『復讐の女神(ネメシス)』のあらすじと真相、原作小説との違い、考察、感想などをまとめています。ドラマ版ミス・マープルシリーズの第12話(S3E4)です。マープルが旧友の遺言で、奇妙なバスツアーに参加することになります。
あらすじ
富豪のジョースン・ラフィールの遺言で、ミス・マープルはミステリーツアーに参加することになる。亡くなったラフィール氏は犯罪調査を望んでいるようだったが、何が起きたのか、それとも、まだ何も起きていないのかは定かではなかった。
マープルは信頼できる付き添いとして甥のレイモンド・ウェストを誘い、ツアーの待ち合わせ場所へと向かう。そこには、添乗員を含め、10名の客が姿を現し、多くは、謎の人物からツアーチケットを受け取ったようだった…。
登場人物とキャスト
主な登場人物とキャストをまとめます。
名前 | キャスト | 説明 |
---|---|---|
ミス・マープル Miss Marple |
ジェラルディン・マクイーワン Geraldine McEwan |
老婦人の名探偵 スケッチ旅行中 |
レイモンド・ウェスト Raymond West |
リチャード・E・グラント Richard E. Grant |
小説家でマープルの甥 ミステリーツアーに同行する |
マイケル・フェイバー Michael Faber |
ダン・スティーヴンス Dan Stevens |
元ドイツ兵 実はラフィールの息子 |
ジョージナ・バロー Georgina Barrow |
ルース・ウィルソン Ruth Wilson |
ツアーガイド |
マシュー・ブロードリブ Matthew Broadribb |
グレアム・ガーデン Graeme Garden |
遺言を知らせた弁護士 |
アマンダ・ダルリンプル Amanda Dalrymple |
ロニ・アンコーナ Ronni Ancona |
ツアー客 フォルスター邸を相続する予定 |
デレク・ターンブル Derek Turnbull |
エイドリアン・ローリンズ Adrian Rawlins |
マンンダの弁護士 |
シドニー・ラムリー Sydney Lumley |
ジョニー・ブリッグス Johnny Briggs |
若い妻と一緒の男性 |
マーガレット・ラムリー Margaret Lumley |
ローラ・ミッシェル・ケリー Laura Michelle Kelly |
シドニーの妻 ブロンドの派手な女性 |
ローレンス・レイバン Laurence Raeburn |
ジョージ・コール George Cole |
おじいさん ひとりでツアーに参加 |
マーティン・ワッディ Martin Waddy |
ウィル・メラー Will Mellor |
傷痍軍人 足を引きずっている |
ロウィーナ・ワッディ Rowena Waddy |
エミリー・ウーフ Emily Woof |
マーティンの夫 |
クロチルド Sister Clotilde |
アマンダ・バートン Amanda Burton |
シスター |
アグネス Sister Agnes |
アン・リード Anne Reid |
シスター |
事件概要
行き先のわからないミステリーツアーで、謎めいた出来事が次々に起きます。最初の目的地はフォレスター邸で、ここではアマンダという女性がひどく取り乱します。写真の女性が原因だったようですが、その女性が誰なのかはわかりません。
宿ではレイバンという男性が階段から落ちてしまいます。ただの事故だったようですが、このとき駆けつけたツアー客達をみて「ヴェリディ」と発言します。そして翌朝、客室のベッドでレイバンの死体が発見されます。死体発見時は自然死だと考えられていますが、検視の結果、毒殺であることが判明します。
その後、ヴェリディという女性について、ツアー客達が語り始めます。ヴェリディはアマンダが雇っていたメイドでした。アマンダはヴェリディが盗みを働いたため、解雇したと話していますが、これに対してシスターは、そんな人物ではないと話しています。
解雇されたヴェリディはワッディの家に間借りして暮らすようになりましたが、その後、ワッディのもとを去り、聖エルスペスへと向かいました。そこで、ヴェリディを迎えたのが、ツアーに参加しているシスター達でした。
修道院で暮らしていたヴェリディは、ある日、墜落したドイツ兵を助けます。このドイツ兵がマイケル・フェイバーで二人は恋に落ちました。ヴェリディとマイケルは逃亡する計画を立てましたが、ヴェリディは行方不明となり、ドイツ兵だったマイケルは捕まってしまいます。
