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迷路館の殺人【あらすじ・感想・ネタバレ】

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迷路館の殺人』は綾辻行人先生の推理小説で、島田潔が登場する館シリーズの3作目です。作中作という構成の物語になっており、迷路の周囲に客室などが配置された異様な館が登場します。

項目 説明
タイトル 迷路館の殺人
著者 綾辻行人
シリーズ 館シリーズ
3作目
発行日 1988年9月
Audible版 なし
(2025年1月時点)
出版社 講談社
評価
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あらすじ

日本推理小説界の大家・宮垣葉太郎の還暦記念パーティーが、宮垣の邸宅・迷路館で開かれることになり、宮垣の弟子であり四人の推理作家と、評論家、編集者、そして島田潔が招待されます。

ところが、秘書の井野満男によって突然、宮垣の自殺が伝えられます。宮垣は遺書を残しており、その内容は期限内に素晴らしい推理小説を書いた作家に莫大な遺産を相続するというものでした……。

期限は5日後で、その間、誰一人として館を出ず、警察にも通報せずに、四人の作家が自身を被害者とする殺人事件をテーマに小説を書くという条件のもと、作家たちは競作を始めますが、やがて館内で殺人事件が発生します。

迷路館の殺人
講談社
¥946(2025/04/08 17:09時点)
館シリーズ

登場人物

招待客は遺産をかけて小説を書くことになった推理作家4名と、勝敗を決める審査員4名に別れます。

  • 宮垣葉太郎(みやがき・ようたろう)
    60歳。迷路館の主人。大御所の推理作家
  • 井野満男(いの・みつお)
    36歳。宮垣の秘書
  • 黒江辰夫(くろえ・たつお)
    宮垣の主治医
  • 角松フミヱ(かどまつ・ふみえ)
    63歳。迷路館の使用人。初版時の名前は角松冨美(かどまつ・ふみ)
  • 推理作家
    • 清村淳一(きよむら・じゅんいち)
      30歳。推理作家。舟丘まどかの元夫
    • 須崎昌輔(すざき・しょうすけ)
      41歳。推理作家。同性愛者
    • 舟丘まどか(ふなおか・まどか)
      30歳。推理作家。清村淳一の元妻
    • 林宏也(はやし・ひろや)
      27歳。推理作家。気の弱い性格
  • 審査員
    • 鮫嶋智生(さめじま・ともお)
      38歳。評論家。9歳になる息子がいる
    • 宇多山英幸(うたやま・ひでゆき)
      40歳。大手出版社の編集者で、宮垣の担当
    • 宇多山 桂子(うたやま けいこ)
      33歳。英幸の妻。医大卒
    • 島田潔(しまだ・きよし)
      36歳。探偵役。推理小説の愛好家代表
  • 鹿谷門実(ししや・かどみ)
    『迷路館の殺人(作中作)』の作者。上記人物の誰か

事件概要

作家たちは小説を書くことになるわけですが、相続人候補である作家達が次々に殺されていきます。最初の被害者は須崎昌輔、続いて清村淳一、林宏也、最終的には船丘まどかも死亡します。

いずれも、被害者が書き始めた推理小説の通りに殺されるという不可解な状況でした。

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読む順番及びシリーズについて

館シリーズの3作目です。1作目と2作目は読んでいなくても、迷路館の事件を理解できないということはありません。十角館や水車館の話題がちょっと登場しますが、ネタバレは書かれていないので、迷路館から読んでも問題ないと思いますが、刊行順に読むことを強くオススメします。そして、4作目以降は、まず1作目の十角館から3作目までを読んでおいた方がいいと思います。

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感想

見取り図をみて、本当に迷路になっているのが面白くてたまりません。こんな変な館で殺人が起きるとなると、ワクワクします(当事者にはなりたくないですが…)。作中、登場人物の会話に有名な古典ミステリーのトリックが登場します。これがちょっとネタバレ気味かなと思ったりします。

  • 構成と巧妙なトリック!
    今作は作中作というギミックがトリックに巧みに組み込まれています
  • 結末の意外性!
    どんでん返しといってよさそうな結末があります!
  • テンポがいい!
    遺産相続をかけた競作という発端のあと、事件はどんどん進んでいきます

ネタバレ

4人の推理作家は全員殺されてしまいます。犯人は実は生きていた宮垣葉太郎ということになり、その宮垣も迷路館の隠し部屋で死体となって発見されます。これが、作中作である『迷路館の殺人』で描かれた真相です。

ところが、最終的に真犯人は評論家の鮫嶋智生であることが判明します。鮫嶋は女性で、作中作では男性と誤認されるような書き方になっていました。「出血を隠すために最初の被害者の首を斬った」というのは間違いありませんが、それは、生理による出血でした(宮垣犯人説では、血反吐を吐いたということになっています)。

鹿谷門実

謎めいた存在の鹿谷門実(ししや・かどみ)は島田潔です。鹿谷門実は島田潔のアナグラムになっています(SHIMADA KIYOSHI→SHISHIYA KADOMI)。冒頭に登場した島田は島田潔ではなく、島田家長男の勉(つとむ)でした。勉は鹿谷門実こと島田潔が書いた小説を読んでいたというわけです。

最後には島田家の三男である潔と長男の勉の会話で、物語は幕を閉じます。

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