2020年に放送されたドラマ「アリバイ崩し承ります」のあらすじ(事件概要)や真相、登場したトリック、ドラマの感想などをまとめています。
役名 | キャスト | 説明 |
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美谷時乃 | 浜辺美波 | 時計店の店主 祖父の時計店を引き継ぐ。アリバイ崩しの技術も身につけている |
察時美幸 | 安田顕 | 管理官 警視庁のキャリア組であるがわけあって那野県警に赴任する |
渡海雄馬 | 成田凌 | 刑事 ジュニアと呼ばれるお坊ちゃまの刑事。父は国会議員 |
樋口秀人 | 柄本時生 | 鑑識 言葉使いが独特である |
牧村匠 | 勝村政信 | 刑事 ジュニアの太鼓持ち的な存在 |
死者のアリバイ
野沢菜コロケのお店の近くで男性が車に撥ねられ死亡する。事故が発生した時、その様子を察時美幸(さじよしゆき)と美谷時乃(みたにときの)が目撃していた。警察官である察時はひかれた男性に駆け寄り、男性から「さっき人を殺しました」という言葉を聞く。「どこで殺したんだ?」という察時の問い掛けに対し、苦しそうにしながら目をつむっていた男性は、あるマンションの住所を口にした。警察は唯一鍵を持っている管理人・磯田幸三(いそだこうぞう)に頼みマンションを調べると、確かに、そこには女性の死体があった。
車に撥ねられた男性は推理作家で奥山新一郎(おくやましんいちろう)という名前だった。奥山が殺したというのが、編集者の中島香澄(なかじまかすみ)で、中島は彼女のマンションで息絶えていた。奥山の頬に中島が付けた引っかき傷が残っており、浮気という動機もあることから、奥山が中島を殺害し、その後、心神喪失となって街中を歩いていたところを車にひかれ死亡したという単純な事件にみえた。しかし、奥山には完璧なアリバイがあった。
死んだ容疑者のアリバイ
奥山がひかれたのは午後4時過ぎでした。なお、奥山の自宅は事故現場とすぐ近くのところにあります。一方、自宅マンションで死んだ中島の死亡推定時刻は午後3時30分から午後4時30分の間です。奥山の自宅と中島のマンションは車で30分ほど離れているため、奥山が犯人である場合、犯行は午後3時30分頃になるはずです。しかし、その10分前の午後3時20分に奥山は間違いなく自宅で宅配便を受け取っていました。午後3時20分に自宅にいたのであれば、中島を殺した後、午後4時頃に自宅周辺で車にひかれることはできません。つまり、奥山には中島殺害に対して完璧なアリバイがあることになります。
ネタバレ
奥山は奥山の自宅で中島香澄の首を絞めましたが、この時、中島は死んでいませんでした。中島を殺してしまったと思った奥山は自宅を飛び出し、街中をさまよい始めます。その頃、息を吹き返した中島は自分で自分の車を運転して自宅マンションに帰りました。そして、自分の部屋で忍び込んでいた管理人と遭遇し、管理人に殺されました。つまり、中島殺害の真犯人は管理人の磯田です。
磯田は奥山に頼まれて、中島の部屋に忍び込みました。理由は中島の弱みを見つけるためです。奥山は中島の弱みを使って中島と別れようとしていたようです。実は、磯田は奥山の推理小説のファンで、警察には「奥山を知らない」という嘘をついていました。二人は、奥山が中島を自宅に呼び出している最中に磯田が部屋に忍び込むという計画を立てていました。しかし、カッとなった奥山が中島の首を絞めてしまったため計画は破綻しました。中島が想定よりも早く帰宅したため、磯田は不法侵入がみつかってしまい、殺害に至りました。
「どこで殺した?」という問いかけに対してマンションの住所を答えたのは、奥山が質問を勘違いしたためです。奥山は耳が不自由で、察時の声は聞こえていませんでした。しかし、奥山は口元をみて相手の話している内容を理解することができました。察時が「どこで殺したんだ?」という質問をした時、奥山は目をつむっていたため、質問されたことに気付いておらず、奥山が答えたのは、前の質問である「どこに住んでいる人ですか?」に対してでした。つまり、奥山は、殺した香澄という人物がどこに住んでいるのか、という質問に、中島香澄の住所を答えていました。
役名 | キャスト | 役どころ |
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磯田幸三 | 田山涼成 | マンションの管理人で真犯人 |
