Youtube ミステリーチャンネル【りさま屋】
国内ドラマ

シャーロック|あらすじ・ネタバレ・感想【日本ドラマ】

この記事は約24分で読めます。
記事内に広告が表示されます

 2019年10月から放送されたドラマ「シャーロック アントールド・ストリーズ」の全エピソードのあらすじ(事件概要)、感想、登場したトリックなどをまとめています。

役名 キャスト 役どころ
誉獅子雄
ほまれ・ししお
ディーン・フジオカ 犯罪コンサルタント
シャーロック・ホームズ
若宮潤一
わかみや・じゅんいち
岩田剛典 精神科医
ジョン・ワトソン
江藤礼二
えとう・れいじ
佐々木蔵之介 警視庁の警部
レストレード警部
小暮クミコ
こぐれ・くみこ
山田真歩 警視庁の巡査部長
グレッグソン警部
レオ
れお
ゆうたろう 情報屋
ベイカー街遊撃隊
スポンサーリンク

第1話

 夜中に、ある医者が勤務先の病院から転落し死亡する。院内の防犯カメラに、死亡した医者が逃げ惑う姿が記録されており、看護師らが被害者の「助けて」という叫び声を聞いていた。何者かに追われ突き落とされた、つまり他殺と考えられたが、転落時に抵抗した様子はなく、さらに、防犯カメラには、犯人らしき人物の姿が映っていなかった。死体を調べると、胃の中からパセリとバターだけが検出される。警視庁捜査一課の警部から相談を受けた犯罪捜査コンサルタントの誉獅子雄は、このパセリとバターに興味をもつ。

精神科医の秘密

 事件が起きた頃、病院には同僚の精神科医・若宮潤一(岩田剛典)がいました。事件発覚後の調べで、若宮は被害者との関係性を否定していますが、実はこの二人、大学の同期で、なおかつ、同じサークルにも所属していました。二人は学生の頃、他のメンバーと共に、クルーザーに乗り込み、何かをしていたようです。どうやら、このサークルのメンバーだった人物・郡司が被害者を訪ねてきているようです。

 精神科医が何かを隠しているというのは間違いないですが、事件との関係性は明らかではありません。その他、死体の胃の内容物がパセリとバターだけだったこと、被害者の妻の行動なども謎めいています。

ネタバレ

死んだ医者・赤羽栄光(あかばねはるき)は自殺でした。他殺のようにみせることで、妻と娘に保険金を残そうとしていたようです。赤羽夫妻は、若宮に罪を着せる計画だったと考えられます。パセリとバターが胃に入っていたのは、自殺の前に家族とファミレスで食事をしたためでした。幼い娘がパセリを残したため、それを赤羽は代わりに食べてあげていました。

自殺の原因となったのは、赤羽が妻にそそのかされて郡司を殺害したためでした。赤羽は、郡司から国家試験問題の裏口合格というネタで脅されていました。脅しに耐えられなくなった妻が郡司に熱湯をかけ、消火器で郡司を殴るよう、赤羽に指示しました。犯行現場はクルーザーの中だったため、死体はそのまま海に沈めました。

国家試験をカンニングしたのは赤羽だけではなく、若宮と郡司も同様にカンニングをしていました。若宮は合格しましたが、郡司だけは試験に落ち、赤羽にたかるようになります。

スポンサーリンク

第2話

 新宿駅で電車にひかれて死亡した女性の死体がみつかる。その女性の免許証から身元が割り出されるが、血液型が一致せず、免許証の名前と死体は別人であることが発覚する。獅子雄らは、免許証に記載されていた名前の女性が、過去に不倫の訴訟で弁護士と関わっていることを知り、その弁護士を訪ねる。しかし、弁護士は、不倫の女性と、死亡した女性が同一人物であると証言するのだった。

替え玉の謎

 電車にひかれて死んだ女性は免許証を持っており、免許の顔写真は、死体と一致していたようです。しかし、死体と、免許証に書かれた名前の人物・高橋博美は、血液型が一致しませんでした。このことから、死んだ女性は、高橋博美になりすまして生活していたことが判明します。なぜ高橋に成りすましていたのか、死体の正体は何者なのか、そして、なぜ死んだのかなどなど、多くの疑問が浮かびます。

