劇場版『名探偵コナン 異次元の狙撃手(スナイパー)』のあらすじ、ネタバレ、登場人物、用語解説、感想などをまとめています。異次元の狙撃手は劇場版コナンシリーズの第18作目で、2014年4月19日に公開されました。上映時間は110分。最終的な興行収入は41億1000万円に達し、当時のシリーズ最高記録であった『絶海の探偵』の36億3000万円を大きく上回る大ヒットになりました!さらに、第38回日本アカデミー賞において優秀アニメーション作品賞も受賞しています。
あらすじ
東京の新たなシンボルである『東都ベルツリータワー』のオープニングセレモニーで、コナン、蘭、小五郎、少年探偵団、園子といったおなじみの面々が展望台からの景色を楽しんでいる最中、突如、男性客の一人が狙撃される…。混乱の中、コナンは冷静に狙撃地点を特定し、ターボエンジン付きスケボーで犯人を追跡。途中で、偶然にも女子高生探偵の世良真純と遭遇し、彼女のバイクを借りて追跡を続ける。パトカーも加わって犯人を追い詰めるが、犯人は手榴弾を使ってパトカーを爆破し、海に飛び込んで逃走してしまう。
コナンは犯人のバイクに発信機を取り付けており、世良と共に再び犯人のアジトを突き止めるが、またもや銃撃を受ける。FBI捜査官のキャメルがコナンを庇うなどして危機を脱するのだが、最終的に犯人は海に逃げ去ってしまう。しかし現場にはライフルの空薬莢と4の目のサイコロが残されていた。
警視庁とFBIによる合同捜査会議が開かれ、被害者の藤波宏明は元Navy SEALs隊員のティモシー・ハンターに恨まれていたことが判明し、ハンターが最重要容疑者として浮上する。しかし、その後も立て続けに狙撃事件が発生してしまう。
まず森山仁が射殺され(サイコロの目は3)、ティモシー・ハンター (サイコロの目は2)も射殺されてしまう。容疑者が死亡したことにより捜査は混乱するが、ハンターの遺体の病理解剖から、彼が8年前に頭部に受けた銃弾の後遺症で狙撃が不可能な状態だったことが判明する。ハンターはどうやら、別の犯人に狙撃を依頼していたようだった。
残る標的はジャック・ウォルツとビル・マーフィー。コナンと世良はマーフィーへの狙撃を阻止しようとするが、世良がコナンを庇って銃撃され負傷してしまう。結局、マーフィーも射殺され、現場には5の目のサイコロが残されていた…。
ネタバレ
サイコロの目が4→3→2→5で順番になっていないことから、カウントダウンではなさそうでした。コナンは少年探偵団が作ったベルツリータワー周辺のジオラマをみて、サイコロの目が示す狙撃地点を三次元で結ぶと、ハンターが剥奪されたシルバースターの形になるというトリックを見破ります。そして、最後の狙撃場所がベルツリータワーであることを突き止めます。
真犯人は、ハンターに命を救われ、ハンターを師と仰ぐ元海兵隊員のケビン・ヨシノでした。ハンターは、ウォルツらによって名誉を傷つけられ、家族を失った後、自らの身体では狙撃ができなくなったため、ケビンを育てて復讐を託していました。
ケビンはハンターを破滅に追いやった人物たちへの復讐を計画し、ハンター自身もその計画の一部として自らの死を偽装し、ケビンに狙撃させていました。
結末
クライマックスでは、ケビン・ヨシノが最後の標的であるジャック・ウォルツをベルツリータワーから狙撃しようとします。コナンはこれを阻止しますが、ケビンはタワーを停電させ、展望フロアにいた少年探偵団の歩美を人質に取ります。暗視ゴーグルを装着したケビンに対し、コナンは探偵団バッジの光とモスキート音を利用して歩美の居場所を特定し救出。しかし、怒ったケビンが無差別に銃を乱射し、蘭が負傷してしまいます。
