図書委員シリーズ第二弾となる『栞と嘘の季節』は米澤穂信さんの直木賞受賞後第一作で、一見穏やかな高校生活の裏に潜む、複雑な人間関係と嘘が織りなすミステリーです。この記事では、あらすじ、感想、ネタバレなどをまとめています。
項目 | 評価 |
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【読みやすさ】 スラスラ読める!? |
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【万人受け】 誰が読んでも面白い!? |
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【キャラの魅力】 登場人物にひかれる!? |
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【テーマ】 社会問題などのテーマは? |
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【飽きさせない工夫】 一気読みできる!? |
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【ミステリーの面白さ】 トリックとか意外性は!? |
あらすじ
県立K高校の図書室で、図書委員を務める高校二年生の堀川次郎は返却された本を整理していた。いつものように一人で図書室の業務をこなす堀川だが、以前は同じ図書委員の松倉詩門と二人で当番を務めていた。ここ最近、松倉は二ヶ月ほど図書室に姿を見せていない――そんなことを考えていると、二ヶ月ぶりに松倉が図書室に顔を出す。
ふたりで返却されてきた本をチェックしていると、一冊の本に挟まった押し花を使った手作りの栞を見つける。栞自体はよくあるものだったが…押し花に使われている花は猛毒を持つトリカブトだった。
危険を感じた二人は、騒ぎにならないよう密かに栞の持ち主を探し始める。
数日後、校内で写真部の作品展が開催される。堀川と松倉は、その写真展で奇妙な写真を見つける。それは、トリカブトの花束を抱えた女子生徒が写っている写真だった。
写真について調べていくと、校舎裏の花壇でトリカブトが栽培されているのを発見。そこに現れたのは、同級生の女子・瀬野だった。瀬野は花壇からトリカブトを抜き取り、土に埋めているところだったのだ。
瀬野は以前その花壇でトリカブトを栽培していたという。そして、栞は自分のものであると主張し、堀川から栞を奪い取って、燃やしてしまう。しかし、瀬野の行動には、どこか不自然な点があった。彼女は何かを隠しているのではないか。そう感じた堀川と松倉は、瀬野に接触を試みる。すると瀬野は、ある事実を語り始める。その栞は、自分が過去に作ったもので、同じものが学校内に出回っていることを知って、回収しようとしていたのだという。
そんな中、生徒指導部の教師・横瀬が、体調不良を訴え、救急搬送されるという事件が発生する。原因は不明だったが、トリカブ トによる中毒症状ではないかという噂が広まる。堀川と松倉は、瀬野とともに、事件の真相を追うことになる。
小説の特徴
- 青春とミステリーの融合:高校生たちの日常を舞台に、青春特有の悩みや葛藤が、ミステリー要素と絡み合い、独特の雰囲気!
- 人間ドラマ:登場人物たちがつく嘘は、自己防衛のため、あるいは他人を守るため…その嘘の裏にある人間ドラマが深い!
- 図書委員コンビの魅力:堀川と詩門の互いを尊重しつつも、深入りしない絶妙な距離感がいい!
- 伏線:物語全体に散りばめられた伏線が終盤に回収される!
感想
前作を読んでいると、堀川と詩門の関係性の変化や、過去のエピソードとの繋がりをより深く理解できると思います。
高校生たちの大人びた言動にはちょっと違和感を覚えるかもしれませんし、無理矢理な感じもあるかもしれませんが、高校生探偵2人の掛け合いに作者らしさが現れていて、面白いと思います。小市民とか古典部が好きなら楽しめるはずです。
高評価のポイント
- キャラクター設定: 特に堀川と詩門のキャラクター設定が魅力的
- ストーリー展開: 嘘が複雑に絡み合い、徐々に真相が明らかになっていく展開に、引き込まれます
- 文章力: 米澤穂信氏の文章力が高くて読みやすい!
低評価のポイント
- 登場人物の言動に違和感: 高校生とは思えない大人びた言動に感情移入できないかも…
- 展開の無理やり感: 展開に無理があると感じる部分もあるかも…
- 後味の悪さ: 救いのない展開や、スッキリしない結末…
ネタバレ
- 栞の正体
栞は瀬野麗と櫛塚奈々美が過去に結成した「姉妹団」の証として作られたものでした。二人は、自分たちを苦しめる存在から身を守るため、毒を「切り札」として持つことを決意したのです。栞には「Resist(抵抗)」「Refuse(拒絶)」「Rebel(反逆)」「Release(解放)」の意味が込められた「R」の文字があしらわれていました - 栞の流布
姉妹団の解散後、栞は二人の手を離れ学校内で広まります。その原因は、奈々美の妹である乃々花が姉の意思を継ぎ、苦しむ人々に「切り札」を与えようとしたからです。乃々花は、姉が過去に受けた苦しみを知り、同じような境遇にある人々に復讐の手段として栞を配っていました - 教師への毒盛事件
瀬野を苦しめていた教師・横瀬がトリカブト毒によって倒れます。犯人は北林洋子で、動機は横瀬のセクハラ行為に対する復讐です - 嘘と秘密
瀬野は過去の過ちを隠し、乃々花は姉の意思を継いで栞を配っていたことを隠していました。また、堀川も栞の所持者に気付きながらそれを隠していましたし、松倉にもバイトなどの隠し事があったようです - 夜の姉妹団
作中には、スティーヴン・ミルハウザーの短編『夜の姉妹団』が登場します。これは、本作のテーマである「女性たちの連帯」や「秘密の共有」を象徴するものであり、物語の重要な要素になっています。乃々花は、この物語に感銘を受け、姉妹団の活動を再開しています
結末
事件は、乃々花の行動を止めることで一応の解決します。瀬野は過去の罪を償うため、自ら責任を取ることを決意します。堀川と詩門は、瀬野の決意を尊重し、彼女の行く末を見守ろうとします。
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