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マースドン荘の惨劇|徹底解説・あらすじ・ネタバレ・登場人物など【ポワロ25】

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 マースドン荘の惨劇』では、探偵小説の物語を本物の事件と勘違いしたポワロが、ロンドンから遠く離れた田舎町へとやってきます。その町には、幽霊屋敷と噂のマースドン荘がありました。この記事ではあらすじと登場人物、ネタバレ、感想・考察などをまとめています。

The Tragedy at Marsdon Manor
項目 内容
シーズン 3
エピソード 6
放送日(英国) 1991年2月3日(日)
放送日(日本) 1992年3月31日(火)
出演者 キャスト一覧
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あらすじ

 迷宮入りしそうな探偵小説の解決を依頼されたポワロはひどく腹を立てながらロンドンへ引き返すが、途中、マースドン荘の主人が死んだという報せを受ける。亡くなったジョナサン・マルトラバースに外傷はなく、胃潰瘍を患っていたことから、自然死と判断される。しかし、ポワロは死体が引きずられた痕跡があることに気付き他殺を疑う。調査の結果、ジョナサンには多額の保険金がかけられていたことが判明する。その後、ジョナサンの妻スーザン・マルトラバースが、訓練用のガスマスクに仕込まれたクロロホルムで殺されかけるという事件が発生する。一命を取り留めたスーザンは、以前から、心霊現象に悩まされており、ジョナサンの死にも幽霊が関係していると信じていた。

事件概要

ポワロは宿屋の主人に、探偵小説の中で起きた事件の解決を依頼されます。フィクションの事件ですが、ポワロは本当に起きた事件と勘違いし、遠路はるばる、マースドン荘のある町にやってきました。なお、この探偵小説の事件は、マースドン荘の事件とは関係がありません。

ジョナサンの死体はマースドン荘の庭で見つかりました。死因は不明です。田舎のため検死できず、正確な死因が判明しません。しかし、被害者が胃潰瘍を患っていたことと吐血の跡から、血をのどに詰まらせて死亡したと推測されます。この場合、病死ということになりますが、庭の芝には何かを引きずったような跡があり、被害者の靴には泥が点いていました。これらの状況証拠からポワロは、他殺を疑います。他殺の場合、容疑者は妻のスーザン、秘書のローリンソン、そして、マースドン荘を訪れていたアンドリュー・ブラック大尉です。大尉は宿に宿泊していたようですが、事件発覚時には町を立ち去っているようです。

スーザンが怯えているたのは、不気味な笑い声や女の顔です。一度、彼女が使っていた鏡台に血が流れるという怪奇現象も起きています。

主要登場人物

役名 俳優名 日本語吹き替え声優
エルキュール・ポワロ デビッド・スーシェ 熊倉 一雄
ヘイスティングス大尉 ヒュー・フレイザー 富山 敬、安原 義人
ジャップ主任警部 フィリップ・ジャクソン 坂口 芳貞
ジョナサン・マルトラバース イアン・マクロック 有本 欽隆
スーザン・マルトラバース ジェラルディン・アレクサンダー 戸田 恵子
ブラック大尉 ニール・ダンカン 小川 真司
ミス・ローリンソン アニタ・ケアリー 藤 夏子
サミュエル・ノートン デズモンド・バリット 吉村 よう
ダンバース ラルフ・ワトソン 石森 達幸
バーナード医師 エドワード・ジューズベリー 松岡 文雄
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ネタバレ

ジョナサンは他殺です。犯人は妻のスーザンで、凶器はカラス撃ちライフルです。スーザンはライフルをジョナサンの口に咥えさせ発砲。このライフルの弾は小さいため、被害者の頭を貫通しませんでした。銃を口に咥えさせたことや弾が貫通しなかったことが結果的に、吐血というミスリードを誘いました。動機は金で、卵が庭に落ちていたのは、犯人が植木の中に銃を隠したためです。なお、クロロホルムによる殺害未遂はスーザンの自作自演です。

一連の幽霊騒動は、スーザンがジョナサンを死へと追い込むために行った芝居です。スーザンは、幽霊でジョナサンを怯えさせ、心臓発作で殺害しようとしていました。鏡台の血はペンキだったことが明らかになります。この幽霊計画は失敗に終わり、スーザンは代わりに小型のライフルで殺害するという方法を思い付きます。この殺害方法を思い付くきっかけとなったのが、ブラック大尉の贈った怪しげなお土産です。お土産を包んでいる新聞紙に、その殺害方法の記事が載っていました。