絶体絶命の状況で、コナンは花火ボールを打ち上げ、タワー内を瞬間的に明るく照らします。その一瞬の隙に、遠距離から沖矢昴がケビンの銃を狙撃します。そして蘭がケビンを制圧し、事件は幕引きとなります。
そして、映画のラストシーン。沖矢昴がFBIのジェイムズ・ブラックと無線で連絡を取り合います。会話の最後に、沖矢昴は首元のチョーカー型変声機のスイッチを切り、死んだはずのFBI捜査官・赤井秀一の声で「了解」と答えます。この瞬間、沖矢昴の正体が赤井秀一であることが明らかになります。これは、映画公開当時は原作でもまだ明かされていなかった衝撃の事実であり、多くのコナンファンに大きな驚きと興奮をもたらしました。
登場人物
- 江戸川コナン(工藤新一)
主人公。小学生の姿で事件を捜査し、超人的なスケボーや発明品を駆使して大活躍する - 毛利蘭
ヒロイン。新一の幼馴染で、空手の達人。クライマックスでは犯人制圧に貢献 - 毛利小五郎
蘭の父親で探偵。高所恐怖症で、推理は外れますが、事件解決のきっかけを作ることもある - 阿笠博士
コナンの協力者であり、偉大な(?)発明家 - 灰原哀
元黒の組織のメンバー。コナンの正体を知る人物のひとり。探偵団バッジの機能で犯人の居場所特定に貢献する - 少年探偵団(吉田歩美、小嶋元太、円谷光彦)
コナンたちの仲間。夏休みの自由研究がトリック解明のヒントになったり、クライマックスでは人質になったり、探偵バッジでいろいろ貢献したりと、目まぐるしい活躍をみせる - 鈴木園子
蘭の親友で鈴木財閥令嬢。ベルツリータワーのオープニングセレモニーにコナンたちを招待 - 目暮十三
警視庁警部。事件の捜査指揮を執る - 高木渉
警視庁刑事。佐藤刑事と共に行動 - 佐藤美和子
警視庁刑事。高木刑事と共に行動 - 白鳥任三郎
警視庁警部 - 千葉刑事
警視庁刑事。白鳥警部と組んで捜査にあたる - 綾小路文麿
京都府警警部。京都に滞在中の重要人物の警護にあたる
劇場版初登場
- 世良真純
女子高生探偵。コナンの相棒として共に犯人を追跡し、コナンを庇って負傷 - 沖矢昴
謎の大学院生。単独で事件の暗号解読を進める。ラストシーンで正体が明かされる - 赤井秀一
FBI捜査官。凄腕のスナイパー。死亡したと思われていたが…、沖矢昴に変装していたことがラストシーンでわかる - ジェイムズ・ブラック
FBI捜査官。FBIの日本での捜査を指揮し、沖矢昴と連絡を取り合っている - ジョディ・スターリング
FBI捜査官。コナンと協力して捜査を進める - アンドレ・キャメル
FBI捜査官。冒頭でコナンを庇うなど、捜査に協力する
映画オリジナル
- スナイパー(ケビン・ヨシノ)
連続狙撃事件の犯人。元海兵隊員で、師であるハンターの復讐のために犯行に及ぶ - ティモシー・ハンター
元Navy SEALs隊員。一連の事件の容疑者として浮上しますが、後に被害者となる - 藤波宏明
不動産会社社長。連続狙撃事件の最初の被害者 - 森山仁
元商社マン。連続狙撃事件の第二の被害者 - ブライアン・ウッズ
新聞記者。シアトルでの最初の被害者 - ビル・マーフィー
元陸軍三等軍曹。ジャック・ウォルツの部下で、連続狙撃事件の第四の被害者 - ジャック・ウォルツ
元陸軍大尉。ハンターを告発した人物で、連続狙撃事件の最後の標的 - マーク・スペンサー
元横須賀基地司令官。元米軍兵たちの相談役 - スコット・グリーン
元Navy SEALs隊員。ハンターの元教官 - カルロス・リー
元海兵隊狙撃手。マーク・スペンサーの運転手
ゲスト声優
