no murder, yes life
金田一耕助

犬神家の一族|あらすじ・ネタバレ解説・相関図【犯人・キャスト】

4.5
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 「犬神家の一族」のあらすじ、ネタバレ(真相や犯人)、感想などをまとめています。原作は横溝正史氏の推理小説で、映画やドラマなどで映像化もされています。2023年4月にはNHKで吉岡秀隆さん主演のドラマが放送されました。

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あらすじ

信州財界の大物である犬神佐兵衛(いぬがみ・さへえ)が莫大な財産を残し、家族に見守られながら他界する。遺言状は犬神家の一族全員が揃ってから発表されることになっていたため、佐兵衛の孫にあたる佐清(すけきよ)の復員を待つこととなる。数ヶ月後、金田一耕助が若林という弁護士に招喚され、犬神家の本宅のある那須湖畔を訪れる。そして、犬神家で暮らしている野々宮珠世(ののみや・たまよ)の乗るボートが沈むという事件に遭遇する。金田一は珠世の召使いである猿蔵(さるぞう)と共に珠世を救出し、珠世が幾度も命を狙われていることを知る。その後、金田一を招いた若林が何者かによって毒殺される。どうやら若林は犬神家の遺言書をみてしまったらしく、そのことが殺害動機になったようだった。若林の上司にあたる古館は相続に不安を感じ、金田一に立ち会いを依頼する、が……。

登場人物とキャスト

 主な登場人物とキャストを一覧にします。キャストは2023年放送のNHKドラマと、市川崑監督の映画(1976年と2006年の両方)についてまとめています。

名前
読み
NHKドラマ
2023年
市川崑映画
2006年
市川崑映画
1976年
金田一耕助
きんだいち・こうすけ
吉岡秀隆 石坂浩二 石坂浩二
犬神松子
いぬがみ・まつこ
大竹しのぶ 富司純子 高峰三枝子
犬神竹子
いぬがみ・たけこ
南果歩 松坂慶子 三条美紀
犬神梅子
いぬがみ・うめこ
堀内敬子 萬田久子 草笛光子
野々宮珠世
ののみや・たまよ
古川琴音 松嶋菜々子 島田陽子
猿蔵
さるぞう
芹澤興人 永澤俊矢 寺田稔
犬神佐清
いぬがみ・すけきよ
金子大地 尾上菊之助 あおい輝彦
古館恭三
ふるだて・きょうぞう
皆川猿時 中村敦夫 小沢栄太郎
大山泰輔
おおやま・たいすけ
野間口徹 大滝秀治 大滝秀治

相関図

犬神家の一族の登場人物相関図

事件概要

まず、登場人物について解説すると、遺産を残して亡くなったのが犬神佐兵衛(いぬがみ・さへえ)です。そして、佐兵衛には松子、竹子、梅子という三人の娘がおります(松竹梅なので覚えやすい、もう一人娘がいたらどうするつもりだったのだろう)。異母姉妹である三姉妹には、それぞれ、息子や娘がおります。松子の息子が、あの有名なスケキヨさんですが、マスクを被っているだけではなく、顔がザクロみたいになっているので、見た目では本人かどうか判別できない謎の人物です。次女の竹子には息子と娘がいます。息子の名前は佐武(すけたけ)、娘は小夜子(さよこ)です。なお、竹子の夫は寅之助(とらのすけ)です。三女梅子の夫は幸吉(こうきち)で、一人息子は佐智(すけとも)という名前です。

遺言による遺産相続に関わるのは、スケキヨ、スケタケ、スケトモの三人で、彼らは被相続人、つまり佐兵衛の孫になります。血縁者であるキヨ・タケ・トモが遺産を相続するということであれば、特に珍しいこともありませんが、遺言によって、なぜか、野々宮珠世が財産を独り占めできるような状況となります。ただし、キヨ・タケ・トモのいずれかと結婚するという条件が付随します。珠世は佐兵衛の恩人の孫、ということなので、佐兵衛の血縁者ではないと認識されています。なお、珠世には猿蔵という男が仕えています。

遺言にはもう一人、青沼静馬(あおぬま・しずま)という人物が登場します。静馬は佐兵衛と愛人の間に生まれた子供で、その愛人というのが青沼菊乃(きくの)です。もしも、相続が確定する前に珠世が死亡した場合は、その財産の2/5が静馬に遺贈されることになります。残りの3/5はキヨ・タケ・トモに均等に配分されるわけですが、残された遺言に松竹梅姉妹は納得せず、怒り狂います。複雑な遺言ですが、結局のところ、多くの財産を相続しそうなのは、他人であるはずの珠世、もしくは、愛人の子供である静馬ということになります。

殺人

遺言読み上げ後、4件の殺人が発生します(被害者を下の表にまとめています)。最初の被害者は弁護士の若林で、彼は遺言が読み上げられる前に毒殺されました。そして、遺言状が開封された後、スケタケ、スケトモ、スケキヨの順に次々と殺されていきます。特徴は残忍な手口にあり、さらに、スケ三兄弟の死体発見現場や犯行現場には、犬神家の家宝である斧(よき)、琴(こと)、菊(きく)を連想させる証拠が残されていました。