ネタバレ

高橋博美は弁護士・青木藍子によって殺され、山中に埋められました。高橋の死体はみつかっていましたが、警察では身元不明となっていたようです。その後、弁護士は、高橋博美の戸籍を山下佐和子という女性に与えました。この山下佐和子こそが電車にひかれて亡くなった女性です。佐和子は、兄が両親を殺害したため、マスコミに追われ、辛い日々を送っていました。耐えられなくなった山下は、兄の弁護をしていた青木弁護士に助けを求め、高橋博美の替え玉として生活することになりました。

山下の死因は明確には描かれていません。ただ、自殺ではないようなので、おそらく事故死だと考えられます。

スポンサーリンク

第3話

 空き家で死体が発見される。その死体は出所したばかりの地面師詐欺グループの一人であることが判明する。地面師詐欺事件が起きたのは5年前で、被害額は21億円にのぼったが、詐欺グループのうち、逮捕されたのは死んだ男性だけで、主犯の守谷という男を含む他のメンバーは誰も捕まっていなかった。獅子雄らは、詐欺被害にあった人物の犯行を疑い、不動産会社の社員とコンタクトを取る。その社員は、マンション建設地に関する大きな案件を抱えており、再び、地面師詐欺が疑われる。

木の枝の謎

 空き家で見つかった死体のそばには、折れた木の枝が落ちていました。これは、ダイイングメッセージらしく、被害者が死に際に何かを伝えようとしたようです。被害者の死因は頸椎の骨折であり、格闘技に心得のある人物による犯行が疑われます。

ネタバレ

空き家で男性を殺したのは刑事の市川利枝子(いちかわりえこ)でした。市川は守谷の手下で、彼を崇拝していました。市川は死亡した男性に、地面師詐欺グループのメンバーとの密会をネタに強請られたため犯行に及びました。つまり、動機は口封じといえます。被害者が残したダイイングメッセージはモールス信号で、それは「ほ」を意味していました。「ほ」は被害者が出所後に親しくしていた細川(ほそかわ)という人物のイニシャルです。この細川は、被害者から贈り物を受け取っており、その中には犯人である市川の密会を撮影した写真が入っていました。

不動産会社の社員が掴んだ大口の契約は、その社員の先輩が斡旋したものでした。この先輩とやらは地面師詐欺師の一人で、一緒にいた司法書士、土地を売ろうとしていた車椅子の婦人とその息子も、全員詐欺師でした。5年前の詐欺事件も、その先輩の紹介で、この先輩が詐欺に関わっていたようです。刑事の市川が接触していたのは先輩で、市川も詐欺グループに加担していました。

第4話

 都内のとある坂で男性の死体が見つかる。死体は、階段から転落し死亡していたが、顔に何度も殴られたような跡が残っていた。殺人が起きた頃、ボクシング世界チャンピオンが試合を放棄し姿を消す。試合会場は死体がみつかった坂の近くで、警察は、逃亡したボクシングチャンピオンが犯人であると考える。捜査の結果、被害者の男性がチャンピオンの内縁の妻を遊具の悪戯で死なせていたことが明らかになる。どうやら、チャンピオンの動機は被害者への復讐に間違いないようだった。

傘の謎

 チャンピオンの控室には、オシャレなオレンジの傘が置いてありました。その傘はチャンピオンが失踪する直前に控室に持ち込まれた様子で、その傘は、チャンピオンと遊具の悪戯で死んだ女性の思い出の品でした。意味深なその傘を、誰かが控室に持ってきたようですが、その人物、そして、その目的は不明です。

ネタバレ

坂で男性を殺したのはボクシングジムの会長・石橋卓也(いしばしたくや)です。会長はチャンピオンのことを憎んでおり、実は遊具の事故で死んだ女性・細谷優子(ほそやゆうこ)に好意を寄せていました。しかし、優子はチャンピオンとの間に子供を授かり、チャンピオンの邪魔をしないため、どこかへ姿を消します。その後、優子は身ごもった男の子を出産。ところが、遊具の悪戯で重傷を負い、長期の入院の末、死亡します。残された男の子・細谷潤(ほそやじゅん)は祖母と暮らし、のちにチャンピオンが父親であることに気付きます。そして、会長とチャンピオンのボクシングジムに入ります。

