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ブルースパーティントン設計書|あらすじ・ネタバレ解説【シャーロック・ホームズ】

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 ブルース・パーティントン設計書』は、英国の機密である潜水艦の設計図が盗まれ、その犯人と思しき青年の死体がみつかるという事件です。原作は1908年に発表されました。原作小説は「ブルースパーティントン設計書」以外に、「ブルース・パーティントン型設計書」や「…設計図」としている日本語タイトルもあります。

The Adventure of the Bruce-Partington Plans
項目 内容
作者 コナン・ドイル
発表 1908年12月発表
(ストランド)
発表順 42作品目
(60作中)
発生時期 1895年11月21日~
11月23日
発生順 38件目
(60作中)
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あらすじ

 ロンドン地下鉄の線路脇で、カドガン・ウェストという青年の死体がみつかる。兵器の工場で勤務していた彼のポケットには、国家機密の、潜水艦の設計図が7枚入っていた。金庫に保管されていたはずの設計図は全部で10枚あり、そのうちの3枚は行方不明で、その3枚には潜水艦設計における重要な内容が記載されていた…。国の危機に際して、マイクロフト・ホームズは弟シャーロックが暮らす221Bを訪れ、設計図の捜索を依頼する。

 警察はカドガン・ウェストが金欲しさに設計図を盗み出したと考えていた。ウェストは結婚を控えており、金が必要だったのは間違いない。英国の国家機密を敵国に売れば金になる。ところが、敵国側の人間に裏切られて、逆に殺されたしまった。そして、犯人は重要な3枚の設計図だけ図面を奪って逃げた、というのが警察の当初の見立てだった。

 対して、ホームズは、調査によって、ウェストは犯人ではないということに気付く。ウェストは、真犯人を追って、盗まれた図面を取り返そうとしていたのだが、返り討ちにあい、殺されてしまった。そして死体は、ロンドン地下鉄の列車の屋根に乗せられ、列車がカーブに差し掛かった時に屋根から落下した。

 図面盗難の真犯人が他にいるという結論に至ったホームズは、マイクロフトから提供されたスパイの情報をヒントに、オーバーシュタインという人物に疑いをかけ、彼のアジトに侵入する。そこで、奇妙な新聞広告をみつける。ホームズは、オーバーシュタインのふりをして似たような広告を出し、オーバーシュタインと連絡を取っていたであろう人物をおびき出そうとする。

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ネタバレ

偽の広告という罠にかかり、姿を現したのは、ヴァレンタイン・ウォルター大佐だった。大佐は、カドガン・ウェスト事件の直後に急死した潜水艦局長の弟で、潜水艦局長は弟の犯行に気付き自殺したのだった。

捕らえらたウォルターは自供し、ホームズ達は事件の真相を知る。そして今度は、オーバーシュタインをおびき出すため、ウォルターに手紙を書かせる。この偽の手紙を信じたオーバーシュタインは手紙で指定された場所に姿を現し、逮捕され、残りの3枚の設計図も無事に回収される。

真相解説

ウォルターの動機は金です。ウォルターは株取引で負け、破産するほどの借金を抱えていました。この借金を返済するため、設計図を盗み出そうとします。

手口は、金庫の合鍵を作るというもので、鍵は自殺した潜水艦局長が持っていました。合鍵を使って設計図を盗んだウォルターでしたが、カドガン・ウェストに気付かれ、あとをつけられます。そして、ウォルターがオーバーシュタインのアジトに辿り着いたときに、尾行していたウェストが姿をみせますが、オーバーシュタインがウェストを殺害。設計図盗難の罪をきせるために、7枚の設計図をポケットに入れ、さらに、列車の屋根に乗せて死体を運びました。

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ドラマ

 グラナダ版ドラマは1988年4月27日に放送されました。シーズン4の第4話(51分)です。

The Bruce Partington Plans
項目 内容
シーズン 4
話数 4
放送順 25
長さ 53分
放送日(英) 1988年4月27日(水)
キャスト キャスト一覧

原作とドラマの違い

 原作とドラマでストーリーに大きな違いはありません。しかし、細かな違いやドラマでは省かれた部分などが、いくつかあります。まず、原作でこの事件に登場するのはレストレード警部ですが、ドラマはブラッドストリート警部になっています。そしてハドソン夫人は原作には登場しません。

 原作ではラストに、ホームズがウィンザー城に招かれて高貴な方(女王)からエメラルドのタイピンを贈られた、ということがわかるような場面がありますが、これはドラマでは割愛されていました。また、原作では犯人達の刑が登場していますが、ドラマでは大佐はどこかへ逃亡したような終わり方になっています。

 その他、カドガン・ウェストが以前から大佐を疑っていたこと、犯人達は盗んだ設計図を模写し本物は返す予定だったこと、などドラマでは省略された内容もあります。

感想

列車の屋根の上にのせられて死体が落ちたこと、罪をきせるために7枚の設計図をポケットに入れたことなどなど、なかなか面白かったです。線路の死体の謎が、ミステリーとして面白いと思います。ただ、ホームズがあっさり解決してしまいます。なお、ドロボー(不法侵入者)になるホームズは、この後も、度々登場します。事件のあと、ドラマでホームズとワトソンはマイクロフトに連れられて牡蠣を食べに行くようです。イギリスの牡蠣の旬は9月から4月で、事件発生は11月頃のはずなので、旬の美味しい牡蠣が食べれることでしょう。

考察

ドラマで、被害者は列車の中で死んだようにみえましたが、殺害現場は別の場所で、死体は列車の屋根の上にのっていました。殺害場所を偽装するトリックのようです。ただ、切符、列車内の痕跡など、完全に偽装するためには、もっと細かなトリックが必要なように思います。

まとめ

 シャーロック・ホームズの「ブルースパーティントン設計書」について、原作とドラマのあらすじとネタバレ、感想などをご紹介しました。今回の依頼人はシャーロックの兄であるマイクロフト・ホームズです。

ハイライト
  • 発端
    マイクロフトからホームズに電報が届く
    機密である設計図の盗難事件が語られる
    盗難犯は死んだカドカンか?
  • 展開
    ホームズとワトスンが捜査する
    ホームズがあるスパイに疑いをかける
  • 結末
    ホームズが犯人をおびき出そうとする

登場人物

 登場人物をネタバレありで簡単にまとめます。シャーロック・ホームズ、ワトスン博士、マイクロフトは除いています。

名前 説明
ヴァレンタイン・ウォルター
Colonel Valentine Walter
株で負った借金を返すため設計図を盗み出した
カドガンに尾行される
カドガン・ウェスト
Cadogan West
設計図を盗んだウォルターを追跡する
設計図を取り返そうとするが殺されてしまう
オーバーシュタイン
Hugo Oberstein
外国のスパイ
カドガンを殺害した人物

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