トリック

 犯人は自然死にみせかけて被害者を殺害しました。その方法は、小さな銃を咥えさせて発砲し、吐血のようにみせるというものでした。被害者は年配の男性で、さらに胃潰瘍を患っていたため、吐血してのどに血を詰まらせるということの信憑性が高まりました。

 犯人は犯行時刻に絵を描いていたというアリバイを主張します。この絵は、実は、あらかじめ描かれたものでした。このことは、絵の影の向きから犯行のあった頃に書かれた絵ではないということが立証されます。

 犯人の最初の計画は幽霊で夫をショック死させるというものでした。血の色のペンキなどを使いましたが、夫は剛健でした。

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原作とドラマの違い

「マースドン荘の惨劇」(原題:The Tragedy at Marsdon Manor)は、アガサ・クリスティの短編集『ポアロ登場』に収録されている短編小説です。ドラマとの主な違いは以下の通りです。

  • 導入部
    原作では保険会社からの依頼でポワロが事件を調査しますが、ドラマ版ではホテルの主人ノートンが書いた小説の結末を考えてほしいという依頼でポワロが村を訪れています
  • オカルト要素の強調
    ドラマ版では、マースドン荘にまつわる幽霊の噂や、スーザンが幽霊を見たという主張など、オカルト的な要素が大幅に強調され、物語の雰囲気を特徴づけています
  • 民間防衛訓練
    1930年代後半の軍事的危機を背景としたガスマスク装着訓練のシーンが追加され、怪奇な雰囲気を一層増幅させています
  • トリックのヒント
    原作ではブラック大尉の会話から自殺方法のヒントが得られますが、ドラマ版では彼がアフリカから持ち帰ったお土産を包んでいた新聞記事に、同じ手口の自殺事件が報じられていたという設定に変更されています
  • アリバイ崩しの手がかり
    ドラマ版では、スーザンが描いた絵の影の向きが、事件発生時刻の実際の影の向きと異なることが、彼女のアリバイを崩す重要な手がかりとなります
  • 自白誘導の演出
    原作ではポワロがブラック大尉との言葉の連想ゲームから真相に迫りますが、ドラマ版ではノートン氏がマルトラバースの幽霊に扮してスーザンを驚かせ、自白させるという視覚的な演出が加えられています
  • キャラクターの追加・変更
    マルトラバースの秘書ミス・ローリンソンや、ミステリ・マニアの宿の主人ノートン氏など、ドラマオリジナルのキャラクターや設定が追加されています

感想

この作品を初めて見たとき、ポワロは本格的なミステリー作品なので、さすがに幽霊が犯人というオチはないだろうと予測しながら視聴していました。やはり、超常現象で人が死んだというオチではありませんでした。真相は、幽霊でショック死させるという計画が裏に隠れていたというもので、なかなかユニークで面白かったです。ただ、ターゲットはかなり高齢の男性だったので、幽霊よりももっともっと怖いものをたくさん見ているような気がします。

大量の血をみてショック死するなんてあり得ないと私は思っていましたが、1962年(昭和37)4月27日、プロレスラーのグレート東郷が試合で大量出血し、この試合を生中継でみていた数名の老人がショック死するという事件が起きていました。これは、都市伝説ではなさそうです。

考察

 田舎なので検死できない、というのは一種のクローズド・サークルでした。吹雪などの荒天で移動できない・警察が到着しない、電話が使えない・電波が届かないなどが一般的なクローズド・サークルではないかと思います。

 トリックの項では、自然死偽装と書きましたが、検死されたら、よほど適当な解剖医でない限り、口の中の穴に気付くと思います。そのため、自然死であるというのは警察が勝手に思い込んだだけであって、犯人には自然死を偽装するという意図はなかったとも考えられます。他殺であるから、アリバイを用意したり、被害者のふりをしていたのだと考えると筋が通るような気もします。しかしながら、自然死と判断されなければ、アリバイを主張し被害者になるという計画だったとも考えれます。(なにか描写を見逃したのかもしれません)

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