チャンピオンの強さなどに嫉妬した会長は、オレンジの傘を使ってチャンピオンに偽物の手紙を読ませ、犯行現場へと向かわせました。手紙には、チャンピオンと死んだ女性の間に生まれた子供・細谷潤が、被害者への復讐を決行するような内容が書かれていました。手紙を読んだチャンピオンは現場に向かい、その結果、目撃証言が作られ、罪をなすりつけられてしまいました。

第5話

 マンションの一室でおびただしい量の血が発見される。その部屋は町田(まちだ)という男が借りており、DNA鑑定の結果、血は町田の部下・乾貴之(いぬいたかゆき)のものであることが判明する。部屋には致死量以上の血液が飛び散っていたのだが、肝心の乾はどこにもおらず、生死すらも判然としなかった。その乾は上司である町田からパワハラを受けており、数日前から行方不明だった。血まみれの部屋がみつかった日、町田は乾から呼び出されて外出したという。その後、再び乾から公園に呼び出された町田は何者かにバットで襲われ重傷を負う。

死体の行方

 乾貴之が町田を呼び出し、その結果、殺されてしまったようにみえますが、死体はどこからも見つかっていないようです。死体はないのに大量の血液だけはみつかるという不可解な事件といえます。

ネタバレ

乾貴之は自室のドアノブで自殺を図り、死亡しています。死体の第一発見者となった母親・乾千沙子(ちさこ)は町田による貴之へのパワハラを知っており、復讐のため、まず貴之の死体に防腐処理を施しました。元看護師だった千沙子は手慣れた手つきで作業を進め、腐敗の原因となる血液を取り除き、代わりにエンバーミング溶液を体内に注入しました。処理した死体はクリスマスツリーの奥の物置に隠していました。時季外れのツリーが飾られていた理由は死体を隠すためにやむを得ず飾る必要に迫られたからであり、流れていたレクイエムは貴之の弔い、ドライアイスは防腐のため、そしてグッピーがやけに少ないのは血液の交換にポンプを使用したためでした。

千沙子は貴之のふりをして町田にメールを送り、町田が外出している隙に血液を町田の部屋にぶちまけました。これにより町田が貴之を殺したようにみせようとしていました。しかし、ベッドと風呂場にのみ血液を撒いたため、ベッドと風呂場をつなぐ通路等にはほとんど血痕がありませんでした。死体がベッドから風呂場、もしくは、風呂場からベッドへと移動したのであれば、血痕が残るはずなので、これはつまり、死体が部屋にはなかったことを示唆するような証拠となります。

町田をバットで襲ったのは清水弘人(しみずひろと)という人物で、彼もまた町田によるパワハラの被害者でした。清水は町田のパワハラが乾へと向かうようにし、さらに、町田と一緒になって乾をいじめていました。千沙子は清水のことも知っており、貴之のふりをして清水に脅迫メールを送り、町田を襲うように仕向けました。

千沙子は町田を告発するため、化粧をせずにテレビ番組に出演しています。普段は薄めの化粧をしているのに、大勢にみられるときは逆に全く化粧をしていませんでした。これは、やつれているということを演出するためだったようです。

不倫をしていると思われていた千沙子の夫・貴久(たかひさ)ですが、貴久は妻に無視されているかのような生活に耐え切れず、マンションの一室を借りただけでした。千沙子は息子にだけ愛情を注ぎ、夫には見向きもしていなかったようで、千沙子自身はそのことに気付いていませんでした。夫婦の仲に気付いていた息子は死ぬ直前に「お母さんとなかよくして」というメールを父親に送っています。

第6話

山中で白骨化した死体が見つかる。死後20年以上経過しているその死体の身元は田島純子という英語教師だった。奇妙なことに、この遺体を発見したのは、17歳の女子高生・高遠綾香だった。綾香は自身の誕生日パーティーで遺体が埋まっている場所について語り、その通りに警察が調べると、田島の遺体がみつかった。前世殺人などと盛り上がるが、警察は綾香が伝聞を自分の記憶と勘違いしているだけだと断定する。そんな折、かねてから綾香の精神的な治療を行っていた平田初雄教授の自殺が発覚する。平田教授はPTSDの権威で、綾香は暴行未遂事件の治療を受けていた。実際、綾香の治療を担当していたのは宇井宗司(ういそうじ)という准教授で、宇井は綾香の母・美樹が女子高生時代を過ごした島根の出身だった。

