中山七里さんの一度読んだら忘れられないであろう悪女・蒲生美智留が再び登場する『ふたたび嗤う淑女』!前作の事件から三年後を描く『ふたたび』について、あらすじ、感想、ネタバレなどをまとめています。
あらすじ
野々宮恭子という美貌の投資アドバイザーが、国会議員・柳井耕一郎の資金団体で事務局長を務める藤沢優美に近づき、巧みな話術で資金の不正運用をそそのかす。恭子の言葉にのってしまった優美は、次第に破滅へと向かっていく。
恭子に近づいた他の人物たち――新興宗教の幹部、不動産屋の会長、政治家の秘書など、それぞれが欲望と弱みにつけ込まれ、操り人形と化していく。
小説の特徴
- カリスマ悪女!
蒲生美智留(本作では野々宮恭子という名前です)の悪女としての魅力がバツグンに発揮されています!彼女の美貌、知性、そして人心掌握術は魅力的でありながら怖いです - 巧妙な心理描写
ターゲットとなる人物の心理描写が非常に巧み!破滅へと向かう過程が面白い - 予想を裏切る展開
中山七里さんといえばなどんでん返しは健在! - 社会的なテーマ
政治、宗教、金銭欲など、現代社会の問題も感じとれそう
悪女ミステリーが好きな人、スリリングな展開を楽しみたい人なんかにオススメできそうな一冊です!蒲生美智留の悪女としての魅力はほんとに強烈です!
読む順番
『嗤う淑女ふたたび』はシリーズ第2弾です。このシリーズの読む順番は別のページにまとめています!
感想
前作も面白かったですが、今作も非常に面白くて、一気読みしてしまいました。政治的な内容が割と好きなので、堅苦しい印象などは感じず、私は楽しく読めました。全く想像していなかった終わり方だったので、その部分もまた高評価なポイントになりました。蒲生美智留の動機は、まさに悪女という感じで、むしろ爽快でした。
高評価のポイント
- 悪女のキャラクターが魅力的!
- ストーリー展開がスリリングでスピーディー!テンポよく進むので飽きずに読み切れる!/li>
- 予想を裏切るどんでん返しが用意されている!
- 社会的なテーマを感じとることもできるので考えさせられる一面もありそう!
- 中山七里さんの豊富な知識に感銘を受ける
低評価のポイント
- ストーリー展開がパターン化していて新鮮味に欠ける
- 政治的な話が多くてエンターテイメント性が低い
- 動機に共感しにくい
ネタバレ
柳井議員の資金源となっていたNPO法人の事務局長、新興宗教の幹部、後援会の会長、そして政策秘書が、次々と謎の死を遂げます。彼らの死の裏には、野々宮恭子が暗躍していたわけですが…。実は、恭子を献身的に支えていた神崎亜香里こそが、整形手術によって顔を変えた蒲生美智留本人でした。
そして、野々宮恭子は美智留が操る復讐心に燃える武村良美です。彼女は、かつて柳井議員が関与した事件で妹を失い、復讐のために美智留に協力していました。そして、問題の柳井議員は過去に大学のサークルで女性を食い物にする行為を繰り返していたことが明らかになり、その被害者遺族である久津見に殺害されるわけです(美智留も共犯といえそうです)。
- 藤沢優美:柳井耕一郎の資金団体「女性の活躍推進協会」の事務局長。恭子の指南を受け、資金の不正運用に手を染めた後、投資詐欺に遭い自殺
- 伊能典膳:新興宗教「奨道館」の副館長。柳井の票集めを期待し、恭子の提案に乗って教祖の自叙伝を出版しようとするが失敗。その後、交通事故で死亡
- 倉橋兵衛:柳井耕一郎後援会の会長を務める不動産業者。恭子に唆され、都議選出馬のために資金繰りに奔走。不動産詐欺に遭い、逆上した妻に撲殺される
- 咲田彩夏:柳井耕一郎の公設秘書。柳井の妻の不倫写真を捏造しようとしたことが失敗し、解雇後に自殺
- 柳井耕一郎:若手の国会議員。過去の悪事を隠蔽し、政界での地位を築いていたが、久津見に殺害される
- 久津見良平:柳井に娘を弄ばれて自殺された過去を持つ男。柳井を殺害後、恭子を道連れに自殺
- 武村良美:会社に訪ねてきたクライアント。恭子に仕立てられ、結果、久津見と共に自殺
結末
ラストには、復讐を終えた恭子(実際は妹を失った女性)が美智留と共に自ら命を絶ちます。しかし、蒲生美智留は、またしてもその死を偽装し、神崎亜香里として新たな人生を歩み始めます。美智留はまたしても罪を逃れ、新たな顔で社会に潜伏します。
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