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黄色いアイリス|徹底解説・あらすじ・ネタバレ・登場人物など【ポワロ36】

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黄色いアイリス』はポワロの未解決事件と全く同じ事件が二年後に発生するエピソードです。この記事ではあらすじと登場人物、ネタバレ、感想考察などをまとめています。

The Yellow Iris
項目 内容
シーズン 5
エピソード 3
放送日(英国) 1993年1月31日(日)
放送日(日本) 1994年2月5日(土)
出演者 キャスト一覧
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あらすじ

 ある日、ポワロはル・ジャルダン・デ・シーニュというレストランのオープンを知る。直後、玄関先に届けられた黄色いアイリスを見てポワロは、二年前の未解決事件を思い起こす。

 事件はブエノスアイレスのル・ジャルダン・デ・シーニュである夫人が青酸カリで殺された事件だった。夫人の名前はアイリスといい、事件発生時、ポワロは近くで食事をとっていた。同じ頃、ブエノスアイレスでクーデターが発生し、ポワロはスパイ容疑で捕まってしまう。そのまま国外へと追放されたポワロは、事件を調査できず、結局、地元の警察は自殺と断定したのだった。その二年後……。オープン初日に、再び、二年前と同じメンバーが集められる。ポワロも夕食会に参加するが、食事の最中、今度はアイリスの妹ポーリンが突然倒れてしまう。

事件概要

二年の事件は地元の警察が自殺と断定しています。青酸カリはアイリスの飲み物に入れられており、彼女のバッグからは青酸カリを入れた容器もみつかっています。グラスに飲み物が注がれたのは、歌の最中でした。このとき、被害者の夫バートンだけは、席を外していたようです。

自殺を疑うような余地はないようにも思えますが、ポワロは納得していない様子です。しかし、スパイとみなされブエノスアイレスから追放されてしまいます。この結果、アイリスの死について調査することはできなくなり、二年の月日が流れました。

二年後、イギリスに、ブエノスアイレスで事件のあったレストランと同じレストランがオープンします。そのオープン初日に、アイリスが死んだときと同じメンバーで食事会が開かれます。ホストはアイリスの夫バートンで、バートンは妻の死に疑いを持っていたようです。招待されたのは、アイリスの妹ポーリン、バートンのビジネスパートナー・カーター氏、新聞記者のアンソニー、そして、ダンサーのローラでした。この食事会にはポワロも参加することになります。

登場人物

人物名 説明
エルキュール・ポワロ 私立探偵
ヘイスティングス大尉 ポワロの友人、探偵事務所のパートナー
ミス・レモン ポワロの秘書
バートン・ラッセル アメリカの富豪でソブリン石油の経営者
パーティーの主催者
アイリス・ラッセル バートンの亡き妻
謎の死を遂げた
ポーリーン・ウェザビー アイリスの妹
アンソニー・チャペル 新聞記者
ポーリーン・ウェザビーの婚約者
スティーブン・カーター 外交官
バートン・ラッセルの共同経営者。
ローラ・ヴァルデス 南アメリカ出身のダンサー
ルイジ・デ・モニコ レストランのオーナー
ペレイラ将軍 アルゼンチンの将軍
(ドラマ版に登場)
グローブ ウェザビー家の顧問弁護士
(ドラマ版に登場)
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ネタバレ

犯人はバートン・ラッセルです。バートンは給仕に変装してグラスに毒を仕込み、バッグに毒の入った容器を忍ばせました。バートンは妻を殺害し、さらに、妹のポーリンも殺そうとしました。ポーリンも毒を盛られて死んだようにみえましたが、彼女は生きています。ポワロに協力し、死んだふりをしていました。

アイリス殺害の動機は石油採掘権に関する不正が、アイリスによって告発されようとしていたからです。つまり、口封じでアイリスは殺害されました。バートンとカーターは、英国政府の委託金で採掘権を不正に入手しており、その金がブエノスアイレス反乱軍の資金になっていました。ポーリン殺害未遂の動機は遺産です。アイリスの死後、彼女の遺産は全てポーリンに相続されましたが、ポーリンは若かったため、ある年齢になるまで遺産はバートンが預かっていました。この遺産をバートンは使い込んでいました。使い込みが発覚する前に、バートンはポーリンを始末しようとしました。