前世殺人の謎

高遠綾香が田島純子の死体の第一発見者といえますが、生まれていなかった綾香が田島の事件に関与しているとは思えません。前世の記憶などと呼ばれていますが、これについては否定的な見解がほとんどのようです。警察は、母親の美樹が田島殺害の犯人で、そのことを思わず娘の綾香に話してしまったと考えているようですが、美樹が犯人であるという証拠はなさそうです。田島の遺留品からアラビアゴムが検出され、これにより、陶芸に使われる絵具と当時陶芸を習っていた美樹が結びつきましたが、アラビアゴムは水彩絵具の材料でした。

ネタバレ

田島純子を殺したのはS.Aという女性です(S.Aの正体は第8話で明らかになります)。そしてS.Aに田島を殺させたのは、守谷壬三(もりやじんぞう)という男でした。守谷は第3話で名前だけ登場していましたが、今回も登場するのは名前だけです。

田島殺害の犯人はS.Aであり、高藤綾香や宇井宗司などは一切関係がありません。しかし20年前、S.Aはカウンセリングのため、平田教授を訪ねていました。このときのカウンセリングの様子が録画テープに残されており、宇井はこのテープを研究資料として譲り受けていました。

宇井はテープを使って綾香の記憶を操作しようとしていました。それは研究目的ではなく、綾香の母・美樹に復讐するためでした。宇井と美樹はどちらも高校生だった頃に面識があり、宇井は一目惚れした美樹に告白していました。このとき美樹は宇井を迷惑に思い、渡されたラブレターを破り捨て、さらに、大声を出して宇井がストーカーであると言いふらしました。宇井はこの出来事がきっかけで高校を中退したため、医学部への入学が遅れました。

その後数十年の月日が流れ、宇井は平田教授のもとで働いていました。そこに美樹が綾香を連れてやってきます。平田に紹介された宇井はすぐに美樹のことに気付きましたが、美樹は一切そんな素振りをみせず「はじめまして」と挨拶をしました。このことに腹を立てた宇井は綾香の記憶操作を始めます。そうして治療を長引かせ、宇井は美樹が治療の度に頭を下げることに対して快感を覚えていました。

宇井は記憶操作が成功していると思っていたようですが、実は綾香は全く記憶など操作されていませんでした。田島の話をしたのも、母親を懲らしめるためであり、それはただ単にビデオを視聴して知ったことを口に出しただけでした。

練炭で自殺を図ったと思われていた平田教授ですが、教授の死には宇井が深く関わっていました。宇井は平田教授に隠れて綾香の記憶操作を進めていましたが、前世殺人の報道によって宇井の記憶操作が発覚。記憶操作に反対していた平田は、このことについて自宅で宇井を問い詰めていました。この時、もともと心臓の弱かった平田が発作を起こしますが、近くにいた宇井はわざと平田に薬を与えず見殺しにします。その後、平田が記憶操作をしていたような内容の遺書をパソコンで準備し、さらに、練炭で自殺を図ったように偽装しました。しかしながら、カナリア調教師こと宇井は平田教授を死なせた罪で逮捕されたようです。

第7話

プリンを食べたという疑いをかけられる誉は昔話を交えて人の固定観念について語り始める。そこへ少年がやってくる。羽佐間虎夫(はざまとらお)という名前のその少年は二日前に失踪した祖父を探していた。祖父・羽佐間寅二郎は認知症の気があり、デイケアに通っていた。その帰り道に祖父はさらわれたようだった。若宮よりも上手の虎夫に興味をもった誉は失踪事件の調査を開始する。

失踪した老人の謎

失踪した寅二郎は、その後、無事に帰ってきます。しかし、寅二郎の正体は謎のままです。大事にしていたお守りには怪しげな白い粉が入っていたので、やばい人だと言われています。

ネタバレ

認知症だと思われていた寅二郎ですが、実は認知症ではありませんでした。寅二郎は認知症のふりをしていただけです。その理由は寅二郎が大泥棒だったことを隠すためでした。寅二郎は認知症で無意識のうちに泥棒のことを話してしまうことを恐れていました。しかし、認知症の演技をして、普段から出鱈目なことを話しておけば、もしも泥棒のことを話してしまっても、誰も真実だとは思いません。

