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森博嗣

魔法の色を知っているか?【あらすじ・ネタバレ解説・感想・考察】

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 森博嗣著「魔法の色を知っているか?」は2016年1月に刊行された作品で、Wシリーズの二作目です。この記事では、あらすじやみんなの感想などをまとめ、作品について考察します。

項目 説明
タイトル 魔法の色を知っているか?
著者 森博嗣
出版社 講談社
シリーズ Wシリーズ
順番 2
発行日 2016年1月18日
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あらすじ

チベット、ナクチュ。外界から隔離された特別居住区。ハギリは「人工生体技術に関するシンポジウム」に出席するため、警護のウグイとアネバネと共にチベットを訪れ、その地では今も人間の子供が生まれていることを知る。生殖による人口増加が、限りなくゼロになった今、何故彼らは人を産むことができるのか?
講談社BOOK倶楽部

 1作目「彼女は一人で歩くのか?」のラストシーンから、二日後の出来事です。主人公のハギリはシンポジウムに参加するため、チベットへと向かいます。何事もなく会場の病院に辿り着いたハギリと護衛のウグイとアネバネですが、レセプションの最中にクーデターが発生し、軍隊によって病院が制圧されてしまいます。

 クーデターに巻き込まれたハギリ達は病院から脱出を試み、ナクチュと呼ばれる区域へと向かいます。そこには千人ほどの人間が隔離されており、22世紀後半という時代においても子供が生まれるという特殊な場所でした。ハギリ達はナクチュ内部への侵入に成功しますが、既に、ナクチュ周辺も軍隊によって包囲されていました。そしてついに、軍隊がナクチュ内部へ侵攻します。

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タイムライン

 作中の出来事をタイムラインで簡単にまとめます。

ネタバレ注意
ハイライト
  • prologue
    プロローグ
    空港
    アネバネ登場
  • 第1章
    一連の問題
    戦闘機でチベットへ飛び無事到着
    ホテルの入口付近でハギリが老婆に襲われる
    最高僧侶ラマとハギリの対談
    ナクチュ研究者のツェリン登場
    ハギリとツェリンの議論
    翌朝:シンポジウムの会場へ
    ウグイの偽名がムラサキ・シキブになる
    ハギリとリョウ博士の会話でナクチュの売買が話題となる
    レセプションが始まる
    知事テンジン登場
  • 第2章
    一連の危険
    クーデター発生
    テンジンが撃たれる
    テンジンが「ジアンサ、イジ……ハーネーム」と言い残す
    襲われそうになったハギリをウグイ達が助ける
    ハギリ、ウグイ、アネバネ、ツェリンは警備室へ逃げ込む
    警備室から地下四階の搬入口へ
    搬入口から運搬用車両で脱出
    ツェリンが元ナクチュ居住者であることを告白
    ツェリンには息子がいる
    ナクチュに到着
    ツェリンが交渉へ向かう
    世界的に高名なヴォッシュ博士登場
  • 第3章
    一連の生命
    ハギリとヴォッシュの議論
    マガタ博士の仕込んだプログラムの存在
    戻ってきたツェリンによって一同はナクチュのホテルへ
    ハギリが黒い魔法、赤い魔法についてヴォッシュに話す
    ヴォッシュが140年近く以前のマガタ博士との邂逅をハギリに話す
    当時のマガタ博士は若くて美しい女性だった
    翌朝:ツェリンによるドローンを使ったナクチュ解説
    ナクチュの神殿には魔物がいる
    クーデターを起こした軍が攻撃される
    シェルタへ避難
    ハギリとヴォッシュがナクチュ区長カンマパと対面
    攻撃されていた軍がナクチュへ侵入
  • 第4章
    一連の伝承
    ヴォッシュが兵士達の安全装置について語る
    ヴォッシュがマガタ博士の最後の言葉「魔法の色をご存知ですか?」を話す
    テンジンのハーネーム(her name)が色を意味していると推理する
    無線でSOSを出す
    ハギリ一同およびナクチュの住民など全員が軍の兵士に制圧される
    ヴォッシュがリーダ兵に「魔法の色を知っているか?」と問い掛ける
    リーダ兵は異常を示すが赤、黒、緑、白ではない
    ハギリが再度問い掛け「ムラサキ」と答える
    リーダ兵だけではなく他の兵士達も停止
    鎮圧後ハギリ達はシンポジウム会場へと戻る
  • epilogue
    エピローグ
    帰国直前にハギリがナクチュを再訪
    ハギリは魔物がいるという神殿へ
    神殿の中でマガタ・シキ博士と出逢う
    試料(スペサミン)と呼ばれる冷凍された人間
    ハギリは空港へ
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ネタバレ

