「密室の不解証明は、現場の不在証明と同等の価値がある」――衝撃的な一文から始まる、鴨崎暖炉先生のデビュー作『密室黄金時代の殺人』は、その名の通り、『密室』という要素に徹底的にこだわったミステリーです。この記事では、あらすじ、ネタバレ、リアルな感想などをご紹介します!
あらすじ
「完璧な密室は不可能殺人である」という判決をきっかけに、密室殺人が多発する密室黄金時代を迎えた架空の日本が舞台。ミステリー好きの高校生・葛白香澄は、幼なじみの朝比奈夜月に誘われ、雪深い山奥に佇むホテル『雪白館』へ。そこは、かつて数々の密室トリックを生み出したミステリー作家・雪城白夜の邸宅を改装したホテルだった。
雪白館は外界と隔絶され、宿泊客たちは次々と密室殺人の犠牲に…!葛白は再会した中学時代の同級生・密村漆璃と共に、前代未聞の連続密室事件に挑むことになる。
クセ強すぎ!?な登場人物
本作の特徴のひとつとして、その個性的な登場人物たちが挙げられます。以下の人物以外に、探偵、医師、アイドル、マネージャー、宗教家、詐欺師などなど、一癖も二癖もあるキャラクターたちが登場します。登場人物の名前が特徴的であるイミ覚えやすいですが、個性的すぎて、誰にも感情移入できなかったりします。
- 葛白香澄(くずしろ・かすみ)
本作の主人公。自称「密室好き」の高校生だが、どこか頼りない - 朝比奈夜月(あさひな・やづき)
葛白の幼なじみ。イエティ探し?の傍ら、事件に首を突っ込む破天荒な大学生 - 密村漆璃(みつむら・しつり)
天才的な頭脳を持つ美少女。過去に密室殺人事件で無罪になった過去を持つ - 詩葉井玲子(しはい・れいこ)
雪白館のオーナー。妖艶な魅力で周囲を惑わす。 - 迷路坂千佳(めいろざか・ちか)
無愛想だが、実は切れ者のメイド
感想
まさかの展開で、トリックがすごいです!ただ動機は弱いかもしれません…。賛否両論あると思いますが、読者を飽きさせない展開であることは間違いありません。
高評価のポイント
- 斬新な設定と怒涛の密室トリック
設定が面白くて密室トリックのアイデアがすごいです。世界観やトリックがいいですね! - 読みやすい文章と軽快なテンポ
文章が軽快で読みやすいです。まさにサクサク読めるといったところ。ライトノベルのような読みやすさかもしれません - ユニークなキャラクター
登場人物が個性的で面白いです
低評価のポイント
- ストーリーや人物描写の薄さ
トリック重視のためかストーリーや人物描写が薄く、動機もいまいち納得できないかもしれません。物語の深みを求めるとちょっと低評価になりそうです - 軽すぎるノリ
人死んでっけど、全体的に軽すぎますかね。緊迫感はないので、シリアス展開を期待する読者には不向きです - トリックの実現性
トリックが強引、本当に可能なのか疑問など、トリックのリアリティについては疑問もあります
ネタバレ注意
本作には、6つもの密室トリックが登場します。ドミノ倒しを利用したトリックや、扉を入れ替える大胆なトリックなどなど。最も衝撃的なのは、最後の密室トリック。被害者の部屋の扉と図書室の扉を交換するという大胆なものでした。
そして、真犯人は…暁の塔の幹部であるフェンリルでした。彼女は、過去に詐欺によって母親を失っており、その復讐のために、今回の犯行を計画していました。
まとめ
本作はその斬新な設定と数々の密室トリックなどが魅力です。ストーリーや人物描写の薄さ、軽すぎるノリなど、気になる点もあるかもしれませんが、『密室』という要素に徹底的にこだわった、まさに『密室愛』に溢れた作品ですので、読めば狂騒の密室黄金時代に堪能できるはずです!
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