奥山新一郎 | 丸山智己 | 車にひかれて死亡した推理作家 |
中島香澄 | 森矢カンナ | 奥山に殺されかけ、磯田に殺された被害者 |
ストーカーのアリバイ
医科大学の教授・浜沢杏子(はまざわきょうこ)が自宅で胸を刺され死亡する。第一発見者は弟の浜沢安嵐(あらん)だった。警察は被害者の元夫である菊谷吾郎(きくたにごろう)を疑うが、弟の安嵐が保険金の受取人になっていたことから、安嵐にも嫌疑がかかる。安嵐にはどうやら借金があるようだった。
検死の結果、杏子の十二指腸には白米、牛肉、玉ねぎ、卵、ブロッコリー、トマト等の消化物があり、それらは摂取後から約7時間経過していることが判明する。胃にはスポンジケーキ、バタークリーム、チーズ、マロンペースト、卵、桜桃等の消化物があり、こちらは摂取後約4時間経過していると推定される。被害者の杏子は食事の写真をSNSに投稿する習慣があり、死んだ日は、12時にハンバーグ弁当、午後3時にケーキセット、そして、午後7時35分にシチューを投稿していた。なお、シチューは自宅のキッチンに放置されており、手つかずだった。以上のことから、被害者は午後7時35分以降に殺害されたと考えられる。
元夫のアリバイ
容疑者のひとりが元夫の菊谷です。菊谷は、被害者が殺された日の朝、被害者の職場である大学の研究所で、被害者と口論になっています。しかし、菊谷は夜6時から0時まで居酒屋にいました。10分ほど店を出たようですが、10分での犯行は不可能です。つまり菊谷には完璧なアリバイがあります。もうひとりの容疑者・安嵐には、職場にいたというアリバイがあります。
ネタバレ
浜沢杏子を殺害したのは菊谷吾郎で、実は嘱託殺人、つまり、杏子が元夫の菊谷に殺人を依頼し、菊谷が犯行に及んでいました。杏子は借金を抱える弟のために、死のうとしていまたが、自殺では保険金を得ることができないため、元夫に殺人を頼みました。杏子の殺人に関して菊谷や弟の安嵐に容疑がかからないようにするため、杏子は胃や腸の内容物とSNS投稿を使って、二人にアリバイを作りました。
被害者の杏子が死亡したのは午後7時35分以降と考えられていましたが、実際は午後4時40分頃でした。杏子は朝にハンバーグ弁当を食べ、その後、昼にケーキセットを食べていました。朝、菊谷が杏子のもとにやってきたのは弁当を食べる時間を作るためで、口論は芝居でした。昼に食べたケーキセットは、ケーキをハンバーグやご飯のようにみせて、あたかもハンバーグ弁当を食べているようにしていたようです。午後3時に投稿されたケーキセットは写真を撮っただけで、一口も食べていません。午後7時35分のSNS投稿は菊谷が居酒屋を抜け出して行いました。携帯は飲み会が終わった後に、杏子の部屋に戻しています。
杏子が好物の塩饅頭を食べなかったのは、塩饅頭を食べると、昼にハンバーグを食べていないということが発覚する恐れがあったためです。昼に塩饅頭を食べてしまうと、胃から塩饅頭が見つかってしまうため、ケーキを食べたのが昼だったということが、明らかになってしまいます。
役名 | キャスト | 役どころ |
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浜沢杏子 | 星野真里 | 弟のため元夫に自分の殺人を依頼する |
菊谷吾郎 | 忍成修吾 | 杏子殺害の実行犯 |
浜沢安嵐 | 金井勇太 | 借金を抱える杏子の弟で美容師 |
美人姉妹のアリバイ
ピアノ講師が自宅で死亡しているのが発見される。検死の結果、死亡推定時刻は死体発見前日の午前9時から昼12時の間と推定される。事件発覚の翌日、マッサージ店の店長・芝田和之(しばたかずゆき)が警察署に現れ、被害者は死んだ日の午前10時から午前11時までマッサージを受けていたと証言する。さらに芝田は被害者が被害者の妹・河谷純子(かわやじゅんこ)と揉めていたことも話す。
芝田の証言により、犯行時刻は午前11時以降に絞られる。このとき芝田には客をマッサージしていたというアリバイがあった。対して河谷純子には確かなアリバイがなかった。
夢遊病
姉の敏子が死亡した頃、河谷純子には自宅で眠っていたというアリバイしかありませんでした。純子はホステスとして働いており、帰宅は深夜となるため、寝るのは早朝4時頃です。事件があった日も、朝4時に寝ていますが、起きたのは20時間後の夜0時でした。普段は昼頃に起きているようです。
