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夜汽車の男|ネタバレ徹底解説【世にも奇妙な物語 35周年SP伝説の名作】

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夜汽車の男』は2002年3月27日に放送された「世にも奇妙な物語 ’02春の特別編」の一編です。大杉漣さんが主演を務め、コメディタッチで描かれた独特の雰囲気を持つ作品として、放送当時から高い人気を誇っています!2025年5月31日には「世にも奇妙な物語35周年スペシャル」で再放送されました。

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あらすじ

夜行列車に乗車した一人の男(大杉漣)――その男は落ち着ける座席を探し始める。
車内にはビールを飲む女性、いちゃつくカップル、新聞を読むサラリーマンなど、様々な乗客がいた。男は彼らから離れて静かに過ごしたいと願う。
ようやく適当な席を見つけ、安堵した男がビニール袋から取り出したのは、旅の楽しみである駅弁だった。
さて、男はこの駅弁をいかに完璧に「攻略」していくか…、その緻密な思考と行動とは…?

主な登場人物

  • 男(主人公):大杉漣
    夜行列車で駅弁を食べることに並々ならぬこだわりと哲学を持つ中年男性。彼の内なるモノローグと表情の変化が物語の主軸となる
  • 若いカップルの男:正名僕蔵
    列車内で彼女といちゃつく乗客の一人。主人公の視界に入り、彼の静かな食事の時間を邪魔する存在として描かれる

結末(ネタバレ注意)

男は駅弁のおかず一つ一つに対し、その味、食感、ご飯との相性などを深く分析し、食べる順番や配分を綿密に計画していきます。特に、メインの揚げ物2品には強いこだわりを見せ、そのうちの1つである〈イカのリング揚げ〉を最後に食べることを最高の締めくくりと位置づけます。

いよいよその「イカのリング揚げ」を口に運ぶときがやってきました。その瞬間、男は幼少期の回想に浸り始めます。
遠足で質素なおにぎりしか持っていなかった自分。
幼馴染の女の子が分けてくれたイカリング。
甘酸っぱい思い出。
男の目には涙が浮かびます。

しかし、男はイカリングを一口かじったその瞬間に、〈イカのリング揚げ〉ではなく〈タマネギ(オニオンリング)〉であることに気づいてしまいます!!
「イカリング」だと思い込んでいたものは、実は「タマネギ」でした。

男は絶望の表情を浮かべ、列車は彼の感情とは裏腹に、何事もなかったかのように時間通りに目的地へと走り去っていくのでした。

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原作

短編漫画「夜行」が原作です。作者は泉昌之さんで、この名前は漫画家・泉晴紀さんと、「孤独のグルメ」の原作者としても知られる久住昌之さんの共同ペンネームです。同作者の作品からは他にも「理想のスキヤキ」や「耳かき」が「世にも奇妙な物語」でドラマ化されています。ちなみに「夜行」は単行本「かっこいいスキヤキ」に収録されています。

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感想と考察

「世にも奇妙な物語」の持つホラーやミステリーといった一般的なイメージを良い意味で裏切る、異色のコメディ作品です。多くの視聴者から「傑作」「面白い」といった声が寄せられているようです。そして、大杉漣さんの名演が作品の魅力を最大限に引き出していると評判です。

大杉漣さんの後ろに「玉葱大学」のポスターが貼られているという細かな伏線もありますね。

この作品をみた後だと、弁当の食べ方が変わりそうですし、駅弁が食べたくなったりもします。「孤独のグルメ(同じ原作者の作品)」との共通点も多分にあると思います。

テーマ

おっさんが弁当を食べるだけなんですが、しかしながらそこには、男の駅弁に対する「食」への深いこだわりを感じとれます。食べる順序を綿密に計画する姿は「いかに完璧に生きるか」という人生哲学にも思えます。

男の心の声や表情の細かな変化が丁寧に描かれることで、男の真剣さや、ささやかな楽しみへの執着がよくわかります。以下のモノローグは、彼の食への哲学を端的に表しています。

「食事というものは、それは即ち、生きることと同義語である。他者の命を口中に取り込み、咀嚼し、体内に吸収することによって、自らの命とする。この上なく、神聖な儀式なのだ。」

「この、小さな弁当箱に収められた様々な生を楽しみつつ、なおかつ完璧に食さなければ、本当に弁当を楽しんだとはいえないのである。故に、弁当とは、その他のどんな食事よりもストイックで厳格といえよう。」

ユーモアと哀愁

この作品の最大の魅力は、そのシュールなユーモアと、ラストに訪れる切ない哀愁のギャップにあります。男が駅弁を分析する際のCGや、他の乗客の騒動をよそに黙々と食事に集中する姿が、笑えます。
最後に訪れる「イカリングがオニオンリングだった」というオチは、単なる笑いだけでなく、男の幼少期の貧しさや、イカリングに託された甘酸っぱい思い出が打ち砕かれる悲劇としての側面もあり、深い余韻を残します。

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