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ホームズ

踊る人形|ホームズ【あらすじ・感想・暗号解読・ネタバレ解説】

3.5
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 踊る人形は、短編集「シャーロック・ホームズの帰還」に収録された作品です。原作のあらすじ、グラナダシリーズのドラマのあらすじ、ネタバレ、原作とドラマの違い、作品の感想などをご紹介します。

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あらすじ

 「踊る人形」のあらすじをタイムラインで簡単にまとめます。

ハイライト
  • 発端
    ヒルトン・キュービット221Bを訪れる
    “踊る人形”について語る
  • 展開
    ホームズが暗号を解読する
    ある事件が発生してしまう
  • 結末
    ホームズが真犯人をおびき出す

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小説

 原作は1903年に発表されました。短編集として発行されたのは1905年になります。

The Adventure of the Dancing Men
項目 内容
発表 1893年8月発表(ストランド)
発表順 44作品目(60作中)
発生時期 1898年7月27日~同年8月13日
発生順 30件目(60作中)

ストーリー

グラナダ版ドラマも同じストーリーです。

 ヒルトン・キュービット氏は若いアメリカ人のエルシーと結婚したが、ある日、エルシーが恐怖に襲われて気を失う。エルシーは、どうやら、小さな踊っている人の絵を見たらしかった。エルシー自身は自分に暗い過去があると話していたのだが、その過去を問い出さないと約束していたため、夫のキュービットは警察に相談することができなかった。そこで、キュービットは諮問探偵シャーロック・ホームズに連絡を取るのだった。

 依頼を受けたホームズは踊る人形の暗号を解読。しかし、ワトスンと共にキュービット氏の屋敷に到着した時、エルシーは襲われており、キュービットは射殺されていた…。

ネタバレ

 キュービット殺害とエルシーの傷害事件について警察は、妻が夫を、もしくは、夫が妻を撃ったあとに自殺を図ったと考える。一方、ホームズは殺人が起きた時、別の人物がいたと推理する。そして、ホームズは踊る人形で書いた手紙をシカゴの犯罪者であるエイブ・スレイニーなる人物に届けるのだった。

 偽の手紙を受け取ったスレイニーは、まんまとおびき出され、捕まった。そして、エルシーがアメリカの犯罪組織のリーダーの娘で、さらに元婚約者であることを告白する。逃亡してキュービットと結婚したエルシーだったが、エイブ・スレイニーが書いた踊る人形に脅されていた。彼女はついにスレイニーを自宅に呼びつけ話をつけようとしたが、キュービットが彼らを見つけ発砲した。弾は外れ、撃ち返したスレイニーがキュービットを殺した。一部始終をみていたエルシーは自殺を図るが、失敗に終わる。

暗号解読

 ホームズが暗号を解く部分の抜粋です。以下の引用文はホームズの台詞です。最初のメッセージをみたホームズは、まずEという文字が頻繁に使われるという統計的な事実をつかってEを見極めています。さらに、旗の有無が単語の区切り(スペース)を意味しているという仮説を立てます。

いったん記号が文字の代用とわかれば、あとは暗号のどんな類型にも通用する規則を当てはめるだけで、容易に解くことができる。最初に見せられたメッセージは短すぎて、言い切ることはできなかったのだが、つまり、この人形はアルファベットのEに違いないと。ご存じの通り、Eというのは短文に限らず、英語のアルファベットで最もよく使われる。最初のメッセージにある十五の文字のうち、同じものが四つあった。であるならば、これをEとするのが合理的というものだ。

そして、ある場合には旗を持つ記号があり、ある場合には持っていない、ということから、旗には文を単語に区切る役割があると推測できる。この仮説を受け入れるならば、Eを表すのは両手を挙げた人形であるという仮説が立つ。

 最初のメッセージだけでは、データが不足しているため、ホームズは次のメッセージを待ちます。そして、二番のメッセージで、Eが2番目と4番目にある単語を見つけ、その単語がNEVERであると仮定し、N、V、Rを示す人形を特定します。

英単語において、Eの次に来るアルファベットというのは、これといった傾向がない。ある文章から見出した頻度も、短い文ならば逆転する可能性もある。概ね、T、A、O、I、N、S、H、R、D、Lというアルファベットの頻度が多いわけだが、T、A、O、Iなどはほとんど差がない。つまり、Eとの組み合わせを考えても埒が明かないということだ。そこで私は新たなデータを待った。

ヒルトン・キュービット氏からのさらなるメッセージから、Eが2番目と4番目にある、五文字の言葉を見出した。それは、切り離すという意味のSEVERか、梯子のLEVER、もしくは、打ち消しのNEVERのいずれかだろうと考えたわけだが、その単語が書かれたメッセージが“返事”であるといことから、NEVERがもっともらしいといえる。となれば、残り3つの記号は、N、V、Rということになる。