夢遊病を抱えている河谷純子は、もしかすると姉を殺害したかもしれないと話します。20時間寝て起きた時、パジャマの袖に血がべったりと付着しており、それが根拠のようです。しかし、はっきりと憶えているわけではありません。血が付着したパジャマは既に処分されており、血が被害者のものだったのかは定かではありません。
ネタバレ
真犯人は芝田和之です。芝田は河谷純子を睡眠薬で眠らせてアリバイ作りに利用し、さらに罪もなすりつけようとしていました。芝田はピアノ講師の敏子と不倫関係にあり、関係を清算するために、敏子を殺害しました。
芝田は、はじめに、妻を殺害する計画を敏子に持ち掛けました。そのトリックは眠らせた純子を敏子の替え玉にするというものでした。敏子の替え玉(純子)が芝田のマッサージ店でマッサージを受けていれば、敏子にはマッサージ店にいたというアリバイが作られることになります。芝田に離婚を迫っていた敏子は芝田のこの計画を受け入れ、犯行を決意したようです。
妻殺害計画を敏子に話していた芝田ですが、芝田の本当の狙いは敏子の殺害にありました。芝田は敏子の替え玉を使って、敏子が生きているようにみせることで、犯行時刻をずらし、自分自身にアリバイを作りました。
具体的な手口は次の通りです。まず、敏子から純子の家の合鍵を受け取り、純子の自宅に侵入。ワインを睡眠薬入りのものとすり替えます。その後、早朝に再び純子の自宅に入り、深く眠った純子を連れ出します。共犯者である敏子が車の中で純子に化粧をするなどして、替え玉としての準備を整えます。そして、芝田は敏子の自宅で敏子を殺害します。これが午前9時8分となります。
敏子が死んだのは午前11時以降と考えられていましたが、実際は午前9時頃でした。犯行後、芝田はマッサージ店に純子を運び、マッサージを受けにきた敏子であるかのようにみせます。このとき新人にマッサージをさせ、証人とします。マッサージ終了後、純子を施術台の下に隠し、客が帰宅したような演技をして敏子が帰ったようにみせます。以降は別の客の相手をし、さらにアリバイを作ります。純子はマッサージ店閉店後に自宅へと戻しておきます。
純子のパジャマの血は死んだ敏子のもので、これは芝田が犯行後に付着させていました。
役名 | キャスト | 役どころ |
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河谷純子 | 橋本マナミ | 睡眠薬を飲まされ罪をきせられそうになる |
芝田和之 | 木村了 | 被害者と不倫をしていたため犯行に及ぶ |
山荘のアリバイ
時計荘というペンションの小屋で宿泊客の死体が見つかる。ダンベルで頭部を殴られ死んでいたのは黒岩賢一(くろいわけんいち)という男性で、ナイフとフォークの使い方に悪癖のある人物だった。黒岩の死体が見つかった小屋は宿泊客が過ごすペンションから離れた位置にあった。第一発見者は休暇でペンションを訪れていた察時美幸で、死体が見つかったのは早朝だった。検死の結果、黒岩の死亡推定時刻は夜の11時から0時の間に絞り込まれる。
被害者が死んだと思われる日の夜11時頃、察時が自室の窓から小屋へ向かう黒岩の姿を目撃していた。被害者は一度振り返り、そのまま小屋へと入った。察時は11時10分頃まで外を眺めていたが、被害者が外に出てくることはなかった。11時14分になり、察時は部屋を出てペンション内のバーカウンターへと向かった。途中、野本和彦(のもとかずひこ)とばったり会い、二人でバーカウンターへと向かった。カウンターにはオーナー夫妻と、女性宿泊客が一人いた。合流した察時は五人で夜0時までバーカウンターで飲んでいた。
死亡推定時刻は11時から0時であり、そのうち、11時00分から11時10分までは察時が小屋をみていた。その間、被害者以外に出入りした者はいなかった。4分間の空白の後、察時は自室を出た直後に野本と出くわす。そのあと、察時と野本は行動を共にしていたため、野本には11時14分頃からアリバイが成立する。そして、オーナー夫妻と女性宿泊客の上寺千恵はずっとバーカウンターで過ごしていたため、アリバイがあることになる。唯一アリバイがないのは原口龍平(はらぐちりゅうへい)という中学生だった。
足跡
死体が見つかった小屋にはペンションから三つの足跡が続いていました。ひとつは25cmサイズの靴によって残された足跡で、これは被害者がはいていた靴によって作られたようでした。残りは長靴によるもので、小屋とペンションの往復分が残っていました。長靴はペンションに置かれており、誰でも身につけることができる状況でした。