トリック

 給仕に変装するというトリックです。ウェイターにただ変装するだけではなく、ステージで歌手が歌を歌っている最中に、毒を仕込みました。客の視線はステージにくぎ付けになっているはずであり、照明も落とされているので、変装が発覚する恐れが低くなります。そして、毒殺するだけではなく、自殺にみせるため、バッグに毒の容器も忍ばせました。

 トリックではありませんが、探偵が諸事情によって追い出され事件を調査できなくなるという展開が登場しています。ポワロの未解決事件というと、力不足で謎を解けなかったようにも思えてしまいますが、そうではありませんでした。

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原作とドラマの違い

原作は『黄色いアイリス(原題:The Yellow Iris)』で、短編集『黄色いアイリス』に収録されています。デヴィッド・スーシェさん主演のドラマは、原作の短編を大幅に脚色し、よりドラマティックな展開となっています。主な相違点と見どころは以下の通りです。

  • ポワロの関与
    原作では謎の電話がきっかけですが、ドラマではポワロの事務所に届けられた黄色いアイリスが事件への導入となります
  • 過去の事件の描写
    ドラマには、2年前のブエノスアイレスでの事件にポワロが実際に立ち会い、スパイ容疑で逮捕されるというオリジナル要素が加わっています
  • ヘイスティングスの役割
    原作には登場しないヘイスティングスが、ドラマではポワロと共に調査に加わり、アイリスとポーリーンの遺言状を確認するなど、重要な役割を担います。また、彼がアルゼンチンに牧場を持っていたという設定も追加されています
  • 動機の拡大
    ドラマでは、最初の殺人の動機が政治的な陰謀と結びつけられ、より大規模なスケールで描かれています
  • 結末の演出
    ポーリーンの死んだふりという視覚的なトリックは、ドラマならではの演出です
  • ポワロの食の好み
    ドラマでは、ポワロがイギリス料理を毛嫌いする描写が強調されています。最終的にヘイスティングスに勧められてフィッシュ・アンド・チップスを食べるシーンは、他のエピソードでのポワロの食に関する言動との整合性が話題になることがあります

感想と考察

 ウェイターに変装して毒を入れるというのは、大胆なトリックのように思えます。なによりも、席を外していたという事実が残り、すぐに見破られそうです。しかし、ショー(歌)の最中であり、誰しもがそれに注目していたのならば、記憶は曖昧になり、うまくいくかもしれません。暗くて、ショーがあって、という条件が重なれば、給仕の顔をみることもないように思います。

 アイリス殺害の実行犯は間違いなくバートンです。ただ、カーターにも同じ動機がありました。もしもカーターがアイリス殺害に関与していれば、共犯となります。例えば、アイリスを殺害すると知っていてカーターが青酸カリを用意して実行犯のバートンに渡した場合、カーターも罪に問われます(日本の現代の法律では従犯と呼ばれるようです)。もしもカーターがウェイターに変装するという計画を立案しバートンに伝えていれば共謀共同正犯になると考えられ、これは従犯とは区別されるらしいです。いろいろと近々で覚えたことを書きましたが、作中、カーターに関しては詳しく描かれていませんでした。カーターは一切関与せず、バートンが勝手にやっていたのなら、カーターは非常にラッキーだったといえます。

余談

アイリスは普通、黄色くないようです。多くは紫色ですが、黄色も存在します。花が登場すると花言葉を調べたくなるのは、ミステリーあるあるだと思います。ちなみにアイリスは、メッセージや吉報だけではなく、復讐という花言葉もあると一部では言われていますが、これは日本だけです。海外でアイリスは情熱や友情を意味します。

ブエノスアイレスはアルゼンチンの首都でした。ブエノスアイレスと聞いても、どこなのかよくわからなかった私ですが、グーグル師匠にお尋ねしてみると、南アメリカの右下の方にありました。日本のだいたい反対側にあるので、それほど気にとめていなかったのだと思います。きっとそうです。

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