 続いて、同じくEが最初と5文字目にある文字について推理し、L、S、Iを特定します。さらに、COMEという英単語を仮定して、C、O、Mを特定し、最後は、明らかになったアルファベットから、メッセージの全体を推理します。

もしも、メッセージがあのご婦人(エルシー)と親密にしていた人物からのメッセージだとするならば、両端にEがあり、間に3文字ある英単語はELSIEという名前を意味していると考えられる。この組み合わせがみたび、メッセージの末尾に現れている。この事実も考慮すると、これはエルシー宛の文章に違いない、ということになる。

エルシーという名前の直前にたった四文字の英単語が登場しているが、末尾はEなので、これはCOMEであろう。つまり、“エルシー来い”という意味になる。他にも末尾がEの四文字を考えたが、他に適切なものはないであろう。ならばC、O、Mが特定されたことになる。

これまでに明らかになったアルファベットを用いて、最初のメッセージの暗号を解読すると、次のようになる。“?M ?ERE ??E SL?NE?”。最初の文字はAしかありえない。このAは、この短い文章の中で三度も登場する。さらに2つ目の未知のアルファベットは、明らかにHであろう。“AM HERE A?E SLANE?”。この虫食いに、判明しているある名前を埋めると、“AM HERE ABE SLANEY(エイブ・スレイニー参上)という意味になるわけだ。

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原作とドラマの違い

 ドラマでは暗号解読の部分がほとんどカットされています。原作でホームズは、換字式暗号(かえじしきあんごう)であることを見抜き、もとの英文を明らかにします。換字式暗号は、あ→か、い→き、のように文字を置き換える暗号です。ホームズのエピソードでは、人形の文字に書きかえられました。ホームズは、英語において、アルファベットEが頻出することを利用し、Eの人形がどれかをまず明らかにしています。

ドラマ

 グラナダ版ドラマは、1984年4月24日に放送されました。シーズン1の第2話(52分)です。

The Dancing Men
項目 内容
シーズン 1
話数 2
放送順 2
放送日(英) 1984年5月1日(火)
出演者 キャスト一覧

ストーリー

原作と同じストーリです。

 エルシーとヒルトン・キュービットは幸せに暮らしていた。が、ベンチに描かれた人の絵が妻エルシーの恐怖に陥れる。取り乱したヒルトンはホームズに助言を求める。依頼を受けたホームズは踊る人形の解読を試み、すぐに、エイブ・スレイニーなる人物の身元を明らかにする。その後、ホームズがキュービットの邸宅に駆けつけると、ヒルトンは射殺され、妻のエルシーは自殺を図っていた。ホームズは犯人がスレイニーであると確信し、踊る人形によるメッセージで彼を誘い出す。罠にはまったスレイニーは姿を現し、ホームズらに捕まる。スレイニーは踊る人形での言葉を使って、エルシーに迫ったいたのだった。エルシーがスレイニーを呼びつけ断ろうとしたとき、ヒルトンが現れ、スレイニーを撃った。しかし、反撃されヒルトンは死んでしまった。

感想

夫妻に迫る正体不明の脅威を解明するため、一刻も早く、暗号を解読しなければならかったわけです。完全に暗号を解読したホームズでしたが、あと一歩遅く、悲劇が起きてしまいました。

英文を踊る人形に変換できるサイトがあって、なかなか面白いです。英語だけですが、使うとちょっと楽しい気分になれます。とはいえ、たしかにデザインとしてはいいのですが、誰も読めない気がしてなりません。読める人がいたらむしろ怖いです。筋金入りのシャーロキアンかもしれません。

暗号は比較的単純な方法で生成されていました。しかし、解読するとなると至難の業のように思います。さすがのホームズも、たくさんの暗号が集まらないと、すべてを解読することはできなかったようです。もしもこれが、何の説明もなく急に解けていたら、超人的過ぎて人間味がなくなってしまいそうです。

考察

踊る人形による暗号の謎のあとに殺人事件が発生します。ホームズは解読した暗号を使って犯人をおびき出すため、暗号解読が作品の中で重要な役割を果たしております。ただ単に暗号による謎を登場させただけではないところが、面白いところです。なお、「ボヘミアの醜聞」もそうでしたが、このエピソードもエドガー・アラン・ポーの作品に似ております。ポーの作品は「黄金虫」という作品で、暗号が登場します。

まとめ

 シャーロック・ホームズの「踊る人形」について、原作とドラマのあらすじとネタバレ、感想などをご紹介しました。

登場人物

 登場人物をネタバレありで簡単にまとめます。原作およびドラマに共通する内容で一覧にしています。なお、主人公であるシャーロック・ホームズとワトスン博士は除いています。

名前 説明
ヒルトン・キュービット
Hilton Cubitt
依頼人
エイブ・スレイニーと撃ち合いになり死亡
エルシー・キュービット
Elsie Cubitt
ヒルトンの妻
ギャングの娘で自殺を図る
エイブ・スレイニー
Abe Slaney
踊る人形を書いていた人物
ギャングの一員でエルシーの元婚約者

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