25cmサイズの靴による足跡は長靴の足跡に踏まれていたため、25cmの靴をはいた人物が先に小屋へ向かい、そのあと、長靴をはいた人物が小屋へ入って出てきたと推理されます。そして、被害者が25cmの靴をはいていたことから、被害者が先に小屋に到着し、長靴をはいた犯人がそのあと姿を現したと考えられます。
以上のことから、被害者の後に犯人が小屋へ向かったと考えることができますが、察時が監視していた時間帯があるため、空白の4分間を除き、ほとんどの容疑者にアリバイが成立します。
ネタバレ
真犯人は野本和彦です。彼は黒岩の幼馴染でした。黒岩は特殊詐欺の犯人で、整形で顔を変えて逃亡中でした。しかし、野本はフォークとナイフの癖で黒岩が幼馴染であることに気付き、話しかけました。野本に正体を見破られた黒岩は、野本を小屋へと呼び出し殺害しようとしますが、返り討ちにあい、逆に殺されてしまいました。
ペンションから小屋までの間に残された足跡、および、被害者の履いて靴から犯人と被害者の行動が推理されていましたが、実は、被害者がはいていた靴は犯人がはいていた靴でした。つまり、被害者の黒岩が小屋へ向かったとき、彼は長靴をはいていたということになります。一方、犯人の野本は25cmの靴を履いていました。
察時が黒岩を見た時、既に、野本は小屋の中にいました。黒岩は小屋の中で野本殺害を実行しますが、失敗し殺されてしまいます。野本は小屋から立ち去る際に、自分がはいていた靴と黒岩の長靴を交換しました。理由は、自分の靴で外に出てしまうと足跡が残ってしまい、自分が犯人であることがバレてしまうからです。犯行後、ペンションに戻った野本は自分の部屋に入ろうとして、察時と遭遇しました。察時は野本が部屋から出てきたと思ったようですが、本当は外から帰ってきたところでした。
長靴の足跡に後ろを振り返ったような痕跡があったことなどは、長靴をはいていたのが黒岩だったことを示す状況証拠となっています。
役名 | キャスト | 役どころ |
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黒岩賢一 | 尾崎右宗 | 被害者、特殊詐欺の加害者で整形していた |
野本和彦 | 吉田ウーロン太 | 犯人、黒岩の幼馴染で整形に気付いた |
原口龍平 | 大西利空 | 容疑者、黒岩の特殊詐欺の被害者が祖母だった |
ダウンロードのアリバイ
自宅で拘束された富岡真司(とみおかしんじ)が何者かによって殺害される。事件は匿名の人物による通報で発覚し、死亡したのは午後9時ごろと断定される。警察は被害者の姉が関与しているとして捜査を進めるが進展はなかった。三ヶ月後…、富岡の自宅の庭から白骨死体が発見され、死体は和田雄一郎(わだゆういちろう)であることが判明する。和田雄一郎は富岡が経営する健康器具の会社で経理を担当しており、13年前に失踪していた。雄一郎は横領の疑いをかけられ失踪したが、死体が見つかったことで、横領犯は富岡であり、それに気付いた雄一郎を殺害したと推理される。
警察は富岡殺害が横領の罪を着せられ殺された家族の復讐であると考え、和田雄一郎の家族に疑いの目を向ける。雄一郎の妻・千恵子は半年前に病死しており、残る家族は息子の和田英介(わだえいすけ)のみだった。しかし、英介には完璧なアリバイがあった。
3ヶ月前のアリバイ
11月20日に富岡を殺害したのは和田英介(わだえいすけ)です。冒頭のシーンが英介の犯行を示唆しています。それから3ヶ月後の翌年2月20日頃に、英介の父親の白骨死体が見つかります。英介が富岡を殺害したということと、富岡が英介の父を殺したというのは間違いないようです。
富岡が死んだのは3ヶ月前ですが、英介は日記を確認して11月20日のアリバイを警察に話します。日記によれば、事件があったその日の夜は、ずっと友人と自宅でゲームをしながら過ごしたようです。ただし、その友人の記憶は曖昧で、英介がアリバイ工作のために嘘の日記を残したとも考えられます。ところが、ある音楽のダウンロード履歴が11月20日に友人と二人で過ごしたという証拠になります。その音楽は11月20日限定で配信されており、英介の携帯には、確かに、11月20日の夜11時45分頃にダウンロードしたという履歴が残っていました。この音楽のダウンロードを英介の友人も憶えていました。つまり英介は11月20日に友人と自宅で過ごしたということになります。