マイケルの本名はマイケル・ラフィールで、マープルに奇妙な遺言を残したジョースン・ラフィールの息子でした。捕虜となった後、マイケルは父であるジョースンに助けを求めていたようですが、ジョースンが応じることはありませんでした。この罪滅ぼしのため、ジョースンはヴェリディの調査をマープルに依頼していました。
ヴェリディについての情報が集まる中、ロウィーナ・ワッディが殺されてしまいます。夫のマーティンがヴェリディにうなされていますが、ワッディ夫妻は他のツアー客と異なり、ヴェリディとは関係がないようです。
殺人が起きてしまったツアーですが、ジョースン・ラフィールの遺志によって続行となり、一行は最終目的地である聖エルスペスに辿り着きます。そこには、ラルフ・コリンズという男性の墓があり、埋葬されたのはちょうどヴェリディが行方不明になって一週間後のことだったようです。
ネタバレ
ヴェリディは既に殺されており、ラルフ・コリンズとして埋葬されました。ヴェリディを殺したのはシスターのクロチルドで、クロチルドはヴェリディを愛していました。
ヴェリディとマイケルの駆け落ちを知ったクロチルドは修道院内でヴェリディを殺害した後、通報してマイケルを捕まえさせました。ヴェリディの死体はラルフ・コリンズとして埋葬し、本物のラルフはマーティン・ワッディだと偽ることにします。つまり、ツアーに参加していたマーティンはラルフ・コリンズでした。
マーティンの妻であるロウィーナは夫の戦死を信じることができずにおり、その内容が新聞の記事になっていました。新聞を読んだクロチルドはマーティンだと偽ってロウィーナのもとへと返しました。ロウィーナが殺されたのは、クロチルドに気付いたからです
レイバンもクロチルドに違和感を抱いており、階段から転落したときに発した「ヴェリディ」はクロチルドに向けられていました。このとき、クロチルドはヴェリディが肌身離さず持っていたロケットを身につけていました。普段なら、露わにならないはずですが、急いでいたらしいクロチルドは服装がやや乱れていました。
その他の人物にもヴェリディに関して後ろめたいことがありました。
- アマンダ・ダルリンプル
ヴェリディが盗みを働いたというのは嘘。ヴェリディが実は隠し子で、自分が相続人から外れてしまう防ぐため、遠ざけた - シドニー・ラムリーとマーガレット・ラムリー
マーガレットがヴェリディに変装し、夫婦でヴェリディが生きているようにみせ、アマンダを脅していた - デレク・ターンブル
ヴェリディと話したと証言するが、その時の相手はヴェリディに変装したマーガレットだった。このことに気付き、マーガレットを脅迫したが、シドニーに追い払われた
結末
真相を明らかにされたクロチルドは、最後、自殺します。
原作とドラマの違い
原作小説はマープルシリーズの「復讐の女神」ですが、ドラマのストーリーは大きく異なっています。奇妙な遺言やマープルがミステリーツアーに参加することなど、似ている部分も多少はありますが、ほぼ別の作品といえます。
登場人物もほぼ違っています。ドラマにはマープルの甥であるレイモンドが登場していましたが、原作には登場しません。なお、マープルにレイモンドという甥がいるのは原作の設定通りですが、登場するのは「スリーピング・マーダー」です。
ドラマに登場したロウィーナ夫妻やワッディ夫妻、ダルリンプルなどなどは、全員、ドラマオリジナルのキャラクターです。また、原作にシスターは登場しません。
ジョースン・ラフィールと息子のマイケルは原作にもドラマにも登場していますが、原作のマイケルはヴェリティ殺害容疑で収監されています。ジョースンも、ドラマではただの旧友でしたが、原作では「カリブ海の秘密」という別の長編作品にも登場していたりします。
感想
遺言に従って奇妙なツアーに参加するという、なかなか心の踊る発端でした。とはいえ、危険そうなので参加はしたくないです。
考察
殺した相手を別人と偽って埋葬し、本物の方は重傷であることを利用して洗脳しています。顔や体型は似ていたのか、もしくは、傷痍軍人ということで、見た目が変わっていたのかもしれません。
まとめ
ミス・マープル「復讐の女神」について、あらすじ、真相、ドラマと原作の違い、感想などをご紹介しました。
犯人
- クロチルド
Sister Clotilde
裏切者の女を殺害し、別の人物と偽って埋葬する。
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