「オマエを、絶対に守る」でした。この記事では、あらすじ、登場人物、ネタバレ、みどころなどをまとめています。
あらすじ
15年前、北大西洋上で貨物船・第一八代丸が氷山に衝突し沈没、船長と三等航海士が死亡した。そして半月前には、八代造船の設計士・八代英人が自動車事故で死亡する。
園子の計らいで、八代グループの豪華客船〈アフロディーテ号〉の処女航海に招待されたコナン一行だったが、船内でかくれんぼの最中に園子が何者かに拉致・監禁されてしまう。コナンの推理で園子は無事救出されるが…今度は八代商船社長・八代貴江が刺殺され、会長の八代延太郎も行方不明になってしまう。
登場人物
レギュラーキャラクター
コナンシリーズでお馴染みのキャラクターは以下の通りです。
- 江戸川コナン(工藤新一)
主人公。小学生の姿になった高校生探偵 - 毛利蘭
ヒロイン。新一の幼馴染で空手が得意。本作ではかくれんぼが得意な一面も - 毛利小五郎
蘭の父で探偵。本作ではコナン以上の推理力を見せ、真犯人を追い詰めるキーパーソンとなる - 灰原哀
元黒の組織の一員 - 阿笠博士
発明家。コナンの協力者。本作では劇場版で初めて探偵役を務める - 少年探偵団(吉田歩美、円谷光彦、小嶋元太)
コナンの同級生たち。蘭へのプレゼントがキーアイテムとなる - 鈴木園子
蘭の親友。一行をクルーズに招待するが…事件に巻き込まれる - 妃英理
小五郎の別居中の妻で弁護士。本作では小五郎の回想シーンのみ登場 - 警察官
警視庁の刑事・目暮十三、白鳥任三郎、高木渉、佐藤美和子、千葉刑事、鑑識官のトメさんなども登場
オリジナルキャラクター
映画オリジナルのキャラクターは以下の通りです。
- 日下ひろなり(声:山寺宏一)
シナリオライター - 秋吉美波子(声:榊原良子)
八代商船の設計士 - 海藤渡(声:中田浩二)
アフロディーテ号船長。15年前の事故では副船長だった - 辻本夏帆(声:西村ちなみ)
アフロディーテ号のパーサー。八代会長夫妻のスケジュールなどを把握している - 岬直也(声:太田真一郎)
アフロディーテ号のチーフパーサー。辻本同様、スケジュールなどを把握している - 八代延太郎(声:岡部政明)
八代グループ会長。被害者。鉄扇を持ち歩いている - 八代貴江
八代客船社長。延太郎の娘。被害者。小五郎いわく脚がきれい - 八代英人
八代造船設計士。貴江の夫。秋吉の上司。自動車事故で亡くなる。故人
真相(ネタバレ注意)
コナンはシナリオライターの日下ひろなりが犯人だと推理します。日下(くさか)は15年前の事故の犠牲者の息子で、事故が 保険金目当てに仕組まれたものだと知り、復讐を計画していました。日下は船に仕掛けた爆弾を爆発させ逃走を図りますが、コナンと少年探偵団によって阻止されます。
しかし、爆発により船は沈没の危機に瀕し、乗員乗客は避難を余儀なくされます。少年探偵団からのプレゼントを取りに戻った蘭は船内に取り残されることに。
一方、船に残った毛利小五郎は、八代英人の部下だった秋吉美波子と対峙。実は彼女こそが事件の真犯人でした。秋吉は15年前の事故で犠牲になった沖田船長の娘であり、日下の計画を利用して復讐を遂げようとしていました。小五郎が秋吉を一本背負いで倒して、その直後、コナンと小五郎は蘭を見つけ出します。蘭はデッキの床下収納に隠れており、「サッカーボールを蹴っていた」という発言がヒントになっています。船内でのかくれんぼのとき、コナンが蹴っていたのはバレーボールだったので、このことからコナンは蘭がコナンの姿をみていたわけではなく、音だけを聞いていたと推理しています。