ネタバレ
真犯人は和田英介です。和田が友人と過ごしたのは11月20日ではなく、前日の19日でした。そして、ダウンロードは午後11時45分ではなく、午前0時に行われていました。友人が日付を勘違いしたのは、3ヶ月も経過していたからであり、そもそも友人は正確に日にちを憶えていたわけではありませんでした。
英介と友人が過ごした日が19日の場合、夜の11時45分に音楽をダウンロードすることはできません。しかし、友人は英介がダウンロードする姿をみています。実はこれは11月20日の午前0時の出来事でした。英介は自宅やスマホの時計を実際よりも15分ほど遅らせることで、午前0時ではなく、午後11時45分頃にダウンロードしたようにみせていました。英介のスマホに残る履歴は午前0時になるはずですが、彼はこの履歴を削除し、20日の夜11時45分に再度ダウンロードし、履歴を残しました。なお、コンビニで購入したお酒やつまみも、20日に再度購入し、レシートを残しています。
英介が犯行に及んだのは母の死がきっかけです。もともと富岡を疑っていた英介は、雑草駆除業者に変装して富岡の自宅に侵入し、白骨死体の存在を知りました。それが父であるという確信を持っていたようです。
役名 | キャスト | 役どころ |
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和田英介 | 板垣瑞生 | 真犯人、父の仇をうつために犯行に及んだ |
古川桔平 | 井上翔太 | 和田の友人でアリバイ工作に利用された |
富岡真司 | 田窪一世 | 被害者、横領に気付いた経理の社員を殺害していた |
凶器のアリバイ
ポストの中から拳銃がみつかり、翌日、ある住宅で男性の死体が発見される。被害者は布田真(ぬのだまこと)という独身男性で、製薬会社の社員だった。布田は拳銃で二発撃たれて死亡しており、一発は右太ももに、もう一発は口の中に発射されていた。死亡推定時刻は午後2時から4時の間で、被害者は太ももを撃たれた後、口腔内に発射され死亡したようだった。拳銃の弾は現場に二発残っており、発射したのはポストから見つかった拳銃だったことが明らかになる。ポストから拳銃が見つかったのが午後3時であったことから、犯行時刻は午後2時から3時の間に絞られる。
組織犯罪対策課からの情報により、被害者の上司である平根はモルヒネの横流しをしていたことが判明し、警察は平根を疑う。しかし、事件があった日、平根には午後3時まで親戚と一緒だったというアリバイがあった。
ポストの拳銃
布田殺害発覚後、拳銃の売人が捕まります。この売人が持っていた購入者リストによれば、那野県では拳銃が二丁購入されているようで、そのうちの一丁がポストの拳銃でした。リストに記載された購入者名は偽名らしく、どちらの拳銃も購入者名は異なっていました。
ネタバレ
犯人は平根に間違いありません。平根は午前中に被害者の自宅へ行き、モルヒネで被害者の意識を奪った後、太ももを撃ちました。使用した拳銃はポストに捨てる拳銃です。直後に、もう一発、床に目がけて発射し、弾丸を残しました。この時点で被害者はまだ死亡していませんでした。被害者の自宅を後にした平根は使用した拳銃をポストに捨てました。
その後、親戚と過ごし、午後3時以降に再び被害者の自宅を訪れます。ここで、まだ息のある被害者をあらかじめ購入しておいたもう一丁の拳銃で殺害します。弾は砂袋を使って回収し、現場に残さないようにます。さらに、弾丸の軌道を誤魔化すため、死体を蹴って動かしておきます。こうすることで、午前中に床目がけて撃った弾が、被害者を殺害したようにみえます。床の弾丸は体内を貫通したわけではないので血痕が付着しませんが、死体から流れ出した血液が弾丸に付くことになります。
売人のリストに載っていた拳銃の購入者は二人とも平根でした。彼はモルヒネを反社に横流ししていたことが布田にバレたため、口封じで布田を殺害しました。
役名 | キャスト | 役どころ |
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平根勝男 | 斎藤陽一郎 | 犯人、製薬会社の社員 |
多すぎる証人のアリバイ
河川敷で焼死体がみつかる。匂いからして、死体は灯油で焼かれたようだった。所持品から被害者は衆議院議員・渡海一成(とかいいっせい)の秘書であると考えられ、現場に渡海議員と秘書の藤枝ミホが姿を現す。渡海は、渡海雄馬の父親であり、美谷時乃の祖父とも知り合いだった。