有名な泥棒だった寅二郎は誘拐され2時間連れまわされた後、ある場所に連れていかれました。そこには金庫があり、寅二郎はその金庫を開けることになります。金庫の中身は昔のお札で、血がついていました。そのお札はどうやら寅二郎が昔盗んだ金だったようです。寅二郎は“須磨寅の大鼠”と呼ばれる泥棒で二人組でした。金庫の中身をみた寅二郎は相棒が事件に関わっていると考え、誉に本当のことを話しませんでした。その金というのは、ある反社組織の金庫破りで手に入れた金で、このとき相棒の須磨銀次(すまぎんじ)は右手の親指を失いました。この事件を最期に二人は足を洗い、寅二郎は右手の親指を封印しました。

寅二郎を誘拐したのはデイサービスの寺島雄平(てらしまゆうへい)と長嶺加奈子(ながみねかなこ)です。長嶺は須磨銀次の介護をしており、長嶺から金庫を託されました。金庫には反社の金庫破りで手に入れた金が全て入っており、長嶺に半分、寅二郎に半分というのが銀二の遺言でした。

銀二は金庫の番号を忘れており、金庫を開けることはできませんでした。開錠できるのは大泥棒だった寅二郎だけです。金を独り占めしようとした長嶺は寺島と共謀して寅二郎を誘拐し、金庫を開けさせました。遠くへ連れ去ったようにみせるため、カーラジオをあえて流し、2時間も施設の周辺をうろついていました。寅二郎が聞いた猿の声はシャッターの音であり、その音源は施設のガレージのシャッターでした。

金庫から見つかった金は3800万円で、被害者の申告よりも200万円少なくなっていました。誉はプリン同様に、固定観念が…と語り始めますが、200万円を盗んだのは誉自身でした。どうやら、プリンを盗んだのは誉だったようです。くすねた200万円をどこかに隠した誉は依頼人の少年・虎夫に金を隠した場所を示した紙を渡し姿を消します。

第8話

経産省に勤めていた男性が自宅のベッドで死体となって発見される。男性の横にはもう一人男性が横たわっており、その男性も死亡していた。経産省勤務の男性は柴田雅樹であり、もう一人は仕立て屋の三崎雄一という名前だった。どちらも毒を飲んで死亡したようだが、解剖の結果、先に柴田が死亡し、その数時間後に三崎が死んだことが明らかになる。現場には死んだライオンの写真が残されており、写真の裏には暗号文が書かれていた。その暗号はサットンというビジネススクールの校長・亜蘭世津子を示していた。

暗号の謎

死体発見現場に残されていた写真にはライオンが写っており、裏には“SUTTON ARAN SECRECY(サットン・アラン・秘密)”を意味する暗号が書かれていました。この暗号がサットンを告発する内容であることから、写真は被害者が残したと考えられます。その後、柴田はサットンを内偵するため、経産省が送り込んだスパイだったことも明らかになります。しかしながら、写真がなぜライオンだったのかという理由は特定されません。

二人の死体の謎

柴田の自宅では、三崎の死体も見つかりました。彼らはサットンの生徒だったようです。校長の秘書を務める北山彩という女性も、柴田や三崎と同期でした。北山は校長の亜蘭に何かを指示されたらしく、それに対して「正しいことをした」などと言われています。北山が犯人のように思えますが、先に死んだのは柴田で、三崎はその数時間後に死んでいました。どちらも毒を飲んで死んでいましたが、ベッドに並んで死んでいたため、どうやって死んだのかが想像できない状況です。

ネタバレ

実行犯は秘書の北山で、殺害の指示を出したのは亜蘭です。北山は柴田に毒入りチョコを渡し殺害しました。その後、帰宅した三崎が柴田の後を追って自殺しました。柴田と三崎は恋人同士だったらしく、三崎が柴田をベッドに寝かせ、その横で三崎は北山が用意した毒入りチョコを食べました。なお、北山は柴田が経産省勤務であることや、二人が付き合っていることを知らなかったため、裏切られたように感じ犯行に及びました。