結末
蘭を救出したコナンと小五郎は、海上保安庁のヘリで救助されることになりますが、宙づり状態のときに強風にあおられ、コナンだけが船に落下してしまいます。小五郎が手を差し伸べ、コナンはジャンプしてその手を掴もうとしますが…、うまくいかず、コナンは海に落下――と思いきや朦朧とした意識の欄がコナンの腕を掴みます。手が滑ってコナンがずり落ちてしまいますが、少年探偵団のプレゼント・金メダルをコナンが握り、落下を免れます。
その後、救助隊員によって無事救助され、コナン達は沈没する船から脱出します。
犯人と動機
- 日下ひろなり
表向きの犯人。15年前の第一八代丸沈没事故で死亡した三等航海士の息子。事故が八代親子による保険金殺人と知り、復讐のために八代親子殺害を計画 - 秋吉美波子
真犯人。15年前の事故で死亡した沖田船長の娘。日下の計画を知り、それを利用して自身の 復讐(八代英人、八代親子、海藤船長の殺害)を遂げようとした。日下がパソコンに父を侮辱する記述をしていたことへの意趣返しも含まれる
トリック・アリバイ工作
- 日下のアリバイ工作
秋吉美波子に電話をかけ、事前に録音したシナリオ朗読の音声を流すことで、犯行時刻に電話をしていたかのように偽装 - 秋吉の犯行
- 事前に車のシートベルトに細工し、フラッシュバン(スタングレネード)が作動するような細工をした。事故に見せかけて八代英人殺害
- 日下より先に貴江を気絶させ、自身が貴江になりすまして日下に襲わせた。血糊を使って日下に殺害したと思い込ませ、日下が去った後に実際に八代貴江を刺殺
- 八日下と揉み合っている八代延太郎を背後から果物ナイフで刺殺。日下は自分が海に突き落として殺害したと思い込んでいた
- 毛利小五郎の推理
小五郎は貴江の部屋から出てきたフード姿の人物(秋吉)が、すれ違い様に胸元を隠す仕草をしたことから女性であると見抜き、秋吉が犯人である可能性に気づいた。また、貴江の遺体のそばにあった拭き取られた血痕(血糊)にも疑問を抱いていた - コナンの推理
コナンは当初、日下が犯人だと断定したが、発見された会長の遺体に刺さっていたのが果物ナイフであったことや、船に仕掛けられた爆弾の数が多すぎることなどから違和感を覚え、真犯人が別にいることに気づいた - 実は小五郎が正しい
小五郎のいつもの迷推理かと思いきや…実は真犯人を言い当てていた
見どころ・特徴
本作には、普段は的外れな推理が多いポンコツ迷探偵・毛利小五郎が、コナンに頼らずほぼ単独で真犯人・秋吉美波子を特定し、追い詰めるという異例の展開が待ち受けています。これは、秋吉の容姿が別居中の妻・妃英理に似ていたため、「彼女が犯人であってほしくない」という思いから無実の証拠を探した結果、真実にたどり着いたという背景があります。秋吉との対決シーンでは格闘能力も披露し、一本背負いでぶっ倒します。
- 劇場版シリーズで初めて小五郎がメインの探偵役として活躍する点が最大の特徴
- 豪華客船を舞台とし、氷山との衝突(回想)や沈没シーンなど、『タイタニック』を彷彿とさせるシーンが満載
- 海上保安庁やクルーズ会社の協力を得て制作されており、描写がリアル
- 蘭が空手の関東大会で優勝したという設定が本作で初めて語られ、後に原作の公式設定となった
- 工藤新一と毛利蘭の小学生時代のかくれんぼのエピソードが描かれる
- コナンがミスリードに引っかかる一方、小五郎が真相に迫る構成や複数の人物の思惑が絡み合う複雑な事件構造
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