渡海議員と藤枝が死んだ名越と最後に会ったのは昨晩の午後6時30分頃で、その頃、渡海、藤枝、名越の三名は後援会のパーティに参加していた。午後6時30頃、名越は父親が急病という電話をうけ、午後6時35分にパーティ会場を後にした。検死の結果、死亡推定時刻は午後6時から9時の間に絞られる。さらに、胃の中から消化されていない米が発見され、食後30分以内に死亡したと推定される。後援会のパーティでリゾットが提供されていたことから、午後6時35分から午後7時頃までに絞られる。秘書の藤枝は渡海議員が犯人であると密告するが、議員はパーティーに参加していたため、大勢のパーティ参加者に目撃されていた。
疑わしい議員
渡海議員は被害者の名越が灯油で焼かれたことを知っていたようです。さらに、秘書の藤枝が議員の犯行を告発しています。藤枝は渡海議員が被害者に弱みを握られていたと語っており、その根拠は、渡海議員が被害者に地盤を譲ろうとしていたことであり、この行動が藤枝には不可解にみえたようです。渡海議員の犯行を匂わせる状況証拠が揃いますが、議員は犯行推定時刻の午後6時30分頃から午後7時頃までパーティ会場にいたため、アリバイがあります。
翌日、名越と入れ替わりでパーティへやってきた安本という男の死体が自宅マンションで発見されます。安本が会場にやってきたのは午後6時50分頃で、名越が死んだ次の日の午後7時から午後9時の間に殺害されていた。安本の胃の中には何も入っておらず、24時間は絶食状態だったようです。
ネタバレ
真犯人は秘書の藤枝ミホです。藤枝は渡海議員が名越に地盤を譲ろうとしていることを知り、名越を殺して、その罪を渡海議員になすりつけようとしました。藤枝は自分こそが渡海議員の地盤を譲り受けるべき人物だとおごっていたようです。
藤枝はまず、名越に安本が渡海議員を脅していると嘘をつきました。そして、安本を殺害するため、名越に共犯を持ち掛けます。二人の計画は名越が安本に変装してパーティ会場に現れ、安本がパーティに参加しているようにみせることでした。共犯者である名越は自分で自分に電話をかけ、父が倒れた嘘をつきます。午後6時35分頃に会場を出た名越は、その後、メイクをして安本に変装し、午後6時50分に再び会場に訪れました。途中、会場で名越はリゾットを食べ、パーティ終了後に藤枝に頭を殴られて死亡しました。死体が焼かれたのは、被害者のメイクを落とす手間を省くためです。
藤枝はパーティ当日に安本の自宅へ行き、安本をベッドに拘束しました。この行動の理由は、胃の内容物から安本がパーティに参加していなかったことを明らかにさせないためです。
役名 | キャスト | 役どころ |
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渡海一成 | 徳光和夫 | 衆議院議員、ジュニアの父親 |
藤枝ミホ | 西田尚美 | 真犯人、一成の秘書 |
名越徹 | 須田邦裕 | 被害者であり藤枝の共犯者、一成の秘書 |
感想
アリバイ崩しがメインで描かれたドラマシリーズで、本格的な推理ドラマだったと思います。ミステリー要素も驚きのある内容が多かったですし、コミカルなシーンも楽しめました。個人的には6話「凶器のアリバイ」のトリックが意外でし。全7話なので、他のドラマと比べると、やや話数が少ない気がします。これは打ち切りではなく、全7話という予定だったようです。面白い作品だったので、もっと見たかったというのが正直な感想です。そんなわけで評価は☆3.5になっております。
トリック一覧
ドラマに登場したトリックや結末を簡単にまとめます。
話数 | トリック |
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1 | 犯人は殺したと思っていたが被害者は死んでいなかった |
2 | SNSで食べたものを捏造し犯行時刻をずらす |
3 | 夢遊病の女性を眠らせて被害者のようにみせる |
4 | 被害者の足跡だと思われたが加害者の足跡だった |
5 | 時計を遅らせて日付を勘違いさせる |
6 | 拳銃を二つ用意して一方を凶器のようにみせる |
7 | 被害者が共犯者 |
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