ガリレオ2・ドラマ第10話、第11話『聖女の救済』のあらすじ、真相、トリック解説、考察感想です。前後編に分けられたこのエピソードをまとめてご紹介しています。最終話では、湯川の中学時代の同級生が夫を毒殺します。しかし、その同級生には完璧なアリバイがありました。
項目 | 内容 |
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原作 | 聖女の救済 |
ゲスト | 天海祐希 |
放送日 | 前編:2013/6/17 後編:2013/6/24 |
あらすじ
真柴義之という会社社長の男性が、都内の自宅で何者かに毒殺される。義之は、その日の10時、自宅からオンラインで会社の打ち合わせに参加していた。しかし、夕方の打ち合わせに参加しなかったため、不審に思った社員が妻の真柴綾音に連絡。北海道にいた綾音が警備会社に相談し、警備会社の社員が死体を発見した。義之の死因はヒ素中毒で、ヒ素はコーヒーのカップに混入されていた。被害者は最初の打ち合わせの時もコーヒーを飲んでいたが、特に異変はなかった。現場を調べると、被害者が使ったとされるカップ、湯を沸かしたポット、ドリップ済みのコーヒーくずからのみ、毒物が検出される。以上の事実関係から警察は、最初の打ち合わせ以降に毒物が入れられたとして捜査を進める。そして、ちょうど午後2時頃に、怪しい女性が真柴の自宅を訪れていることが判明する。岸谷は、いつも通り、湯川に事件の相談を持ち込むが、湯川は物理に関係ないといって調査協力を拒否する。しかし、義之の妻である綾音が、湯川の同級生であったことを知り、調査に乗り出す。
事件概要
義之が死んだ日、綾音は北海道の実家にいました。その理由は、のちに、離婚を両親に伝えるためであったことが明らかになります。北海道にいた綾音は事件発覚後、東京に戻り、自宅を訪れます。そこで、刑事にしばらくホテルで生活することを伝えます。このとき、バラの花に水をやるため、キッチンの水道を使ってます。その後、花の水やりは刑事の太田川が担当しています。
実は綾音は1年ほど前に流産を経験しています。原因は自転車に衝突されたためでした。このとき、自転車に乗っていた女性が実は、義之が以前付き合っていた女性ではないかと推測されます。その女性が振られた理由は綾音との間に子供ができたためというのが社内でのもっぱらの噂でした。警察はこの女性と毒殺事件があった日に真柴家を訪れた女性が同一人物であると考え、女性の行方を捜索します。
ネタバレ
犯人は綾音で、彼女は浄水器にヒ素を仕込み夫を殺害しました。警察の調べでヒ素が検出されなかった理由は、事件発覚後、綾音が花に水をやるふりをして、キッチンの蛇口に含まれるヒ素を洗い流していたためです。義之は綾音に一年経っても子供ができなければ離婚すると話していました。この話を聞いた綾音は夫の愛情に異質なものを感じ、毒殺を計画します。綾音は不妊治療を受けているように思われていましたが、実は、避妊のために医者にかかっていました。避妊して一年待ち、夫の気持ちが変わることを期待していた綾音ですが、義之の考えは一切変化をみせませんでした。そして、綾音は殺害を決意します。
被害者の義之が付き合っていた女性は既に亡くなっていました。自転車の事故にも、彼女は関わっていないと考えられています。午後2時の訪問者は宗教の勧誘のため来訪した女性で、この女性も、毒殺事件とは全く関係がありませんでした。
トリック
犯人は浄水器に毒を仕込みました。そして、被害者があるタイミングで浄水器を使った水を使うように画策しました。この事件では、被害者が普段ミネラルウォーターしか口にせず、ミネラルウォーターが切れている場合は浄水器を使う、という習慣を犯人が毒殺に利用しています。犯人は証拠を隠蔽するため、ヒ素の入った水道水を薔薇のプランターに捨てています。しかし、ヒ素によって、複数あるプランターのうち、そのプランターの花だけが枯れていました。
ゼラチン
湯川はゼラチンを使ったトリックを考案し、子供たちに披露しています。子供たちの評判はあまりよくなく、そして、真相でもありませんでした。ゼラチントリックは、湯沸かしポットの蓋部分に、ゼラチンで毒物を貼り付け、熱でゼラチンが溶け、お湯に毒物が入るというものです。ゼラチンの厚みによって、何度か湯を沸かさなければ毒物が混入しない仕組みになっています。
バラ
綾音は中学の頃、湯川に薔薇は嫌いであると伝えています。しかし、自宅には薔薇の花があふれていました。綾音の性格の変化を意味しているようにみえましたが、実は薔薇は義之が好きな花でした。これは綾音の夫に対する愛情の深さを現しているようでもあります。
考察
浄水器に毒物を仕込み、アリバイを成立させつつ、習慣を利用して被害者を殺害しました。そして、警察立ち合いのもと、事件発覚後に現場へ入り、水やりという口実を作って毒物を洗い流しました。水道水にも多少のヒ素は含まれており、基準値は1リットルあたり0.01mgとされています。つまり、たとえヒ素が検出されたしても少量であれば、特に不自然ではありません。しかし、もしも浄水器にヒ素を取り除く機能があったのならば、ヒ素がほとんど検出されない程度に洗い流す必要があります。
猶予
犯人が毒を仕込んだのは、犯行の一年も前です。執行猶予と表現されていますが、この間、犯人は夫など自分以外の人物が水道を使わないようにずっと監視していました。すさまじい執念であることは間違いありませんが、実際に毒を仕込む必要はなかったように思います。しかしこれは、最近浄水器をいじったという証拠を残さないために、一年も前に毒を仕込んだと考えることもできます。
感想
毒殺の手口はなんとなくわかってしまいました。この私でもわかったのだから、きっとほとんどの方がトリックに気付いたと思います。むしろ、湯川先生のゼラチントリックの方が思い付かない内容でした。
逆トリック
わかりやすいトリックは逆トリックと呼ばれることもあります。これは、わかりやすいトリックで読者をミスリードさせる手法の名称です。
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