 クーデターを起こしたはウォーカロン製造者の出資を受けており、その目的はナクチュを手に入れることだったようです。ナクチュの人間が目的とも考えられていましたが、ナクチュにあるコバルト・ジェネレータ(核)がねらいだったのかもしれません。兵士がシンポジウムの会場を襲ったのは、テンジン知事を襲撃するためでした。テンジンは兵士を沈黙させる“魔法の色”を知っていました。テンジンはハギリに子供の提供を提案していますが、テンジンとマガタ博士にはつながりがあるらしく、子供の提供は神殿のマガタ博士が斡旋していたようです。なお、撃たれたテンジンですが、一命を取りとめます。

魔法の色

 魔法の色はムラサキでした。テンジンが言ったハーネームはher nameであり、herは秘書のシキブのことでした。シキブはウグイの偽名です。この偽名を知り得る描写があるのはリョウ博士だけのはずですが、テンジンも知っていました。テンジンはウグイに直接ではなく、リョウ博士にウグイの名前を聞いたようです。ウグイはシキブとしか名乗っていないので、リョウ博士が知っていたのはシキブという名前だけのはずです。その名前を聞いたテンジンはシキブからムラサキを連想したようです。

新仮説

 人工細胞を取り込んだことによって子供が生まれなくなるらしい、というのは取り込んだ者がパラサイトに感染すると考えられています。これに対して、取り込んだ者がパラサイトに感染しなくなるため生殖機能が機能しなくなるというのが新仮説です。これは、前作でも語られていました。今作では、この新仮説を知る人物が何名か登場します。実は、ある程度の身分の人物は知っているような仮説だったようです。

 クーデターの主謀者側もこの新仮説を掴んでいると推測されています。ナクチュを包囲した兵士達がすぐに内部に侵入しなかったのは、感染を恐れたわけではなく、攻撃されて仕方がなく内部へ入ったという大義名分を作り出すためでした。

みんなの感想

 レビューを調べると、プログラムや淡々という言葉がよく書き込まれていました。

プログラム

 マガタ博士が仕込んだプログラムについて触れている方がいらっしゃいます。呪文を唱えるとロボットが沈黙するというのは、見どころでした。

すべては初めからプログラムされていた。

私は現実世界よりも、むしろ「あのお方」にプログラムされた世界で生きていきたいです(笑)

そあらゆることがマガタ・シキにプログラムされていてその知性に圧倒される。

淡々

 物語に関して、淡々としていると感じている読者もいます。要因として考えられるのは、登場人物が研究者であったり、無表情な護衛だったりして、感情が表に出るようなキャラがいないからなどです。

状況的にはかなり激動なことがいろいろと起きてるんだけど、語り口が淡々としてるからそこまでの緊迫感がでないのかな。

静かに、淡々と進む物語の中に、著者の描く未来と、劇的な結末がある。

割と怒涛の展開なのですが相変わらず淡々とした雰囲気なのは、ハギリの人間性によるものが大きいのでしょうね。

個人の感想

 過去作品とのつながりが垣間見えてとても楽しいです。真賀田四季博士が登場しているわけですが、本物かどうかはわかりません。本物って何?という感じですが、例えば美術品なら、レプリカではなく本物を鑑賞したいと思ったりもします。ミステリーではない、というのは間違いないと思いますので、1作目で離脱された方も多いかもしれません。

考察

 ヴォッシュが“百四十年近く以前になるが、マガタ・シキ博士にお目にかかっている”と話しています。P151に記載されている文章です。時代は2150年から2199年の間と推測されますので、140年前は、2010年から2059年の間となります。このとき、真賀田博士が若かったというのは、違和感があります。50年の開きがあるので、2010年頃(すべてがFになるの15年後)であればありえなくはないですが、2060年頃であるなら、あり得ないと思えます。

 2010年から2059年の間であれば、年代が被っている他シリーズの作品もあります。ときどき現れて人類を導いている(P158)、というようなことをヴォッシュ博士が話していますが、確かにその通りなのかもしれません。

まとめ

 森博嗣著「魔法の色を知っているか?」について、あらすじ、ネタバレ、みんなの感想、考察などをまとめました。

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