北山は亜蘭に指示され、現場に写真を残しました。写真は被害者ではなく主謀者の亜蘭が残したものでした。ライオンが写っていたのは偶然ではなく、獅子雄をおびき出すための罠です。亜蘭は前世殺人に登場したS.A(セツコ・アラン)であり、彼女はカウセンリングで語った過去の事件を調べている獅子雄を誘い出そうとしていました。そして、獅子雄の目の前で死ぬ事で、事件の真相を闇へ葬りました。

第9話

レストランの物置で死体が見つかる。そのすぐあと、確認のためにもう一度倉庫を訪れると、死体は消えていた。のちに死体はレストランの副料理長・新井であることが判明する。店長によれば、新井はレストランを辞めたという。副料理長が不在の店は大変忙しそうにしており、客の一人はとても味が落ちたと文句をつけていた。

文句をつけた客は料理評論家で、その日はレストランの取材のために訪れていた。評論家の付き添いとして、雑誌社の女性とカメラマンがおり、その他に、女性の一人客と、結婚記念日を祝う年配の夫婦、そして、獅子雄らがレストランにいた。女性の一人客は雑誌社の女性と揉めている様子で、「新井は消しました」と口走っていた。

死体消失の謎

倉庫で見つかった死体が副料理長の新井らしいということは判明しますが、その死体が倉庫から消えてしまいます。従業員や客のほとんどは何かを隠している様子で、非常に疑わしい人物が揃っています。

年配の御婦人はイヤリングを失くしたと言い、獅子雄共に探しています。イヤリングは無事に見つかりますが、御婦人はどうやら電話のために一時、レストランの外にいたようです。よく電話がかかってきている様子ですが、相手は金融関係のようです。夫は工務店の社長らしく、レストランの施工も担当していたようです。御婦人はいわゆる社長夫人ですが、靴にはあまり気を配っていないようです。ソムリエの男性が注いだワインからは芝生のような匂いがしており、倉庫の扉の前には、葉っぱのようなものが散らばっていました。

ネタバレ

被害者の新井を殺害したのはソムリエの加藤茂(かとうしげる)です。新井が店を辞めたのは、死体が見つかった当日で、彼はレストランのレシピ帳を持ち出そうとしていました。これを加藤が止めようとしましたが、新井に過去の傷害事件を持ち出されてけなされたため、加藤は近くにあった花瓶で新井を殺害してしまいます。犯行直後、加藤は死体を倉庫に隠し、花瓶のドライフラワーも軽く処理しました。しかしすべては片付けることができず、倉庫の前にドライフラワーが残ってしまいました。

この事件、実は犯行を目撃した人物が二人います。その一人が御婦人の不破凛子(ふわりんこ)です。凛子が電話のため外に出たて、その後、トイレで加藤と新井の騒動を目撃しました。凛子はこのことを夫の達彦に報告し、達彦が死体を倉庫の奥に隠しました。達彦はレストランの施工を担当していたため、レストランの構造に詳しかったようです。二人が死体を隠した理由は、最後の晩餐を邪魔されないようにするためでした。不破達彦が経営する工務店は経営が苦しく、二人は自殺を考えていたようです。

もう一人の人物は料理長の古賀智志(こがさとし)です。古賀も加藤の犯行をみていました。彼は脳梗塞の影響で、左右の手の高さが揃わない、ろれつが回らない、塩味がわからなくなるという症状を抱えていました。そのため、副料理長がいなくなり味が落ちたようになっていました。看板メニューの「うずらのカチャトーラ」を考案したのは副料理長であり、彼がいなくなったために提供できなくなっていたわけですが、世間では、カチャトーラは料理長が考えたと認識されていたようです。

新井は腕のいいシェフだったようですが、料理長の古賀に敵意を抱いていました。その理由は料理長にカチャトーラの実績を奪われたためです。そんな新井は料理長に復讐するため、雑誌社の女性を使って取材を設定していました。そして取材の当日にレストランを辞めることを伝え、レシピ帳を持ち去ろうとしました。なお、レシピ帳を持ち出すよう命じられたのは西岡という従業員えす。西岡は新井に借金をしており、言いなりになるしかありませんでした。

一人で来ていた女性客は中原聖子(なかはらせいこ)という名前で、彼女は新井を引き抜こうとしていました。「新井は消しました」は、引き抜きの候補から消したという意味でした。雑誌社の女性は高津みずえという名前で、新井に遊ばれていたようです。

