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幻惑の死と使途【あらすじ・ネタバレ解説】

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 幻惑の死と使途』はS&Mシリーズの6作目です。手品師が脱出マジックの最中に死亡します…。

項目 説明
タイトル 幻惑の死と使途
著者 森博嗣
出版社 講談社
シリーズ S&M
順番 6
発行日 1998/7/3
Audible版 あり
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あらすじ

死者が衆人環視の密室から「大脱出」した!?
多すぎる観客と手品師が織りなす殺人事件。

「諸君が、1度でも私の名を叫べば、どんな密室からも抜け出してみせよう」――自信に満ちたせりふと共にあらゆる状況からの脱出を果たす天才奇術師・有里匠幻が、衆人環視の状況の中で殺害された。さらに、彼はなんと遺体となってまで、最後にして最大の奇跡を行う!?犀川・西之園師弟が明かす驚愕の真実!
講談社BOOK倶楽部

事件概要

有里匠幻はマジックショーによく登場しそうな脱出マジックで死体となって発見されます。匠幻は箱に入って、箱はロックされた状態で水の中に沈められます。箱を引き上げて開けてみると…匠幻の死体が入っていました(もちろん死体をみせるショーではない)。

ちなみに、事件とは直接関係ないですが、この本の章は奇数のみとなっています。次作『夏のレプリカ』が偶数章となっているので、交互に読んでみたくなりますが、推奨されていません(幻惑の…を読み切ってから夏の…を読んだ方がいいです)。

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ネタバレ

有里匠幻を名乗る人物は二人います。ゴーストライターみたいなイメージで、死んだのは表舞台に出ている方の有里匠幻でした。犯人はいわゆるネタを考えている方の有里匠幻で、普段はアシスタントという立場にいます。

トリック解説

紛らわしいことに、そっくりさんが全く同じ名前を名乗っていました。双子の名前が同じ、みたいなことです。マジックのトリックのタネとしても使われていたようですが、それを利用して犯人は犯行に及んだようです。

加部谷恵美

Gシリーズで主人公的な活躍をする加部谷恵美が登場します。Gシリーズでは「萌絵と加部谷が遭遇した殺人事件」という内容が登場し、それは有里匠幻の事件なわけです。『幻惑の…』では中学生だった加部谷も、Gシリーズでは大学生になります。

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感想

 森博嗣のS&Mシリーズ第6弾!マジックが登場します。マジックが登場するミステリーはよくある気がします。真相が明かされるか、秘密のままなのかという違いはありますが、マジックも推理小説も似ています。奇術師がショーの最中に殺害され、その後の葬儀で遺体も消えます。葬式でマジックショーみたいなことですが、故人を思っての演出でしょう(葬式で遺体を消すなんて…と思いがちですが、マジシャンなので不謹慎ではないはずです)。

萌絵は成長している気がするし、萌絵の活躍もみどころです。犀川先生との関係性も引き続き深みを増し、二人の掛け合いはやっぱり面白いですね。個人的には犀川先生の新車に萌絵が乗るシーンが面白かったです。犀川先生の哲学的な発言やユーモア(ジョーク)は、知的な雰囲気が出ています。犀川先生の「間違っているのは、観察している人間の認識だ」というセリフが印象に残ったりもしました。

本作の構成は奇数章しか存在しないという形式です。事件自体につながりがあるわけではないですが、次作も読むしかない感じです。この構成は、いちおう「同時期に起きた事件だよ」ということが強調されています。S&Mシリージは総じて魅力的なキャラクターが織り成すミステリーです。『幻惑の…』読了後にはタイトルの意味を改めて噛みしめ、森博嗣の世界観に浸ることができました。

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