名前
読み
殺害状況
第一の被害者 若林豊一郎
わかばやし・とよいちろう
毒殺
第二の被害者 犬神佐武
いぬがみ・すけたけ
菊人形
第三の被害者 犬神佐智
いぬがみ・すけとも
琴の糸
第四の被害者 犬神佐清
いぬがみ・すけきよ
逆立ち死体

マスク姿で現れたスケキヨも、殺害されてしまいます。見た目では本人かどうか判別できないわけですが、手形の照合によって本人であることが確認されます。しかしながら、偽者かもしれないという疑惑はなかなか払拭されません。特に珠世はスケキヨと恋仲だったため、マスク姿のスケキヨが本物だとは信じていない様子です。

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真相

若林、佐武、佐智、佐清を殺害したのは犬神松子です。松子は息子の佐清と珠世を結婚させ、財産を相続させようとしていました。佐武と佐智を殺害した理由は、相続の邪魔になるからですが、佐清を殺害したのは、佐清が偽者だったからです。マスク姿で現れたザクロ顔のスケキヨは青沼静馬で、佐清本人ではありませんでした。偽物のスケキヨ、すなわち、静馬は偽者であることが松子にばれ、直後に松子に殺害されました。

松子が弁護士の若林を殺害したのは、松子による珠世殺人未遂が発覚したためです。実は松子は遺言の内容を読み上げ前から知っており、珠世殺害を企んでいました。松子の殺意をいち早く察知した若林は、金田一耕助に助けを求めたわけですが、松子に渡された煙草によって毒殺されてしまいます。その後、珠世殺害を計画していた松子は考えを改め、今度は珠世を生かして佐清と結婚させようとします。なお、この時点で松子は佐清が偽者であることはもちろん、本物の佐清が静馬と行動を共にしていることも知りません。

佐武、佐智、静馬の殺したのは松子に間違いありませんが、佐武の首を斬って菊人形のように飾ったり、佐智の死体に琴の糸を巻いたりしたのは、スケキヨに扮する静馬と本物の佐清です。つまり、殺人者と偽装工作を仕掛けた人物が異なるということになります。いわゆる共犯者ということですが、殺人者は共犯者の正体を把握していませんでした。静馬と佐清は松子による佐武殺害を目撃しており、これをきっかけに、松子が犯人ではないようにみせるため、死体を損壊・遺棄しました。その方法は、女性一人では不可能と思えるような方法で死体を処理することであり、首が斬られたりしていたのはそのためです。特に母親を恨んでいたわけでもない佐清が加担したのは、母親の犯行をネタに静馬から脅されたからです。なお、静馬の死体を逆さまにしたのは松子です。

そもそも静馬がスケキヨに変装していたのは、犬神家に復讐するためでした。静馬の母である菊乃は佐兵衛に愛された唯一の女性であり、家宝を譲り受けていました。しかし、家宝が渡ったことを知った松竹梅姉妹に暴行された挙句、家宝も奪われてしまいます。このことをひどく恨んでいた静馬は犬神家に入り込み、すべてを支配しようとしていたわけですが、そんな折に松子の犯行を目撃します。この出来事をうまく利用するため、菊や琴の糸などを使って菊乃の呪いを演出しました。

珠世は何者だったのかというと、彼女は佐兵衛の実の孫でした。恩人の孫ということになっていましたが、これは事実ではありません。恩人というのは野々宮大弐(ののみや・だいに)という神主で、大弐は空腹で倒れていた佐兵衛を助けた人物でした。大弐には晴世(はるよ)という妻がいましたが、大弐の恋愛対象は男性でした。そんな境遇の晴世が産んだ祝子(のりこ)は佐兵衛との間に授かった子供であり、祝子の娘が珠世でした。

結末

 金田一がすべての謎を解き明かした後、松子が弁護士殺害に使用した毒物で自殺してしまいます。珠世は逮捕された佐清をいつまでも待ち続けると約束します。

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ネタバレ

簡単に事件をまとめると以下のようになります。

項目 説明 補足
犯人 犬神松子 すべての殺人の犯人
動機 息子のスケキヨに財産を相続させようとした
トリック 共犯 松子が殺しスケキヨと静馬が偽装工作をする
松子はスケキヨと静馬という共犯者を知らない

佐清が逆さまの理由

佐清が逆さまになっているのには理由があり、ショート動画にまとめています。スケキヨの有名シーンを1時間鑑賞できる動画も公開中です。

原作小説とドラマの違い

2023年放送のNHKドラマは原作と異なる部分がいくつかあります。いずれも、細かな違いですので、物語の大筋は原作と同じです。比較的大きな違いというと、佐清の死体発見シーンやラストシーンなどが挙げられます。

原作において、有名な佐清のシンクロシーンは金田一の謎解きの前に登場します。2023年版ドラマでは、謎解きを終えて、真犯人が自殺したあとに、かのシーンが登場していました。原作では、逆立ちしていた死体の手形を調べてみると、佐清ではないことが判明するので、さらに混乱するという展開になります。これは、マスク男の謎を深めることになりますが、ドラマでは省略されていました。