ゲスト声優として、俳優の福士蒼汰さんが犯人であるケビン・ヨシノ役を、お笑いコンビ・パックンマックンのパトリック・ハーラ ンさんがジャック・ウォルツ役を、相方の吉田眞さんが刑事役を、元プロ野球選手の赤星憲広さんが赤星刑事役をそれぞれ担当しています。福士蒼汰さんは劇中で流暢な英語のセリフも披露しており、話題となりました。
用語解説
- ベルツリータワー
物語の主要な舞台となる高層タワー。東京スカイツリーをモデルにしてお り、オープニングセレモニーで最初の事件が発生する - Navy SEALs
アメリカ海軍の特殊部隊。元隊員のティモシー・ハンターが事件に関与する - シルバースター
アメリカ軍の勲章の一つで、勇敢な行動に対して授与される。ティモシー・ハンターが剥奪されたこの勲章が、犯人のトリックのモチーフとなる - サイコロ
犯人が狙撃現場に残した謎のアイテム。当初はカウントダウンかと思われましたが…、実際は狙撃地点を三次元で結んだ形を示すためのものだった - モスキート音
少年探偵団バッジに偶然発生する高周波音です。暗闇での犯人特定に役立ち、クライマックスで重要な役割を果たす
感想
ラストシーンで沖矢昴が赤井秀一の声で「了解」と発するわずか数秒の描写は、本作最大のハイライトです!今だと、コナン君が新一であるくらいにお馴染みの内容になっているかもしれませんが、公開当時は計り知れないほどの衝撃を受けた驚愕の事実でした。
この映画が公開された2014年4月19日当時、原作漫画で赤井秀一は死亡したことになっていました。沖矢昴という謎の人物が登場していましたが、その正体は明確には明かされていなかったわけです。そんなわけで、映画館でラストシーンをみると本当にぶっ飛んだわけです。
その他の関連情報
『異次元の狙撃手(スナイパー)』は、原作漫画の連載20周年を記念して制作されました。原作のキャラクターが多数劇場版に初登場しただけでなく、様々なメディアミックス展開も行われています。映画公開と同日には、ベルツリータワーが登場する本作のプレストーリーとなるテレビアニメ第735話「暗号付きの招待状」が放送されました。また、本作の公開を記念して、原作エピソードのFILE.594「逃亡者」が「逃亡者・毛利小五郎」としてNOTTV(現在はサービス終了)で初めてアニメ化され、後にテレビアニメでも放送されました。
公開時期にも特徴があり、例年4月に公開される劇場版シリーズですが、前年の2013年12月には『ルパン三世VS名探偵コナン THE MOVIE』が公開されており、本作はそこからわずか4ヶ月後の公開となりました。これは、コナン劇場版史上初めて前作から1年未満での新作公開という異例のペースでした。
プロモーション活動も活発に行われ、前作『ルパン三世VS名探偵コナン THE MOVIE』の上映後にはルパン一味とのコラボ特報が上映されました。ゲスト声優の発表や公開アフレコイベント、さらには映画『相棒 -劇場版III-』とのコラボレーションで両作品の主人公が雑誌の表紙を飾るなど、多角的なプロモーションが展開されました。
主題歌を担当した柴咲コウ氏も、コナンとのコラボイラストがシングルのジャケットになるなど、話題を呼びました。これらのプロモーションやメディアミックスが大ヒットの一助になったと考えられます。
監督は前作『絶海の探偵』に引き続き静野孔文さんが務め、脚本は『11人目のストライカー』以来2年ぶりに古内一成さんが担当しました。残念ながら、古内氏は2016年に逝去されたため、本作が劇場版『名探偵コナン』シリーズにおける最後の脚本作品となっています。また、長年にわたり音響監督を務めてきた浦上靖夫さんにとっても、本作が最後の劇場版参加作品となっています。
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