第10話

都知事の息子が誘拐される事件が発生する。息子の鵜飼椋介(うかいりょうすけ)は高校の寮で暮らしており、バスケ部に所属していた。誘拐が発覚する前日、椋介は同室の竹内と夜の23時ごろまで一緒だったらしく、防犯カメラには24時頃に椋介が一人で正門から出て行く様子が映っていた。

誘拐された椋介はバスケ部コーチの灰田聡にパワハラを受けていたらしく、このことを父親である都知事に伝えていた。灰田は都知事の圧力により椋介へのパワハラを止めたが、他の部員に矛先を変えただけだった。

誘拐発覚後、不倫騒動で揉めていた都知事の鵜飼が捜査方針を無視して、会見で誘拐を報道陣に伝えてしまう。悲劇に見舞われた鵜飼は身代金受け渡しのために精力的に動き、その姿は広く拡散されたようだった。再選は不可能と思われていた鵜飼だったが、この一件で好感度を取り戻していた。そんな鵜飼には、サットン・ビジネススクールの亜蘭との関係が噂されているようだった。

誘拐の謎

誘拐された鵜飼椋介は一人で正門から出て行っています。その後、学校には戻っていない様子なので、外出して誘拐されたと考えられます。しかし、正門から入る場合、防犯カメラに映るのは後ろ姿だけのようです。実際、防犯カメラには正門から入る野球の集団が映っています。

容疑者としてまず名前が挙がるのがコーチの灰田です。灰田が都知事や椋介を恨んでいてもおかしくはありません。その他、何かを警戒している様子の竹内や秘書の津崎も言動が怪しいです。そして、都知事の鵜飼も、警察の方針を無視したり、身代金受け渡しで芝居じみた行動をとるなど、不審な点が多いです。

ネタバレ

誘拐を計画したのは秘書の津崎で、同室の竹内が共犯者です。津崎は竹内に金を渡し、さらに、大会に出場させるという条件を加え、竹内を共犯者にしました。津崎が誘拐を計画したのは、津崎が鵜飼の隠し子で、息子として認知されている椋介に嫉妬したためでした。

津崎と竹内は誘拐を計画しましたが、実行はできませんでした。なぜなら、椋介が狂言誘拐を起こしたためです。椋介は、たまたま竹内や津崎の誘拐計画を知り、それを利用して、自分が誘拐されたようにみせました。その手口は、24時頃に一旦外出し、その後、野球部員に変装して戻ってくるというもので、実は椋介は自室の屋根裏に隠れていました。動機は父親達に復讐するためです。父親の対応はパワハラの解決の目指したものではなく、保身を第一とした内容で、椋介はこのことに失望していたようです。さらに椋介は灰田の一件により、バスケ部で孤立していました。

津崎は誘拐を自分自身が発案したように感じていたようですが、誘拐へと導いたのは都知事の鵜飼でした。つまり、誘拐の黒幕は鵜飼といえます。鵜飼は秘書の津崎に、再選を可能とするような案を出せと命じ、その一例として、大事件に巻き込まれるという内容を紛れ込ませました。津崎の椋介に対する嫉妬心を知っていた鵜飼は誘拐を匂わせるないようをあえて口にし、その結果、津崎は誘拐の計画を立ててしまいました。

誘拐の容疑をかけられていた様子の灰田コーチですが、彼は誘拐には関わっていませんでした。しかし、人の苦しむ姿をみて快楽を得るという性質の持ち主でした。

第11話

看守の手引きにより、東京拘置所から4名の被告人が脱走する。逃げた4名の中には、元刑事の市川利枝子、そして、守谷壬三の名前があった。脱走を手助けした看守は、逃亡中、警官に撃たれ入院し、病室で自殺してしまう。逃げた4人を追う警察は、守谷に弱みを握られていることを理由に、脱走犯の殺害もいとわない方針を打ち出す。しかし、脱走犯を一人としてみつけることはできなかった。

独自に捜査を進める獅子雄は守谷が犯罪に手を染める理由を知るため、脱走犯を追う。そして、一人の脱走犯と接触し、守谷の居場所を聞き出そうとする。しかし、脱走犯が何かを語ろうとしたとき、近くにいた男によってその脱走犯は殺されてしまう。脱走犯を刺した男はその場で自らの首を刺し自害する。一向に手掛かりを掴めない獅子雄だったが、彼のもとに、兄の万亀雄が人質にされたという連絡が届く。現場へ向かった獅子雄は、そこで、逃げた市川利枝子に遭遇する。