ドラマのラストには、金田一が佐清に「病気だ」と言われ、証拠がないことを喚くシーンがありますが、これはドラマオリジナルです。実は佐清が黒幕で、相続のために松子や静馬に犯罪を起こさせたという展開も、原作にはありません。なお、ドラマにおいて佐清が、いわゆる教唆犯だったかどうかは、はっきりとしていません。ちなみにですが、こういった「〇〇が黒幕だった、かもしれない」という結末は他のミステリー作品にも登場します。

その他、細かな違いがいくつかありますので、まとめておきます。

  • 珠世の殺人未遂が嫉妬した小夜子の犯行になっている(原作は松子の犯行)
  • 静馬の動機が母親を求めたからということになっている(原作は犬神家への復讐)
  • 佐清が静馬に引け目を感じている(原作は母である松子の犯行をネタに脅されているだけ)
  • 松子が火傷の跡で佐清が静馬であることに気付く(原作は静馬が自ら明かしている)
  • 犬神家の一族に法的な相続権がなく遺言がないと何も相続できない(原作は相続人になっている)

ロケ地

2023年放送のNHKドラマ(吉岡秀隆さん主演)は岡山で撮影が行われています。ロケ地の詳細は岡山観光連盟がまとめたロケ地マップがわかりやすいです。以下、特徴的なロケ地を抜粋してまとめます。

ロケ地 マップ 補足
旧野﨑家住宅 Google Map 犬神家の屋敷
大橋家住宅 Google Map 犬神家の屋敷
旧柚木家住宅(西爽亭) Google Map 犬神家の屋敷
有隣荘 Google Map 犬神家の屋敷
吉備津神社 Google Map 廻廊
国立吉備青少年自然の家 Google Map
拡大地図を表示することで外観などを確認できます。

感想

マスク姿のスケキヨや、水面から飛び出している足など、ミステリーといえば、みたいなシーンがたくさん登場します。スケキヨが登場するのは八つ墓村だっけ?みたいなことが起きがちですが、スケキヨさんは犬神家でした(“八つ墓村”で検索すると、スケキヨを加えた検索語句がサジェストされます)。

2023年改変の考察

2023年に放送されたNHK版は、佐清が黒幕だったことを匂わせて、終わっています。すべてが佐清の手の中で転がっていた、というと、最初の方に死んだ弁護士の殺人にも佐清が関わっていないといけませんので、すべてではないように思います(実は随分前から犬神家周辺に潜んでいた、というのはなしです)。

すべてが佐清の陰謀だったとすると、いろいろと語らなければならない部分があります。そのため、佐清がとりあえず成り行きを見届けて策を練り、自分が最も得をするように行動したという解釈が無難なところではないかと思います。相続人が次々と死んでいく中で、佐清が遺産について一切何も考えていなかった、というのはさすがに清らか過ぎますので、この点について、ドラマは説明を加えようとしたのかもしれません。

犬神家の一連の事件は、いくつかの偶然が重なっています。松子の最初の犯行を佐清と静馬が目撃したというのも、大きな偶然の一つですが、こういった偶然も、佐清が導いたとすれば、必然になり、理由付けになります。具体的にどうやったのかは語られていませんので、偶然と同じくらい、すっきりしない人もいるのではないかと思いますが、偶然ではなくする方法として、佐清黒幕説は有効な改変ではないと思います。

最後に、NHKで放送された深読み読書会について紹介します。番組の中で、推理作家の綾辻行人氏が犬神家について、遊び(余地)のある作品だと話しておられました。理屈でガッチガチに固められた作品ではないので、愛されているのではないかという意見も述べられていたと思います。こういった味のある作品ですので、脚本家の方などが、原作を尊重しつつ、再考しているのではないかと思います。

みんなの感想

 原作小説の口コミをAIで1枚の画像にまとめました。複雑な人間関係、やっぱり面白い、すごい愛などの口コミがみられます。偶然が多い、という意見もありますが、批判的な口コミではないようです。

画像に現れている言葉(キーワード)は、それが口コミでよく使われたことを意味しています。また、言葉と言葉の繋がりは、その言葉が同じ文で使われたことを意味しています。

「犬神家の一族」のレビューをまとめた図

いろんな偶然が悪い方ばかりに働いて起こった事件だった。ものすごく都合のいい偶然、ともいえるのだけど、読んでいてシラけない。

スケキヨという名と、某死体が有名だが、内容は全く知らなかったので、最後まで楽しめた。ミステリは好きだが、古典は敬遠していたのだけど、流石の内容でした。

映画やドラマで何度も見ている作品でしたが、小説は初めて読みました。主人公・辰弥の語りでストーリーが進むので、意外と金田一耕助の活躍は目立たないです。

菊人形の首がすげ代わったり、佐清のあのシーンのインパクトの凄まじさったら…。猟奇殺人、遺産争い、女性の取り合い…横溝ミステリを全部詰め込んだ様な玉手箱のような作品。

V字倒立は氷の中だったんだな。

コメント

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