島田荘司氏の傑作ミステリー『斜め屋敷の犯罪』は御手洗潔シリーズ第2弾で、建築ミステリーの原点ともいえそうな作品です(バカミスともいわれています)!この記事では、あらすじ、読者の感想、ネタバレをなどをまとめています。
あらすじ
舞台は北海道の宗谷岬に建つ、文字通り斜めに傾いた奇妙な館・斜め屋敷。クリスマスの夜、館の主である浜本幸三郎が招いた 客の一人、上田一哉が密室状態で殺害されているのが発見される。さらに、別の招待客・菊岡栄吉も殺害されてしまう…。続く惨劇、そして現れる名探偵・御手洗潔。果たして、彼はこの奇妙な館で繰り広げられる連続殺人の謎を解き明かすことができるのか――。
小説の特徴
- 館ものミステリ
独特な『斜め屋敷』が事件の舞台となります! - 読者への挑戦
トリックの解明を促す構成です!(解けるかどうかはおいておいて…) - 個性的な探偵!
御手洗潔は型破りな行動と卓越した推理力を持つ個性的な探偵といえますね
読む順番について
御手洗潔シリーズの読む順番は別のページにまとめています!
感想
大胆なトリックと奇妙な舞台設定が面白いです。特にトリックの奇抜さが際立つ作品であり、その大胆な発想はミステリー史に残っていると思います。とはいえ、トリックの実現可能性や動機など、リアリティを重視するとなると不満が残るかもしれません。だがしかしですね、ミステリーというエンターテイメント作品として割り切って読めば、世界観を存分に楽しめます!
あとは、前作(占星術殺人事件)に比べるとストーリーはシンプルだったり、登場人物に好感が持てる人物が少ないなんてことも思いました。
ポジティブな感想
- トリックの斬新さへの驚き
斜め屋敷という特殊な構造を活かした大胆なトリックに驚嘆!こんなトリック思いつかないって感じです - 御手洗潔のキャラクター
探偵役である御手洗潔も人気だと思います!やっぱり御手洗先生は爽快! - 読みやすさ
文章は読みやすく、最後まで飽きさせない展開です!エンターテイメント作品としての完成度が高いです
ネガティブな感想
- トリックの実現可能性への疑問
トリックの実現可能性(現実離れした設定)に疑問を感じなくもないです…トリックが成功する確率は?このトリック実行できる?という言葉が頭に浮かんでくるかもしれません - 動機への不満
犯行動機が弱いかもしれないです - 御手洗潔の登場が遅い
探偵役の御手洗潔がなかなか登場しません…。焦らす感じなのかもしれないですね
ネタバレ注意
トリックは斜め屋敷という特殊な構造を最大限に利用しています。犯人は屋敷の傾斜を利用して、ある部屋から別の部屋へ氷柱を滑らせ、それによって密室殺人を実行しました。一見不可能に見えますが、屋敷の構造を熟知していれば実行可能といえます。
トリック
犯人は浜本幸三郎、ハマー・ディーゼルの会長であり、斜め屋敷流氷館の主人です。斜め屋敷は、浜本幸三郎が菊岡栄吉を殺害するために建てられています。
上田一哉殺害事件のトリックは上田を刺殺したあと、砲丸と糸を使って密室を作り出し、雪や人形をばらまいて足跡を消しています。菊岡栄吉殺害事件については、斜めに傾いた屋敷の構造を利用し、ツララで作ったナイフを滑らせて遠隔から刺殺しています。いわいる遠隔殺人ですが、実現性については…微妙なところです。屋敷の傾斜、階段、換気口などがトリックの構成要素になっているわけで、物理トリック(機械仕掛けのトリック)ともいえますね。
まとめ
ちょっと昔の小説かもしれませんが、今もなお魅了ある作品です。大胆なトリックは、おそらく一度読んだら忘れられないインパクトになると思います(「昔読んでだいたい忘れてしまったけど、トリックだけは憶えている」みたいな感じです)。
この本を読んだ読者へのおすすめ
未読の方は少ないと思いますが、同じく島田荘司先生の『占星術殺人事件』がオススメです。
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