科学とミステリーが融合した伊与原新さんの『ルカの方舟』について、読者の皆さんの感想も交えながら、この作品の魅力をレビューします!この小説は科学的な世界観に、人間ドラマやミステリー要素が巧みに取り込まれた作品です。科学に興味がある方はもちろん、ミステリー好きにもおすすめです!
あらすじ
舞台は、火星隕石から生命の痕跡が発見されたというセンセーショナルなニュースに沸く大学研究室。しかし、その論文に捏造疑 惑が浮上し、関係者が次々と事件に巻き込まれていく。そして生命の起源を巡る壮大なロマンと、研究者の苦悩や葛藤が絡み合う、予測不能な展開が待ち受ける…。
特徴
- FFP(捏造、改ざん、盗用)というテーマが、STAP細胞事件を彷彿とさせる
- 生命の起源というロマンを追い求める一方で、偽装に手を染めてしまう切なさ
- 研究室の人事や予算を巡る陰湿な確執劇
- 科学的な知見に裏付けられた緻密なストーリー展開
感想
生命の起源という壮大なテーマを扱いながら、現代科学が抱える倫理的な問題や、研究者の苦悩をリアルに描き出しています。伊与原新さんの作品らしく、科学的な知識が豊富に盛り込まれており、物語を楽しみながら、自然科学への知的好奇心も刺激されるはずです!
ポジティブな感想
生命の起源というテーマに惹かれ、ミステリーとしての展開と科学的な知識が組み合わさった物語を楽しんでいることがわかります。また、研究室の状況や登場人物のキャラクターも魅力的に感じているようです。
- 生命の起源に関する好奇心を刺激される
- ミステリーとしての意外な展開と、真相の切なさに感動
- 科学的な知識が得られることへの喜び
- 百地教授のキャラクターが魅力的
- パンスペルミア説など、宇宙や生命に関するロマンに惹かれる
ネガティブな感想
ネガティブな感想としては、科学的な内容が難解であるという意見や、情報量が多すぎて詰め込みすぎていると感じる読者がいる ようです。また、研究者の苦悩や不正といったテーマが重く感じられる場合もあるようです
- 科学的な内容が難解で、理解に苦しむ部分がある
- 登場人物のキャラクター描写が弱い
- ミステリーとしての謎解きが複雑すぎる
- 詰め込みすぎで、内容が消化不良に感じる
ネタバレ注意
火星隕石HYADES1201の研究不正疑惑から始まり、科学雑誌ライターの小日向は帝都大学の笠見教授が発表した論文の捏造を告発するメールを受け取ります。取材のため研究室を訪れた小日向は、そこで笠見教授の遺体を発見。事件の真相を追う中で、小日向は惑星科学者の百地教授と出会い、共に謎を解き明かすことになります。
事件の背景には、研究室内の人間関係の確執や、若手研究者のポスト争い、そして論文至上主義といったアカデミックな世界の闇 がありました。笠見教授は、研究成果を焦るあまり、データを捏造していました。
事件の真相はこれだけではなく、実は笠見教授の助手であった室賀が、尊敬する先輩研究者の名誉を守るため、隕石の発見場所を偽装していたことも明らかになります。室賀は、先輩研究者が正当な評価を受けられなかったことへの憤りから、今回の事件を引き起こしていました…。
ラストには、生命の起源に関する壮大な仮説が提示されます。地球の生命は、火星からやってきた隕石によってもたらされた可能性があるという感じの内容です。この仮説によって、宇宙と生命の神秘を感じられ、深く感動します。
まとめ
科学系のミステリー好きはもちろん、社会問題に関心のある方にもおすすめできそうな一冊です。生命の起源を巡る壮大なロマンと、研究者の苦悩が織りなす物語をきっと楽しめるはずです。
この本を読んだ読者へのおすすめ
同じく伊与原新さんの作品である『リケジョ!』もおすすめです。こちらは、日常の謎を科学的に解き明かす連作短編ミステリーで、より気軽に楽しめる作品です。
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