暗号の謎

万亀雄をさらったのは市川利枝子で、その目的は獅子雄の勧誘にありました。その後、市川は守谷の居場所を語りますが、それは「ロンドンのA子さんは空に吊るされて海を見ている」という暗号で、具体的な場所までは話しませんでした。なお、市川は警察に連行されます。

ネタバレ

暗号はサットン・ビジネス・スクールが所有するアリシア号(A子の意)を示しており、獅子雄と若宮はアリシア号を係留する船着き場へと向かいます。アリシア号は既に廃船となっており、解体のため、吊り上げられているようでした。この船で獅子雄は守谷と対峙します。獅子雄は守谷に「ただの幻だ」という言葉を言い放ち、守谷は「あなたは私が本当の守谷だと思いますか?」と答え、獅子雄を海へ引きずり込むような形で落に落ちます。その後の二人の行方は詳しく語られません。

獅子雄の過去

獅子雄と兄の万亀雄は異母兄弟で、獅子雄は父の不倫によって生まれた子供でした。不倫を知った万亀雄は、後妻となった獅子雄の母親を追放し、その後、後妻(獅子雄の母)は病死しました。前妻、すなわち、万亀雄の母親は世間的には事故死と認識されているようですが、実は自殺だったようです。市川は獅子雄が兄の万亀雄を恨んでいると思い、万亀雄を誘拐して殺害しようとしていました。しかし、獅子雄には兄に対する復讐心がなかったようです。

特別編

若宮とフリージャーナリストの門司かれん(もじかれん)は、消えた獅子雄の手掛かりを得るため、これまでに関わってきた事件の犯人や関係者と再会する。獅子雄によって逮捕された犯人達は一人として反省している様子をみせていなことがわかるが、獅子雄の行方に関する手掛かりは一切手に入らなかった。そしてついに、獅子雄の遺留品が見つかる。

獅子雄のその後

このエピソードは過去の内容の総集編のようになっており、新たに事件が発生するわけではありません。しかしながら、物語の終盤に獅子雄のコートがみつかり、そのポケットには若宮へ宛てた手紙がみつかります。

ネタバレ

獅子雄は生きています。獅子雄と守谷が海に落ちてから三年後、若宮、江藤、小暮が駆け付けた殺人事件の現場に、鑑識係に変装した獅子雄が突然登場し、推理を披露し始めます。しかしながら、獅子雄が三年間何をしていたのかや、守谷とはどうなったのかなどは一切語られません。また守谷の生死についても不明のままとなります。

感想

コナン・ドイル著のシャーロック・ホームズシリーズが原作のドラマです。原作はホームズですが、原作の中で詳しく語られなかった事件を現代風かつ日本という舞台で描いており、(サブタイトルの「アントールド・ストーリーズ」というのは、そういった意味が込められているようです)、とても面白い設定になっています。世界的に有名なシリーズなので、同じようなことをしている作家は多いようですが、内容がとても似ているということはないと思います。

ストーリーはいずれも、クールでカッコいい感じのドラマとなっています。コテコテの推理ドラマという感じよりも、人間ドラマや展開を重視したエピソードが多いと思います。原作のシャーロック・ホームズシリーズも本格推理小説といった感じではないエピソードが多いように思います。

トリック一覧

 ドラマに登場したトリックや結末を簡単にまとめます。最終話の11話はトリックらしきものが登場しませんでしたので記載していません。

話数 トリック
1 自殺を他殺に偽装するため追われているふりをする
2 弁護士の立場を利用して殺した人間の戸籍を別の人間に与える
3 刑事が犯人
4 罪をなすりつけたい人物に手紙を残して犯行現場に向かわせる
5 自殺を他殺にみせるため血をばらまく
6 激しい口論が原因の心臓発作で死亡したのを練炭自殺にみせる
7 認知症のふりをして泥棒だったことを隠す
何時間も車で連れまわして遠くへ行ったようにみせる
8 被害者が毒殺された後に恋人が後を追う
9 自殺しようとしていた客が死体を隠す
10 誘拐されることを知った被害者が狂言誘拐を起こす
11

コメント

タイトルとURLをコピーしました